早いもので2015年も今日で終わり。

今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。

今年は再読ばかりで、あまり本を読まなかったし、
年間ベストはやめようかな~と思ってました。
けど、年末に「今年、面白い本あった?」という話題になったとき、
2、3作しか思い出せなかったので、読書記録を振り返ってみることにしました。

※私が今年初めて読んだものを選んでるだけで、今年の出版とは限りません。
※評価ポイントは、私が好きかどうかだけです。

~BL漫画ベスト6~
きりよく5冊に絞ろうかと迷ったけど、無理に削ることもないので6冊に。
今年は読んだ数が少ない割に、当たりが多くて嬉しい。
でも…、新しい漫画家さんとの出会いは少なくて、あまり代わり映えしない結果。

1 『やぎさん郵便 2&3』 草間さかえ
完結巻を読む前に最初から読み直したけど、内容もキャラもブレがなくて面白かった。
花城と廣瀬が魅力的で、なんかただのバカップルなんだけど、ずっと見ていたいなあと。
描写はあっさり目で、深いストーリーもよかった。

2 『花は咲くか 5』 日高ショーコ
大好きな作品。
これが1位にならなかったことに自分で驚いている。
ストーリー、絵柄(とくに背景)、キャラとどれをとっても最高に趣味に合う。
スローで丁寧な進め方が持ち味だったけど、
最終巻だけはもうちょっとドラマが欲しかった気も。

3 『キスも知らないくせに』 木下けい子
新刊は高校生か~、守備範囲じゃないし読まなくてもいいか、と思ってた。
読んだらムチャクチャ可愛くて、うわ、なにこれ!となった。
とにかく可愛い!!
続きがあるらしいので、すごく楽しみ。

4 『すずろ古書譚』 伊東七つ生
「本が好き」っていう人は、古本屋や図書館の雰囲気が好きって人が多いと思う。
そういう「本好きな人」にとっては、たまらない舞台設定じゃないかと。
独特の世界観で丁寧に描かれていて、平坦な話なのに読み応えがあった。
本編も好きだけど、同居25年目から始まる、おじさんラブストーリーもよかった。

5 『トーキョートレイン』 木下けい子
オムニバス。いろいろなCPが楽しめる。
とくに変わってるわけでもないのに、ありきたり感がない。
手軽な感覚で読みやすいのに、結構残るものがある。

6 『銀座ネオンパラダイス』 ウノハナ
ものすごく面白い、とは思わなかった。
ただ、戦後の空気が上手に描かれていて、ガッツリ引き込まれた。
読んだ端から忘れてしまうような漫画も多い中で、
濃厚な雰囲気を1冊でまとめ上げたところに感服。

~BL小説ベスト10~
今年はあまりBL小説を読まなかった…。
本屋に行って新刊のチェックはしてたけど、読んでみたいと思う本が少なかった。
面白いと思う本はさらに少なく、不作な年だった。
今年のベストセラーさえ知らないから、私が読んでないだけだと思いたい。
ちなみに毎年ベストに入れていた木原さん、榎田さん、かわいさんの新刊は、
読んだ(または内容を知った)上でベストから外すという寂しい結果に。

1 『海賊王の死&瞑き流れ~アドリアン・イングリッシュ~』 作:ジョシュ・ラニヨン 訳:冬斗亜紀
M/M作品。いきなりBLじゃない作品がトップになった。
BLじゃないと思ってるから、BL枠に入れてなかったんだけど…。素晴らしかったから。
シリーズ4作目でほぼ二人の関係は固まっていたのに、分厚い最終巻で1冊かけて、
じっくり気持ちを確かめ合うあたり、読み応えがあった。
恋愛だけじゃなく、家族や周囲との関係も変わっていって、
ステップアップしたのもよかった。

2 『蜜色エトワール』 市村奈央
バレエというモチーフと恋愛がバランスよく混ざっていて、主人公たちの成長があって。
決して長い作品じゃないのに、きっちり出来上がった雰囲気に引き込まれた。
丁寧に作り上げられた作品を読んだ時だけに味わえる、読み応えと満足感がたっぷりだった。
キャラが好みだったから、本当に言うことなし。
順位をつけるのも失礼な話なので、入れるかどうか最後まで迷ったのですが…。
この作品を外すと、ベストを決める意味がないと言いますか…。


3  該当なし
10作選ぶと言っておいて、3位該当なしっていうのも変な話だけど。
ここ、ちょっと間を空けておきたいわ、という気持ちを表すために。
今年は2作でやめておこうかとも思ったけど、それも寂しいので。
4位以下は、手放しで面白かったとは言えず、例年だったらランク外だったかも、という作品ばかり。


4 『恋煩い』 砂原糖子
私の中では、結構安定の砂原作品。
好みに合わなくても読みやすくて最後まで楽しめるし、再読する気になる。
攻×攻っぽかったり、主人公が態度悪くて少しお馬鹿さんだったり、
ちょっとした伏線が利いてたり。人情が絡んだり。
砂原作品らしい良さがたっぷり入った作品だった。
この作品の感想を人に訊かれたら、「普通かなー。私は結構好き」とか答える。

5 『さよならのない国で』 高遠琉加
この作品を読んだ直後に自分が書いた感想を読み返すと、
95%ぐらいダメ出ししてる。正直、不満な印象ばかり残っている。
それがなんで5位に入っているかというと、読み応えがあったから。
小説を読んで趣味に合って、読んだときに面白いと感じたとしても、
案外、時間が経つと後には何も残ってないことがある。
1年後にしっかり思い出せるような作品は数少ない。
この作品は、面白いとは感じなかったけど、読んでから半年近く経った今も、
作品の空気やいくつかの場面を鮮やかに思い出せる。
文句を言いつつも、手放したくはないし、いつか再読したいと思ってる。

6 『俺と部長と大人のおもちゃ』 小中大豆
このタイトルがね…。主人公は奇行が目立つし、アホっぽいし。
まあコメディだし、これでいいかと思って読んでいたら、
この主人公、実はすごく努力家で人柄もいい。
気がついたら、すごく魅力的に思えていた。
暴走してしまいそうなキャラ設定、ストーリー設定なのに、
要所要所をしっかり押さえて、きっちりまとめてくる手腕が凄かった。

7 『愛しのいばら姫』 凪良ゆう
なんか最近、凪良作品、ことごとく趣味に合わないんだけど…。
もう読むのをやめようと思いつつ、スピンオフ元で今作の主人公が気になってたから、怖々読んでみた。
面白かった。印象に残る場面も多かったし、二人のキャラも魅力的だった。
ただ…、成人男性に女装させてウットリという趣味についていけなかった…。

8 『恋には金がいるらしい』 玄上八絹
素材は目新しくないけど、書き方がいつもちょっと面白い作家さん。
テンポがいいし、意外性もあるし、一気に読んだ。
ただ、恋愛はきっちり終わってるんだけど、二人が抱える問題が未解決。
ラブ抜きでもいいんで続編ください…!!と叫びたくなった、珍しい作品。

9 『初恋捜査(難航中)』 李丘那岐
面白かった。でも、ランキング外じゃない?とすごく迷った。
まず、主人公が学生のころと今ではキャラがかなり違う。
これは意識的に変えたという設定だからブレるのが正解。でも、違和感が!
ストーリーは飽きさせないし、面白い。でも、突っ込みどころが!
攻のキャラに魅力を感じない。でも、素敵なエピソードも!
面白いけど、思い出すとモヤモヤモヤモヤしてしまうという。うーん…。

10 『すみれびより』 月村奎
すごく面白いとか、読んで満足、というわけではなかった。
キャラもストーリーも地味で、印象に残る場面や台詞も思い出せない。
他にも10位の候補があって、どっちにしようかと結構迷った。
両作品を比べてみたときに、この作品の持つ優しい雰囲気を思い出して、
また読み返したくなった。
ああ、私はこっちの作品のほうが好きなんだな、と気付いた。
早いもので2014年も今日で終わり。

今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。

昨日、ようやく仕事納めだった。
今日は朝から大掃除して買い物して、夕方に帰宅。
息切れしつつ、毎年恒例のBL読書感想の総まとめを。
漫画をあまり読まなかったから、小説10冊、漫画5冊で。

※私が今年読んだものを選んでるだけで、今年の出版とは限りません。
※評価ポイントは、私が好きかどうか。まったく公平性はありません。

~BL漫画ベスト5~
今年は5冊選ぶのがやっと…。
読んだ作品数が少ないせいもあって、面白かった!と手放しで思えたのは、この5冊ぐらい。
これと思える作品には出会えなかった。
青井さんが2作品入ってるのは、作風が趣味に合うからだと思う。

1 『花とスーツ』 伊東七つ生
表題作がすごくよかった。(私の趣味に合った)
植物園みたいな、大きい公園も素敵だったし、クールなスーツ姿の上司受というのが好みにドンピシャで(笑)
蓮池はクールなのに、嫌味とか決して言わず、素直で真面目なところも好み。平岸も人懐こくて可愛い。…蓮池のほうが攻の平岸より少し背が高いような気がして、どっちなんだ?と最後まで悩んだ。平岸が可愛い顔で髭を生やしてるあたりも戸惑いポイント。髭受でもよかったけど(笑)

2 『百年結晶目録』 青井秋
美しい景色が繊細に描かれていて、キャラと一緒にゆったりとした旅を楽しめる。
一緒に旅をするなら、こういう人たちがいいだろうなと思った。静かな雰囲気の話だから、鉱物の図鑑を眺めているような感覚にもなる。優しい中にも悲しみや切なさがあって、結構、奥深い話だった。鉱石に数億年のロマンを感じるように、彼のこれからの百年にもロマンがあると思う。

