檻の外

2006年12月16日 木原音瀬
素晴らしかった。

以下、ネタバレ感想。
作品を未読の方はこの感想は見ないでください。
これがミステリならトリックと犯人を両方書いてしまっているようなもので、完全にネタバレしています。
…私の感想は未読の方には意味が分からないことが多いでしょうし、こんな駄文を読むより作品を読んで欲しいです。

 
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うう…。
堂野が弱くて卑怯な行動に出て、そういう意味で痛い展開になるのかなあと安心していたら、ううう…。
山脈越えかと思っていたら、単に(単に?)崖から突き落とされただけでした、みたいな。
…まあそれについては感想の書きようもないけど、その前の、堂野と再会してからの喜多川の一途さには泣けるものがあった。堂野も本当に情が深くていい人だと思った。
堂野が喜多川を少しだけ疑ってしまったとき悲しくなったけど、考えてはいけないと思っても悪い方向に考えてしまうこともあるし、警察や奥さんに対しては庇ってたからほっとした。
橋のシーンがすごくよかった。感動した。

『雨の日』も甘くてよかったなあ。これがあったから『なつやすみ』のラストが余計に感動的だったんだと思う。
読んだ直後はやっぱりショックで、ここまで書かなくてもいいのにって思った。息子の台詞じゃないけど、堂野がかわいそうで。
でも、あとがきの「喜多川の人生を書ききった…」という言葉がすごくよくて、ラストのところだけもう1回読んだら、ここまで書いてくれてよかったなと思っていた。堂野の「こうなってみると圭の方が先でよかったのかもしれない」という台詞は本当にその通りじゃないかと。喜多川の人生は堂野に出会えたことで満たされて、満ち足りたまま終わったということが嬉しい。もちろん堂野はかわいそうだし、時期は早かったけど、避けようがないことだから。堂野も逆だったら、さぞ心配で心残りだったんじゃないかと思うし。
多分今度は、喜多川は堂野に一緒に死んでほしいとは思わなかったような気がする。

まだ書き足りないけど、どう書いたらいいか分からない。
いい話を読んだ。

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