木原 音瀬 『FLOWER』
これ以上ないほど激しくネタバレ。三部作すべてに対してネタバレ。
備考:まだ3冊目は読んでない。
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『WEED』で、若宮に輪をかけた最低ぶりを発揮していた谷脇が主人公で、相手は番外編で登場していた松本。
またこれはちょっと…な場面から始まるが、「酔わせて強引に」はBL的にはよくある展開なので、張り紙の前で堂々とやっている分、逆に落ち着いて読めるのだが……。
その後の最低ぶりは犯罪部分を抜きにしても、ものすごい。
で、読み始めてわりとすぐに、マズイなあと思った。
この最低な鬼畜医者はものすごく私の好みのキャラで……。別に鬼畜キャラを好きになるのは構わないが、松本の辿る運命を最初から知っているだけに感情移入せずに淡々と読みたかったのだ。
でもダメ、すごい好き…。(ちっとも大丈夫じゃないんで、気にせず見捨てて下さい)
そして恐ろしいことに、登場当初の松本はものすごく苦手な、流され系、気弱タイプのキャラで、ひどいめにあっていても、なんだかあまり同情できず。かなり自分のモラルを疑ってしまった…。張り紙を増やしたほうがいいんじゃないだろうか。
まあそんなことはともかく。
松本が靡いてこなくなると、だんだん松本が魅力的に思えてくる。知らないうちに松本に落とされているあたり、谷脇に感情移入している度合いが強いというか、恋愛を追体験しているみたいな気分になった。
けど、先を知っているだけに、ああイヤだなーと思いながら読んだ。松本に対してひどい態度を続ける谷脇に「少しは思い知れ」って感想も持てない。
谷脇は(若宮に対してもそうだったが)自分の恋心を自覚できない人で、それがまたもどかしいというか、悲しいというか。異常なほどに執着しているので、もうとっくに落とされているのは読者には分かるのだが、本人はどうやっても気づかない。
そうしているうちに松本の病気が発覚し、普通ならここでもっとショックを受けるのだろうが、それもスルー。作者にそういう意図があるかどうかは分からないが、医者って職業も関係があるような気がする。普段から人の生き死にを見ている人だから、普通の人より病名を聞いても冷静だったんじゃないかと。たとえ顔見知り程度でもショックな病名だし、個人的にどうとかいう問題をおいても病名のインパクトが強いから、反応が薄いのは麻痺してるからかなあと思った。
今まで谷脇に感情移入しながら読んでいたので比較的に楽だったのだが、ここらへんから早く自覚してって思うようになるから、読んでいて辛くなる。馬鹿だなあって悲しくなるというか。
結局、松本への思いを自覚するのは死んでからで…。谷脇は自業自得だし、自覚してしまっていたらその後が地獄だったろうけど、松本のためにもう少し早く自覚していてくれたら、自覚しないまでもせめて無自覚な思いが伝わっていたらと思わずにいられない。
だけど、谷脇もかわいそうな人だと思う。不器用で可愛いとかいうレベルじゃないから余計に悲しい。庇うような余地もない人だが、あまりに切なくて泣けてくる。
こうなっていれば、ああなっていればと、いつまでも考えてしまった。
やっぱり悲恋ものは読むのがしんどい。
というわけで、3冊目を読むのはしんどい作業になりそうだ。…色々な意味で。
番外編、シリーズ外の兄弟ものも面白かったが、感想はスルーで。
(小説53)
これ以上ないほど激しくネタバレ。三部作すべてに対してネタバレ。
備考:まだ3冊目は読んでない。
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『WEED』で、若宮に輪をかけた最低ぶりを発揮していた谷脇が主人公で、相手は番外編で登場していた松本。
またこれはちょっと…な場面から始まるが、「酔わせて強引に」はBL的にはよくある展開なので、張り紙の前で堂々とやっている分、逆に落ち着いて読めるのだが……。
その後の最低ぶりは犯罪部分を抜きにしても、ものすごい。
で、読み始めてわりとすぐに、マズイなあと思った。
この最低な鬼畜医者はものすごく私の好みのキャラで……。別に鬼畜キャラを好きになるのは構わないが、松本の辿る運命を最初から知っているだけに感情移入せずに淡々と読みたかったのだ。
でもダメ、すごい好き…。(ちっとも大丈夫じゃないんで、気にせず見捨てて下さい)
そして恐ろしいことに、登場当初の松本はものすごく苦手な、流され系、気弱タイプのキャラで、ひどいめにあっていても、なんだかあまり同情できず。かなり自分のモラルを疑ってしまった…。張り紙を増やしたほうがいいんじゃないだろうか。
まあそんなことはともかく。
松本が靡いてこなくなると、だんだん松本が魅力的に思えてくる。知らないうちに松本に落とされているあたり、谷脇に感情移入している度合いが強いというか、恋愛を追体験しているみたいな気分になった。
けど、先を知っているだけに、ああイヤだなーと思いながら読んだ。松本に対してひどい態度を続ける谷脇に「少しは思い知れ」って感想も持てない。
谷脇は(若宮に対してもそうだったが)自分の恋心を自覚できない人で、それがまたもどかしいというか、悲しいというか。異常なほどに執着しているので、もうとっくに落とされているのは読者には分かるのだが、本人はどうやっても気づかない。
そうしているうちに松本の病気が発覚し、普通ならここでもっとショックを受けるのだろうが、それもスルー。作者にそういう意図があるかどうかは分からないが、医者って職業も関係があるような気がする。普段から人の生き死にを見ている人だから、普通の人より病名を聞いても冷静だったんじゃないかと。たとえ顔見知り程度でもショックな病名だし、個人的にどうとかいう問題をおいても病名のインパクトが強いから、反応が薄いのは麻痺してるからかなあと思った。
今まで谷脇に感情移入しながら読んでいたので比較的に楽だったのだが、ここらへんから早く自覚してって思うようになるから、読んでいて辛くなる。馬鹿だなあって悲しくなるというか。
結局、松本への思いを自覚するのは死んでからで…。谷脇は自業自得だし、自覚してしまっていたらその後が地獄だったろうけど、松本のためにもう少し早く自覚していてくれたら、自覚しないまでもせめて無自覚な思いが伝わっていたらと思わずにいられない。
だけど、谷脇もかわいそうな人だと思う。不器用で可愛いとかいうレベルじゃないから余計に悲しい。庇うような余地もない人だが、あまりに切なくて泣けてくる。
こうなっていれば、ああなっていればと、いつまでも考えてしまった。
やっぱり悲恋ものは読むのがしんどい。
というわけで、3冊目を読むのはしんどい作業になりそうだ。…色々な意味で。
番外編、シリーズ外の兄弟ものも面白かったが、感想はスルーで。
(小説53)
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