戦神、恋うる雛
2013年2月2日 BL作家た・な・は行
藤龍河 白泉社 2011/05
初めて読む作家さん。
タイトルから、まーったく期待していなかったので、逆に面白く読めたかも。
ネタバレ
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最初のほうは古臭い少女漫画みたいなストーリーで萎えた。主人公はみにくいアヒルの子で、美しい兄を持ち、まわりの可愛らしい小姓たちにいじめられながらも健気に耐えているという設定。
主人公が耐える姿は、「健気受」自体が好きじゃないせいか、単に頭と要領が悪いだけにしか……。
それに、まわりの小姓にとっても主人公にとっても、「殿様の閨に呼ばれること」が何よりの目標ってところが、少女漫画にしちゃ生々しいというか、下品というか。
家臣や小姓の実家でも、それが出世と思っているあたり、嫌な世界だな~と。これが女性の話なら、子供を産んで跡継ぎにっていう話に繋がるから、まだ希望があると思うんだけど。
突っ込みどころは満載だったかな。
たとえば、兄の出奔によって、父親や主人公は切腹を覚悟し、悪ければ家が断絶かっていうときに、居場所の分かっている兄の我儘がそのまま通っていること。いくら自殺するって騒いでも、いくらでもやり方はあると思う。話の都合上としか思えない展開。
後半の戦のシーンでも、なぜ国の一大事に国主をはじめ誰も彼もが、一人の近習のことを考えているのか。いくら時代物という名前のファンタジーでも、そりゃ無理があるだろう。
私が一番引っかかったのは、攻(国主)の妻子の話がまるっきり出てこないこと。一緒に住んでいるのに、国主からも家臣からも空気以下の扱いを受けてるってこと??
ちらっと奥方がいるようなことは書いてるので、いることはいるんだろう。それなのに、殿の寵愛を受けることがすべてという世界で話題にならないはずがない。
子供もいるんだろう。跡継ぎがいないなら大問題のはずだから。どう考えても、小説として割愛できることじゃないはず。
武士の世界はどうのこうのとシビアな面も出す割りに、BLとして都合の悪いことは丸無視で、細かい点を挙げればキリがないけど、とにかくご都合主義が目に余った。
ただ、後半からは主人公の成長も感じられて面白かった。卑屈な面が薄れてくると、もともと勤勉な努力家なので、魅力が分かりやすい。
恋愛より、意地悪だった小姓が改心するところとか、お兄さんへの複雑な思いのほうが読み応えあったけど。
ラブストーリーとしてイマイチ楽しめなかったのは、攻に魅力を感じなかったせいかも。プライベート面での子供っぽさは、その歳で?と呆れを感じてしまう。
…主従ものは、従×主のほうが好き。そうじゃないなら、主従は歳が近くて、腹心という設定がいいという趣味の私には、歳の差で主×従、健気受という設定は、ちょっとキツかった。
ただ、小説として面白かった。突っ込みどころは満載だけど、面白かったからOKという、結構珍しい作品。
最後にイラスト。
…攻が短髪なのはいくらなんでも。出家でもしたのか?
イラストレーターは「戦国時代は詳しいです!ゲームやってますから」という人なんだろうか?
元服しても髪型の変わらない主人公といい、きれいなイラストなんだけど、キャラの髪型が気になってしかたなかった……。
初めて読む作家さん。
タイトルから、まーったく期待していなかったので、逆に面白く読めたかも。
ネタバレ
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最初のほうは古臭い少女漫画みたいなストーリーで萎えた。主人公はみにくいアヒルの子で、美しい兄を持ち、まわりの可愛らしい小姓たちにいじめられながらも健気に耐えているという設定。
主人公が耐える姿は、「健気受」自体が好きじゃないせいか、単に頭と要領が悪いだけにしか……。
それに、まわりの小姓にとっても主人公にとっても、「殿様の閨に呼ばれること」が何よりの目標ってところが、少女漫画にしちゃ生々しいというか、下品というか。
家臣や小姓の実家でも、それが出世と思っているあたり、嫌な世界だな~と。これが女性の話なら、子供を産んで跡継ぎにっていう話に繋がるから、まだ希望があると思うんだけど。
突っ込みどころは満載だったかな。
たとえば、兄の出奔によって、父親や主人公は切腹を覚悟し、悪ければ家が断絶かっていうときに、居場所の分かっている兄の我儘がそのまま通っていること。いくら自殺するって騒いでも、いくらでもやり方はあると思う。話の都合上としか思えない展開。
後半の戦のシーンでも、なぜ国の一大事に国主をはじめ誰も彼もが、一人の近習のことを考えているのか。いくら時代物という名前のファンタジーでも、そりゃ無理があるだろう。
私が一番引っかかったのは、攻(国主)の妻子の話がまるっきり出てこないこと。一緒に住んでいるのに、国主からも家臣からも空気以下の扱いを受けてるってこと??
ちらっと奥方がいるようなことは書いてるので、いることはいるんだろう。それなのに、殿の寵愛を受けることがすべてという世界で話題にならないはずがない。
子供もいるんだろう。跡継ぎがいないなら大問題のはずだから。どう考えても、小説として割愛できることじゃないはず。
武士の世界はどうのこうのとシビアな面も出す割りに、BLとして都合の悪いことは丸無視で、細かい点を挙げればキリがないけど、とにかくご都合主義が目に余った。
ただ、後半からは主人公の成長も感じられて面白かった。卑屈な面が薄れてくると、もともと勤勉な努力家なので、魅力が分かりやすい。
恋愛より、意地悪だった小姓が改心するところとか、お兄さんへの複雑な思いのほうが読み応えあったけど。
ラブストーリーとしてイマイチ楽しめなかったのは、攻に魅力を感じなかったせいかも。プライベート面での子供っぽさは、その歳で?と呆れを感じてしまう。
…主従ものは、従×主のほうが好き。そうじゃないなら、主従は歳が近くて、腹心という設定がいいという趣味の私には、歳の差で主×従、健気受という設定は、ちょっとキツかった。
ただ、小説として面白かった。突っ込みどころは満載だけど、面白かったからOKという、結構珍しい作品。
最後にイラスト。
…攻が短髪なのはいくらなんでも。出家でもしたのか?
イラストレーターは「戦国時代は詳しいです!ゲームやってますから」という人なんだろうか?
元服しても髪型の変わらない主人公といい、きれいなイラストなんだけど、キャラの髪型が気になってしかたなかった……。
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