3 『STAYGOLD』 秀良子
家族もので、群像劇という感じ。血の繋がらない叔父と甥。
主人公が中学生か~と微妙に思ったけど、いい男に育ちそうなお子様で。
恋愛対象にしたら、思いっきり犯罪ですが…。叔父さんがたまに色気あって、いいなあと。チャラい弟と無口な親友の関係も気になる。

4 『それでも、やさしい恋をする』 ヨネダコウ
面白かった。地味~にのんびり、ちょっと切ない話。
キャラも魅力的だし(モテるのも納得)、展開に意外性がないのが、逆に恋愛話に浸れてよかった。ゲイとノンケのカップルということで、「どこかで読んだような」典型的な話。けど、ありがちなものを最後まで飽きさせずに丁寧に描くあたりがすごいし、男同士だけど普通の恋愛という感じで共感しやすかった。

5 『君によせるブルー』 青井秋
短編集だけど、全体にきれいで静かな世界観。
優しい人ばかりだけど、楽園ではなく、辛さや切なさもある。表題作は高校生がピュアで可愛くて、ほわーっとする。素直でちょっと不器用で、大事に関係を育ててる感じ。友達がまたいい子で。脚本家の話は、一人の青年に出会うことで、永遠の命よりも儚い人の一生を選び取るというドラマティックな話なのに、穏やかで幸せそうでよかった。同僚さんが渋くてカッコいい。


~BL小説ベスト10~
漫画に比べれば、好みの作品に多く出会えた。
ただ、感動作はほとんどなくて、「まあまあ面白い」って感じ。3位以下は順番に悩んだ。
今年は「最後まで読むのが苦痛…」という作品の当たり年で、いっそ「ワーストランキング」にしようかと思ったぐらい…。
個人的には、高遠作品が少なかったのが残念だった。

1 『東方美人』 かわい有美子
十年ぐらい?刊行がストップしてた作品。東西冷戦中の西ベルリンにいる東側のスパイが主人公。
骨太設定で読み応え十分。その分、テーマが重すぎて読みづらくもあるけど、とにかくキャラが魅力的。アレクセイが謎めいて気まぐれに見えるサエキに惹かれていく気持ちがよく分かるし、サエキがアレクセイの優しさに癒されるのも納得。
2冊できれいにまとまって、長年待ってたかいがあった。

2 『灰とラブストーリー』 砂原糖子
ご当地もの。
灰との戦い?だけでもご当地ものとして面白いけど、職業ものとしてもよかった。
口の悪い久我山だけど、意外と素直にアドバイスを聞いたり、会社の同僚に親切にしたり、仕事熱心でいい奴だな~と。
それにしても、鹿児島の降灰がそれほどひどいとは知らなかったなあ…。

3 『汽車よゆけ、恋の路 ~明治鉄道浪漫抄~』 久我有加
時代ファンタジー。
神様が出てくるわりに、昔ながらの村社会が時代の波に押し流されていく様子や、土着の信仰が徐々に薄れていく過程がリアルに描かれている。
しっかりこの時代のことを調べてあって、読み応えがあった。

4 『nez[ネ] Smell and Memory』 榎田尤利
特殊能力サスペンス?
エダ作品では(私にとっては)よくあることだけど、キャラが好みじゃないんだよなあ。でも、面白くなってきたし、続きが楽しみ。

5 『王様、お手をどうぞ』 夕映月子
社交ダンス。
受の性格がさっぱりしていて好みだった。見た目も中身も日本人離れしていて、はっきり主張するけど、押しつけがましいところがないのもよかった。

6 『ロクデナシには惚れません』 李丘那岐
刑事もの。(先輩×後輩)
話のテンポもよかったし、事件と恋愛のバランスもちょうどいいぐらい。
なんといっても「憎めないキャラ」がよかった。欠点になってしまいそうなところが、愛すべきところになっている。

7 『虹の球根』 玄上八絹
『トイチの男』のスピンオフ。
素直で頼りない不思議ちゃんの話なんだけど、案外面白かった。
じっくり不思議ちゃんの生態(…)と生い立ちを描いてるし、絵に関する主人公の葛藤も重くならない程度に書かれていて読み応えがあった。意外性が用意されてるのもよかった。

8 『夢みるアクアリウム』 真崎ひかる
謎の男×家出くん。
主人公の家出がなんだか唐突に感じたけど、見知らぬ男と山荘に閉じこもって、少しずつ距離を縮めていく過程が楽しかった。水槽の中みたいな雰囲気がきれいだったし、ありそうでいて、今まで読んだことのない設定なのがよかった。

9 『潜入捜査~美しく淫らな男たち~』 松雪奈々
軽いノリの公安もの。
テンポがよくて、変に重くならないから、読みやすくてよかった。攻は軽い感じの男前で魅力があったし、なんといっても事件ものではオマケになりがちな受がきっちり活躍しているのが嬉しい。

10 『飼い犬に咬まれました』 李丘那岐
元ヤクザ×金貸し。
期待してなかったのに、面白かった。とくにキャラがいい。宗太は若いのに、しっかり自分の生き方があるところが凄い。金を貸す時の無茶な条件が…えげつないけど、納得できる。志賀はまったくワンコらしい可愛げがないけど、恋愛に関しては可愛いところもあるかも。
早いもので2013年も今日で終わり。

今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。

毎年恒例のBL読書感想の総まとめを。
今年は漫画をあまり読まなかったから、小説10冊、漫画5冊で。

※私が今年読んだだけで、出版年が古いものも混ざっています。
※評価ポイントは、私が好きかどうか。まったく公平性はありません。
※再読したいと思ったかどうかも重要ポイント。

~BL漫画ベスト5~
今年はそれほど冊数を読んでいないし、10冊も選べなかったけど、面白い漫画をいっぱい読めた。

1 『花は咲くか (4)』 日高ショーコ
いま一番続きを楽しみにしているBL漫画。とにかく蓉一が可愛い!
日常系の話をスローペースでじっくり読ませてくれる貴重な漫画。
庭の美しさと、スタイリッシュな画面も好き。人が大勢集まっているようなコマで線を崩して軽く見せる漫画が多い中で、この作品は人物の線をしっかり描くのも好き。背景白くて線がぼやけたコマが少ないから、クッキリきれいに見えるっていうのもあると思う。たぶん。

2 『幻月楼奇譚 (4)』 今市子
そういえば、この二人の仲はどこまで進んだっけ?…と思い出せなくて、つい1巻から読み返してしまったが、再読でもとっても面白かった。キャラも魅力たっぷりだし、安定の面白さ。とぼけた味わいなのに、時々すごく色っぽい。今回もやられた~~。

3 『リンゴに蜂蜜』&『彼のバラ色の人生』(2011/2、2012/5) 秀良子
普通にモテそうな男前なのに、ちょっとしたことでグルグル悩んで泣いちゃう夏樹も可愛いし、言動が軽く見えるコマノが彼なりに悩みながら、細かく細かくフォロー入れてくところがいい。宇宙人の癖に、包容力あるなあと感心する。コマノは夏樹のネガティブな部分をさらっと受け止めて笑ってられる。大人だからじゃなくて、相手の面倒くさい部分も含めて好きだから。いいカップルだ。

4 『明け方に止む雨』 草間さかえ
短編集。表題作がとくに好みだった。もう一つ物足りないような話なのに、雰囲気がすごく残る。短くまとめたからこそインパクトがあるんだと思う。
今すぐ読み返したいんだけど、しばらくしてからのほうが楽しめる気がして、あえて再読しないでいる。

5 『ステラリウム』 青井秋
丁寧で繊細な画風に合った、優しくて、おとなしいストーリーだった。画集を開くみたいな感覚で読む漫画。BLとしては物足りない部類だろうけど、漫画として読み応えがあった。
本棚の片隅に入れておいて、たまに思い出したときに再読したいような作品。


~BL小説ベスト10~
これでも新規開拓の努力はしたんだけど、結局ベテランの作家さんばかりに。
私の感性とアンテナが新しいものに反応しなくなったのか、新しい実力者が出てこないのか。
かわい有美子先生と高遠琉加先生に惚れ直した1年だった。来年は『東方美人』の続きが読めそうで楽しみ。
ベストに入れなかったけど、『HOLLY MIX』(既刊数作品の続編、番外編を集めた本)も素晴らしかった。

1 『甘い水1』&『甘い水2』(2011/10、2012/05) かわい有美子
警察寮のシリーズで、「SIT」の話。
1位に持ってくるには、出版年が今年じゃない…という葛藤があったんだけど、私は今年読みました。面白さ+好みで自分の気持ちに素直に選んだら、これが1位になった。結局、遠藤の軽いように見えて深いキャラが好きなんだろうなあ。
恋愛、仕事、心理描写、リアリティと暖かさのバランスが絶妙で、ページをめくる手を止めて考えさせられるストーリーだった。

2 『楽園の蛇』&『ラブレター』 高遠琉加
刑事ものでいいのかな。『神様も知らない』の続き2冊(完結)。
テーマは重たいけど、端折らず、流さず、真正面から書いているところがよかった。メインで出ているキャラが4人もいるのに、それぞれ個性が違って面白かったし。
高遠さんの持っている乙女系の部分が話に上手く噛み合わさっていて、持ち味を存分に発揮していた。きれいで切なく、ほろ苦い。余韻の残る話だった。

