恩田 陸 講談社 2001/07

個人的な感想。(感覚的なものなので、人にはまったく参考にならない感想)
読書が趣味、と自認している人向けの小説って感じか。小説は好きだけど、数は読んでいないという中途半端な人間には、そのへんが微妙な印象で。頭では分かるが、共感はしないというか。
前半の二つの話が面白かった。私は不器用な読者なので、三人称であっても一人称であっても視点が定まらない話にはのめり込めないようで、つまらなくはないがトーンダウンを感じた。

ところで。
カバーをかけて閉じた状態の本でも、本文を横、あるいは上下から見たとき、漫画なら霜降り、小説なら真っ白になっているのでそこで区別がつく。
それと同じようにこの作品――単行本は持ってないから知らないので文庫のほうを見ると、きれいに4つに区切られていることに気付く。四部構成で、各話の扉絵が黒っぽいので、ビジュアル的にも4分割されているというわけで。しかも見た目には均等。もしかしたらページ数をきっちり合わせてあるのかもしれないし、だいたい同じにしてあるだけでバラつきはあるのかもしれない。前者なら計算された構造美のようなものを感じるし、後者ならそこまではこだわらないところに作りこみすぎないスタイリッシュさを感じる。
まあとにかく見た目が気に入った。通勤バッグの中から取り出すときに、なんだかちょっと気の利いた感じがするのがいい。
装丁でもイラストでもレイアウトでも、文字の書体でも大きさでもないところで、本の見た目を意識するのは珍しいなあと。
私はページの断ち切りがガタガタになってしまうという点を差し引いても、栞代わりの紐(なんて名前なんだろう?)がついている本のほうがレトロ感があって好きだが、この作品に限ってはきれいな断ち切りでよかったと思う。

(小説141)

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