穂宮みのり 徳間書店 2002/5

古本屋でちょっと新規開拓しようかと買ってきた本。
デパートの店員が主人公ということで面白そうだと思ったんだけど、私の趣味には合わなかったかな…。

ネタバレ。
------------------------------------------------

百貨店フロアマネージャー×新人の店員

なんというか…、最初はものすごく読むのが辛かった。趣味の問題で3回ぐらいザセツしたのだが、これまた趣味の問題で一度読み始めた本を途中で投げ出したくないので(たまに投げることもあるけど)、(失礼ながら非常に頑張って)読んでみた。
何が私にとってダメだったかというと、主人公の独り言と幼さ。
社会人の男の視点で書かれているのに、地の文で「わーい、(攻に)名前呼ばれちゃった」って書かれるのは厳しい……。これは小学生向けのBLか?って思ってしまった。
主人公は職場の休憩室(?)で鏡に向かって話しかける。「よし、誠、頑張るんだぞ!」(調べてないので少し違うかも)
気合を入れるための儀式だそうだが、これだけでドン引きした。で、それを職場の同僚に聞かれて、からかわれると、「僕は仕事を頑張ろうと思ってるだけなのに、何が悪いんだ」みたいなことを思う。…いや、君がからかわれてる原因は職場の鏡に向かって話しかけたことであって、仕事とは何の関係もないんだよ、と突っ込みたくなった。
最大の難関は独り言。主人公の心情を独り言の台詞で説明するのは、たまにならいいかもしれないけど(あんまりよくないと思うけど)、頻出すると小説の書き方としてすでにダメなんじゃないかと…。しかもところ構わず出てくる。自宅でというなら一人暮らしだし少しぐらい…と思うけど、道を歩いているときでも職場にいても普通に独り言。
「どうしたら香月さんみたいになれるかな。よし、香月さんの行動をマークしてみよう!」(適当に端折って書いたのでかなり違う。本当はもっと長い…)とか、「あ、しまった。昼間買ったネクタイを休憩室に忘れてきちゃった」(しつこいようだがこれも独り言だ)とか。
主人公の恋心も決意も現在の状況さえも独り言で語られる。モノローグ風に書かれてもこれをやられたら我慢できそうにないのに、普通の台詞でやっちゃうあたりすごい。
この文庫本は2話構成。うわ~、と思いながら1話目(表題作)を読み終えて、2話目に入ったら、主人公の独り言はかなり減り、デパートものとして面白くなってきた。攻の元奥さんが当て馬で出てきたり、BLテンプレ的な展開が続くのだが、1話目の読みにくさが嘘のように読みやすくなった。
というわけで、頑張り屋さんの精神的に幼い主人公がまったく趣味に合わなかったが、途中からは職業ものとして楽しめた。

ところで、あとがきを読んで驚いた。初文庫って書いてある。へ~、キャラ文庫で新人さんの作品を出したことなんてあったんだ! キャラは名前の知られている実力派の作家しか使わないのかと思ってた。まあ私が知らないだけで、よくあることなのかもしれないけど。
で、この作品を最後まで読んで、やっぱりキャラ文庫だなと感心した。朝チュンでした。キャラ文庫って感じー。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索