3 『光の雨-原罪-』&『光の雨-贖罪-』 かわい有美子
検事もの。「原罪」のほうは10年以上前に刊行した本の加筆修正バージョン。でも、続きの2冊目は今年の作品。続きを待ち焦がれるあまり、私の中では特別な作品になってしまった。
恋愛より仕事に割かれるページ数のほうが多いと思うんだけど、恋愛が付け足しになることはなく甘さも十分、どちらもガッツリ描かれていて読み応えがあった。素敵な恋愛ができてよかったと、祝福したくなるカップルで、待たされたけど、大満足。

4 『月の欠片』 佐々木禎子
事故から8年眠り続けて、意識を戻した主人公の話。
家族がいて友人がいて、たくさんの葛藤があって…。ドラマティックなストーリーなのに、なんて静かな雰囲気なんだろうと思った。抑制のきいた、落ち着きのある文章が心地よかった。
人によっては「淡々としていて物足りない」と感じると思う。でも、号泣の感動作品より、静かに浸れる作品のほうがBL小説では貴重かなと私は思っている。
少し切ないけど、暖かくて、また読み返したい作品。

5 『銀の雫の降る都』 かわい有美子
SFファンタジー。
世界観がしっかりしていて面白かった。引き取った子供の成長とともに二人の魅力が描かれ、少しずつ惹かれ合い、絆を深めていくところがよかった。盛り上がりもあったし、賛否両論なラストなのも小さくまとまってなくてよかった。
『マージナル』のオマージュ(パロディではないのに、読んでて『マージナル』を思い出した)になっていて、懐かしかった。

6 『蒼のかたみ』 尾上与一
戦争もの。スピンオフだけど、これ単独でも楽しめる。
ラバウルか…と読むのをためらう重たいテーマだけど、読みやすい書き方だった。戦争の悲惨さはきちんと語られてるけど、生々しさはなく、かといって美化もしていない。恋愛ものとしても面白いし、感動的な話で、キャラも魅力的だった。
今年のベストを選んでと言われたら、これを1番に挙げる人も多い気がする。

7 『恋愛できない仕事なんです』 砂原糖子
人気ドラマ『片棒』(笑)みたいに派手な活躍はできない刑事もの。
ずーっと仕事してる場面ばかりなのに、仕事より恋愛の比重のほうが高くて読みやすかった。…べつに仕事をサボってるわけではないです(笑)
ちょっと地味なところも、年下攻なところも好み。

8 『交渉人は休めない』 榎田尤利
交渉人シリーズの沖縄旅行編。
本編より兵頭と一緒にいる時間が長くて甘いんだけど、もう少し芽吹の交渉人らしい活躍も見たかった。あまりトークで活躍してないような…。このシリーズはこういう明るいノリのほうが好き。2巻までは何度か再読してるんだけど、3巻以降は重苦しくて読み返す気になれない。

9 『あいのはなし』 凪良ゆう
「誘拐犯」と成長した子供の再会話。
実のところ、それほど恋愛ものとして好きでもない(キャラが好みじゃないし、話も苦い)けど、読み応えがあって面白かったから、これはベスト10に入れておきたいな~と。
再読だと印象が変わりそうな気がするから、少し寝かしてから読み直してみたい。

10 『ウサギの国のナス』 松雪奈々
ウサ耳族の国に学生が迷い込んでしまうコメディ。スピンオフだけど、前作は想像がつくので(私の趣味じゃないから読む気はない)、こちらだけ読んでもOK。
とくに期待はしてなかったのに、思いがけず面白かった。トンチキ設定に笑いつつ、真面目な部分や甘さもしっかりあって、満足度も高かった。

HOLLY MIX

2013年11月3日 BL小説その他
蒼竜社 2013/10/30

Holly NOVELSの既刊数作品の続編、番外編を集めた本。

ネタバレ
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掲載順に。

『真夏の花』(尾上与一/『二月病』)
本編未読のため、パス。いつか本編を読むことがあれば、読んでみようかと。


『日月星、その後のふたり』(さとみちる/『日月星、それからふたり』)
正直、本編ラストは中途半端に感じた。恋愛未満で終わってしまったし、ブツ切り感が強くて、ここで終わらせるなら、もうちょっとパンチが欲しいと思っていた。
続編はそれが補完されたような内容。
まあ、この二人が恋愛関係に進むなら、こんな感じになるだろうな…というような話で、いい意味でも悪い意味でも予想通り。
実成が赤城を許して、好きだと自覚するまでの心情に理屈っぽい説明はないけど、無理なく理解できる流れだった。本編でヘタレだった赤城が、ヘタレなりに精一杯尽くす姿が見所かな。
私は実成にも赤城にも特別、共感も魅力も感じなかったけど、本編に思い入れのある読者なら十分楽しめたはず。


『間宮』(尾上与一/『碧のかたみ』)
ヘビーな本編に対し、こちらは気軽に楽しめる番外編。
これはこれで面白かったけど、できれば続編が読みたかった。ちょっとした読者サービスという域を出ていないというか。これが悪いわけではないけど、多少物足りなさがあった。
本編が切なく張り詰めた雰囲気だっただけに、本編と同じ時間軸の中に、このお気楽な番外編を組み込んで想像するのは難しい…。
続編なら、無問題だったろうけど。


『end roll』(木原音瀬/『リバーズエンド』)
→これだけ別立てで感想書いた。


『今日も愛してる』(安芸まくら/『明日も愛してる』)
本編がものすごく濃密だったから、続編で短編ってどうだろうと少し心配してたけど、短いのに驚くほど凝縮された内容だった。
本編の緻密さ、切なさを短く切り取りつつ、単なる繰り返しではなく、確実に時間が進んで新しい1日になっていた。12分毎に刻まれていく櫂の濃密過ぎる1日を、そのまま文章に起こした、というような書き方。
あとがきによると、本編を書いてから6年経過しているそうだけど、時間の経過をまったく感じさせない内容だった。
数年を経ても、作品世界を再構築して、入り込んでいけるなんて、作家さんというのは凄いものだな…と感心しきり。
どれだけ切ない思いをしても、決して離れない津田の一途さが泣ける…。
徐々に進行していく病状を考えれば楽観できる材料はないのに、読んでいて暗い気持ちにはならない。
辛くないわけではない。だけど、それ以上に櫂と一緒にいられることが幸せなんだと伝わってくるからだと思う。
相変わらず素敵な作品だった。
津田の視点だったことで新たな情報が加わったし、あとがきの「迷い中です」という言葉で、もしかして続編があるかも?と淡い期待を抱いた。
早いもので2012年も今日で終わり。

今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。

毎年恒例のBL読書感想の総まとめを。
漫画と小説に分けて今年のお気に入りを選んでいます。
あまり本を読まなかったので、10冊ずつに絞りました。

※私が今年読んだだけで、出版年が古いものも混ざっています。
※お気に入り度で順位がついてます。
※100%趣味で選んでます。とっても偏ってます。

~BL漫画ベスト10~
今年はそれほど冊数を読んでいないし、印象に残る作品も少なくて、読んだもののブログに感想を書かない作品が多かった。
結果、毎年変わり映えしない順位に…。
日高さんの『花は咲くか』の発売が年内なら、1位になったと思う。
山田ユギさんの新刊がないのは寂しかった。

1 『初恋のあとさき』 日高ショーコ
このシリーズが好きなので、楽しみにしていた新刊。
スタイリッシュな絵柄と不器用なキャラたちと流れのつかみやすいストーリー。
期待通りの出来だった。『嵐のあと』の続編が入っていたのも嬉しい。

2 『やぎさん郵便』 草間さかえ
まさかの「続く」だったが、面白いからいいや。
今回も社長の色っぽさにやられた。BLらしい楽しみ方ができたなと。

3 『憂鬱な朝 4』 日高ショーコ
勝手に完結巻だと思い込んでいたので、続くの?!と驚いた。
話もキャラの内面も人間関係も複雑で読み応えがある。
二人とも格好いいカップルってところも好み。

4 『今宵おまえと』 木下けい子
2章が2011年12月の刊行。リーマンもので親友。
木下さんの作品はそんなに読んでないけど、設定からいってこれが1番好きだと思う。
早く3章出ないかな。

5 『爪先に光路図』 青井秋
次回作への期待も込めての5位。背景好きとしては、背景を丁寧に描いてくれるだけで嬉しいんだけど、人物も素敵だった。すべてがスタイリッシュで、デザイン性を感じる絵柄。
ストーリーはおとなしめだから、次回はもうちょっと俗っぽい(笑)のも読みたい。

6 『いかさまメモリ 1』 夏目イサク
毎回毎回、受が可愛くて、好みだ…。デビュー作は絵柄がちょっとな…とか思っていたのに、気付けばすっかり(私としてはは珍しい)作家買いの対象に。

7 『500年の営み』 山中ヒコ
なんとなく、樹なつみの『OZ』を思い出させるテーマと世界観。でも、ああいう広がりはなく、あくまで主人公の恋愛というか、家族愛に近い愛情と孤独に焦点が合っていて、ちょっと切ない。

8 『空と原』 中村明日美子
原先生が好きなので嬉しい続編だった。なんか独特のペースで進む話。とにかく、カバー下の続きに期待してます。

9位、10位は該当作品なし。


~BL小説ベスト10~
面白い作品は結構あった。今年の新刊じゃないのも読んでるから、10冊に絞るのが大変だった。
けど、「今年の顔」みたいな作品には出会えなかったな~。
というわけで、今回は「T(タイ)」を使ったりして、我ながら「ひねくれてるな~」という順位のつけ方になっている。
※タイになったときの並び順は、私が読んだ順。

