砂原糖子 オークラ出版 2002/06

ルチル文庫版が2008年10月に出ていて、そちらはさらに続編がついている。アイスノベルズだともう古本でしか買えない。
でも私がお借りしたのはアイスノベルズなのでこちらの画像を。…それにイラストが断然こっちのほうが好みだ。まあ私の趣味としては。
ルチル文庫を自分で買おうと思ったけど、表紙を見てやめてしまった。だってこっちのほうが好き……。

ネタバレ

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面白かった。
やっぱり砂原さんはイロモノ設定?が上手いよね~。本を投げ捨てたくなるようなトンチキ設定ではなく、BL王道を踏まえたうえでのコメディ路線な設定なので、入りやすい。「ありえねーよ」じゃなくて、「えー、なにそれ~」って感じで笑える設定が多い。
主人公の千野は顔がよくて身長180センチ以上、生徒会長でテニス部のエースで当然モテるけど、心は乙女な受っていう設定。見た目は完全に男前攻なのに、少女マンガや星占いが大好きで、片思いをしている相手は後輩の有坂くん。遠くから見ているだけで幸せvという。…外見とのギャップを想像すると、かなり笑える。
千野は努力家ゆえに成績優秀だったり、ぼんやりしていて失敗が多かったりと、親しみと好感が持てるタイプで、少女趣味なのもだんだん可愛く思えてくる。デカイ自分が嫌いで、小さく可愛くなりたいと思っていたりするのも、笑えるだけじゃなくて、なんか可愛い。
うーん、中身も外見も可愛い受は別に可愛く思えないのに(…)、外見は男前で中身はヘタレ乙女な千野は可愛く思えるっていうのも、私がイバラ趣味だからだろうか。
攻の有坂は年下だけど、しっかりしていて結構包容力のあるタイプ。なんてできた男だ!と感心してしまうことが多い。セレブじゃなくたって恋人の前では王子様になれるのよ(笑) とくにその我慢強さは、全国の自分勝手でムリヤリな傲慢攻の皆さんに、ぜひ見習っていただきたいものがある。
と、ベタ誉めしておいてなんだが、あんまり、というか全然趣味に合わない。どちらかというとニガテ系だ。なんでだろう。とくにイヤなところもないのになあ。
変なたとえで申し訳ないが梅の香りみたい。ワタクシ梅の香りって上品でいいなあと頭では好きなのだが、子供の頃からどうにも受け付けない香りで。梅酒も梅のジャムも梅の飴も食べられるけど、ニガテ。…梅干は好きだけど。
有坂もいい奴だなーと思うんだけど、言葉では上手く説明できないけど、趣味の問題でなんかダメ。うーん?

話はテンポがよくて、笑えて、甘いところもあり、読みやすく楽しめた。両方の視点で話を進めているのが上手いと思う。有坂の視点で「実は千野の中身は乙女だった」ってやられたら、「それはちょっと気持ち悪い」ってなりそうだし、千野の視点だけだったら「なんで有坂はデカイ千野に惹かれたんだろう」ってあたりの描写が足りなくなったと思う。
千野の気持ちにも有坂の気持ちにも自然と共感できて、ラブストーリーとしても面白かった。素敵~って感じじゃなく、応援したくなるような面白さかな。

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