木原 音瀬 『あいの、うた』

この作品、発売当時あまり感想を見かけなかった気がする。
単にネタバレを恐れて自分で回避してただけかもしれないけど。

ほろ苦…。

ネタバレ

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ちょっとおとなしい話で読みやすかった。
DVもないし。暴力がなかったわけでもないけど、陰惨じゃないし。まあ兄弟喧嘩みたいなものかなあと。
とか思うのは、慣れて麻痺したせいなのか……。
だいたい他の作家さんが同じストーリーで書いたら、何かショッキングな出来事があったか、何かが吹っ切れたか、どっちだろうと思ってしまいそうだし…。
それをソフトと感じるのもなあ(笑)
2作品共通した印象は、主人公の相手が非常識人だということ。
まあ木原作品で両方平凡なキャラだった作品ってあんまり思い出せないが。何かあったかなあ。あ、『恋愛時間』と『リベット』はかなり常識的だった。

表題作のほうは甘く感じるタイトルの割りに現実の厳しさがヒシヒシというよりバシバシガンガン描かれていたが(…)、だからこそ二人の心の交流が暖かく感じる、いい話だったなあと。
受がわりと好きなんだけど、タイプじゃないわということと、仕事面で救いがないところがナンだったが。

「The en/d of yo/uth」
こっちのほうが受キャラが好きだった。
まあ表題作のほうで二人のその後が分かっているために読みやすかったが、タイトルからして激苦そうだ。才能のなさに自分で見切りをつけるのが若さや青春の終わり(って訳せばいいのかなあ…)だっていうのはよく分かるし、珍しい話ではないんだけど、相変わらず容赦がなくて生々しい描き方だった。
けど、読後感はほろ苦ぐらいで面白い話だった。
田頭はよく考えると結構いやな奴だが憎めないタイプだったし、感情移入しながら読んでいたので、彼が夢を諦めていく過程はきついものがあった。
どん底まで落ちたときに、さらに自分を追い詰めるように力のところに行ってしまい、傷口をえぐられるところにカタルシスを感じるかどうかが、好き嫌いの分かれ目かと思った。
ラストの二人の会話が甘くて(?)よかった。

…表題作のほうは書き下ろしが入っていなかったら、相当救いがないと思う。というわけで、その後の話にほっとした。

(小説11)

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