絢谷りつこ 海王社 2010/01
ネットで注文したときは気付かなかったが、届いてびっくり、ガッシュ文庫。
おお~、もしかして初めて買ったかも? …自信はないけど、たぶん。
ネタバレ
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相変わらず文章は読みやすいし、雰囲気はあってよかったのだが、今回はストーリーとキャラが趣味に合わず、厳しかった……。
とにかく受がきつい……。流され受で健気受が好きな人なら楽しめるんだろうけど、私の場合はどっちもNGなんで。
えーっと、あらすじ。
昭和初期の京都が舞台。主人公の敦彦は客の男・鴻野と恋に落ちるが、家業の旅館を手伝うために泣く泣く別れる。鴻野は仕事でヨーロッパに行ってしまい、その間に敦彦の父が病死し、その後を継いだ双子の兄・芳彦も亡くなってしまう。
実は兄の芳彦は借金の形に父親の友人から関係を強要されていたのだが、子供が生まれる日に別れ話が縺れて相手の男に殺されてしまい、その殺害現場に来てしまった主人公(敦彦)は、犯人から逆に「借金があるんだぞ」「兄との関係を世間にばらすぞ」と脅されて、殺人を隠蔽するために双子の兄と入れ替わり、芳彦として生きることに。
…おいおいおい、なんで殺人犯に脅されてるんだ、きみは?!
まったく意味が分からない。借金があろうが、兄の恥になろうが、どう考えても殺人のほうが重い。普通は目撃したほうが脅迫する立場だろう…。というか、兄貴を殺した相手に、なんで唯々諾々と従うのか。しかも借金はそのまま残り、兄の代わりに今度は自分が体の関係を強要されるというオプションつき。
旅館の存続と借金の帳消しを条件に、殺人を隠蔽して兄と入れ替わったというなら、まだ納得がいったんだけど。
たぶん、そういうことを思いつかないような、優しく素直な性格が魅力の主人公ってことなんだろうけど、いくらなんでも頭が悪いように思えてしまって。
気が弱くて頼りない弟という設定ではあるんだけど、学校の成績がよくなかったという設定にも、そりゃそうだろうね…と思わず頷きたくなってしまう頭の悪さで。
耐える必要のないことに無意味に耐えて、それを健気といわれても、はあ、変わったご趣味ですね、としか言いようがない。
そして顔は似ているが性格は正反対みたいな双子なのに、母親と兄の妻が、二人の入れ替わりに気付かないという不自然さ。薄々感づいていたらしいと後で分かるのだが、そんな重大な疑惑を主人公にまったく悟らせないなんて、不気味だし…。だって、片方死んでるのに? 双子のどっちが死んだか分からないって、「きっと何か事情があるのね」って見て見ぬふりができるような問題じゃないだろう…。
この話、母親はともかく兄の妻がほとんど出てこない。仮にも夫婦という関係で、子供がいて一緒に家業をしているのに、会話さえもほとんど描写されず、話に絡んでこない。妻という肩書きだけを持った、すがすがしいまでに装置としてのみ作られたキャラ。…いくらBLでも、これはどうなの。
そんなわけで、母親と妻は真相が明かされた後も、ほとんど混乱もなく、物分りよく受け入れてしまう。そんなバカな……。母親にとっては、双子はどちらも息子なので、まだ受け入れやすいだろう。けど、妻のほうは、「実はあなたの夫はとっくに死んでました」って言われるわけで……。普通は許せないことなんじゃ…。
上に長々書いた点を無視すれば、しっとりとした切ない雰囲気の話で、二人の互いを思う気持ちにも共感しやすく、最後は甘くて、面白い作品だと思う。
…けど、双子の入れ替わりがストーリーの根幹なので、まともに読むつもりがあれば無視できないという。うーん、残念。
ネットで注文したときは気付かなかったが、届いてびっくり、ガッシュ文庫。
おお~、もしかして初めて買ったかも? …自信はないけど、たぶん。
ネタバレ
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相変わらず文章は読みやすいし、雰囲気はあってよかったのだが、今回はストーリーとキャラが趣味に合わず、厳しかった……。
とにかく受がきつい……。流され受で健気受が好きな人なら楽しめるんだろうけど、私の場合はどっちもNGなんで。
えーっと、あらすじ。
昭和初期の京都が舞台。主人公の敦彦は客の男・鴻野と恋に落ちるが、家業の旅館を手伝うために泣く泣く別れる。鴻野は仕事でヨーロッパに行ってしまい、その間に敦彦の父が病死し、その後を継いだ双子の兄・芳彦も亡くなってしまう。
実は兄の芳彦は借金の形に父親の友人から関係を強要されていたのだが、子供が生まれる日に別れ話が縺れて相手の男に殺されてしまい、その殺害現場に来てしまった主人公(敦彦)は、犯人から逆に「借金があるんだぞ」「兄との関係を世間にばらすぞ」と脅されて、殺人を隠蔽するために双子の兄と入れ替わり、芳彦として生きることに。
…おいおいおい、なんで殺人犯に脅されてるんだ、きみは?!
まったく意味が分からない。借金があろうが、兄の恥になろうが、どう考えても殺人のほうが重い。普通は目撃したほうが脅迫する立場だろう…。というか、兄貴を殺した相手に、なんで唯々諾々と従うのか。しかも借金はそのまま残り、兄の代わりに今度は自分が体の関係を強要されるというオプションつき。
旅館の存続と借金の帳消しを条件に、殺人を隠蔽して兄と入れ替わったというなら、まだ納得がいったんだけど。
たぶん、そういうことを思いつかないような、優しく素直な性格が魅力の主人公ってことなんだろうけど、いくらなんでも頭が悪いように思えてしまって。
気が弱くて頼りない弟という設定ではあるんだけど、学校の成績がよくなかったという設定にも、そりゃそうだろうね…と思わず頷きたくなってしまう頭の悪さで。
耐える必要のないことに無意味に耐えて、それを健気といわれても、はあ、変わったご趣味ですね、としか言いようがない。
そして顔は似ているが性格は正反対みたいな双子なのに、母親と兄の妻が、二人の入れ替わりに気付かないという不自然さ。薄々感づいていたらしいと後で分かるのだが、そんな重大な疑惑を主人公にまったく悟らせないなんて、不気味だし…。だって、片方死んでるのに? 双子のどっちが死んだか分からないって、「きっと何か事情があるのね」って見て見ぬふりができるような問題じゃないだろう…。
この話、母親はともかく兄の妻がほとんど出てこない。仮にも夫婦という関係で、子供がいて一緒に家業をしているのに、会話さえもほとんど描写されず、話に絡んでこない。妻という肩書きだけを持った、すがすがしいまでに装置としてのみ作られたキャラ。…いくらBLでも、これはどうなの。
そんなわけで、母親と妻は真相が明かされた後も、ほとんど混乱もなく、物分りよく受け入れてしまう。そんなバカな……。母親にとっては、双子はどちらも息子なので、まだ受け入れやすいだろう。けど、妻のほうは、「実はあなたの夫はとっくに死んでました」って言われるわけで……。普通は許せないことなんじゃ…。
上に長々書いた点を無視すれば、しっとりとした切ない雰囲気の話で、二人の互いを思う気持ちにも共感しやすく、最後は甘くて、面白い作品だと思う。
…けど、双子の入れ替わりがストーリーの根幹なので、まともに読むつもりがあれば無視できないという。うーん、残念。
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