高遠琉加 二見書房 2009/4

「愛と混乱のレストラン3」
もう1冊あるけど、シェフ×ディレクトールは今回で完結。
個人的には、文句なしに「高遠作品のベスト」認定です!


ネタバレ
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いや~、面白かった!
ちょっと3巻のそのタイトル、どうなのよって読む前は心配だったけど、内容は期待以上だった。

久我のフランス修行時代の回想もよかった。ガイドブックで星がつくような店じゃなくて、常連さんに愛されている小さな店で本物の味を学ぶというスタートがいいなあと。美味しいものを食べてもらいたいっていう気持ちが原点なんだから、久我の作る料理は美味しくないわけがないという感じで。アルマンとニコールがいい味を出していて、暖かいエピソードだった。ニコールは成長したら、理人にとってはサラ以上のライバルになりそう(笑)
それから折り合いの悪かった父親からも大事なノートを受け継いだのも安心できた。このあたりを端折らずに書いてくれるのがいいなあと。久我というキャラに厚みと深みが増して、さらに今後のラブストーリーの行方が気になった。
今回は叶が当て馬として頑張っていてくれてよかった。久我とはまったく違うやり方で理人を想っていて切なかった。いい女性が見つかるといいなあ。BLだから男性でもいいんだけど、まあなんとなく…仕事から離れた場所でバックアップしてくれるような相手のほうがいいかなーと。

ヤガミのTOBの問題が動き始めると、久我と理人の溝が埋まらないまま、どんどん話が流れていってヤキモキさせられた。理人が疲れている姿が気がかりで…。
そういえば「ゴルド」の今後は意外性があった。
最終的に「ゴルドは欲しくありません」と言えたところで、理人は過去を乗り越えることができて感動的だったけど、そこで「ゴルド」という店が否定されたわけじゃないところも、この話らしい爽やかさがあってよかった。
理人が客として「ル・ジャルダン・デ・レーヴ」を訪れるシーンは最高だった。店への思い入れ、スタッフとの交流、久我への想いが伝わってきて、じーんとしてしまった。でもなにより感動したのは、美味しい食事を楽しんで元気になったり幸福になったりという、レストランならではの方法での癒しだったかも。グルメというと1つの趣味のような感覚があったけど、もっと根本的なところでの「食べる喜び」を感じられて、すごくよかった。(もちろん趣味としてグルメを楽しむのもいいことだと思う)
その後の甘いシーンも台詞が印象的だし、ちょっとした描写が丁寧だし、臆病な理人が心を開くまでの過程もゆっくりしていて。なんか幸せな気分になる場面だった。
…それにしても、ディレクトールとシェフの関係は店ではすでに(暗黙のうちに)公認という気もするけど、最初はあれだけ衝突していたのにこれだけラブラブになってしまったら、スタッフはついてけないだろうなあと。今更…かな?

恋愛だけじゃなく、「夢の庭」も実現。いい話を読んだなあ。大満足。

パティシエの話も楽しみ♪
高遠琉加 二見書房 2008/11/21

高遠作品の中で、これが一番好き~!
というわけで楽しみにしていた2巻。
ちょうどミシュ○ンガイドも発売されたばかり、しかも来月がクリスマスってことで、内容的にすごくタイムリーな刊行だったのでは。

ネタバレ感想。

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この作品は他の高遠作品と比べて文章も読みやすい。独特のしっとりした表現法が控えめで、わりとテンポがいいからかな。2冊目だけど(3冊で終わりらしい)話も結構進んでいて面白かった。
あ~、やっぱり理人が好きだなあ。29歳だし、そんなに可愛い化(クールキャラが素直で可愛いキャラに変質していくこと…)も進まないと思うから、そういう点でも安心だ。表紙はこうだけど、タイトルの「美女」は理人のことじゃないってところも、個人的には嬉しいところで。
ちなみに、BLに出てくる「美女」って微妙だよなあと思っていたが、美女はうるさくなかった。
…理人の話に戻って。こういう不器用だからクールで高飛車みたいに見えちゃう受っていうのがツボで。素直なところも弱いところも見せつつ、グダグダにはならない匙加減も好み。
俺様な久我が先に落ちたのも、受を贔屓する私には嬉しい展開で。てめえ、何をしやがる!(失礼…)というラストだったが、2巻でもキス止まりかしら~と思っていたところだったし、「俺様な攻が後悔する、思い知る」という話がこれまた大好物なので、趣味にぴったりだった。…いや別に久我のことも好きなんだけど、攻なんだから苦労すればいいさ。
ふたりの関係はもちろん、『ル・ジャルダン・デ・レーヴ』と『ゴルド』、ふたつの店の今後も気になるし、続きがすごく楽しみだ。あと叶にもちょっと当て馬として頑張ってほしい気もする。「お父さん」じゃ無理かなーと思ってたけど、「あしながおじさん」なら当て馬でも十分いけるはず。頑張って爽やかに振られてほしい。(ひどいなあ)
一の番外編が入っていなくて最初ガッカリしたけど、1冊で読めるなんて嬉しい。
毎回、料理が美味しそうだなあと思うけど、とくにスイーツに反応してしまうので、パティシエが主人公なのは嬉しいなあと。おじさん受って好きだし。

