麻生 玲子 集英社
『一万年+3日』 2004/10
『水の化石』 2004/12
『彩度ゼロの奇跡』 2005/04
『永遠に似た瞬き』 2005/07
久々のコバルト。薄いからか、通勤の片道で1冊読めてしまう。
たまには毛色の変わった作品を読んでみたくて、ネットで評判のよさそうだったこの作品を買ってみた。4冊も続いているぐらいだから、きっと面白いのだろうという期待もあった。
ネタバレ。
…は別にしてないか。つもりはあったが、何を書きたかったか忘れた。
先にお断りしておくと、私はあまり面白いと思えませんでした。
この作品、この作者さんが好きだという方はスルーしてください。
---------------------------------------------------------
起伏がない、メリハリがない、尖ったところのない、ダラダラ日常系大学生もの。
ちょっと貶しているような書き方だが、はっきりいってそういうのが好みだ。
最初から最後まで刺激的でノンストップに面白いエンタメも好きだが、内容が濃いと読むのにパワーが必要なので、何作か続けて読むと疲れる。その点こういう平板な話は、心が揺さぶられる感動もないかわりに軽く読めていい。
この作品には話の筋とまったく関係ないしディテールとしても面白みがないしで、丸ごと削ったほうがよさそうな場面がいくつかあるのだが、たぶんそれを削っちゃうと話のテンポがよくなってしまい、かえって雰囲気や味わいが崩れてしまう。なので話の筋からすれば無意味に思えるシーンの多い、滑り止め多用作品という感じかなあ。文章上ではなく内容上の滑り止めなので私には読みづらく感じられたが、1冊が薄いので読み飛ばせばすむという気もする。
1年後にこの話の内容を聞かれたら覚えていなくて答えられないかもしれないが、ふとした瞬間に場面の空気を思い出すことはあるかもしれない。そういう意味での読み応えはあると思う。
キャラは嫌味がなくてよかった。常識人という設定の主人公、西野にたまに(作者が意図していない)突っ込みどころがあるのは気になるものの、爽やか系が多いし、白川は面白かった。
ただなあ。「まだ若い彼らは〜〜なのだ」というような文章が要所要所に入るのがいただけない。これだけ起伏のないストーリーだと、場面の終わりごとにクローズアップしていたカメラを一旦引いて神さま視点に戻さないことには締まらないとは思うのだが、そんな人生の先輩視点を持ってこられると一気に作品の空気が枯れてしまう気が……。神さまに若さが足りない。そのせいか、なんだか作品全体が若作りしているみたいに感じられてしまうところが辛かった。
コバルトだから読者の対象年齢を低く設定しているんだろうか。読むのにキャラ萌が必要。「あの白川さんがこんなことを!」みたいに自ら盛り上がれば、たぶん楽しい。
男性を美人だといって誰もがもてはやす世界には、私はやっぱりついていけないが。
ストーリーを面白かったとかつまらなかったとか書く前に、外縁からゴチャゴチャ書いてしまうのは、うまく話に入り込めなかったからだと思う。もう少しキャッチーに始まってくれれば、そしてもう少し展開が上滑りしていなければ(狙いは分かるんだが狙いを考えさせられるあたりが…)、趣味に合いそうな系統なんだけどなあ。
惜しかった。
(小説107-110)
『一万年+3日』 2004/10
『水の化石』 2004/12
『彩度ゼロの奇跡』 2005/04
『永遠に似た瞬き』 2005/07
久々のコバルト。薄いからか、通勤の片道で1冊読めてしまう。
たまには毛色の変わった作品を読んでみたくて、ネットで評判のよさそうだったこの作品を買ってみた。4冊も続いているぐらいだから、きっと面白いのだろうという期待もあった。
ネタバレ。
…は別にしてないか。つもりはあったが、何を書きたかったか忘れた。
先にお断りしておくと、私はあまり面白いと思えませんでした。
この作品、この作者さんが好きだという方はスルーしてください。
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起伏がない、メリハリがない、尖ったところのない、ダラダラ日常系大学生もの。
ちょっと貶しているような書き方だが、はっきりいってそういうのが好みだ。
最初から最後まで刺激的でノンストップに面白いエンタメも好きだが、内容が濃いと読むのにパワーが必要なので、何作か続けて読むと疲れる。その点こういう平板な話は、心が揺さぶられる感動もないかわりに軽く読めていい。
この作品には話の筋とまったく関係ないしディテールとしても面白みがないしで、丸ごと削ったほうがよさそうな場面がいくつかあるのだが、たぶんそれを削っちゃうと話のテンポがよくなってしまい、かえって雰囲気や味わいが崩れてしまう。なので話の筋からすれば無意味に思えるシーンの多い、滑り止め多用作品という感じかなあ。文章上ではなく内容上の滑り止めなので私には読みづらく感じられたが、1冊が薄いので読み飛ばせばすむという気もする。
1年後にこの話の内容を聞かれたら覚えていなくて答えられないかもしれないが、ふとした瞬間に場面の空気を思い出すことはあるかもしれない。そういう意味での読み応えはあると思う。
キャラは嫌味がなくてよかった。常識人という設定の主人公、西野にたまに(作者が意図していない)突っ込みどころがあるのは気になるものの、爽やか系が多いし、白川は面白かった。
ただなあ。「まだ若い彼らは〜〜なのだ」というような文章が要所要所に入るのがいただけない。これだけ起伏のないストーリーだと、場面の終わりごとにクローズアップしていたカメラを一旦引いて神さま視点に戻さないことには締まらないとは思うのだが、そんな人生の先輩視点を持ってこられると一気に作品の空気が枯れてしまう気が……。神さまに若さが足りない。そのせいか、なんだか作品全体が若作りしているみたいに感じられてしまうところが辛かった。
コバルトだから読者の対象年齢を低く設定しているんだろうか。読むのにキャラ萌が必要。「あの白川さんがこんなことを!」みたいに自ら盛り上がれば、たぶん楽しい。
男性を美人だといって誰もがもてはやす世界には、私はやっぱりついていけないが。
ストーリーを面白かったとかつまらなかったとか書く前に、外縁からゴチャゴチャ書いてしまうのは、うまく話に入り込めなかったからだと思う。もう少しキャッチーに始まってくれれば、そしてもう少し展開が上滑りしていなければ(狙いは分かるんだが狙いを考えさせられるあたりが…)、趣味に合いそうな系統なんだけどなあ。
惜しかった。
(小説107-110)
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