凪良ゆう 心交社 2010/7
ショコラの本、久し振りに買ったなあ。
ネタバレ
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コメディでもなければ、変った設定でもない凪良作品ってことで期待していたのだが、期待以上に楽しめた。
リーマン、しかも年下攻(部下)という設定も個人的な趣味の問題で嬉しい。
職業ものとか事件もののBLも好きなんだけど、やっぱりこういう恋愛が前面で全面なストーリーのほうが好き。
受の如月も攻の里見も有能でカッコいいリーマンなんだけど、適度に弱い部分を持っていて、キャラも地に足が着いているという感じ。かといって読んでいて疲れるほどのリアリティーもなく、白けるほどの作り物っぽさもなく、ある程度リアルな日常ものが好きな私にとっては夢を見やすい作品だった。
穏やかで優しいのに素直になれないというか…甘え下手な如月の不器用さは共感しやすかった。小さな見栄を張ってしまう気持ちも分かるなあ~と。
その如月が家族扱いしている犬のロボットは、最初はいい大人がオモチャと会話…という感じで引いてしまったのだが、読んでいるうちに情が移ってくる。如月に同情して理解するというんじゃなくて、少しずつロボットの存在が大きくなっていって、無機物を「物」として見ずに人格を与えて愛する気持ちが分かるようになるんだと思う。ここらへんが上手いなあと。
本物の犬を出せば、大半の読者は出てきた直後に可愛いと思うだろうし、主人公がペットを愛する気持ちというのも説明や描写がなくても理解や共感を持てるし、人工知能を持ったアンドロイドなら「キャラ」としてすんなり受け入れるはず。けど、オモチャのロボットって微妙な位置のものを自然に「家族なんだな」と思わせるあたりがよかった。
…キンピラ(ロボットの名前)について熱く語りすぎたか。
あと、如月の住んでいる日本家屋&庭もよかった。
はじめのほうは里見の態度が図々しく感じ、攻は親友の榎本のほうがいいなあと思ったりした。二人の関係が進んでいくにつれて、無神経に思えた里見の態度が素直で気持ちに正直なだけなんだと分かってきて、少しネガティブなところのある如月にはぴったりな相手だと思えてきた。
里見が片思いの相手だった高橋から如月へと気持ちを移していく過程がまた自然な流れで、如月の視点だから里見の気持ちは少し見えづらいけど、ブレがないな~と感心してしまった。
ちょっと地味だけど、等身大よりちょっぴり上ぐらいのキャラが魅力的だし、読後感がよくて面白い作品だった。
榎本のSSもすごく好みだった。とくに最後の2行が秀逸です。
ショコラの本、久し振りに買ったなあ。
ネタバレ
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コメディでもなければ、変った設定でもない凪良作品ってことで期待していたのだが、期待以上に楽しめた。
リーマン、しかも年下攻(部下)という設定も個人的な趣味の問題で嬉しい。
職業ものとか事件もののBLも好きなんだけど、やっぱりこういう恋愛が前面で全面なストーリーのほうが好き。
受の如月も攻の里見も有能でカッコいいリーマンなんだけど、適度に弱い部分を持っていて、キャラも地に足が着いているという感じ。かといって読んでいて疲れるほどのリアリティーもなく、白けるほどの作り物っぽさもなく、ある程度リアルな日常ものが好きな私にとっては夢を見やすい作品だった。
穏やかで優しいのに素直になれないというか…甘え下手な如月の不器用さは共感しやすかった。小さな見栄を張ってしまう気持ちも分かるなあ~と。
その如月が家族扱いしている犬のロボットは、最初はいい大人がオモチャと会話…という感じで引いてしまったのだが、読んでいるうちに情が移ってくる。如月に同情して理解するというんじゃなくて、少しずつロボットの存在が大きくなっていって、無機物を「物」として見ずに人格を与えて愛する気持ちが分かるようになるんだと思う。ここらへんが上手いなあと。
本物の犬を出せば、大半の読者は出てきた直後に可愛いと思うだろうし、主人公がペットを愛する気持ちというのも説明や描写がなくても理解や共感を持てるし、人工知能を持ったアンドロイドなら「キャラ」としてすんなり受け入れるはず。けど、オモチャのロボットって微妙な位置のものを自然に「家族なんだな」と思わせるあたりがよかった。
…キンピラ(ロボットの名前)について熱く語りすぎたか。
あと、如月の住んでいる日本家屋&庭もよかった。
はじめのほうは里見の態度が図々しく感じ、攻は親友の榎本のほうがいいなあと思ったりした。二人の関係が進んでいくにつれて、無神経に思えた里見の態度が素直で気持ちに正直なだけなんだと分かってきて、少しネガティブなところのある如月にはぴったりな相手だと思えてきた。
里見が片思いの相手だった高橋から如月へと気持ちを移していく過程がまた自然な流れで、如月の視点だから里見の気持ちは少し見えづらいけど、ブレがないな~と感心してしまった。
ちょっと地味だけど、等身大よりちょっぴり上ぐらいのキャラが魅力的だし、読後感がよくて面白い作品だった。
榎本のSSもすごく好みだった。とくに最後の2行が秀逸です。
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