佐々木禎子 徳間書店 2008/11

イラストの高久さんも結構好きだし、と買ってみた。

ネタバレ
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タイトルに献身とつくだけで某ミステリを連想してしまうので、あらすじ的にも今回は微妙かな~と失礼なことを思っていたのだが、やっぱり面白かった。
結構、再会ものが好きで。しかも幼い頃にとかじゃなく、付き合っていた二人が別れて再会みたいな話がツボだから、この作品はまさに好みの設定だった。
佐々木さんなのでもちろん文章は読みやすく、テンポもよければ構成もいい。でもちょっと地味ってところが、また私好みで。
そんなわけで攻の竟は人気覆面作家という職業で(人気も含めて職業です、たぶん)顔もいいけど、中身はわりと普通。
受の悠太はおもちゃが好きだから学芸員をやっているという、羨ましいようなタイプだが、考え方はわりと後ろ向き。
こんな二人の両思いなのにグルグル悩んじゃってます、という恋愛なので、感情移入がしやすかった。とくに別れた後にレストランで会って、夜のプールに一緒に行く場面がちょっと切なくて、いい場面だった。
悠太の「弱い犬」体質は分かるな~という部分と、ちょっと行き過ぎな部分とがあって、そういうところがやけにリアリティがあるというか、完璧じゃないが故の魅力というか。佐々木さんのキャラらしく、奥行きがあっていい。
竟の従妹の愛も、最初は感じが悪そうだったけど、さばさばしていて、いい子だった。本人は頭が悪いといってるけど、かなりしっかりした考え方の持ち主で好感が持てた。
やっぱり佐々木さんはいつでも安心して読める安全牌な作家さんだなあと。

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