凪良ゆう 大洋図書 2010/11

両親が亡くなったために大学を中退し、働きながら3人の弟を育てる主人公が、知り合ったばかりの男に亡くなった恋人の身代わりとして会ってほしいと言われ、お金をもらうようになるというストーリー。

ネタバレ
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頑張ってるお兄ちゃんも、身代わりものも、恋人との死別から立ち直れない男というのも、とてもよく見かける設定…なんだけど、凪良さんらしいテンポ&丁寧さで書かれていて面白かった。
ありがちだからこそ、こういう設定は適当に書くと粗が出ちゃうと思う。この作品は1つ1つ段階を踏んでいて、読み応えがあった。
最初はそれほど気にならなかった身代わりがだんだん辛くなってくることとか、気軽な大学生だったのが、いきなり働きづめの生活になってしまう大変さとか、誰でも想像はつくところを、飛ばさずにきちんと書いてあって共感しやすかった。
すごく感動する話でもないけど、安らぎを感じたり切なかったりする場面で分かるなーってことが多いから、読みやすいし楽しみやすい。
主人公は頑張っているし、健気なタイプだけど、「かわいそう」な子じゃないのも趣味に合ってよかった。説明が難しいけど、不運でかわいそうだと、主人公が健気に頑張っていても作り物っぽくなって心に響かなかったりする。でも…、うーん、例えば話を聞いてコメントのしようもないほど不幸なら、同情はしても気分が重くなってしまうだけだけど、「それは大変だ」って言えるぐらいの状況で頑張っている人なら、頑張ってねって応援して、こっちも頑張ろうと思えるというか。
なんかそういう匙加減?がちょうどよかった。

半年ぐらいしたら、また読み返したいかも。

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