どうでもいいけど、タイトルと表紙にきっちりシリーズものだって分かる表記があるのは親切だなあと。…ネット書店じゃ作品の内容を紹介してないときがあるから、見た目にうるさくても、やっぱりちゃんと入れてほしい。
高遠琉加 二見書房 2008/02/28

ネタバレ
赤字続きで休業に追い込まれたフレンチレストラン「ル・ジャルダン・デ・レーヴ」復活のため、本社外食事業本部から出向してきた鷺沼理人は、若手シェフ・久我修司の引き抜きを試みる。確かな腕を持ちながら暴力沙汰を起こし、今は実家に戻っているという久我は、理人の依頼を「あんたが気に入らない」と言下に拒否する。それでも通い続けてくる理人に久我が提示した交換条件は「言うことをなんでも聞く」というとんでもないものだった。しかしある理由から店の再興を失敗できない理人は、その崖っぷちの選択を呑むことに――。
“夢の庭”(Le Jardin des Reves)の実現は果たして――。

これ、好きだなあ。もしかしたら、高遠さんの作品の中で1番好きかもしれない。
まだ終わっていないのではっきりとは分からないが、たぶん。高遠さんの場合、どんなに最初が面白くても、後半肩透かしってことが多いので油断はできないが、今作品ではかなり期待している。(肩透かし…別につまらなくなるわけでもないんだけど、ストーリーが遠回りして盛り上がらないまま終わっちゃうとか、まあ個人的な趣味の問題もふくめて物足りなくて)

この作品、雑誌掲載時にしっかり読んで感想まで書いたのだが、再読したら1回目より面白く感じた。久我の社会人としてそれはどうなのって言動がどうにも不快だったのと、クールだった理人の弱さがちょっと不安だった(高遠さんのクールキャラって途中で純情乙女系になってしまうことが多い)ので、小説として面白いけど差し引いて考えておこうと思っていた。
でも2回目は久我の意地悪キャラぶりも楽しめたし(こういうものだと思って読めば、気にならないというか、かえって面白いというか)、前後編通しで読めば理人のことも心配なさそうで、話のテンポもいいし、キャラがそれぞれ魅力的で面白かった。
あとは…3冊かかってキス止まりとか、そういう展開にならないといいなあと。…久我のキャラに合わないから、それだけはやめてほしい。
で、注目の一の短編は……よし!
読み始めてすぐにガッツポーズ(笑) 可愛い系の受になるんじゃないかと密かに心配していたのだが、いいじゃないですか、年上受。実に私好みになっていたし、話も面白かった。

早く続きが出ますように。

溺れる戀

2008年1月12日 高遠琉加
高遠琉加 大洋図書 2007/12/26

この表紙、綺麗だー。

ネタバレ

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帯で痛め暗め作品かと思ってたんだけど、そうでもなかった。
大好きな昭和初期設定だし、感じのいい美人のお嬢様と豪華客船でお見合いだし、受は銀行の三男でぼんやりしているようで流され系とは違い、結構きりっとしているし行動力もあって、好みの作品だった。
受はいいキャラなんだが、いつかと言わず、今すぐ家族に無事を知らせてやってほしい。銀行が倒産したうえに息子は生死不明じゃ、親があまりに気の毒だろ…とかつい気になってしまった。
贅沢をいえば、船での火事以外は全部予想通りというか、意外性のない展開なのが惜しかった。でも高遠作品の中ではかなり好きなほうかも。
ここからさらに趣味の話。
一時期、独特な比喩を使ったウェットな文章がやりすぎと感じて、少々鼻についてしまっていたが、今回はかなり読みやすくなっていた。柔らかくてちょっとぼんやりもやもやっとした雰囲気は好きなんだけど、一人称の主人公の内面が幼かったり、あっさりしすぎていたりと、なんかしっくりこない。まあ感覚的なところだから、ぴったり趣味に合う作家さんは滅多にいないし、書いても仕方ないかもしれない。
高遠 琉加 二見書房 2007/05

完全ネタバレ感想。
あんまり……、ほとんど誉めてないんで、既読の方もご注意ください。

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最終巻。
最初は好きだったのに途中から冷めてしまったシリーズだが、最後だからと思って読んでみた。

