木原音瀬 蒼竜社 2008/01/29
すごーく楽しみにしていた下巻。
確実に手に入れるために大型書店まで行き、読む時間がなくなるので慌てて帰り、睡眠時間を削って読んだ。
絶賛マークをつけておこう。
★★★★★
ネタバレ感想。
あらすじ
松岡…! なんてカッコよくて健気な人なんだろう。仕事もできる、顔もいい、性格は気が利いて気遣いができて優しい。
そんな松岡が惚れている相手として、「たいした男じゃない」寛末は全然釣り合っていない。気が利かないのも仕事ができないのも卑屈になるのも別にいい。でも無神経に松岡を傷つけるのが、ものすごくムカつく。
でも、なんで寛末なの?とは思わなかった。ちょっと無神経でかっこ悪い男はいくらでもいる(から許容範囲だ)し、優しくて誠実で一緒にいると癒される男はあんまりいない。優しさや誠実さといった長所はもとから見えづらい上に、無神経さと優柔不断さで目減りしてしまっているが、寛末は結構もてるタイプなんじゃないかと思う。一見、操縦しやすそうだし(笑)
「愛しいこと」では寛末の視点になるが、寛末がぼんやりしていて気付かなくても、松岡の健気さはしっかり示されるので、最初から結構切ない。切なければ切ない分だけ寛末にムカつくし、BLにどっぷりはまっているので、男だからって何の問題が?とかつい思ってしまった。けど、松岡が男だから付き合うのは無理っていうのは、我が身に置き換えて考えてみると、無理だよなあ…と納得できる。結婚まで考えていた女性が実は男でしたと分かるのって、普通に同性に口説かれるよりダメージが相当大きいと思う。抵抗感が生理的嫌悪にまでなってしまうというのも分かる。
そこまでは共感できるんだけど、それと松岡を振り回し続けるのは別の問題。思わせぶりなだけの寛末を遠ざけようとして、松岡は何回「お願いします」って頭を下げたんだろう…。もうこんな男さっさと忘れちゃえばいいのにって思うんだが、それができれば苦労はないわけで。それに適当に甘いことを言わない寛末の態度は、やっぱり誠実さの表れだと思うから…松岡が可哀想過ぎるけど、不器用な男に惚れちゃったから仕方がないのかなあとも思えた。
寛末にムカついて表紙の革靴で頭を殴ってやりたいと思ったりもしたが(…)、プライドがボロボロになった状態でもまだ癒し系なところに感心したり。情けないしカッコ悪いけど、魅力がある人だなあと。
それまでの経緯を考えれば上京して松岡に突き放されても当然と思ったけど、松岡が相変わらず健気なので、うまくいってほしくなった。まだ離れたくないからと寛末が松岡を引き止める場面では、寛末の頑張りに期待して応援してたし。
普通なら甘いばっかりの、思いが通じ合ってからのエッチシーンなのに、読みながらボロボロ泣いてしまった…。痛かった、切なかった。こんな場面まできてもまだ寛末に蹴りを入れたい気持ちでいっぱいになるなんて…。
ラストのメールがまた泣けた。松岡…、いじらしすぎる。
寛末にはもっとしっかり松岡を大事にしてあげてほしいと思った。
この作品はキャラの心情、行動に「なんだかよく分からないが了解」(*)と思うこともなく、納得ずくで感情移入できてよかった。
もっとこう…ガツンとくる落とし穴があるかと思っていたのだが、女性キャラも最後まで普通だったし、まあリストラは結構きつい展開だが、松岡じゃなかったので全然OK(…)。
痛さは切なさからくるものだけで、痛いけど読みやすかった。
感動した〜〜。
* 木原作品の場合、なんで相手を好きになったのか私には理解できないことも多いが、理由が分からなくても感情移入してしまい、話に引き込まれる。読んでいて「好きだってことはとりあえず了解」、みたいな気分になることが多いので。
すごーく楽しみにしていた下巻。
確実に手に入れるために大型書店まで行き、読む時間がなくなるので慌てて帰り、睡眠時間を削って読んだ。
絶賛マークをつけておこう。
★★★★★
ネタバレ感想。
あらすじ
