累る-kasaneru-

2015年11月14日 凪良ゆう
プランタン出版 2015/10

表紙が気持ち悪いので、今回は画像なしで。

ネタバレ
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あらすじを見ないで買った。表紙でドロドロ系だと覚悟して読み始めて、あ、こういう方向なのか…と意外だった。

途中は面白く読んだけど、正直、攻の魅力がさっぱり分からなかった。顔や頭はいいかもしれないけど、中身は暗い上に子供っぽくて。うーん…。

前世の生き地獄な場面ばかり印象に残ってしまって、なんだか苦い読後感。
前世がすべて明らかになった後も「二人が幸せになってよかった~」という爽快さはなかった。
現世で両親との関係が最悪なまま終わってしまったのが残念。せめて生まれ変わってからは周囲の人の優しさに触れる描写があればよかったんだけど、徹底的に人情を排除してしまっているというか、結局お互いしか頼れないままっていうのは寂しい終わり方だった…。
カタルシスが足りないから、読み返したい作品ではなかった。

これ、木原さんが書きそうな題材だな~と。
木原さんはすでに「前世で拉致監禁、殺害。生まれ変わってからは男が男にストーカー」という離れ業?設定の作品を書いてるから、そのせいかも。
つい、この作品を木原作品と比べてしまって、「重いし暗いけど、薄いな」という印象を持ってしまった。
なんだろう…どこか足りないような。もちろん、残酷描写がぬるい、とかいう意味ではなく。
視点かなあ?
大事なポイントになるような場面で、当事者視点じゃないからかもしれない。それで一歩引いて書いているように感じるのかも。
生まれたときから監禁されている「オワタリさま」は自分の不幸が分かっていないし、夢として思い出すとき以外、前世は世話役の視点で進んでいく。生まれ変わってからも虐待されているのは弟で自分じゃない、母親の不審な死に目はショックで何も覚えてない、というように、ガッツリ不幸なわりに、差し迫った絶望は感じないというか。

それと、色々な設定がすごく中途半端に感じた。
現世で父親がどうしようもない人間として描かれていることに、あまり意味を感じなかった。天気を予測できるという超能力も、前世の名残として出てくるけど、「傘を忘れない」というどうでもいい使い方しかないから、この設定は必要なの?と思ってしまった。
1つ1つは大きな意味を持つはずの設定なのに、ちぐはぐに使われて、うまく機能していない。野球に例えれば、長打も単打も出るのに完封負けで終わる、繋がりのない打線みたいだった。

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