1 該当作品なし
昨年1位がエダさんの『交渉人シリーズ』だっただけに、どの作品も小粒感が…。
読者様として、激しく上から目線でコメント……。

2T 『ザクザクザク』 早瀬亮
これがこんな上位に来るとは、自分でも驚き。
いい作品だけど、設定は地味(日常系)で話題にはならないだろうし、読者の感情を大きく揺さぶるタイプの作品じゃないから。
けど、好感の持てるキャラと暖かい雰囲気で、面白い小道具を使って飽きさせず、細部まで目配りの利いた丁寧な書き方が素晴らしいと思った。読んでて、ほっとするような作品。

2T 『お菓子の家: ~un petit nid~』 凪良ゆう
久しぶりにキャラも話も好みにぴったりの凪良作品で、しかも力作。最初から最後まで、まとまりがよくてブレがない。感動的な話だし、奥行きも甘さもある。
ただ、正直なところ、少しだけパワー不足を感じてしまったので、2位Tに。

4 『法医学教室の美女と野獣』 うえだ真由
恋愛と、恋愛以外の要素の配合バランスがよかった。
軽くも重くもない展開、早すぎず遅すぎずというテンポ、なによりラストの甘さ。
読みやすくて、面白い。ベテラン作家さんは違うな~と感服した。

5 『水に眠る恋』 可南さらさ
これは2005年刊行のちょっと古い本。しっとりとした、甘く切ないラブストーリー。
途中は泣けて、最後は後味がよくて、いいものを読んだな~と大満足。
円陣さんのイラストも素敵だった。

6 『男の花道』 木原音瀬
クスッと笑わせるんじゃなくて、ゲラゲラ笑わせるようなパワーのあるコメディ。
オネエだけど男前の友晴というキャラがとにかく魅力的だった。

7 『ファントムレター』 砂原糖子
色物じゃない砂原作品。派手さはないけど、設定と構成が凝っていて読み応えがあるストーリーで、面白かった。
郷愁を誘う田舎の情景や、幼いころの思い出、現在の二人のぎこちない心理描写。
砂原さんのこういう作風、本当にいいな。

8 『狼と狐の夜』 高遠琉加
気になるところで止まっているシリーズもの2本を差し置いて、また新しいシリーズものがスタート。
「新シリーズより、前のシリーズの続きを先に出して!」と叫びつつ読んだら、これがまた好みに合う作品で。
高遠先生は罪作りだと思います…。

9 『erotica』 榎田尤利
BLではちょっと珍しい短編集。いろんなテイストの話が6本。どれも完成度が高くて、読み応えあり。さすが、エダさん。
ただ、悲しいかな、私の趣味には合わない作品ばかりで、確率1/6…。ロシアンルーレットか…。

10T 『リバーズエンド』 木原音瀬
すごく面白くて、1位にしようか迷ったぐらい。で、1位じゃなければ10位Tぐらいだろうと。
木原さん原作の漫画の番外編小説。表題作は木原さんらしい、どっぷり暗い借金苦のストーリー。続編は主人公の仕事の話。
小説としての質は素晴らしいけど、いっそすがすがしいほどBL要素が添え物っぽいのと、漫画も併せて読まないと作品として完成されないところが難点。

10T 『木犀荘に棲む永遠』 五百香ノエル
これまた古い作品。なんと1997年の刊行。派手なキャラによるボロアパートもの。
気軽に楽しめる王道設定てんこ盛り作品なんだけど、それだけに終わらない個性と厚みと奥行きのあるストーリーで、意外に骨太。読んだな~という満足感が大きかった。
冬の小説ディアプラス、とりあえず設定が好きそうな作品だけ拾って、半分読んだ。
残りを読めるか分からないけど(雑誌読む時間はなかなかとれない)、忘れないうちに感想を。


ネタバレ
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ディアプラスの掲載作はみんな文章がきれいで、読んでて気分がいいな~。
この文章力はディアプラス・クオリティーだと思う。

「恋はドーナツの~」 高校生バイト×ドーナツ屋店長
話はいつもの砂原さんという感じ。作品世界にどっぷり浸れる感じがいいなあと。面白かった。
舞台は『204号室~』と同じ?!と思ったけど、ちょと名前が違ってた。
惜しい!(笑)
鉛筆の彫刻は、ほんとすごいと思う。器用すぎる~。


「ココロに咲く花」 ホテル副支配人×フラワーデザイナー。
最近あまり趣味に合う設定で書いてくれなかったんだけど、久し振りに個人的な趣味にヒットする設定だった。BL界にはホテルでお仕事する花屋受が多いなあとか思いつつ。
攻の言動に笑わせてもらった。優しくて顔がよくて金があって、いつも笑わせてくれるなんて、素敵な彼だと思います!(笑)


「てのひらにひとつ」 大学職員(予備校の生徒)×大学生(予備校講師)
読み始めればすごく分かりやすいのだが、表紙に書いてあるキャラの説明でちょっと混乱した(笑)
相変わらず丁寧で読みやすい文章で、優しくきれいなお話。
その環境でよくいじけずに真っ直ぐ育ったものだという、健気な受だった。
攻はまあ変わった人という設定なんだけど、私生活でも一人称「私」のオヤジくさい32歳。42歳っていわれたほうがピンとくるような。

早いもので2011年も今日で終わり。

今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。

毎年恒例のBL読書感想の総まとめを。
漫画と小説に分けて今年のお気に入りを選びました。
あまり本を読まなかったので、今年は10冊ずつ。

※私が今年読んだだけで、出版年が古いものや新装版も混ざっています。
※お気に入り度で順位がついてます。
※100%趣味で選んでます。とっても偏ってます。


~BL漫画ベスト10~
毎年ベストに入れる漫画家さんの作品ばかり。偏りすぎてて、驚く。
そういえば、書店に某出版社のBLランキング本の順位が貼られていたが、見事に私の趣味とは合わない結果だった。予想通り。
(買ったことないから、投票方法を知らないけど。年間売上ランキングのほうが興味あるなあ)
私の選んだ10冊だってどれも有名だし、売れてるんだけど……。それなのに、なぜか世間様と趣味が合わないという不思議現象~。

1『花は咲くか 3』 日高ショーコ 幻冬舎 2011/12
いま一番好きなBL漫画。3巻も期待を大きく上回る面白さ。
展開がスローな分、脇キャラまで目が行き届いていて丁寧。
そして、日高さんの持ち味のスタイリッシュな画面も健在。

2『一生続けられない仕事 2』 山田ユギ 竹書房 2011/12
ここ数年、調子悪そうだなーという印象だったが、体調が悪かったとは…。
表題作は短いながらも中身が詰まっていて、恋愛ものとして面白くなってきた。
次回は主人公、もっと頑張れ~。
同時収録の他シリーズや読み切り作品も面白かった。さすが。

3『イロメ』 草間さかえ 新書館 2011/3
草間さん、どれにしよう…と悩んで、これを。
1巻がさらに面白くなるような続編で、すごいなーと思った。
キャラの魅力が上手く引き出されているなあと。

4『憂鬱な朝 3』 日高ショーコ 徳間書店 2011/05
これが4位?! 本当に?って自問してしまうほど、出来のいい漫画だと思う。
ちょっと重たくて読みづらいシリーズだったんだけど、話が動き始め、切ないばかりの話ではなくなった。3巻は扉絵も秀逸だった。

5『王様のベッド』 草間さかえ リブレ出版 2011/6
短編集。3作入っているが、それぞれ味わいが違っている。
田舎で合わせているせいか、不思議と統一感のある1冊になっていた。
色はバラバラだけど、色調が合っているコーディネートみたいな感覚。
かわいい話ばかりだったし、読後感が優しいところも好き。

6『長い間』 館野とお子 フロンティアワークス 2005/08
とにかく表題作が好みで。何が好きなのか説明しづらいけど。
普通の生活と、ちょっとじれったい大人の恋愛。静かな雰囲気。最高です。

7『その手の熱を重ねて 2』 富士山ひょうた フロンティアワークス 2011/01
実は、ストーリーはそれほど面白いと思わなかったんだけど。
地味な日常ものが好きな私にとって、こういう作風は貴重なもので。
ほのぼの系でも切ない系でもない日常ものってあんまりないし。
思い返すと、すご~く印象がよくて。

8『どこにもない国』 草間さかえ 茜新社 2011/9
年間10冊しか選んでないのに、草間さんは3冊目か…。
でも、表題作みたいな、重たい雰囲気なのにドロドロはしてない作品って貴重だと思うから、どうしてもベストに入れておきたい。
読んだ端から忘れていく王道(という名のありがち)より、心に残る作品のほうがいい。

9『運がいいとか悪いとか』 館野とお子 フロンティアワークス 2011/06
恋愛だけが描かれていて、派手な展開がないところが好み。
ラストはハッピーエンド!って感じではないけど、苦さはないし、納得できる。少~し引っ掛かりが残るところが、余韻になっているような。

10『帰らなくてもいいのだけれど』 内田カヲル 竹書房 2011/08
表紙に一目惚れして。決して好みではないのに、話が面白かったし、キャラがよかった。
最高!って感じじゃないんだけど、再読しても楽しめる作品だと思う。


