硝子の騎士 アーサーズ・ガーディアン
2008年10月9日 BL作家ま・や・ら・わ行
Unit Vanilla 大洋図書 2008/9
蓮川さんのイラストは好きだけど(この作品のイラストも好きだけど)、この表紙でコメディってなんか納得がいかないんですが。
メガネ好きという嗜好に理解がないのが問題なのか…。
ネタバレで貶します
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えーっとまず引用。
まったく興味わかない……って設定だったが、『SASRA』だって別に設定には特別惹かれるところがなかったし、と思って買ってみた。
で、この作品は上記引用の金と暇を持て余した?スペシャリスト集団が、眼鏡フェチで眼鏡をかけている人にしか心を開けないという大学生のお坊ちゃんを助けてあげましょう、世界平和は足許から!という、しょーもない設定で始まる。
あまりにもしょうもない設定なので、BLはファンタジーなんですよ、と自分に言い聞かせて読み始めたのだが、これがもう笑えないコメディで……。なにか気に入らないから笑えないとかじゃなくて、単に面白くない。
このしょーもない設定で書くなら、パワーで押し切るか、捻りをきかさないと笑えないと思うのだが、眼鏡フェチであることとか料理が壊滅的に下手なこととか、クール系で変人の攻が天然系の受にホンロウされちゃうって展開では、ちょっとありがちすぎて、ふーん…またこのパターンなんだーで終わっちゃう。
ところでこのミッションでは、自家用ジェットを使い、カリブ海に面した広大な私有地に屋敷を移築し改造し、何十人もの人間を豪華客船で一ヶ月以上待機させていたらしい。
このどうでもいい設定で(たぶん笑いを取りつつ)のんびり話が進むので、あー、この組織がこんな浪費をやめて本物の慈善団体に寄付でもしてくれたら、一体どれだけの命が救えるんだろう、とか考えてしまった。いや普段はセレブが出てきてもまさかいちいちそんなことは考えないのだが、「世界平和」をお題目に掲げている上に、ずっと予想の範囲内で話が進むので他に考えることもなかったので、ついつい。
まあでもきっと「このミッションは受を助けるだけと見せかけて、実は~」ってパターンだろうなあと思っていたら、本当にそうだった。…もうちょっとでいいから意外性がほしかったな。自称「冷たい人間」の攻が素直で天然系で――実はトラウマ持ちゆえに臆病で人間不信な受にほだされていくってパターンだけでもありがちなのに。
いやいやいや、BLは王道を楽しむものなのかもしれませんが。それにしても。
ミッションの真の目的は誘拐されかかっている受の保護と攻の入会?テストだったというオチだが、……これだけの時間とコストをかけるのはやはりバカバカしいとしか。攻がこのカラクリに気付かなかったのは、攻が非常識だからということも判明。……なんか頭悪そうだ、学者なのに。
あー、これだったらまだしょーもない設定のままのほうがよかったかもしれない。「BLはファンタジーだから」を逆手に取ったオチは好きになれない。そんな意図(BLならこれもありかも?という感覚を利用したつもり)はないのかもしれないが、しょーもないままのほうが救いがあったというか、しょーもない話として楽しめたかもしれない。は~、疲れた。
あとは受が「人々の相互理解を深めるような出会いの場を提供してくれそうだから」という理由で助けられたのが、かなり白ける理由だった。なんというか、(ある意味)才能のある金持ちの子息を救うこと=世界平和に貢献っていう図式に見えてしまって。いまや世界平和も格差社会なんだね、ぐらいは言いたい気分になった。…彼を誘拐の危機から救うなら優秀なボディーガードを一人つければ事足りたはずで、そんな無駄な投資をするぐらいならどこかに無償の学校でも設立したほうがよほど人材育成になるんじゃないかとか。まあいろいろ、どこまでいっても金持ちの道楽的なところが鼻についた。
文句を言いつつ最後まで読んだのは作者のIさんは結構面白い作品を書く方だからなのだが、がっかりした…。
ところでこのシリーズ、あと3冊毎月連続で刊行されるらしい。私の目当ての作者さんはこのうちの二人なので、どっちにしてもあと2冊は買うだろうし、4冊中3冊まで買うなら全部買ったほうがいいような気がするから、結局4冊全部揃えることになりそう。
……企画ものより、お一人ずつ活躍してもらいたい。そのほうが面白いし、才能がもったいない、というのが私の感想。
蓮川さんのイラストは好きだけど(この作品のイラストも好きだけど)、この表紙でコメディってなんか納得がいかないんですが。
