榎田 尤利 大洋図書 2003/11
近頃、木原作品を積読にしないでさくさく読めて、わたしどうしちゃったの?ぐらいに怯えていたのだが、この本を読む前に1冊木原作品を手にとって表紙を眺めているだけで、ものすご〜く重苦しい気分になったので、やっと感覚が平常に戻ったと喜んだ……。
こんなときは私の癒し系、エダさんかな、と。
けど、この作品を人様に貸してもらった本の中に見つけたときは、ついにこれを読むときがきたか…とちょっと黄昏た。(失礼で、すみません)
エダさんは普段私の癒し系指定図書だが、今回は課題図書だった。
今までにも何度か手に取る機会はあったのだが、表紙を見て毎回そっと棚に戻していた。あらすじも読まなかった。だってふわふわ頭で眼鏡の純情可憐そうな男の子だし、花屋だし。どう考えても私の趣味からいえば、受け付けない設定だ。いくらエダさん×SHYノベルズでも、これは無理だろうと。
心が汚れてしまったせいか、もとからひねくれているせいか、純真、健気、無垢なキャラにはどうも拒絶反応が出てしまう。しかもそれらのキャラは「天然」と呼ばれる空気が読めないタイプだったり、頭が悪かったりというオプションがつくことが多いので、カンベン〜なことが多くて。もちろん趣味の問題なので、そういうのがお好きという方にはご容赦いただきたい…。
それにしても長い前置きだった。
以下、ネタバレ感想。
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おお〜、ヤクザ視点! これは楽しい。なんだかいろいろ共感しやすいし…。
なんだか好みだ、惣田。表紙は清水だから若々しくなっているが(笑)、惣田天使のイラストも結構ツボだった。
受の眞はもさもさっとしていて、水気少なめの歯応えに欠けるリンゴみたいな子で、やっぱり無理…と思った。だってこの子が落とされたって、別に面白くないよ?と。
エダ先生の文章は読みやすいので、設定・キャラで無理と思っても、面白く読み進めることができる。わりと見る気がする設定だが、いきなり同性愛を要求する神様ってのは珍しい(笑) 天使も結構いい性格だし、堅苦しい倫理を押し付けられることもないし、かといってどうでもよくなるほどコメディ路線でもない始まり方で、入りやすかった。
ちょっとほろりとさせられたり、考えさせられたり、相変わらず上手な話運びでテンポよく進む。たぶん、主人公が眞に好意を抱いていくのと同じ速度で、こちらも眞の魅力が分かってきて、いろいろひどい目にも遭っているが、毎日が楽しいなあという気分が伝染してきて、残り日数が気になり始める。感動させてやろうっていう作者の意図が透けて見えると白けちゃうものだし、こういう気分を自然に味わえる小説って意外と少ないと思う。さすがエダさんだ。
さっきありがちな設定だと書いたが、この設定だと幾通りかのラストが考えられるので、どのラストにおさまるのかは分からず、そういう意味での緊張感は最後まで続いた。時々シビアな部分も混ざっていただけに、どうせハッピーエンドでしょ、とは思えず。いやハッピーエンドなのは疑っていなかったが、ハッピーエンドにも種類があるし、だいたい最後まで見届けないことには落ち着かないというか。
ほんわかした話なのにスパイスは効いていて、考えさせられるような深い部分もあって、でもやっぱり暖かい気分で読了できる。いい話だった。
眞が趣味に合うかと聞かれれば、やっぱり趣味ではないんだが。
ただ惣田の相手はやっぱり眞がいいと思うので、単品ではともかくセットとしては趣味に合ったらしい。
うーん、そういえば惣田は転職するんだろうか。
(小説72)
近頃、木原作品を積読にしないでさくさく読めて、わたしどうしちゃったの?ぐらいに怯えていたのだが、この本を読む前に1冊木原作品を手にとって表紙を眺めているだけで、ものすご〜く重苦しい気分になったので、やっと感覚が平常に戻ったと喜んだ……。
こんなときは私の癒し系、エダさんかな、と。
けど、この作品を人様に貸してもらった本の中に見つけたときは、ついにこれを読むときがきたか…とちょっと黄昏た。(失礼で、すみません)
エダさんは普段私の癒し系指定図書だが、今回は課題図書だった。
今までにも何度か手に取る機会はあったのだが、表紙を見て毎回そっと棚に戻していた。あらすじも読まなかった。だってふわふわ頭で眼鏡の純情可憐そうな男の子だし、花屋だし。どう考えても私の趣味からいえば、受け付けない設定だ。いくらエダさん×SHYノベルズでも、これは無理だろうと。
心が汚れてしまったせいか、もとからひねくれているせいか、純真、健気、無垢なキャラにはどうも拒絶反応が出てしまう。しかもそれらのキャラは「天然」と呼ばれる空気が読めないタイプだったり、頭が悪かったりというオプションがつくことが多いので、カンベン〜なことが多くて。もちろん趣味の問題なので、そういうのがお好きという方にはご容赦いただきたい…。
それにしても長い前置きだった。
以下、ネタバレ感想。
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おお〜、ヤクザ視点! これは楽しい。なんだかいろいろ共感しやすいし…。
なんだか好みだ、惣田。表紙は清水だから若々しくなっているが(笑)、惣田天使のイラストも結構ツボだった。
受の眞はもさもさっとしていて、水気少なめの歯応えに欠けるリンゴみたいな子で、やっぱり無理…と思った。だってこの子が落とされたって、別に面白くないよ?と。
エダ先生の文章は読みやすいので、設定・キャラで無理と思っても、面白く読み進めることができる。わりと見る気がする設定だが、いきなり同性愛を要求する神様ってのは珍しい(笑) 天使も結構いい性格だし、堅苦しい倫理を押し付けられることもないし、かといってどうでもよくなるほどコメディ路線でもない始まり方で、入りやすかった。
ちょっとほろりとさせられたり、考えさせられたり、相変わらず上手な話運びでテンポよく進む。たぶん、主人公が眞に好意を抱いていくのと同じ速度で、こちらも眞の魅力が分かってきて、いろいろひどい目にも遭っているが、毎日が楽しいなあという気分が伝染してきて、残り日数が気になり始める。感動させてやろうっていう作者の意図が透けて見えると白けちゃうものだし、こういう気分を自然に味わえる小説って意外と少ないと思う。さすがエダさんだ。
さっきありがちな設定だと書いたが、この設定だと幾通りかのラストが考えられるので、どのラストにおさまるのかは分からず、そういう意味での緊張感は最後まで続いた。時々シビアな部分も混ざっていただけに、どうせハッピーエンドでしょ、とは思えず。いやハッピーエンドなのは疑っていなかったが、ハッピーエンドにも種類があるし、だいたい最後まで見届けないことには落ち着かないというか。
ほんわかした話なのにスパイスは効いていて、考えさせられるような深い部分もあって、でもやっぱり暖かい気分で読了できる。いい話だった。
眞が趣味に合うかと聞かれれば、やっぱり趣味ではないんだが。
ただ惣田の相手はやっぱり眞がいいと思うので、単品ではともかくセットとしては趣味に合ったらしい。
うーん、そういえば惣田は転職するんだろうか。
(小説72)
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