榎田ユウリ 角川書店 2009/12

べつに私がこだわることでもないが、タイトルの「奇」は本当はたまへんのついた「琦」。文字化けするってことかな。タイトルがちゃんと書けないのって、ちょっと残念だ。

ネタバレ
突如発見された妖怪のDNA。それを持つものを「妖人」と呼ぶ。お茶室「妖〓(き)庵」の主である洗足伊織は、明晰な頭脳を持つ隻眼の美青年。口が悪くてヒネクレ気味だが、人間に溶け込んで暮らす「妖人」を見抜く力を持つ。その力のせいで、伊織のもとには厄介な依頼が絶えない。今日のお客は、警視庁妖人対策本部、略して“Y対”の、やたら乙女な新人刑事、脇坂。彼に「油取り」という妖怪が絡む、女子大生殺人事件の捜査協力を依頼された伊織は…。

本文を読むときはそうでもないけど、自分であらすじを書くとなると説明の面倒くさい設定なので、引用。

ラノベにしては高いし、そんな興味ないかなと思っていたのだが、裏表紙の彼が好みのタイプだったので読んでみた。
読みやすいし、面白かった。
特殊な設定とか、個性的なキャラとか、人間の薄暗い心理が絡んでの事件とか、エダさんらしいなあという感じで、いつも通りに読みやすかった。キャラが立っているので、彼らの会話を読んでいるだけでも結構楽しめる。
「妖人」への偏見とか、女の子の残酷な部分とか、座敷童のこととか、エダさんって結構容赦のない書き方をするよなーといつも思う。いくらでも明るく爽やかに終わらせることができると思うんだけど、リアルでシビアに描いて、救いは人情とかキャラの優しさで入れるというやり方。
そんなわけで読んでいると暗い気分になったりもするが、たぶん痛みや暗さがリアルな分だけ、キャラの優しさや明るさが染みるんだろうなあと。ただ…主要キャラはわりとデフォルメされた人柄なので、そこに救いを求めるとリアルの迫力が勝って、ちょっとだけ後味の悪さが残るような気がした。まあ個人的な感覚としては。
最後の伊織と青目の会話がよかった。こっち側と向こう側の中間にいる伊織の立ち位置の危うさが分かりやすかったし、「妖」側の魅力のようなものも伝わってきた。
続きも出るのかな。楽しみだけど、もうちょっと買いやすい形態と値段にしてほしい…。

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