松岡洋介は週に一度、美しく女装して街に出かけ、男達の視線を集めて楽しんでいた。
ある日、女の姿でナンパされ、散々な目に遭い途方に暮れていた松岡を優しく助けてくれた男がいた。同じ会社で働く、不器用、トロいと評判の冴えない男、寛末だった。
女と誤解されたまま寛末と会ううちに、松岡は「好きだ」と告白される。友人になりたい松岡は、女としてはもう会わないと決心するが…。
松岡…! なんてカッコよくて健気な人なんだろう。仕事もできる、顔もいい、性格は気が利いて気遣いができて優しい。
そんな松岡が惚れている相手として、「たいした男じゃない」寛末は全然釣り合っていない。気が利かないのも仕事ができないのも卑屈になるのも別にいい。でも無神経に松岡を傷つけるのが、ものすごくムカつく。
でも、なんで寛末なの?とは思わなかった。ちょっと無神経でかっこ悪い男はいくらでもいる(から許容範囲だ)し、優しくて誠実で一緒にいると癒される男はあんまりいない。優しさや誠実さといった長所はもとから見えづらい上に、無神経さと優柔不断さで目減りしてしまっているが、寛末は結構もてるタイプなんじゃないかと思う。一見、操縦しやすそうだし(笑)
「愛しいこと」では寛末の視点になるが、寛末がぼんやりしていて気付かなくても、松岡の健気さはしっかり示されるので、最初から結構切ない。切なければ切ない分だけ寛末にムカつくし、BLにどっぷりはまっているので、男だからって何の問題が?とかつい思ってしまった。けど、松岡が男だから付き合うのは無理っていうのは、我が身に置き換えて考えてみると、無理だよなあ…と納得できる。結婚まで考えていた女性が実は男でしたと分かるのって、普通に同性に口説かれるよりダメージが相当大きいと思う。抵抗感が生理的嫌悪にまでなってしまうというのも分かる。
そこまでは共感できるんだけど、それと松岡を振り回し続けるのは別の問題。思わせぶりなだけの寛末を遠ざけようとして、松岡は何回「お願いします」って頭を下げたんだろう…。もうこんな男さっさと忘れちゃえばいいのにって思うんだが、それができれば苦労はないわけで。それに適当に甘いことを言わない寛末の態度は、やっぱり誠実さの表れだと思うから…松岡が可哀想過ぎるけど、不器用な男に惚れちゃったから仕方がないのかなあとも思えた。
寛末にムカついて表紙の革靴で頭を殴ってやりたいと思ったりもしたが(…)、プライドがボロボロになった状態でもまだ癒し系なところに感心したり。情けないしカッコ悪いけど、魅力がある人だなあと。
それまでの経緯を考えれば上京して松岡に突き放されても当然と思ったけど、松岡が相変わらず健気なので、うまくいってほしくなった。まだ離れたくないからと寛末が松岡を引き止める場面では、寛末の頑張りに期待して応援してたし。
普通なら甘いばっかりの、思いが通じ合ってからのエッチシーンなのに、読みながらボロボロ泣いてしまった…。痛かった、切なかった。こんな場面まできてもまだ寛末に蹴りを入れたい気持ちでいっぱいになるなんて…。
ラストのメールがまた泣けた。松岡…、いじらしすぎる。
寛末にはもっとしっかり松岡を大事にしてあげてほしいと思った。
この作品はキャラの心情、行動に「なんだかよく分からないが了解」(*)と思うこともなく、納得ずくで感情移入できてよかった。
もっとこう…ガツンとくる落とし穴があるかと思っていたのだが、女性キャラも最後まで普通だったし、まあリストラは結構きつい展開だが、松岡じゃなかったので全然OK(…)。
痛さは切なさからくるものだけで、痛いけど読みやすかった。
感動した〜〜。
* 木原作品の場合、なんで相手を好きになったのか私には理解できないことも多いが、理由が分からなくても感情移入してしまい、話に引き込まれる。読んでいて「好きだってことはとりあえず了解」、みたいな気分になることが多いので。
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