~BL小説ベスト10~
苦もなく10冊に絞れてしまうぐらい、今年は読んだ冊数が少なかった。
いろんな作家さんを試してはみたけど、結局気に入るのは、もとから好きな作家さんの小説ばかりだった。

1『交渉人は愛される』 榎田尤利 大洋図書 2011/7
傑作シリーズの完結巻ということで、迷うことなく1位。
本当にクオリティーの高いシリーズだった。
シリーズのクライマックスとしては前作だったと思うけど、『~愛される』のラストこそが、二人の恋愛の区切りだったと思う。

2『吸血鬼と愉快な仲間たち 5』 木原音瀬 蒼竜社 2011/10
インターバルが長かったので心配していたが、見事に復活してくれて安心した。
個人的には、5巻がシリーズ最高の出来映えじゃないかと思っている。
でも、このシリーズはもうそろそろ区切りをつけてほしい。出来がよかったからこそ、新作が読みたい。

3『猫の遊ぶ庭』 かわい有美子 幻冬舎 2011/3
長いこと復刊を待っていたので、再読できて嬉しかった。
雰囲気(作品の舞台)のよさで、これを超えるBL作品ってなかなかないと思う。
イラストが変ってしまったのは残念だが……。

4『真夜中クロニクル』 凪良ゆう 大誠社 2011/04
個性的なのに共感しやすいキャラもよかったし、二人の成長や変化を焦らず丁寧に、しかも飽きさせないテンポと優しい目線で描いてるのがよかった。
凪良さんの良さが分かりやすく出ていたと思う。

5『恋で花実は咲くのです』 久我有加 新書館 2010/10
久し振りに久我さんの作品で当たりを引いた。
この作品のように、仲はいいけど、二人の関係にさっぱりした部分を残すっていうのが、ヘタレ×男前の久我カップルには合っている気がする。

6『神様も知らない』 高遠琉加 徳間書店 2011/11
まだまだ続きそうな作品なので未知数だが、続きをかなり期待させてくれる作品。
静かで優しい雰囲気と、暗い影と、筋の通ってそうなストーリー。
普段とタッチは同じなのに、カラーは変えてきました、という印象だった。

7『積木の恋』 凪良ゆう フランス書院 2011/10
痛い展開が待っているのかなーと思っていたら、わりとさらっと書かれてて、「この匙加減が凪良さん」って思った。趣味には合わなかったけど、続編のラストに感動したし、印象に残るシーンも多かった。

8『職業、王子』 砂原糖子 幻冬舎コミックス 2011/2
読んだときは、それほど好みでもないし…という感じだったんだけど、10冊選ぶために今年読んだ本のタイトルを並べてみたら、この作品は色々な場面が鮮やかに思い出せたので。
…砂原さんも、じっくり時間をかけてシリーズものとか書いてほしいな。

9『罪の海に満ちる星』 森田しほ 幻冬舎 2011/12
重たいテーマだけど、読みづらいほどの痛さや暗さはなく、描き方が丁寧で読み応えがあった。
劇的な展開ではなく、小さな積み重ねが心に響いてくる感じ。
続編は明るく甘めで、バランスもよかった。

10『恋愛小説は書けない』 雨月夜道 白泉社 2010/12
変人っぷりがパワフルに描かれ、笑える作品。
それだけじゃなく、甘さや切なさも適度に入っていて、読後感がよかった。
個性があって面白い作品っていいなーと。
いま大河小説に挑戦してるので、本の感想も書けず、日記ネタがない…。
(私信:一時的にサボっているだけですよ…、一過性の病ですとも)
というわけで、秋林さんが別宅で書いてらした「初心者にオススメBL小説10冊!」という、面白そうなお題を(勝手に…)お借りすることに。

「若い読者にとって、主人公は自分と同年代のほうが共感しやすい」と思う。自分が歳を取ってくると、自分の年齢が真ん中になって上も下も幅が狭まるので、わりとどの年代でも(キャラと自分の)ギャップを感じないで読める気がする。
だから10代の読者向けなら、高校生ぐらいのカップルが出てくる作品を選ぶんだけど、私自身が高校生カップルに興味が薄いから、今回は20代後半~の初心者さんを対象にしようかと。

わたしの場合、初心者向けの基準は「読みやすい」、「エッチ薄め」、「受が可愛い系orきれい系、素直なタイプ」、「攻はもてる」、「マニアックな設定がない」というところかなあ。あとは「受視点」ぐらい。
初心者が、これなら平気かな?と思えそうな作品ってことで。

思いついた順。
ちなみに、わたしの趣味に合わない作品も多数…。

『Missing You』 うえだ真由
わたし基準だと、うえだ作品は外せない。とくにこの作品は話自体が甘く切なく、可愛い系。しかも受は可愛らしい容姿と健気な性格、女性名ときて、初心者でも抵抗なく読めるんじゃないかと。


『上海』 かわい有美子
受攻両視点なので、これも感情移入しやすいかと。ドラマティックなラブストーリーなので、あんまり「BL」って意識しないで読める気がする。


『マイ・フェア・ダンディ』 渡海奈穂
コメディーだし、テンポがよくて面白いから。年下くんを教育して紳士にするっていう設定も、ソフトだけどしっかりBL色があって、BLっぽさに慣れるためには向いてそう。


『愛と混乱のレストラン』 高遠琉加
恋愛がのんびり進むから、入り込みやすいかなあと。ほどよく乙女要素が入っているあたりも読みやすそう。そして、これが気に入って別の高遠作品を手にとったとしても、「うわ~」と引いてしまうような作品がないことも、初心者に薦めやすいポイント。


『夜明けには好きと言って』 砂原糖子
『シンプル・イメージ』とどっちにするか悩んだけど、よりエンタメ系で受が美人系のこちらを。設定や展開に多少癖はあるけど、まあこれがダメならBLというジャンル自体、厳しい気もする。


『WELL』 木原音瀬
キャラが男同士であることなど、所詮は瑣末な問題でしかないと思い知らせてくれる作品だから。
これが大丈夫なら大抵のBLは大丈夫だから頑張って!
…まあ真面目に選べば(笑)、ソフトで読みやすい『恋について』あたりがいいような。で、次に『美しいこと』をお薦めするという計画…。片思いの切ない系は、はまりやすいんじゃないかな~と予想。


『エンドレス・ゲーム』 月村奎
優しくて可愛らしいお話なので、入りやすいはず。まあ月村作品ならどれもお薦め。候補を絞るのに、結構悩んだ。


『愛はね、』 樋口美沙緒
読んだことないけど(いい加減な…)、ある種の王道タイプだから。
泣ける系は素直なタイプの読者に一定の需要があるし、泣ける→感動→はまるっていう図式が成り立ちやすいから、初心者にも向いてそう。
…全然関係ないけど、この作品と同様「ノンケに片思いしているゲイの高校生が、その片思いの相手から他の男を紹介される」って設定の話を以前に読んだことがあるのに、どうしてもタイトルが思い出せなくてモヤモヤする~。誰の作品だっけ??


『First Love』 神江真凪
初心者向けと考えてみて、そういえば、と思い出した。
とにかく取り立ててケチをつけるようなところがない。強いて言えば、薄味。さわやかで可愛らしいお話なので素直なタイプの読者なら楽しめそう。


『ゆっくり走ろう』 榎田尤利
キャラ文庫のエダ作品は、設定にマニアックさも薄暗さもなくて初心者向けかな~と。
『はつ恋』もよさそうだけど、攻視点だし、受の年齢がちょっと高めなのが、もしかしたら読者を選ぶのかなあ?と。
早いもので2010年も今日で終わり。

今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。

さて、昨年に続いて今年もBL読書感想の総まとめを。
漫画と小説に分けて今年のお気に入りを選びました。
あまり本を読まなかったので、今年はBLだけ。

※今年2冊以上出たものはより面白かったほうの巻数を。
私が今年読んだだけで、出版年が古いものも混ざってます。
順不同、読んだ順。
※キリがないので再読は除外しています。ただし、出版年が今年の新装版、復刊は再読でも入れています。


~BL漫画ベスト12~
今年は小説より漫画の当たりが多かった。
なんか中途半端だけど12冊に絞り込んでみた。
この12冊以外の漫画も例年ならベストに入れていたかも?
一方で、私が山田ユギを1冊も入れない年がくるなんて…と残念なことも。

『その手の熱を重ねて(1)』 富士山ひょうた
優しくしっとり系、どちらかといえば日常系の富士山作品ということで、とにかく趣味に合う。
続きがとっても楽しみ。

『ターニングポイント』 高永ひなこ
キャラが趣味に合う。『きみが恋に~』の最終巻より、私はこっちのほうが面白かった。

『AMETORA―雨寅―』 依田沙江美
依田作品にしては受年齢が高めなので、必然的に趣味に合った。
ゴチャゴチャした設定&謎解きを丁寧に緻密に描きこんでいくあたり、依田作品の真骨頂。

『憂鬱な朝(2)』 日高ショーコ
台詞でもモノローグでもなく、表情で心理描写する作品。
もちろん文字でしっかり説明する部分もあり、漫画という表現方法を上手に使っているなあと。
展開はまだるっこしいぐらいで、じっくり読ませてくれる。

『美しく燃える森』 依田沙江美
依田作品のベストと思っているシリーズの最新刊。
やっと出ましたね、感無量です。夏モエが枯れ果てる前でよかった…。

『八月の杜』 TATSUKI
初めて読む漫画家さん。風景が上手い!
話も面白いけど、なにより味わいで読ませるタイプかなと。

『幻月楼奇譚』 今市子
相変わらず美しい絵にうっとりしつつ、ややこしい話に悩まされる(笑)
怪しげな事件が主軸なんだけど、しっかり恋愛が描かれているところもいい。

『花は咲くか(2)』 日高ショーコ
面白かった。ここまでじっくり描かれているBL漫画は少ないと思う。(たぶん大人の事情で展開を急かされるんじゃないかと想像)
絵は相変わらずスタイリッシュで、キャラは魅力的。いま1番続きが楽しみな作品。

『マッチ売り』 草間さかえ
あ~、すごい社長が好み! 時代設定も味のある背景も好み!
素敵な作品をありがとう、草間先生!

