天涯行き

2012年7月7日 凪良ゆう
凪良ゆう 徳間書店 2012/06

重たい系。
凪良さんは…まだ作家買いしてるけど、今後どうなるかな。
高久さんのイラストいいなー。

ネタバレ
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凪良さんの場合、どっぷりシリアスのほうが逃げずに書いてる感じで面白い。「ちょっと切ない系」ぐらいだと、踏み込み方が甘くて物足りなかったりするから。

けど、この作品は肝心の恋愛部分でちょっと感情移入しづらかった。カップルの二人ともが現在進行形で重たいものを背負っているせいで、読んでるこっちは恋愛にまで気が回らないというか、あれもこれもと詰め込みすぎというか。
ダブル訳ありより、片方の事情に絞ったほうがじっくり楽しめた思う。どうも読み方が散漫になってしまった。
しかも、二人の抱える問題の両方ともが、とことん他者とぶつかって解決に持っていくのではなく、「自分の気持ちと、どう折り合いをつけるか」が主眼になっているので、客観的に見てスッキリ解決とはいかない。
…そりゃ現実はそんなにうまくいかないし、このほうがリアリティーはあるんだろうけど、こういう描き方をするならリアルタイムな悩みではなく、過去に決着がついているけど後悔している、という描き方のほうが読みやすかったような。
小説の演出として。

いい意味でも悪い意味でも「このテーマなら、まあこんなものでしょう」という範囲内で、つまらなくはないけど、感動もないし、カタルシスもない。
うーん…、個人的な好みの問題も大きいと思うけど、最近の凪良作品は「悪くはないけど、上手にまとめすぎて小さくなってしまっている」という印象。水と砂糖を足して、分量増やしたジュースみたいな感じ?

別に悪い作品じゃないけど、重たいテーマのわりに、あまり印象に残らなかった。

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