本編読了直後の感想。
常日頃から「BLだからって無理に(かどうかは知らないが)テンプレにはめなくても」とか言ったり書いたりしているし、ジャンル分けできない作品のほうが面白かったりすると思っているので、こんなこと書きたくないが、べつにそんなこと誰も気にしないだろうから正直な感想を。
うう、これで物足りろっていうんですか…。これBLなの??
コトに及ばなくちゃBLじゃないとか、そういう強硬なこと言ってるわけじゃなく、そもそも恋愛ものなのかっていう疑問が…。二人の関係が友情以上、恋人未満で終わってしまうのは構わないにしても、主人公に恋愛感情の自覚がほとんどないまま終わるってのは……。
なんか蝶野が彼女を連れてきても、ちょっと寂しいなあ、でもよかったなあって思って終わりそうだ。
これなら熱い友情ものとして読んだほうがすっきりするような。これがニアならかなり萌えたと思う。(妄想力余ってるし…足りない部分は自分で補いますよ)
BLレーベルじゃなければそれでOKだったはずなのに。ジャンルの枠が邪魔だなあ。
作品とは関係ないけど、漫画ならわりと市民権のある、こういう日常メインの話って、小説だと何か付加価値をつけないと市民権がないような気がするのが残念。この作品だとBLが付加価値か。

というわけで、話として面白かった。雰囲気がすごくいい話だと思う。島に行ってみたくなったし、アパートが取り壊されるって話になったときは寂しくなった。こういう寂しさって学生ものじゃないと味わえないなあって思ったり。キャラクターもそれぞれよかったし、赤星さんの話も読みたかったな。(それが出たら総ホモはイヤだとか文句を言うと思うが。どうもとりあえず一言何か言わないと気がすまないらしい……。感じ悪)

苦手だったアパート創世記の話も今回はおさまるべきところにおさまった感が強くて、読みやすかった。ぼんやりさんには最後まで馴染めなかったが…。攻の株は上がった。

書き下ろしの続編で一息つけた感じだが、気の長いカップルだ。遠距離に負けず(問題は距離なのかどうか)、頑張っていただきたい。

(小説38)
金 ひかる ビブロス 2005/11/18 ¥893

作者は高遠琉加

すでに新品では入手不可能な1冊。
bk1では「お取り扱いできません」
amazonでは古本が1,600円でロープライス。
どんなに欲しくても中古本を定価の倍も出して買うのはごめんだ。馬鹿馬鹿しい。
そういえば某大型書店ではビブロスの本をかなり長い間、普通に取り扱っていたが、今はどうなってるんだろう。
転売目的で買われてたりしたらイヤだな。まあ趣味の問題だろうけど、気分が悪い。

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私の偏狭な好みにマッチした珍しい1冊だった。
ここで偏狭な好みを詳しく解説…しようと思ったけど、恥ずかしいのでやめた。それに…多少ずれてるところもあったし。

沖屋が仕事ができてクールな男前なので、それだけで満足ってところもあったが、話自体も読みやすいし、面白かった。
「だって他のものは、俺が自分でもってるからな」って台詞が特にかっこよくて、好き。でも、花束はちょっとどうだろう…。

この本の表紙イラストを書店で見て、受は年下で学生だなと思って手に取らなかった覚えがある。せめて裏のあらすじをみておけばよかった。
高遠琉加 大洋図書 2005/09/10 ¥903

相変わらずイラストレーターの名前が出るなあ。
ネタバレあり。ラストまで語ってるので、未読の方は読まないで下さい。

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この作者さんの作品のキャラの中では、かなり好きなほうに入ると思う。話自体もじれったい感じで面白かった。続編が出たら読みたい。スーツだし。

けど、この1作だけ見たら、ちょっと受け付けない。
わたくし、えらく頭が固い人間なんで、いくら双方合意だろうと余命僅かだろうと、中学生(連れ去った時点では小学生)を連れ回してる男を野放しにできる刑事はダメです。家出の意思を尊重するには、ちょーっと年齢が低すぎやしませんか、とか思っちゃうので。気持ちは分かるんだけど、そこは流されちゃいけないところというか。うーん、面白かっただけに、そんなところが引っかかってしまうのが残念。

ISBN:4576050826 文庫 依田 沙江美 二見書房 2005/05/31 ¥580

相変わらずイラストレーター至上主義だな…。
これは依田沙江美の漫画ではなく、高遠琉加の小説です……。
以下、多分ネタバレ有り。

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珍しく文庫化を待ってた作品。
明るいし、読みやすくて好き。
あと、意外と普通の大学生(?)のBLって少ない気がするので、そういう意味でも好きかなあ。
私の場合、1巻の主人公達に萌はないんだけど、話的に好き。
ただ、1巻だけ読んだら、別にBLでもなんでもないって気も…。
さすが、高遠琉加。相変わらず焦らすなあという感じで。
しかも、2巻は別のカップル(なのかどうか知らないけど、とりあえずメインは二人と思われ)の話だったりするところが、なんともいえない味わいが…。
……アパートには他にも住民がいるから、3巻で1巻の2人が主役に返り咲くという保証もないし。赤星は好きだが、ホモだったらイヤだなとか思ってたり(笑)
まあ、私としては、1巻のカップル候補がまとまってくれなくても、それはそれで面白いかなあとか…。
それより桐島が! 別シリーズのキャラですが……。まだ未練があったり。

で、文庫書き下ろしのアパートのそもそもの始まりの話。
なんだかなあ。同じシリーズというには毛色が違いすぎる気がするんだけど。しかも続くのね…とちょっと残念。
面白いけど。

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