『遠い日の蝶』 宮城とおこ
絵柄が可愛いから敬遠していたのだが、あら案外キャラが趣味に合うかも?と思いながら読み進め、大満足で読み終わった。
昔付き合っていた二人が再会して~という王道ストーリーだし、意地っ張りキャラが好きな人にはお薦めしたい。

『兎オトコ虎オトコ』 本間アキラ
とぼけた味わいと、意外と純情な恋愛のバランスがいい。面白かった。
連載というより読みきり連作が多いBL漫画の中で(連載にするときは単行本1冊ぐらいの長さが多いような?)、珍しく続きものという感じがする作品で、読み応えがあった。

『真昼の恋』 草間さかえ
すみません、読む前から(ベストの)枠を用意してました。で、1年の締めくくりに読みました。結果、余裕で今年のベストに。
とにかく話が面白い、絵が上手い、キャラが魅力的。趣味に合いまくった。話に目新しい要素はないんだけど、草間さんの味付けがされているので、パターンだな、という感覚なく楽しめる。


~BL小説ベスト11~
年末に「今年の小説のベストは?」とお話しさせていただく機会があって、いろいろ考えたのだが、まずタイトルがほとんど思い出せなかった。
それもそのはず。復刊ブームで、ベストに入れたいような目新しい新刊タイトルがほとんどなかった。あれもこれも復刊で、再読ばかりしていたような。
…そういうわけで、個人的には驚くほど小説が不作だった。
新装版(復刊)を抜かしたら、10作も選べそうにないので、出版年が今年なら新装版も入れることにした。
ちなみに、いつもどれを落とせばいいのかと悩む木原さんだが、今年は1冊も入っていない。

『エリートは甘え下手』(『復活・プリンス宣言!』収録) 鹿住槇
表題作はまったく趣味に合わない学園ものなのに、同時収録のリーマンものがヒットした。
今年の作品じゃないけど、キャラが趣味に合って面白い作品って意外と少ないので、これはベストに入れたかった。

『好きで好きで好きで』 高遠琉加
復刊だけど、今年のベスト1。
甘く切なく、余計な要素が入らず、あくまで恋愛小説なところが好き。

『甘い運命』 高遠琉加
個人的な高遠作品のベストである、レストランシリーズの番外編。
『好きで~』がなければ、今年のベスト1に選んだはず(笑)

『上海』 かわい有美子
これも復刊。しっとりしつつ重厚な雰囲気が大好きな作品。
ストーリーも面白いんだけど、時代(舞台)とキャラがマッチしているのがとくにいいなあと。

『イノセンス―幼馴染み』 砂原糖子
これも復刊これも復刊。
私のBL趣味に合わないけど、名作だと思っている。小説として心に染みる。

『散る散る、満ちる』 凪良ゆう
いろいろな設定に挑戦している凪良さんだけど、読みやすく共感しやすい作品が多くて嬉しい。
今年はこれが1番心に残った。こういう日常系のBLが増えると私は嬉しい。

『疵 スキャンダル』 かわい有美子
あれもこれもそれも復刊。
かわいさんの痛い系。かなり理不尽な設定だけど、痛い分だけカタルシスもある。

『交渉人は嵌められる』 榎田尤利
『交渉人は諦めない』 榎田尤利
シリーズ全体の出来があまりにもいいので、毎年ベストに『交渉人』を選ぶのもどうなのよ、という理由で、あえて毎年2位に落としている(笑)
過剰なまでに膨れ上がった期待を裏切られない。素晴しい。…素直に絶賛してみた。
今後どういう展開になるのか、いまから楽しみ。

『御曹司の口説き方』 鳩村衣杏
これは「すごくいい!」ってほどじゃなかったんだけど、意外と面白かった上に、意外とキャラが趣味に合って、総合的に鳩村作品の中ではかなりの上位になった。
BLとして趣味に合った作品。

『鍵師の流儀』 中原一也
中原さんの作品の中ではかなり好きな作品。
趣味に合わない設定でも、話が面白くてキャラが魅力的なら、言うことなし。
大掃除をすませ、新しいカレンダーを壁にかけ、2009年も今日で終わり。

今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。


さて、昨年に続いて今年も読書感想の総まとめを。
漫画と小説を、BLとそれ以外に分けて今年のお気に入りを選びました。
基本的にBL読みなので、BLのほうだけ一言ずつ感想つき。

※今年2冊以上出たものはより面白かったほうの巻数を。
私が今年読んだだけで、出版年が古いものも混ざってます。
順不同、読んだ順。
※去年までは再読も入れていましたが、キリがないので今年から除外しています。


~漫画ベスト11~
今年は面白い漫画をいっぱい読んだので、選ぶのに苦労した。
結果、絞りきれずにサッカーみたいな数字になってしまった…。
続き物のタイトルも多いけど、私としては豊作~。
勝田さんは原作つきの『プリーズ、ジーヴス(1)』と迷ったんだけど、オリジナルを取った。

『20世紀少年』 浦沢直樹
『3月のライオン』 羽海野チカ
『群青学舎』 入江亜季
『百鬼夜行抄(18)』 今市子
『さよならキャラバン』 草間さかえ
『聖☆おにいさん(4)』 中村光
『幻想綺帖(二) 玉藻の前』 波津彬子
『のだめカンタービレ(23)』 二ノ宮知子
『リアル(9)』 井上雄彦
『ちくたくぼんぼん(1)』 勝田文
『鋼の錬金術師(24)』 荒川弘


~小説ベスト5~
あんまり小説を読まなかった……。こんなことじゃいかん…。

『絆―ニューヨーク1897』 柏枝真郷
『国境の南、太陽の西』 村上春樹
『封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ(5)』 霜島ケイ
『黒と茶の幻想』 恩田陸
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 吉田篤弘


~BL漫画ベスト10~
ベストにあげたのはどれも面白かったが、ベストの候補になるような作品が少なくて、私個人の趣味としては不作な年だった。
ベストというなら当然入っているべきというタイトルが入っていなかったら、それは単に読んでないだけかも…。

『恋姫』 門地かおり
短編連作×2本、プラス続編SSっていう構成なのに、この短さでこれだけの充実感。
詰め込んでいるわけでもなく、自然な流れの中で3人のキャラの心情をしっかり描いていて切ない。
漫画の出来として、すごいよなあと脱帽もの。

『憂鬱な朝(1)』 日高ショーコ
話もしっかりしてるけど、時代物の雰囲気が背景からも楽しめる作品。
くどくない程度に、くっきり鮮やかに仕上げた画面が好き。
年下攻ってところが、さらに好みで。続きが楽しみ。

『純情(3)』 富士山ひょうた
やっと完結~。ちょっとキャラが趣味に合わないんだけど、好みを度外視すれば魅力的だった。
もとから作風が好きなのだが、二人の関係をじっくり描いているこの作品は読み応えがある。
傲慢な攻に可愛げが出て、頼りない感じだった受のほうはカッコよくなったし、大満足。

『逆視眼(1)』 石原理
キャラもストーリーも、すべてが石原ワールドという感じ。かっこいい。
これまでの石原作品が好きな人ならマスト買いアイテム。
ただ…、完結してから一気読みのほうがお薦めかも?

『きみが恋に溺れる(2)』 高永ひなこ
続編として面白く読んだが、弓道シーンがまったくないのは違和感あったなあ。
これもまだ続くのかな。3巻も楽しみ。

『ディア・グリーン 瞳の追うのは(3)』 富士山ひょうた
長らく待たされた最終巻。待っててよかった!
切なさや、もどかしさもあるけど、ほのぼの幸せ気分もいっぱい味わえる作品。
時間をかけてじっくり関係性を築き上げていくところがよかった。

『人はなぜ働かなければならないか』 山田ユギ
山田ユギにハズレなし。
お久しぶりのオリジナルな新刊。
どうでもいいことだが、遠距離恋愛の二人はスカイプを使うとよさそう。

『猫の恋』 嶋二
微妙な言い方になるが、娯楽としてちょうどいい面白さ。
興奮や感動はしないけど、のんびり楽しめて、ちょっと甘い。

『きら星ダイヤル』 夏目イサク
夏目イサクの漫画では受の可愛さに身悶えることが多いのだが、今回は不器用な年下攻ということで、どちらかというと攻の可愛げのほうに焦点が絞ってある感じ。
だからエキサイティング(…)はしなかったが、面白くて気軽に楽しめる作品だった。

『花は咲くか(1)』 日高ショーコ
日高さんの漫画の背景が好きなので、話がつまらなかったとしても私は楽しめると思うのだが、キャラもストーリーも好みに合っていて面白かった。
まだ始まったばかりという感じなので、続きが楽しみ。


~BL小説ベスト12~
再読作品を除外したら、去年までのように15冊は選べなかった。
私にしては木原作品が少ないぞ、というのが今年の特徴かもしれない。
再読まで入れるなら、木原作品がプラス4作品エントリーするはず…。

