追憶の獅子
2009年2月4日 BL作家ま・や・ら・わ行 コメント (2)
Unit Vanilla 大洋図書 2009/1
シリーズ完結の4冊目。
4冊目は設定が好みっぽかったのだが、3冊目が面白かったので、逆にもう期待していなかった。
けど、これは面白い。
AGシリーズは失敗だろ、という失礼な発言はここで撤回しておきます。
少なくとも後半2冊が世に出てよかったと…。
でも、シリーズ全体をコメディと位置づけるのは無理があると思う。(なにか言わずにいられない性格なもので…)
ネタバレ
------------------------------------------
これは、ひちわさん?
実は2冊目がひちわさんかと思ってたんだけど、これがひちわさんって気がしてきた。…ただ私はどうも岩本さんとひちわさんの区別がよく分かってない気がするから、自信はないけど。
感想を書きつつ、その予想の根拠を。
毎回、しょーもない!と書き続けてきたAGという組織の創設秘話が織り込まれている。本当に町内清掃から始まった組織だったとは意外でした(笑)
3巻でのフォローと今回の話を読んで、組織のあり方にわりと納得がいった。なにかこう、他の3人が広げた風呂敷(伏線とか含めて)を一生懸命畳みつつ(回収しつつ)、自作を展開していたという印象だった。このフォローの上手さが、ひちわさん的。ひちわさんはよく自作の本編に対しても、続編で自然にきれいにこまめにフォローを入れてるし、「SASRA」でも最終話でぶったぎられた「グランドロマン」を(ぶったぎったのは、話の構成上必要だったからだけど)、続編できっちり補修していたし。
AG創設の話ではアーサーの人柄がすごく魅力的。1、2冊目で「理念に共感した」というキャラの言葉を笑い飛ばしていた私も、アーサーの語る理想には素直に好感が持てた。
今回も「くだらないミッション」なのだが、使命に燃えてない諒一がミッションを受けているので、しょーもなさが作品内でも「しょーもないもの」として描かれるので、全然気にならなかった。お見事です。
3冊目のほうが小説としての読み応えはあったけど、4冊目のほうが恋愛ものとして楽しめる。普通にロマンスが入ってる。
男前な主人公とちょっぴりヘタレなセレブって組み合わせ。これも、ひちわさん的。脇キャラが個性的で奥行きがある。しかも当て馬とか主人公のファンとかではなく、友達として出てくるあたりも、ひちわさん的。
主人公が貴族のお屋敷に住んでても、さびれたパブが舞台っていうのも、ひちわさんっぽい。
諒一がカッコよかった。ひねくれてるように見えて情が深く、優しいんだけど甘くなり過ぎないあたりが。落ち込んでいるようなときでも、男らしいのがよかった。
ダグラスもヘタレだけど、実はセレブで、ものすごい包容力を持っていて、でもやっぱりヘタレで(笑)
ヘタレ×男前が好きなので、歳の差、年上攻であることが気にならなかった。
ストーリーは過去ともっと過去を行ったり来たりなのが、最初は読みづらかったが、慣れると別に平気だった。むしろラブと直接結びつかないアーサーとの友情を、BL読者に「ジャマな部分」と思わせず、楽しく読ませてしまうところがすごい。
日本での再会で終わりかと思ったら、さらに仕掛けがあって、読み応えたっぷりだった。なかなかカッコいいラストシーンだし。
諒一とダグラス、両方の視点で話が進むので、どちらにも感情移入しやすかった。ふたりとも適度に弱い部分やダメなところがあって共感しやすいタイプだし、しかも魅力的だし。
や~、面白かった。甘さたっぷりなところもよかった。
シリーズ完結の4冊目。
4冊目は設定が好みっぽかったのだが、3冊目が面白かったので、逆にもう期待していなかった。
けど、これは面白い。
AGシリーズは失敗だろ、という失礼な発言はここで撤回しておきます。
少なくとも後半2冊が世に出てよかったと…。
でも、シリーズ全体をコメディと位置づけるのは無理があると思う。(なにか言わずにいられない性格なもので…)
ネタバレ
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これは、ひちわさん?
