魔術はささやく

2004年12月24日 読書
ISBN:4101369119 文庫 宮部 みゆき 新潮社 1993/01 ¥620

いろいろな要素が詰め込まれていて、再読なのに「これは、どこに繋がるんだろう?」と先が気になって、テンポよく読めた。
あまり休息が入らずに物語自体が先へ先へと進んでいくので、読む方も休めないというか。
それが息苦しく感じる作品もあるけど、この作品の場合は読みやすさになっていたと思う。
余計なものは少しも入っていなくて、大筋としては繋がっているのだけど、一つ一つの出来事を独立させて読んでも面白い。
その部分を読まないと話が分からなくなるから読むのではなく、パーツ自体に魅力がある。
社会的な問題も折り込んであるのに、それが上手に折り込まれていて、説明を読まされるのは苦手という読者でも安心して読めるし、楽に理解できる。
(この辺のことは、新潮文庫版の解説に上手に解説されていた。
珍しく解説者の感想やらこじつけやら思い込みじゃなくて、分かりやすい解説になってたので、頷きながら読めた。)

↓ネタバレ------------------------------------------------↓
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いわゆる謎解きが終わったあと、トリックというより読み物として興味深いと思った。
私はミステリ好きではないので、こういうほうが楽しめる。

自分ならどうするか?
この選択は正しいのか?
この作品を読んでいると、何度も考えさせられる。

色々考えたのだけど、こういう特殊な方法を取らずに、真正面から怒りをぶつけて断罪したら、返ってくるのは際限のない言い訳だけなんだろうか。それが一番気になった。
相手を憎みきれない優しい主人公の心は、この方法だったからこそ、なんとか救われたのかもしれないとは思う。一方で、責める機会がなかったことで、救われなかった部分もあるんじゃないかなと思ったりもした。

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