愛の謎が解けたとき

斉藤まひる　幻冬舎コミックス　2010/08

初めて読む作家さん。
11月は新規開拓強化月間…状態になってるような。
わりと面白いというか、設定が変ってるので、私よりＡさんのほうが好きそう、とかまた思った。
今度貸すよ（私信）
それはそうと、この作家さんの本をもう1冊ぐらい読んでみようかと密林に行ったら、この間買おうとして、あらすじ読んでやめた本だった…。
「お仕事ものとしてすごく面白そうな設定なのに、なんで裏社会が出てくるのかな。残念！！」といった覚えが。…ＢＬ界のキャラはもっと地味に堅実に生きましょうよ、と特殊な？趣味ゆえに呟いてしまう。

ネタバレ
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面白かった。
最初は正直、ハズレだと思った。
ちょっと硬い、熟れない感じの文章…。板前なのに料亭に来る客を「議員といっても所詮は田舎もの、どうせ味など分からない」と馬鹿にして料理を真剣に作らない攻と、ちょっとでも味が落ちると料理を残すというＩＴ企業の社長の受。好感が持てなさすぎる…。
そして、盗聴という攻の突飛な行動と、受の本性の馬鹿っぽさに驚いた。馬鹿なの？この人、馬鹿なの？と…。常識の通用しないトンチキな展開にも驚いたが（これがコメディなら分かるんだけど、たぶん笑いは取ってないはず）。

谷（攻）が出て行くとか言い出した頃から面白くなってきた。
餌付けする話ってわりと好きなんだよね～。やっぱり、美味しいものを食べさせたい、と頑張って料理を作る話というのは、気持ちのいいもので。
谷が北村（受）の会社で働くことになった後の仕事の話もテンポがいいし、笑えるしで、かなり面白い。
少しずつ北村が谷に懐いていく過程がよかった。お互いにベストパートナーを見つけたという感じで暖かい。

ただ…、よかった～、と本を置いて、いざ感想を書こうとすると、作風も文章もキャラの性格までも最初と最後で違うので、手放しでは誉められない感じ。
やっぱり口下手な板前さんがいきなり営業、テレビ出演までこなすのは違和感ある。まあ無口なままより、面白かったけど。

SSは受の名前が1箇所除いてすべて誤植という、稀に見る悲惨なことが起きていた。出版社側のミスらしいので、作家さんが気の毒。
谷の過去話か？とか、受は複雑な生い立ちゆえに偽名を使ってたとか？と、名前が違う理由を無駄に考えてしまった…。

これが初ＢＬ作品だそうで。ああ、どうりでＢＬっぽさがないねーと思った。
他ジャンルで書いてる作家さんの「初ＢＬ」は私にとってはＮＧワードだけど（漫画でも多いような）、この作家さんはもう1冊ぐらい読んでみようかな、という気になった。