『ブレイクアウト 美しい棘』 佐々木禎子
スピンオフで、しかも女王様受って感じなので、趣味に合わないかなあと思ったけど面白かった。
いつもの佐々木作品より話が濃くてスケールが大きく、読み応えがあった。
手堅い作品もいいけど、たまにはこういうのもいいなあと。続きが楽しみ。

『追憶の獅子』 unit Vanilla
ピンで活躍してくださいよ、と文句を言いつつ読んでいたシリーズだが、4冊目は文句なく面白かった。
BLでロマンス小説やると、なぜか異次元空間が出現してしまうことがあるけど(…)、これはしっかり最後までロマンスがあってよかった。

『彼の背に甘い爪痕を残し』 鳩村衣杏
出版翻訳代理店のエージェントという仕事を知らなかったので、職業ものとして面白く読んだ。
タイトルと表紙が、中身に合ってないのが残念。

『唇にキス 舌の上に愛』 高遠琉加
個人的に高遠作品のベストと思っている作品。書き方も個性を残しつつ癖が取れた気がする。恋愛だけでなく、レストランの話としても楽しめた。もう1冊スピンオフがあるらしいので、そちらも楽しみ。
この作品が、私にとっては2009年ベスト1。
もちろん「交渉人シリーズ」と迷った。「交渉人」がまだまだ続きそうなのに対し、こちらは完結巻だから、「今年の顔」的な意味合いでは「愛と混乱のレストラン」かなと。まああえて選べばという話だけど。

『交渉人は振り返る』 榎田尤利
このシリーズは巻を重ねても面白さが目減りすることもなくてすごいと思う。
これが榎田さんクオリティー。あまりに出来がいいので、誉める言葉が見つからない。

『ラブストーリーで会いましょう』 砂原糖子
受のズレっぷりを楽しみつつ、甘さや切なさもしっかり入っているのがよかった。
これは復刊なので、来年は新作をベストに入れたいなあと。
砂原さん、今年は新刊が多かったんだけど、私の趣味とは微妙にずれている作品が多かった。

『夜明けには優しいキスを』 凪良ゆう
重たい話を薄めず適度に読みやすくまとめてくれる凪良さん。
受、攻、当て馬の3者とも欠点を持ちつつ、ちょっとずつ成長を見せているところもよかった。
いい話を読んだなーと。
…感想を書こうとして思い出してみたら、当て馬の話ばかり印象に残っていることに気付いた。

『ホーリー・アップル ドードー鳥の微笑』 柏枝真郷
改めて感想は書かないが。好きだー。

『恋するピアニスト』 絢谷りつこ
作品の持つ雰囲気が好き。少~し浮世離れしたようなところが、題材に合っている。
漫画なら出しやすい雰囲気だと思うけど(雰囲気叙情漫画で終わってしまうことも多い…)、小説で雰囲気がある作品というとダーク系、執着系に偏っている気がするので、どちらでもないのに独特の空気があるのは貴重だなと。
キャラも好みだったし、甘さと切なさのバランスもよかった。

『はつ恋』 榎田尤利
主人公が高校生に戻って過去をやり直すという話も面白いし、恋愛の部分だけを切り取っても甘さ切なさがあっていい。ストーリーの流れより、心情の流れを重視しているところも好みだった。
キャラが長所短所合わせて魅力的。ダメなところもあるけど悩んで頑張ってるから共感しやすいし、ちょっとずつ成長してるところがよかった。

『月に笑う』 木原音瀬
中学生とかヤクザとか興味ないし…と思いながら読み始めたのだが、いつもながら引き込まれる文章なので一気読み。
下巻の帯に「俺が最後にすがったのは~」とあるので、ああ、どん底まで落ちるのね…と痛さを覚悟して読んだのだが、わりと読みやすかった。
読み応えもあり、ラブもしっかりあり、大満足。

『熱砂の罠に囚われて』 佐々木禎子
7月に1冊目が出ていて、これは続編。いいペースで出てるなあ。
受が向上心を持って働くアラブものというだけでも嬉しいが、キャラが好みなので面白かった。
難しいことをよく理解した上で諦めずに、相手を支えたい、相応しい人間になりたいと努力する姿がよかった。
『エロとじ VOL.2―b-BOYアンソロジー』
リブレ出版 2009/06

今年のうちに読んでおかねばという義務感で、別に頑張る必要もないのに、今日1日ですべて読み終えて、感想まで書いてしまった。
うう…、疲れた。
全体に1より地味だが、内容的には今回のほうが充実していた気がする。

ネタバレ。
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★評価は個人的な趣味でつけているので、これから読む人の参考にはならないと思う。


『大人のおイタ』中原一也 ★★★☆
36歳の幼馴染ということで、趣味に合うCPだった。
いつもの通り(?)AV、お道具、コスプレと揃っていて笑えた。
ちゃんとラブもあったし、面白かった。


『夜間飛行』かわい有美子 ★★★☆
時代、外国ものだから仕方ないのかもしれないが、服装と容姿の描写がくどい。
まあ軍隊もの(しかもナチス)だから端折れない部分ではあるんだろうけど、なんか説明が行ったり来たりして、整理がついていないような…。読みづらかった。
お得意のしっとりした雰囲気と美人受なので話は面白かったが、少し物足りず、長編で読みたい題材だなあと。
どうでもいいが、空軍のエースを女王呼ばわりするのは普通に考えれば侮辱だ…。本当に尊敬されてるのか?


『視線』藤森ちひろ ★★
生徒×教師は好きなんだけど、キャラに魅力を感じなかった。
受が淫乱になりすぎて色気を感じなかったし、脅迫されているけど実は…という設定も、粘着質な感じで萎えた。


『秘教の女神は蜜にまみれて』 いとう由貴 ★☆
イントロは道に迷ったところからでもいいような。なんか最初と最後が冗長でだれるなあと。
100人の候補の中から選ばれたという話はいくらなんでもとあきれた。毎月100人って暇すぎる。
しかも生涯続くって、3人揃って同じ趣味な上に、飽きもしないのだろうか?
そんなに魅力もなさそうな受なのに、若い子のほうがいいとかならないのか。
ところで神さまの名前を名乗っている3人だが、インド人としては神さまの名前をつけるのはポピュラーなことだそうだ。
単なる偽名だとよかったんだが。失礼だから…。


『好きだから。』夢乃咲実 ★☆
一人称「僕」、男子校、生徒会長、美少年。このキーワードが好きな人なら楽しいのかも。
厳しいなあと思って読みはじめたが、想像通りの作風で、ある意味読みやすかった。
受の実況中継は「!」が多くてちょっと笑えるが、ひねりがなさすぎて面白くなかった。


『人狼伝説・淫猥な罠に堕ちて』愁堂れな ★
この内容でタイトルに伝説とかつけられてもなあ……。
普通に学校に通いながら、目立たないためにクラスメートと口をきかないという受は悪目立ちしているんじゃ…。
あと学者だという攻の兄が、「諸君」などと言って助手を使っているのが滑稽でしょうがない。研究といいつつ、どう考えても生物学に関係のないことまで大真面目にやっているのもアホすぎて笑えなくなった…。


『離れられない』桂生青依 ★★☆
リーマンものだし読みやすいし、最初は楽しかった。
別れるって云われたからって、いきなりそんな変態的な要求をしてくる攻には驚くが、まあそれは「エロとじv」だからと思えた。
で、受が会社を盾に脅迫され、身を引く決意をしたのはいいとして、口止めされていた脅迫の件を喋ってしまうのが、別れたくないからっていう理由なのがちょっと残念。
そこは攻のためであってほしかった。そのほうが健気度が上がるし。
攻に苛められている間も、もうすぐ別れるんだっていう切なさにプラスして、攻の心情を思いやる描写が欲しかったなー。
あと、口を割ってお終いというのも、ちょっと物足りなかった。わりと趣味に合っていただけに残念。


『夏休み』夜光花 ★☆
うーん…。なんでこんなにこの兄弟は異常になってしまったのか…。
別に異常性がなくても、取り立てて男としての魅力もないし…。
話に筋がないし、独占欲のない攻は趣味に合わないのでつまらなかった。


『玉響に永遠を誓う』遠野春日 ★☆
あまり雰囲気のない中華風時代FT。
受を手に入れるために叛逆して皇帝になってみました、という攻はスケールが大きいようでいて器が小さい、つまらない男だ…。気位の高い元皇帝という設定の受も、とくにプライドや高貴さを感じないので、これまた魅力に欠ける。
結局両思いでしたっていうオチも、臣下の皆さんは超迷惑だろう。いつかこの屈辱を晴らすべく、奮起してもらいたい…。


『悪魔の証明』ふゆの仁子 ★★☆
ヤクザ×大学教授。なかなか凝った設定の話で面白かった。
短い話なのに、しっかり中身が詰まっているというか。
教授のキャラに奥行きがあるし、ラストもひねりがあった。


『淫夢』玉木ゆら ★★★☆
触手(妖魔)×山伏。なんで山伏??と思ったし、別に生い立ちを暗くしなくてもいいと思うし、村人に普通に感謝されながら妖魔退治に向かってもよかったんじゃないかと思った。
正直、触手ものにきちんとしたストーリーなんて期待していなかったので、無駄な設定だと勘違いしたんだけど。
でもそういう辛い経験が、孤独な妖魔との心の交流に繋がっていて面白かった。
…いたわりのある触手って設定にも驚いたし、それ以上にちゃんと話の筋と心理描写があることに驚いた。


『扉』花郎藤子 ★★
秘密クラブの調教もの。まあ趣味に合わない設定なので、最初から目が滑ったが…。
社員のことを考える社長は偉いのだろうが、なんだか会社の行く末が心配になった。
あと前振りが長すぎて、ちょっと退屈した。


『番舞』浅見茉莉 ★★☆
時代物。わりと好きな時代設定だし、キャラも好きだったので楽しめた。
ただ、わりとあっさり終わってしまうというか、イマイチ盛り上がらなかった。
別にこの話なら素直に愛を確かめ合ってもよかった気がするんだけど、それだとエロが不足するんだろうか?


