疑惑の恋人

2010年10月21日 BL作家か行
鹿住槇 リブレ出版 2010

BL小説では結構珍しいような気がする短編集(2編)。
べつに同じ本に別の話が入っててもいいと思うんだけど、BL読者ってなんでそんなに続編が好きなんだろう??とか、この作品とは関係のないことを考えてしまった…。


ネタバレ
-------------------------------------------

『疑惑の恋人』
主人公(受)が高校のときに憧れていた同級生と久し振りに再会して、酔った勢い?で寝てしまい、職も世話になり、騙されて借金があるのだが、無利子で金を貸してくれるとまで言われ…という話。
で、攻は半年前に奥さんと死別したばかりなのだが、保険金目当てで殺害したのでは?と保険会社勤めの元同級生に疑いをかけられていて、受は「如月はそんなことしない」ときっぱり否定しつつ、本当に奥さんを愛してたのか?と不審に思うところはあって…。
あらすじを書いてみて思ったんだけど、攻(奥さんと死別、多額の遺産がある)も受(同僚に騙されて借金があり、失業中)もこれだけ事情があって、十年ぶりぐらい?の再会だわ、実はそのころから両思いだわで盛りだくさん、その上保険金殺人なんてオプションがついてるのに、なんというかほとんどドラマ性のない話だった。ある意味、この設定でここまで地味になるのもすごいなあと。
疑惑としてはかなりヘビー級だが、受は別に保険金殺人を疑っているわけではなく、「まあでも謎も多いよね~」程度に思ってるだけなので、とくに深刻でもなく。恋愛のほうもそれほど盛り上がりがない。
面白いといえば面白いし、キャラも好感が持てるし、こういう地味な話こそ好きなんだけど、疑惑も再会恋愛もちょっと中途半端だったかなあ。
でも、ガタガタうるさいジェットコースター展開な話とか、派手な分ゴタゴタしすぎた話は、読むのが面倒くさいときも多いんで、個人的にはこういう落ち着いた雰囲気の作品は好みだし、ありがたい。


『ハルトーカラジー』
ゲイの高校生×不倫を清算したいリーマン。
高校生は素直で可愛いし(苦労してるから結構大人だけど)、主人公のほうも地に足が着いた感じで共感しやすいタイプだし、面白かった。相手が高校生だから恋愛に踏み出せないっていう、真っ当な感覚がいいなあと。
…でも、主人公の不倫相手のほうが好みだったなあ。ずるいところとか、妻に捨てられそうになっているヘタレっぷりが魅力。うわ、暴力ふるうとか最低、しかもしつこくつきまとったくせにやっぱり妻子を取るんだ?みたいなところが、なんか駄目すぎて好きなのかも……。攻としてはちっとも好みじゃないけど、好みのタイプの当て馬だった。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索