『普通の男』

2007年6月20日
榎田 尤利 『普通の男(ひと)』

がっつりネタバレ

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タイトルからして私の好きな地味設定っぽいので前々から気になっていたのだが、なんとなくスルーしていた作品。
働いて成長していく受とそれに手を貸してくれる攻という好きなパターンだし、受攻ともに派手派手しいところがなくて好みのキャラだった。
読みやすい文章で流れよく読ませてくれるし、ストーリー自体も大きな事件や展開がないものの退屈はさせず、少しずつ気持ちが高まっていく過程が読んでいて気持ちいい。
落ち着いて楽しめるし、こういう作風も好きだなー。

攻のほうは受視点のときは好みだが、本人の視点になると趣味から外れる。「いい人だけど、ごめんなさい」というか、黙っていればいい男っていうか。榎田作品のとぼけた(?)ところのある攻はキャラとしては好きなんだけど、素敵vとは思えなくて…。
そのかわり受のほうは、作りこみすぎていない適度な味付けが好印象なキャラだった。

好きだと自覚するまでの葛藤とか、なかなか踏み出せないところとか、いちいち好みで嬉しい。別にここで終わっても(キスもしてない。まだ手を繋いだだけだ…)不満はなかったのだが、続編があるらしいので楽しみだ。

そういえば『ハンサムは嫌い。』の二人が出てきていたが、ということはゲイバーのカップルも別作品では主人公ってやつかな。
脇役にやたらと美形ばっかり出てきて、せっかく主役二人が普通なのにと、ちょっとだけ不満だ。いや、一言言わないと気がすまない性格なんで、とりあえず……。

蛇足。
この作品のテーマの「普通であること」への疑問は、正直ちょっとうるさかったが、結論は納得がいくものだった。

(小説43)

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