滝井ルカ子 メディエイション 2008/07

昔からあったのかもしれないけど、わたしは初めて見るレーベルだなあと。Hugノベルズ文庫だそうで。

ネタバレ
稀に見る不運体質を背負った男、榛原美貴。東京で勤めた会社を四つも潰した彼は、地元に戻って弟の経営するケーキ屋「ヘーゼル」でアルバイトをすることになったけれど、今度は店に閑古鳥を呼び込む始末。不運男はどこまでも不運なのか―と悩む美貴は、ひょんなことから正反対の幸運体質を持つ高澤葵と出会い、一緒に住むことに。その日々の中で惹かれあっていく二人だが、美貴の不運と葵の幸運が相まって、二人の日常はトラブルばかりに。

↑大変、品よく良識的な、あらすじだなあと(笑)
中身は普通の話なのに、刺激的な単語を並べたがるレーベルが多い中で、わざわざ濁すのは珍しいような。帯も爽やか系なことしか書いてなかった。
ちなみにこの二人の同居きっかけは、不運な美貴が開運の秘訣を聞いたら、「俺、上げ○ンなんです」と言われたことだったりする(笑)

幸運×不運のラブコメ。
こういう設定だと幸運男が強引だったり、振り回し系だったりするのかなあと、ちょっと警戒しながら読み始めたが、ラッキーくんはひたすらマイペースながらも優しく思いやりのある年下君で可愛かった。
主人公のほうは、よくひねくれずに育ったものだと感心してしまう不運体質だが、暗さもなく常識的で、ちょっと物柔らかな感じがよかった。ちょっとってところが私の趣味的には重要。これが「すごく」だと、テンプレで退屈だったりするし…。
幸運VS不運だと幸運が勝るらしく、葵と一緒にいると不運な出来事が起こらないという設定も、ほのぼのしていてよかった。こういう話だと、笑いを取るために不運を強調しすぎて、あまりの理不尽さに笑えないことがあるけど、やりすぎてないから笑いやすかった。
でも、不運にだけは自信があるって、すごいよなあと…。

二人が惹かれあっていく過程や気持ちの確かめ方なんかも丁寧でいいのだが、なかなか盛り上がらないというか…。トラブルが積み重なっていくので退屈はしないけど、後半はちょっと引っ張りすぎかなあという気がした。絵の話に比重が傾きすぎたかなというような印象。いや、キャラが魅力的だし、面白いんだけど、なんというかこう…アップダウンが緩やか過ぎて。
まあ幸運ゆえの不幸とか、軽いストーリーの中にわりと深いところもあって、読み応えがあったけど。…男兄弟からキスされるなんて、結構不幸だよなあ。ああでも、ご近所に住まわせていただきたいかも? イケメン兄弟だし。
ところで、「上げ○ン開運法」から始まった関係なのに、寸止めが2回。そして止めたまま終わってしまった。ええ~、この長さなのに??
…この、ほのぼのとした雰囲気も面白いところなので構わないといえば構わないんだけど、本音を言えばちょっとばかり構うなあとか(笑)
そうか、寸止めだから帯やあらすじで期待を煽れなかったのか!となんか納得。

あと、お兄さんが楽しいキャラだったので(なんでも裏目に出るって不運体質なんじゃ…)、ぜひともここはひとつ受でスピンオフをお願いしたいなあ。
まあ攻でもいいけど、とにかく相手はお兄さんに圧倒されないだけのパワーを持ったキャラがいいなあ。

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