裸足の夏

2010年6月9日 BL作家さ行
菅野彰 青磁ビブロス 1997/01

古本屋で見かけて、今市子さんの表紙だったので買ってみた。
次に行ったらもう売れてるだろうし、たぶんもう手に入れる機会はないだろうなーと。
まあ密林で売ってるから入手は簡単だけど、古本はなるべく手にとって買いたいもので。
…という、こだわり?のせいで、何年も探してようやく手に入れた『札幌の休日』5冊が、最近になって新書館から復刊したのはちょっと悔しい。


古本ながら、日焼けもしてなくて(削ったのかもしれないけど)ベストコンディションだったので、前の持ち主はこの本が気に入っていて最近まで本棚の奥に入れて大事に取っておいたものを、引越しか結婚で手放したのかな、と妄想してしまった…。

ネタバレ
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小説を書くのをやめてしまった(?)作家さんの初期作品ということで、ほろ苦い気分で読んだが、面白かった。
らしいな~という文章、ストーリーで、初めて読むけど懐かしい気分になった。
3本の作品が収録されているのだが、「菅野さんらしい」という感想しかもてなかった。…つまらないとか、趣味に合わないとか、そういう意味じゃなくて。
他の(後の)作品で繰り返されているテーマだったし、キャラも菅野作品の定番だったから、久しぶりに読むとそういう感想になってしまうというか。
まあ恋愛より「情」がメインテーマになっている感じ。それで、きっちり幕を下ろさないで、少しだけ余白を残したような終わり方。すっきりしないということはないけど、1つの節目は迎えたけどエンドマークはついてないというような、まだキャラの中ではいろいろ続いているんだろうな~って思えるラスト。
こういうのを読んだら、菅野さんらしいなーとしか言いようがない。

夢中で読んでる頃は、言い回しに癖があると思っていたけど、改めて読むと文章自体に癖があるんだなーと発見。
まあなんというか、お手本にはできない文章だなーと。主語と目的語の位置が変わっていることが多い。倒置法ではないけど、倒置法の文が続いているような感覚になる。日本語の順番って変えても意味が通じるから間違いではないけど…、慣れるまでちょっと読みづらいかも。
で、その独特の文章のリズムに慣れてくると今度は癖になるし、それが作品世界に浸る上で役に立っている…らしい。たぶん。
浸って読みたい人向き。

…未完のシリーズだらけだし、いつか小説に戻ってきてくれるといいなあ。

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