榎田尤利 大洋図書 2009/5
シリーズ第3弾。
2冊目でも書いたが、あまりに前作の出来がいいため、ネガティブな私は「今回は大丈夫だろうか?」と心配していたのだが、まあ杞憂だった。
さすがエダさん!
今回もすごく面白かった。
以下、ネタバレ
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しかし、3冊続けてこのクオリティ。驚異的だなあ。
交渉人としての仕事は、みんなで鍋をつついて和気藹々としながらも兵藤の登場で怖いところに行ってしまう(笑)という、ほのぼのテイストだった。なんかいいなあ、このチームプレー。脇役まで味があって、みんなそれぞれ魅力的。人情路線なのも、このシリーズのよさだと思う。鍋には参加してないけど、もちろん七五三野も好き。保護者として?兵藤に対抗するってポジションがいいなあ。
今回も最初から笑わせてくれ、テンポもよく、すぐに引き込まれた。で、また1つの事件に1冊かけ、芽吹の手腕で解決していくのかと思っていたら、1巻とも2巻ともまた少しテイストを変え、すごくシリアスだった。扱う事件よりも、芽吹の過去と、交渉人を続けていく上での1つの転機になりそうな出来事にスポットが当たっていたような。これが今後にどう影響していくのか、まだちょっとはっきりしないけど。
暗めで重くて、事件だけを見るなら救いがなかった。芽吹や事件関係者の心の痛みは十分すぎるほどに伝わってくるし、ギリギリのところまで踏み込んだ描写になっていて、かなり読み応えがある。
でも内容に比して、読みやすい。描写が足りないわけでも、逃げた書き方をしているわけでもないのに、読んでいて苦痛が少ない。…たぶん、自分の弱さから目を逸らさず、しっかりと向き合おうとする芽吹の強さが読み手の気持ちまで救ってくれるからだと思う。感情移入して読んでいるから、芽吹が幻覚の中で自分を糾弾したり、事件のその後を知る場面は痛いし、辛いのだが、それだからこそ芽吹の真っ直ぐなところがさらに感動的で……。難しいことだと理解した上で、人を信じたいと願い続ける芽吹は、本当に魅力的なキャラだと思う。
次回はまたさらに芽吹の過去に踏み込むのかな。ますます目が離せない。
兵藤とのエピソードもよかった。とくに海岸でコートを借りるところ。たまには慰めてもらうのもいいんじゃないかと。寄りかかるんじゃなくて、立ち上がるのに手を貸してもらうような関係がいい。
このふたりは立場や価値観や生き方まで違っていながら、互いを必要とし、しっかりと絆がある。甘い言葉を交し合うより、もっと深い愛を感じた。
芽吹が目を覚ました場面で、兵藤が助けに来たことがわかって安心できたのも、こうした積み重ねがあるからだと思う。ラブの面でも大満足な1冊だった。
次回はどういうテイストでくるのかな。
とにかくひたすら4巻が待ち遠しい。
シリーズ第3弾。
2冊目でも書いたが、あまりに前作の出来がいいため、ネガティブな私は「今回は大丈夫だろうか?」と心配していたのだが、まあ杞憂だった。
さすがエダさん!
今回もすごく面白かった。
以下、ネタバレ
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しかし、3冊続けてこのクオリティ。驚異的だなあ。
交渉人としての仕事は、みんなで鍋をつついて和気藹々としながらも兵藤の登場で怖いところに行ってしまう(笑)という、ほのぼのテイストだった。なんかいいなあ、このチームプレー。脇役まで味があって、みんなそれぞれ魅力的。人情路線なのも、このシリーズのよさだと思う。鍋には参加してないけど、もちろん七五三野も好き。保護者として?兵藤に対抗するってポジションがいいなあ。
今回も最初から笑わせてくれ、テンポもよく、すぐに引き込まれた。で、また1つの事件に1冊かけ、芽吹の手腕で解決していくのかと思っていたら、1巻とも2巻ともまた少しテイストを変え、すごくシリアスだった。扱う事件よりも、芽吹の過去と、交渉人を続けていく上での1つの転機になりそうな出来事にスポットが当たっていたような。これが今後にどう影響していくのか、まだちょっとはっきりしないけど。
暗めで重くて、事件だけを見るなら救いがなかった。芽吹や事件関係者の心の痛みは十分すぎるほどに伝わってくるし、ギリギリのところまで踏み込んだ描写になっていて、かなり読み応えがある。
でも内容に比して、読みやすい。描写が足りないわけでも、逃げた書き方をしているわけでもないのに、読んでいて苦痛が少ない。…たぶん、自分の弱さから目を逸らさず、しっかりと向き合おうとする芽吹の強さが読み手の気持ちまで救ってくれるからだと思う。感情移入して読んでいるから、芽吹が幻覚の中で自分を糾弾したり、事件のその後を知る場面は痛いし、辛いのだが、それだからこそ芽吹の真っ直ぐなところがさらに感動的で……。難しいことだと理解した上で、人を信じたいと願い続ける芽吹は、本当に魅力的なキャラだと思う。
次回はまたさらに芽吹の過去に踏み込むのかな。ますます目が離せない。
兵藤とのエピソードもよかった。とくに海岸でコートを借りるところ。たまには慰めてもらうのもいいんじゃないかと。寄りかかるんじゃなくて、立ち上がるのに手を貸してもらうような関係がいい。
このふたりは立場や価値観や生き方まで違っていながら、互いを必要とし、しっかりと絆がある。甘い言葉を交し合うより、もっと深い愛を感じた。
芽吹が目を覚ました場面で、兵藤が助けに来たことがわかって安心できたのも、こうした積み重ねがあるからだと思う。ラブの面でも大満足な1冊だった。
次回はどういうテイストでくるのかな。
とにかくひたすら4巻が待ち遠しい。
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