丸木文華 フランス書院 2009/11

本屋で見かけるから知ってはいたけど、きっと読むことはないだろうなと思っていた作家さん。
お借りしたので読んでみた。

ネタバレ
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受も攻も気持ちの流れが不自然で、共感できないというより、単に意味不明なことが多かった。そのときどきの感情は一応説明しているけど、どうしてそういう行動、選択をするのか説明不足。単に話の都合に合わせてるようにしか感じなかった。
作家である攻の作品を「いい人が出てこない、ドロドロ系。話が面白いから、登場人物に共感できなくてもいい」と説明していたから、この作品自体もそういう方向を目指してたのかもしれないけど、この作品は恋愛小説なんだし、そういう路線は無理だろうと思った…。

関係を強要された受が「ああ~ん、気持ちいい」とハートマークを飛ばしまくるので、ドロドロ系の心理描写としては物足りないは、萎えるわで……。
しかも、復讐が始まって関係を強要されると、巻き込まないために恋人と別れるんだけど、これも唐突過ぎた。恋人については「知られたくない」ぐらいしか受の気持ちが描かれていないから、恋人のことなんてどうでもいいのかと思ってた。
最初は罪悪感があるから復讐を受け入れたはずなのに、後は単なる脅迫みたいになったけど、そこにあるはずの気持ちの揺れとか葛藤も描写が不足してたかな。
行間を読み取るというよりは、虫食い部分を勝手な想像で補うような作業を強いられる作品だった。

共感もできなければ、魅力もないキャラで、話も復讐がテーマ。これは読むのキツイと思ったけど、復讐劇をどういう着地点に持っていくんだろうという興味だけで最後まで読んだ。
結果は、受は自殺する前に攻を殺しておきたいと思うほど追い詰められ、攻は騙して婚約までしていた受の妹に刺された後、なんとなく和解して終わり。
受は「これで対等の関係になった」と言っていたが、受の心境がどうして変わったのかさっぱり読み取れなくて、これまた意味不明。
まあ、付き合っていた恋人のことは、本当にどうでもよかったということは分かった。元彼?はいい人だから、なんだか気の毒だった。
妹は…最後はいい人だったけど、人を刺すようなヒステリックなところが異常な母親そっくりで、かなり怖かった。…婚約者は責めず、可愛がってくれてる兄を一方的に悪者に仕立て上げてたせいか、巻き込まれた被害者なのにあまり同情もできなかった。

ハッピーエンドにしたことで後味はよくなったんだろうけど、前半が大仰だったわりに、中途半端な結末だった。
いっそのこと、互いへの執着心をもっと前面に出してから、バッドエンドにしたほうが面白かったと思う。

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