実は2冊目がひちわさんかと思ってたんだけど、これがひちわさんって気がしてきた。…ただ私はどうも岩本さんとひちわさんの区別がよく分かってない気がするから、自信はないけど。
感想を書きつつ、その予想の根拠を。
毎回、しょーもない!と書き続けてきたAGという組織の創設秘話が織り込まれている。本当に町内清掃から始まった組織だったとは意外でした(笑)
3巻でのフォローと今回の話を読んで、組織のあり方にわりと納得がいった。なにかこう、他の3人が広げた風呂敷(伏線とか含めて)を一生懸命畳みつつ(回収しつつ)、自作を展開していたという印象だった。このフォローの上手さが、ひちわさん的。ひちわさんはよく自作の本編に対しても、続編で自然にきれいにこまめにフォローを入れてるし、「SASRA」でも最終話でぶったぎられた「グランドロマン」を(ぶったぎったのは、話の構成上必要だったからだけど)、続編できっちり補修していたし。
AG創設の話ではアーサーの人柄がすごく魅力的。1、2冊目で「理念に共感した」というキャラの言葉を笑い飛ばしていた私も、アーサーの語る理想には素直に好感が持てた。
今回も「くだらないミッション」なのだが、使命に燃えてない諒一がミッションを受けているので、しょーもなさが作品内でも「しょーもないもの」として描かれるので、全然気にならなかった。お見事です。
3冊目のほうが小説としての読み応えはあったけど、4冊目のほうが恋愛ものとして楽しめる。普通にロマンスが入ってる。
男前な主人公とちょっぴりヘタレなセレブって組み合わせ。これも、ひちわさん的。脇キャラが個性的で奥行きがある。しかも当て馬とか主人公のファンとかではなく、友達として出てくるあたりも、ひちわさん的。
主人公が貴族のお屋敷に住んでても、さびれたパブが舞台っていうのも、ひちわさんっぽい。
諒一がカッコよかった。ひねくれてるように見えて情が深く、優しいんだけど甘くなり過ぎないあたりが。落ち込んでいるようなときでも、男らしいのがよかった。
ダグラスもヘタレだけど、実はセレブで、ものすごい包容力を持っていて、でもやっぱりヘタレで(笑)
ヘタレ×男前が好きなので、歳の差、年上攻であることが気にならなかった。
ストーリーは過去ともっと過去を行ったり来たりなのが、最初は読みづらかったが、慣れると別に平気だった。むしろラブと直接結びつかないアーサーとの友情を、BL読者に「ジャマな部分」と思わせず、楽しく読ませてしまうところがすごい。
日本での再会で終わりかと思ったら、さらに仕掛けがあって、読み応えたっぷりだった。なかなかカッコいいラストシーンだし。
諒一とダグラス、両方の視点で話が進むので、どちらにも感情移入しやすかった。ふたりとも適度に弱い部分やダメなところがあって共感しやすいタイプだし、しかも魅力的だし。
や~、面白かった。甘さたっぷりなところもよかった。
コメント
作家がムリしたような印象の1・2作目が酷評されたぶん、4作目はある程度の軌道修正を強いられたかもしれませんが、私もこれはいい話、グッジョブだと思いました。ムリをしてない、担当作家のお得意路線になったなという感じ。4作目が1番人気かもしれないですね。
3作目もお得意路線でしたが、普段のご本人の作品ではまずお目にかかれないキャラや設定に、制限がある中「ユニット組んでやれること」をちゃんと見せてくれたので、コノハーラさんにはスペシャル賛辞をおくりたいです。あ、ほかの三人におくらないってわけじゃないですよ。ただ「普段とはまったく違うものにチャレンジし、自分の色をうち出すか」という点で褒めるなら、コノハーラさんだけだったなと。
>ちゃんとコメディを書いてきたコノハーラさんはやっぱりスゴイとゆーか、
木原さんのコメディは毒が強いですが、パワーとテンポでしっかり笑わせてくれますよね。シリアスでもコメディでもキャラの心情が強く出ていて、木原節は健在というところもすごいです。
…ピントが合ってないレスになってしまって、すみません。
>そして各作家の得手不得手があからさまになったシリーズだったなという印象を受けました。「SASRA」より実力差が顕著。<AG
うーん、わりと皆さま好き勝手に書いている印象だったのですが。コメディというお題?を意識しすぎてしまったのでしょうか。
>4作目はある程度の軌道修正を強いられたかもしれませんが、私もこれはいい話、グッジョブだと思いました。
書き直していて発売が遅れたのかしら、と憶測したくなります(笑)
「満を持して」の発売になったわけですが、出来のほうもそれに見合った?ものになっていて驚きました。
>4作目が1番人気かもしれないですね。
3作目は毒が強い分、好き嫌いが分かれそうですしね~。
>制限がある中「ユニット組んでやれること」をちゃんと見せてくれたので、コノハーラさんにはスペシャル賛辞をおくりたいです。
ご自分のカラーを活かしつつ、与えられたお題の枠内にしっかりおさまっていましたし、すごいですよね。課題部門でも自由部門でも実力を発揮してしまうなんて、とにかくパワフルな作家さんというイメージでしたが、器用な方なのかもしれません。