蒼竜社 2013/11

レーベルの「らしさ」が出てたかなあ。

ネタバレあり
----------------------------------------

面白かったけど、好き嫌いが分かれそう。
両想いにならない、セックス抜きという話が、果たしてBLと呼べるのかどうか。
帯の「性愛を超えたい」が、そのまんまの意味だとは…。これ、恋愛小説なのかな?
だいたい、「これはホモですよ」とわざわざ謳ってるジャンルで、ホモソーシャルを書くのは無理じゃないかな…。
個人的にはジャンルの幅が広がっていいとは思うし、楽しく読んだけど。

ラストは嫌いというより、苦手という人が多そう。続編で大往生させても拒絶反応出ること多いのに、本編でこれは…。
作中作(童話)の感想として、登場人物の一人が「なんだか暗い話だったよ」と言うんだけど、それがそのままこの作品への感想になってしまう読者もいるような。

私自身の感想としては暗い気分になっただけで、あまり感動もしなかった。人の死に対する喪失感はあるけど、「大切な人の死」としては、主人公が達観しすぎていて、あっさりしすぎていたというか。苦さはあるけど、切なさはあまりなかった。

表紙を見てドロドロしたものを想像してたけど、むしろドロドロが足りなかったかもしれない。
主人公の「性愛を超えたい」という決断に共感できなかった。そういう考え方もあるかと納得はできるんだけど、感情移入はできない。
もっと「ホモソーシャル」寄りにして、主人公の恋心をもう少し友情に近いものにするか、逆にガッツリと恋愛感情にしてほしかった。中途半端に感じてしまい、「相手が不治の病だから(恋が成就しそうにないから)告白しないのかな?」とか、うっすら考えてしまった。
個人的には、主人公は傍観者、男爵と執事の関係を見守るという話のほうが好みだったと思う。この執事にキャラとしての魅力は感じなかったけど、話としてはそっちのほうが面白かったんじゃないかなあと。

話の雰囲気とか、昔のミステリみたいな話運びとか、主人公と男爵の性格とか、すごく好みだったし、途中までは「力作だな」と感心して読んでいたんだけど。
謎解きが終わった後の失速感が残念だった。

男爵が執筆しかけていた文章が本にならなかったのも、リアリティはあるかもしれないけど、そこまで苦くする必要あったのかな~と残念に思った。
本が完成していれば、もっと爽やかな読後感になっただろうし、ラストの展開に切なさも感じただろうと思う。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索