角川書店 1993/03
高校教師の西尾が主人公。
ネタバレ
殴られても殴り返せないような臆病な男は、このシリーズでは珍しい。職業は高校教師で、いいところのお坊ちゃん。ついでながら、コーヒーの味が分からず、砂糖を入れるのも北方ワールドでは珍しい(笑)
でも、そこはこのシリーズの主人公。怯えていても意地は通すし、ドライビングテクニックは一流で、カローラで川中のポルシェを負かすほどの腕前だったりする。
運転以外の面では頼りなかった西尾が、だんだん逞しくなっていくところがいい。
ただ教え子を助けるために体を張るっていうんじゃなくて、自分の生き方を変えるために足掻くところが共感を呼ぶんだと思う。「教え子のため」でも格好いいんだろうけど、人を助けることを通して成長していくっていうのが、いいよね。
教え子を逃がすために車で敵をかわす西尾はかなり格好いい。「男になる」なんて言い方は、普段見聞きすれば、まあちょっと笑っちゃうような言葉だと思うんだけど、西尾の戦いを見てると笑えなくなる。
本当に男になったよなあと感動する。
ところで、この巻で秋山に死亡フラグが立っている。再読だから先の展開は知ってるんだけど、知っていても、うわあってなる……。そういうシリーズなんだけど(ハードボイルドだし)、人が死にすぎて辛い。
このシリーズは一人称なんで、主人公は死なない。他の巻で死ぬことはあっても、自分が主役のときはとりあえず無事。
だから、最初に『聖域』を読んだときは西尾の命に関しては安心してた。高岸(教え子)は死ぬのかなあとか思ってたんだけど。結構、衝撃のラストだった…。
今回はラストが分かっていて読んだわけだけど、分かっていても辛い。
ただ、どれだけ人が死んでも、しっかり「生きた」結果としての死だから、納得できるというか、なんか「よかったね」って言ってあげたいような気分にはなる。
高校教師の西尾が主人公。
ネタバレ
高校教師の西尾は、突然退学した生徒を探しにその街にやって来た。「臆病なんですよ、俺は。自分でも情けなくなる…」西尾はそう呟く。だが、それでも自分を信じたいと思う。沈黙しつづけるばかりの人生に幕を下ろしたいと、西尾は願った。西尾は教え子が、暴力団に川中を殺すための鉄砲玉として雇われていることを知る。一体なんのために…。しかし、黙したまま堕ちていこうとした少年の決意を知ったとき、西尾の魂に火が点いた―。己の魂の再生に賭けた男の姿を描く“ブラディ・ドール”シリーズの第9弾。
殴られても殴り返せないような臆病な男は、このシリーズでは珍しい。職業は高校教師で、いいところのお坊ちゃん。ついでながら、コーヒーの味が分からず、砂糖を入れるのも北方ワールドでは珍しい(笑)
でも、そこはこのシリーズの主人公。怯えていても意地は通すし、ドライビングテクニックは一流で、カローラで川中のポルシェを負かすほどの腕前だったりする。
運転以外の面では頼りなかった西尾が、だんだん逞しくなっていくところがいい。
ただ教え子を助けるために体を張るっていうんじゃなくて、自分の生き方を変えるために足掻くところが共感を呼ぶんだと思う。「教え子のため」でも格好いいんだろうけど、人を助けることを通して成長していくっていうのが、いいよね。
教え子を逃がすために車で敵をかわす西尾はかなり格好いい。「男になる」なんて言い方は、普段見聞きすれば、まあちょっと笑っちゃうような言葉だと思うんだけど、西尾の戦いを見てると笑えなくなる。
本当に男になったよなあと感動する。
ところで、この巻で秋山に死亡フラグが立っている。再読だから先の展開は知ってるんだけど、知っていても、うわあってなる……。そういうシリーズなんだけど(ハードボイルドだし)、人が死にすぎて辛い。
このシリーズは一人称なんで、主人公は死なない。他の巻で死ぬことはあっても、自分が主役のときはとりあえず無事。
だから、最初に『聖域』を読んだときは西尾の命に関しては安心してた。高岸(教え子)は死ぬのかなあとか思ってたんだけど。結構、衝撃のラストだった…。
今回はラストが分かっていて読んだわけだけど、分かっていても辛い。
ただ、どれだけ人が死んでも、しっかり「生きた」結果としての死だから、納得できるというか、なんか「よかったね」って言ってあげたいような気分にはなる。
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