角川書店 1993/06
完結~。
ネタバレ
川中、年取ったなあ…っていうのが感想。1巻では若かったのに、10巻では何度も「社長も年取った」とか言われてしまっていて、なんだかちょっと寂しい。
10巻はあまり好きじゃない。完結に向かっているせいか、いままでの勢いを感じないし、盛り上がりにも欠けている気がする。作品としては必要なものだし、誰もが年は取るわけだけど、寂しさしか感じないんだよなあ。
作品内の世代交代も藤木→坂井だけで十分だった。高岸も悪くないけど、川中が高岸ばかり連れ歩いてるの見ると、なんだかなあって気分になる。
川中がいきなり20歳も年下の女性に入れあげていて、なぜ?という感じだし。このシリーズ、男は20代だと「ガキ、小僧」って扱いで、女が若いのは20代前半までっていう扱いなのだが、それにしてもね。
で、川中が若い女とイチャイチャ紅茶飲んでたりすると、「あー、こんなのハードボイルドじゃねー!」って叫びたくなるし、あんた本当に年取ったね…って言いたくもなる。
別に川中が恋をしようが穏やかな家庭を持とうがいいんだけど、その相手が「いいお嬢さん」としか評せない明子であることが、つまらない。アル中気味の美人の美津子の次が明子。いい悪いじゃなく、つまらないとしか言いようがない。
せめてもう少し明子のキャラに奥行きがあれば…。類型的にしか感じなかった。菜摘と安見の親子、知子みたいな個性もないし、玲子(悦子)やまりこほど気になるタイプでもなかった。
残り少ないせいか、各キャラの扱いも酷いものが…。
まずは立野。遅くに(8巻で)登場したキャラで9巻では出てこないんだけど、秋山の知人って程度の扱いで、えー?って思っちゃった。
誰より、秋山。
3巻からメインで頑張ってきたのに、見せ場もなく、誰にも看取られることなく、いきなり畑の中に死体が転がってましたって……。酷すぎる…。
…情報を持ってた川中が秋山に電話の一本もしておけば、死ななくてすんだんじゃ?って思うし。こんな扱いなら、そもそも殺す必要すら感じない。川中の人生を一層暗くするためだけに殺されたような感じ。最後に秋山の人生が描かれてないのが納得いかない。
次に下村。
なんか川中との間に少しばかり心理的隔たりみたいなものが続いた後で、いきなり暴走してサクッと死んでしまったという感じ。活躍もしたし、死に際も描かれ、秋山ほど酷くはないんだけど、「話の都合で、急いで殺しました」感が強い。
本人は満足して死んでいったんだろうけど、藤木や叶ほど「ここが人生の終わり」という地点には到達していなかったし、描き方が浅い。
そんな中、キドニーだけは大活躍。このシリーズは川中とキドニーの友情の行方がメインテーマだったのか、というぐらい(笑)
最後、砂丘でキドニーを助ける場面は盛り上がった。まさにシリーズの決着に相応しい舞台。
一緒にいるのが川岸だったのは残念だけど、まあここで坂井に活躍されても困るか…。ここは川中とキドニーだけの見せ場であるべき。
ああ、これがブラディ・ドールだ~って思った。
完結~。
ネタバレ
冬が海からやって来る。毎年それを眺めているのが好きだった。鈍く輝きはじめた海を見て、私は逝ってしまった男たちを想い出す。ケンタッキー・バーボンで喉を灼く。だが、心のひりつきまでは消しはしない。いま私にできることは、この闘いに終止符を打つことだ。張り裂かれるような想いを胸に、川中良一の最後の闘いが始まる。“ブラディ・ドール”シリーズ、ついに完結。
川中、年取ったなあ…っていうのが感想。1巻では若かったのに、10巻では何度も「社長も年取った」とか言われてしまっていて、なんだかちょっと寂しい。
10巻はあまり好きじゃない。完結に向かっているせいか、いままでの勢いを感じないし、盛り上がりにも欠けている気がする。作品としては必要なものだし、誰もが年は取るわけだけど、寂しさしか感じないんだよなあ。
作品内の世代交代も藤木→坂井だけで十分だった。高岸も悪くないけど、川中が高岸ばかり連れ歩いてるの見ると、なんだかなあって気分になる。
川中がいきなり20歳も年下の女性に入れあげていて、なぜ?という感じだし。このシリーズ、男は20代だと「ガキ、小僧」って扱いで、女が若いのは20代前半までっていう扱いなのだが、それにしてもね。
で、川中が若い女とイチャイチャ紅茶飲んでたりすると、「あー、こんなのハードボイルドじゃねー!」って叫びたくなるし、あんた本当に年取ったね…って言いたくもなる。
別に川中が恋をしようが穏やかな家庭を持とうがいいんだけど、その相手が「いいお嬢さん」としか評せない明子であることが、つまらない。アル中気味の美人の美津子の次が明子。いい悪いじゃなく、つまらないとしか言いようがない。
せめてもう少し明子のキャラに奥行きがあれば…。類型的にしか感じなかった。菜摘と安見の親子、知子みたいな個性もないし、玲子(悦子)やまりこほど気になるタイプでもなかった。
残り少ないせいか、各キャラの扱いも酷いものが…。
まずは立野。遅くに(8巻で)登場したキャラで9巻では出てこないんだけど、秋山の知人って程度の扱いで、えー?って思っちゃった。
誰より、秋山。
3巻からメインで頑張ってきたのに、見せ場もなく、誰にも看取られることなく、いきなり畑の中に死体が転がってましたって……。酷すぎる…。
…情報を持ってた川中が秋山に電話の一本もしておけば、死ななくてすんだんじゃ?って思うし。こんな扱いなら、そもそも殺す必要すら感じない。川中の人生を一層暗くするためだけに殺されたような感じ。最後に秋山の人生が描かれてないのが納得いかない。
次に下村。
なんか川中との間に少しばかり心理的隔たりみたいなものが続いた後で、いきなり暴走してサクッと死んでしまったという感じ。活躍もしたし、死に際も描かれ、秋山ほど酷くはないんだけど、「話の都合で、急いで殺しました」感が強い。
本人は満足して死んでいったんだろうけど、藤木や叶ほど「ここが人生の終わり」という地点には到達していなかったし、描き方が浅い。
そんな中、キドニーだけは大活躍。このシリーズは川中とキドニーの友情の行方がメインテーマだったのか、というぐらい(笑)
最後、砂丘でキドニーを助ける場面は盛り上がった。まさにシリーズの決着に相応しい舞台。
一緒にいるのが川岸だったのは残念だけど、まあここで坂井に活躍されても困るか…。ここは川中とキドニーだけの見せ場であるべき。
ああ、これがブラディ・ドールだ~って思った。
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