夜光花 幻冬舎コミックス 2009/09

夜光さんは初期の作品は好きだったんだけど、だんだん私の趣味から逸れた方向に行ってしまったので、最近は新刊が出てもチェックすることはなかったのだが、今回はタイトルと表紙を見てちょっと気になっていた。そんなに好きなタイプのイラストじゃないけど(顔怖いし)、今回は色使いと構図で目を引いたせいかな。
まあそのうち古本屋でチェックしてみるかと思っていたら、貸していただいた。いつもすみませんです。


ネタバレ
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口絵を見て、ドレッド×女装のカップルが!と衝撃を受けたのだが(趣味に合わんから)、女性でしたか。BLの口絵で男女カップルって珍しいなー。女装よりは女性のほうが私は好きだけど。まあ趣味の問題で。
女性といっても脇役で変人なので、BLで女性が出てくるのはちょっと…という人でも抵抗なさそう。なんか女性の嫌な部分を見たくなくてBLを読んでいるという人は、女性の当て馬が出てくるのはダメらしい。BLはあくまでFTがいいってことかな。
私は普通に女性にもモテる男のほうがカッコイイと思うから、女性の脇役好きだけど。夢の見方は人それぞれってことで(笑)


そろそろ話を本題に…。
なかなか面白い設定だなあと。特殊能力としては目新しくはないけど、詐欺まがいの商売をしてるっていうのはちょっと珍しいような気がする。どうだろう。珍しいと思っても、単に私が知らないだけ思い出せないだけで、珍しくもないってことはよくあるからなあ。まあいいや。私としては新鮮だった。
すべて超能力を使って記憶を消すのではなく、簡単な?催眠術と組み合わせて忘れさせるっていうのも、もっともらしさというか、説得力みたいなものがあって面白かった。こういう書き方好きだなー。読み応えがあるし。話のテンポもちょうどよく、事件と主人公の内面を描くバランスもよかったし、最後までだれることなく一気に読めた。
清涼はもちろん、友人の塚本や黒薔薇さんも楽しいキャラだった。

ちょっとだけ分からなかったのは、清涼の復讐の方法。兄弟両方に復讐をしたかったのかな。でも、憎んでいるのは弟のほうだろうし。兄に弟を殺させて、自分はその場面を見ることもなく家の外で待機して。それで気がすむものなのだろうか。できるものなら自分の手で憎い犯人を殺してやりたいって考えるほうが自然な気がする。うーん。
この場面は、幸田が言うことを聞いたふりをして弟のところに行き、弟と二人で清涼を殺そうとし、秦野と塚本が助けに来るっていう展開を予想していたので、意外といえば意外な展開だった。…自分の妄想でスリルを味わってしまうとは。

えーっと、もちろん?わたくしの個人な、この作品のポイントはムリヤリですね。
今回は先にあらすじを読んでムリヤリがあるのは分かっていたので、さあ、どういう書き方でくる?と待ち構えていたのだが。
ダメだ、ダメすぎる。この展開、要らなくないですか?
まず、被害者である清涼が、この件に関して「1回殴られた」ぐらいの意識しかない。全然気にしてない。よくある「出会いは最悪だった」っていうパターンで終わらせるなら、派手にケンカでもさせればすむ話で、犯罪にする必要がどこにあったんだろう。せいぜい、あらすじに刺激的でインパクトのある要素を1つ追加するぐらいの効果しかないと思うんだけど、それってそんなに重要なことなのか…。まあ売上げが変っちゃうなら問題か。うーーん。
自身が性犯罪の被害者であり、今は性犯罪の事件を担当している真面目で熱血な刑事がいきなり強姦ってないでしょう…。いくら頭に血が上っても「自分と同じ苦痛を味わえ」って刑事として以前に、人間として最低だ。自分が一生ものの心の傷を負っていて、1番被害者の気持ちを理解していてほしい立場なだけに許せなかった。自首? 「すまん」ですんだら、刑事なんていらねーよ。 
「幸田先輩は現職の刑事だったから殺人なんてありえない」という意味のことを秦野が言ったときは、笑えないブラックジョークかと思った。お前、自分が犯罪者だって忘れたのか? 確かにこれだけ忘れっぽければ、清涼に記憶を封印してもらう必要もないね。
私は秦野がどんな正論を言っても「お前に言われてもな」って気分にしかならなかった。
秦野は真面目で正義感が強いっていう性格設定なだけに、ほんとに最初の強姦シーンが余計に思える。あれがなければ、秦野の強さや優しさというものに説得力があったはず。いいキャラなのに、惜しいと思う。BLでムリヤリはしょーがないのかもしれないけど、今回はとくに納得いかなかった。

うーん、すごく好みに合う作品だっただけに、つまらんところで引っかかってしまったのが残念だ。引っかかってしまう人のほうが少ないだろうから、これでいいのか。

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