メガネ好きという嗜好に理解がないのが問題なのか…。
ネタバレで貶します
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えーっとまず引用。
【アーサーズガーディアン】とは
世界的な大富豪である故アーサー・ブラックフォード卿の遺志を継ぎ
「世界平和は足許から」を理念に活動するスペシャリスト集団。
アーサーの理念に共感し、契約を結んだ『守護天使(ガーディアン)』たちの使命はただひとつ。
アーサーに救いを求める人々に手を差し伸べること・・・。
まったく興味わかない……って設定だったが、『SASRA』だって別に設定には特別惹かれるところがなかったし、と思って買ってみた。
で、この作品は上記引用の金と暇を持て余した?スペシャリスト集団が、眼鏡フェチで眼鏡をかけている人にしか心を開けないという大学生のお坊ちゃんを助けてあげましょう、世界平和は足許から!という、しょーもない設定で始まる。
あまりにもしょうもない設定なので、BLはファンタジーなんですよ、と自分に言い聞かせて読み始めたのだが、これがもう笑えないコメディで……。なにか気に入らないから笑えないとかじゃなくて、単に面白くない。
このしょーもない設定で書くなら、パワーで押し切るか、捻りをきかさないと笑えないと思うのだが、眼鏡フェチであることとか料理が壊滅的に下手なこととか、クール系で変人の攻が天然系の受にホンロウされちゃうって展開では、ちょっとありがちすぎて、ふーん…またこのパターンなんだーで終わっちゃう。
ところでこのミッションでは、自家用ジェットを使い、カリブ海に面した広大な私有地に屋敷を移築し改造し、何十人もの人間を豪華客船で一ヶ月以上待機させていたらしい。
このどうでもいい設定で(たぶん笑いを取りつつ)のんびり話が進むので、あー、この組織がこんな浪費をやめて本物の慈善団体に寄付でもしてくれたら、一体どれだけの命が救えるんだろう、とか考えてしまった。いや普段はセレブが出てきてもまさかいちいちそんなことは考えないのだが、「世界平和」をお題目に掲げている上に、ずっと予想の範囲内で話が進むので他に考えることもなかったので、ついつい。
まあでもきっと「このミッションは受を助けるだけと見せかけて、実は~」ってパターンだろうなあと思っていたら、本当にそうだった。…もうちょっとでいいから意外性がほしかったな。自称「冷たい人間」の攻が素直で天然系で――実はトラウマ持ちゆえに臆病で人間不信な受にほだされていくってパターンだけでもありがちなのに。
いやいやいや、BLは王道を楽しむものなのかもしれませんが。それにしても。
ミッションの真の目的は誘拐されかかっている受の保護と攻の入会?テストだったというオチだが、……これだけの時間とコストをかけるのはやはりバカバカしいとしか。攻がこのカラクリに気付かなかったのは、攻が非常識だからということも判明。……なんか頭悪そうだ、学者なのに。
あー、これだったらまだしょーもない設定のままのほうがよかったかもしれない。「BLはファンタジーだから」を逆手に取ったオチは好きになれない。そんな意図(BLならこれもありかも?という感覚を利用したつもり)はないのかもしれないが、しょーもないままのほうが救いがあったというか、しょーもない話として楽しめたかもしれない。は~、疲れた。
あとは受が「人々の相互理解を深めるような出会いの場を提供してくれそうだから」という理由で助けられたのが、かなり白ける理由だった。なんというか、(ある意味)才能のある金持ちの子息を救うこと=世界平和に貢献っていう図式に見えてしまって。いまや世界平和も格差社会なんだね、ぐらいは言いたい気分になった。…彼を誘拐の危機から救うなら優秀なボディーガードを一人つければ事足りたはずで、そんな無駄な投資をするぐらいならどこかに無償の学校でも設立したほうがよほど人材育成になるんじゃないかとか。まあいろいろ、どこまでいっても金持ちの道楽的なところが鼻についた。
文句を言いつつ最後まで読んだのは作者のIさんは結構面白い作品を書く方だからなのだが、がっかりした…。
ところでこのシリーズ、あと3冊毎月連続で刊行されるらしい。私の目当ての作者さんはこのうちの二人なので、どっちにしてもあと2冊は買うだろうし、4冊中3冊まで買うなら全部買ったほうがいいような気がするから、結局4冊全部揃えることになりそう。
……企画ものより、お一人ずつ活躍してもらいたい。そのほうが面白いし、才能がもったいない、というのが私の感想。
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