容疑者Xの献身

2008年10月19日 映画
「容疑者Xの献身」を観てきた。

ネタバレ!

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失礼ながら正直それほど期待していなかった。原作が好きだと映画にガッカリさせられることが多いから。とくに東野作品のファンというわけではないが、面白い作品だったので、できれば忠実に作って欲しいところだった。
連ドラのように派手な演出を盛り込んで、オリジナルストーリー満載で、サービス精神たっぷりで面白いけど、作品の出来としてはどうなのかなーという仕上がりだと思い込んでいた…。あれはあれで観やすくて好きだったけど、今回は長編が原作なだけにあのノリではどうだろうと心配だった。
で、とりあえずH山目当てで劇場まで行ったのだが、予想外に楽しめた。東野ファンにとって満足できる内容だったのかどうかは分からないが、私には満足できる映画だった。
もうちょっと柴咲コウがうるさいかなー(原作には登場しない役なので、気分的にちょっと邪魔なことが…)、とこれまた失礼な予想をしていたのだが、あくまで脇役として据えてくれて、雰囲気を壊さないでくれたのがありがたかった。ドラマのほうの軽いノリ、派手な演出もなし。
松雪泰子がなかなか役にはまっていたし、娘の美里役の子も笑顔が可愛かった。
そしてなんといっても堤真一の演技がよかった!
最初キャスティングを知ったときは、え、こんなカッコいい石神じゃ、話として無理があるのでは?と思った。見た目は冴えない天才数学者っていう役柄なので。だってこんなカッコいい男ならたとえ取っ付きにくくてもモテるだろうし、「献身」に徹することに説得力がないような…って。
でも、実際演技を見て、そういう設定に無理を感じなかったのがすごいなあと。…顔立ち自体はもちろんカッコいいままなんだけど、近寄りがたいオーラとか、疲れて冴えない感じもよく出ていたし、ラストの号泣シーンは石神の気持ちが伝わってきた。
湯川も原作寄りだったと思う。変人ぶりより学問好きなところを前面に出して、カッコよさより推理のほうに焦点を当てていた。それから石神への友情と敬意が自然と感じられるところがよかった。
全体によくまとまっていて、地味だけど丁寧に作ってある作品だと思った。原作の雰囲気が上手く出ている。
細部が原作と違うのは当然なんだけど、残念だったのは「刑事としてではなく友人として聞いてほしい」という湯川の台詞が、草薙に対してではなく内海に対してのものだったこと。あそこは湯川の思いが伝わってくるいい場面だから、もうちょっとじっくりやってほしかった。長年の友人である草薙相手だから出てきた台詞という気もするので、ここは原作どおりがよかったな。
逆に原作では救いを感じなかった美里の行動がカットされていたのは、後味がよくなってよかったと思う。原作のそこが気に入らないとか不要だとか思っているわけではないけど、映画的には少し甘くしてもいいかなーと。

や~、面白かった。

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