erotica

2012年8月24日 榎田尤利
リブレ出版 2012/08

さて、それじゃ凄い本(笑)の感想を。
エダさんのエロ短編集。

凝った装丁。これ、帯を外すとイラストなしの白い表紙になる。そして、カバー下のショッキングピンクが透けて、白がうっすらとピンク色に見えるところが、まさに「エロス」という雰囲気。
遊び紙もショッキングピンク。
デザイナーのセンスが光っている。

ネタバレ
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中身はいろんなテイストの話が6本。恋愛面でみると、1、5、6本目に濃い話がきて、2~4本目はわりとBL的な話。好き嫌いは別として、どれも小説としての完成度が高いから、読み応え十分。

ただなあ、ものがエロなだけに、趣味に合うかどうかが重要。
で、私はエダ作品に対して「小説としては面白いけど、趣味には合わない」と長年思い続けてきた人間なので、これがもう面白いぐらい(?)趣味に合わなかった。
全滅かと思った…。

個人的に趣味に合わないけど、趣味に合えば面白そうって作品が多かった。


『痛い靴』(既読)
無理やり小さいサイズのハイヒールを履かせるという発想が、纏足を連想させて、正直にいえば、気持ちが悪い。
SM的なものを否定したいわけじゃなく、この作品の感想ですらなく、纏足というものがどうしても受け付けられないだけ。
まあでもちょっと感想を書けば、MBAまで持ってる受がなんで会社辞めないんだろうと不思議。

イラスト:(好みじゃないけど)雰囲気が出てていいな。余白の使い方含め、ピリッと引き締まっていて素敵。

『ストロベリー』
ちょっと私の期待していたリバとは違うみたい…。
うーん…受受しい攻じゃなく、攻攻しい受を期待していたのです。
どうでもいいが、姉が結婚することを、わざわざ思わせぶりに隠す同僚が謎。「お姉さんが結婚するそうです」って、プライバシー?? どうせ顔も名前も知らないんだから、知られたって害はないし、隠す意味もないような。姉がいることを絶対に人に知られたくない、なんて人はいないと思うし。

イラスト:もうちょっとどうにかならなかったの? 1冊の中でこのページだけ浮いてる…。ガッカリ感が半端ない。

『10×3』
ついに私好みの受が?!と最初は期待したが、攻がダブルで好きになれないタイプ。独占欲のまったくない攻には興味なし。…ついでに言えば、コトの最中に敬語を止める攻と(最後まで丁寧に!)、言うことを聞かないバカワンコには魅力を感じない……。
なにより、快楽流され系の受がちょっと。

イラスト:文章から受けるキャラのイメージとピッタリ!

『カルメン』
これが1番ラブストーリーって感じの流れだったかな。
まあ、筋肉女装攻に抵抗がなければ、面白いかも。
…私は別に抵抗もないけど、魅力も感じなかった。マッチョに興味ないからなあ。
女装するなら、ある程度はきれい系がいい。

イラスト:うわあ…という感じだけど、本文と合ってるんだよなあ。表現が巧み。

『クリスタル』(既読)
趣味じゃないから、読み返したくないなーと思いつつ。
話の完成度が高いけど、ネタとキャラが好みに合わなくて、あまりエロも感じなかった。
これは本当に趣味の問題かも。

イラスト:ちょーっとリーマンには見えないけど、独特のねっとりした雰囲気がエロくて、いいね。

『書生の戀』
6本のうちで、唯一趣味に合った作品。
これが1番エロく感じたし、恋愛ものとしても楽しめた。日記と手紙で進んでいくところが、時代にマッチしていていい雰囲気だった。
…エダさんにもうちょっと乙女要素があれば、もっと私の好みに合ったかもしれないけど、乙女系とオヤジ受は両立しない。たぶん。だから、この書き方でいいんだと思う。
走り書きのところで感動した。
曾孫がホモなのは(やりすぎな感じで)どうかと思ったが、最後の一文で、ああ、さすがエダさんだな、と思った。…まあこれが男女カップルだったら、最後の最後で本を投げる人多数だろうし(笑)

イラスト:背景とタイトル字のかかり具合が絶妙。和室と庭のしっとりした雰囲気と、先生の色気、書生さんの生真面目さ。この1枚で妄想マックスという、素敵なイラスト。

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