佐田三季 心交社 2010/6
しばらく使えなかったレビュー機能が使えるようになって嬉しいなあと。
えーっと初読の作家さん。これがデビュー作だそうで。
ネタバレ
90年代ぐらいの舞台設定なのかなあ。全体にしっとりしてることもあって、ちょっと懐かしいような雰囲気だった。不況だし、世知辛いところもあるんだけど、人情も残っているというような。
目新しい話ではないけど、お手軽なテンプレではなく、ところどころすごく読み応えがあったし、長さのわりに読みやすかった。なんていうか、こういう作風の場合、冗長なぐらいがちょうどいいと思う。端折っちゃったら、主人公の喪失感がなんも伝わらんのじゃないかと…。作品世界に浸って読まないと、地味なだけで面白さが分からないような気がする。
ただ…、やっぱりメリハリはほしかったなあ…。
こんな言い方は失礼かもしれないけど、設定とか甘さ控えめの描写が木原さんっぽいところがあるから、メリハリのなさが余計に目立っちゃってる。しかも表題作は木原さんの作品を思い出させるような終わり方で…。別にこの作家さんの力量とは何の関係もないことだけど(似てるって言われても困るだろうし)、木原さんを読みなれている読者にとっては、もうひとつ大きな展開がないと物足りない。最後だけでももう少し盛り上がっていたら、このラストが活きただろうなあと思ってしまう。
続編は、表題作では「なんで北川が好きなの?」と、イマイチ感情移入できなかった氏家の視点で描かれていて、表題作でスッキリしなかった部分にも納得がいった。
1冊かけて無理せずまとめているので、自然な感じにハッピーエンドなのがよかった。この設定で甘ったるいだけの終わり方だったら嘘くさいと思うし、納得できないし。残った切なさが、ちょうどいいバランスだなあと。
面白かったけど、恋愛小説としてはとくに趣味に合わなかったせいか、批評っぽい?、内容より書き方にばっかり目を向けた感想になっちゃったような…。
しばらく使えなかったレビュー機能が使えるようになって嬉しいなあと。
えーっと初読の作家さん。これがデビュー作だそうで。
ネタバレ
男手ひとつで育てていた娘を、北川巽は保育園のバス事故で失った。罪悪感に苦しむ保育士の氏家志信を無理やり抱くことで、底なしの絶望と孤独からひととき逃れようとする北川。彼を恐れながらも、償うために身体を差し出す氏家。やがて北川は氏家の生真面目さや優しさを愛しく思うようになるが、氏家は頑なな態度を崩さない。氏家には、結婚を決めた女性がいた――。
90年代ぐらいの舞台設定なのかなあ。全体にしっとりしてることもあって、ちょっと懐かしいような雰囲気だった。不況だし、世知辛いところもあるんだけど、人情も残っているというような。
目新しい話ではないけど、お手軽なテンプレではなく、ところどころすごく読み応えがあったし、長さのわりに読みやすかった。なんていうか、こういう作風の場合、冗長なぐらいがちょうどいいと思う。端折っちゃったら、主人公の喪失感がなんも伝わらんのじゃないかと…。作品世界に浸って読まないと、地味なだけで面白さが分からないような気がする。
ただ…、やっぱりメリハリはほしかったなあ…。
こんな言い方は失礼かもしれないけど、設定とか甘さ控えめの描写が木原さんっぽいところがあるから、メリハリのなさが余計に目立っちゃってる。しかも表題作は木原さんの作品を思い出させるような終わり方で…。別にこの作家さんの力量とは何の関係もないことだけど(似てるって言われても困るだろうし)、木原さんを読みなれている読者にとっては、もうひとつ大きな展開がないと物足りない。最後だけでももう少し盛り上がっていたら、このラストが活きただろうなあと思ってしまう。
続編は、表題作では「なんで北川が好きなの?」と、イマイチ感情移入できなかった氏家の視点で描かれていて、表題作でスッキリしなかった部分にも納得がいった。
1冊かけて無理せずまとめているので、自然な感じにハッピーエンドなのがよかった。この設定で甘ったるいだけの終わり方だったら嘘くさいと思うし、納得できないし。残った切なさが、ちょうどいいバランスだなあと。
面白かったけど、恋愛小説としてはとくに趣味に合わなかったせいか、批評っぽい?、内容より書き方にばっかり目を向けた感想になっちゃったような…。
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