『契約の対価』高尾理一 ★★★
馬主×騎手。
有馬、取れなかったんだよ!という個人的な傷口?を抉られる設定だった。…そんなことはどうでもいいが。
素直に気持ちを確かめ合えないものの、二人にラブがあって面白かった。攻がちょっと変態なのは「エロとじv」だからしょうがない。
受のほうに、仕事に対する思い入れがあるのがよかった。
あんまり雑誌は読まないけどなんだかんだいって結構買っているディアプラスの6月発売のをようやく読み終わったのでちょっとだけ感想を。


ネタバレもあるかも。
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特集とは書いていなかったが「ツン特集」だったのかもしれない。読んでも読んでも素直じゃない系の受ばかり。趣味にはぴったり合うんだけど、最後のほうはちょっと食傷気味になった。私、「○○特集」とかついたアンソロは読めないかも。
けど今回は好きな作家さんが多かったからか、久しぶりに雑誌で当たりを引いた。


『Don’t touch me』 一穂ミチ
冒頭で挫折することが多かったけど、初めて最後まで読めた。私には今までより取っ付きやすかったかな。キャラも好感が持てたし意外と普通に楽しめたけど(基本的に趣味に合わないもので、すみません…)ちょっとだけ硬いというか、甘さ控えめな感じだった。エロはなくてもいいんですけどね、掲載してる雑誌が雑誌だから。もうちょっとスイート(笑)がほしかったなあ。


『否認中のハオルシア』 うえだ真由
ももいろヘヴンの続編らしい。本編を読んでいないので、どうしようかと迷ったが読んでみた。珍しく年下攻。でも傲慢なわけでもないのに偉そうであんまり可愛くはない。受のほうは従順なのに素直じゃないみたいな、よく分からないタイプだった。というわけでキャラは好みではなかったが、面白かった。
けど、サボテンを育てるのが趣味で、将来アリゾナに移住するために貯金してるって……なぜそこまで熱烈にサボテンを愛しているのか、純粋な好奇心からかなり気になった。


『CHERRY』 月村奎
月村さんらしいCPだった。からかってくる包容年上攻×意地っ張りで余裕のない年下受。
受の大学生がカッコいいのにちょっと間抜けで可愛い。攻の気持ちが分かるなあという感じ。相変わらず可愛らしいし、爽やかな話で面白かった。
木下けい子さんのイラストがまた、カッコいい系だけど中身が可愛い受のイメージに合っててよかった。


『執務室は違法な香り』 篁釉以子
文庫のスピンオフらしい。
これは受がツンじゃなかった。…と思ったら、攻がツンだったようだ。たぶん。単に傲慢だったのかな?
受が素直天然童顔元気なドジっ子で「彼と一緒に働けるなんて夢みたいだ…!」とか、台詞の語尾が「…!」連発の熱いタイプだったし、文章も趣味に合わなかったから数ページで挫折した。というわけで、攻のタイプは確認できなかった。


『S課長の甘い憂鬱』 砂原糖子
ももいろヘヴン。Sって噂されてるツンな課長がMでした。温和でヘタレな年下彼氏こそがSでした、って話。Mな人の気持ちが分からないので途中はわりと厳しかったが、ちゃんとラブはあったし、話としては面白かった。まあ本人が喜んでるんだから、これでいいんでしょう。


『駆け引き無用』 渡海奈穂
世話焼き腹黒?先輩×田舎で甘やかされて育ったために人に傲慢で失礼な態度を取ってしまうツンだが、それを自覚して頑張っている受。
恥じ入りつつもなんだか、あっけらかんとした態度で自分の非を認めて反省する、なかなか素直な受が可愛かった。渡海さんらしい設定やキャラが随所に出てくるし、悩みもさりげなく重かったりするけど、癖が少なくて読みやすかった。テンポがゆっくりしてるので、ほのぼの感もあった。
萌えはなかったけど、面白かった。イラストも夏目イサクさんで可愛かったし。


『誰より何より愛してる』 久我有加
これも続編らしい。関西弁ヘタレ男前×ちょっと口の悪い強気受。
久我さんらしい話で、強気な受の男前な言動がよかった。元彼女はかなり感じが悪かったが、まあそれはたいした問題ではないので。いつもの久我作品が好きなら面白いんじゃないかと。…面白かったけど、本編は気にならなかった。


『DOOR』 ひちわゆか
これもももいろヘヴンの続編というか、スピンオフ。ノンケなのになぜか居酒屋でイチャついていたCPの話。これもツンではない。
頭はよさそうなのにボケている瀬ノ尾(推定受)が可愛かった。10年も生殺し同居をしていた永井(推定ヘタレ年下攻)はすごいなあと。面白かった!
イラストの門地さんのあとがき漫画に笑った。
今年もお世話になりました。
皆様、よいお年をお迎えください。

2008年も今日で終わりということで、昨年に続いて今年も読書感想の総まとめを。
今年読んでブログにメモした冊数を数えてみました。漫画は気が向かないとメモしませんが。

小説:126冊
漫画: 78冊

ちなみに去年は、小説141冊、漫画62冊だったので、今年は漫画の比率が高かったようです。

漫画と小説をBLとそれ以外に分けて今年のお気に入りを選びました。私が今年読んだだけで、出版年が古いものも混ざってます。
基本的にBL読みなので、BLのほうだけ一言ずつ感想つき。
順不同、読んだ順。今年2冊以上出たものはより面白かったほうの巻数を。

~漫画ベスト10~

『鋼の錬金術師(19)』 荒川 弘
『聖☆おにいさん(1)』 中村光
『あのこにもらった音楽』 勝田文
『片恋の日記少女』 中村明日美子
『のだめカンタービレ(21)』 二ノ宮知子
『flat(1)』 青桐ナツ
『百鬼夜行抄(17)』 今市子
『海街Diary(2)』 吉田秋生
『リアル(8)』 井上雄彦
『蟲師(10)』 漆原友紀

~小説ベスト10~

『犯人に告ぐ』 雫井脩介
『容疑者Xの献身』 東野圭吾
『夜のピクニック』 恩田陸
『ティファニーで朝食を』 トルーマン・カポーティ
『しゃべれどもしゃべれども』 佐藤多佳子
『ちんぷんかん』 畠中恵
『西の魔女が死んだ』 梨木香歩
『Caling(1)』 柏枝真郷
『ダンス・ダンス・ダンス』 村上春樹
『鵺子ドリ鳴イタ(4)』 霜島ケイ


~BL漫画ベスト10~
今年は日高ショーコさんにはまった年だった。
『同級生』はたまたま両作品とも今年読んで、どちらも好みだったので。

『同級生』 上田規代
ほのぼのしてて可愛らしく、面白かった。癒し系かも。

『リスタート』 日高ショーコ
かわいい年下攻とカッコいい受。話もテンポがよくて、適度に派手。かなり好み。

『嵐のあと』 日高ショーコ
絵がさらに洗練された感じ。背景がスタイリッシュで画面がすっきりしていて見やすい。
キャラはカッコイイんだけど、他人に手厳しいところやちょっとずるいところもあったりして、カッコいいだけに終わらないところに味があった。

『B級グルメ倶楽部(3)』 今市子
相変わらず、にぎやかでパワフルで楽しい。吉野が可愛かった。
大抵のコメディは、笑いとパワーの裏返しとして理不尽さや毒を含んでしまうけど、それが強すぎると面白くて笑っても後味がすっきりしないことがある。この作品も理不尽さや毒を含んでるけど、目線の優しさがあるから読後感がいい。

『同級生』 中村明日美子
個性的な絵柄に苦手意識があったのだが、読んでいるうちに好きになった。
話はわりと単純で読みやすく、雰囲気があってよかった。

『イロメ』 草間さかえ
やっぱり読ませてくれるなあと。年下攻が多かったし、とっつきやすく、ほのぼのした話が多かった。

『青春プレイバック』 嶋二
癖がなくオーソドックスな感じで読みやすい。新人さんなので次作にも期待。タイプは違うけど、私の中では夏目イサクさんの初単行本を読んだときの期待感に近いものがある。

『死ぬほど好き』 山田ユギ
山田ユギにハズレなし。

『どうしても触れたくない』 ヨネダコウ
「帯買い」したのだが、心理描写が丁寧でよかった。1冊でおさまっているのに濃密で読み応えがある。今後に期待できそうな新人さん。

『タイトロープ』 夏目イサク
幼なじみ任侠ラブ。ほんと、そんな感じでほのぼのとしていた。『どうしようもないけれど』の番外編も入ってるけど、どちらも受が可愛くて、ジタバタしたくなる。可愛い~~!


~BL小説ベスト15~
去年に引き続き、榎田、木原ブームといった感じ。そのわりに榎田さんのタイトルが少ないのは、私の榎田さんへの期待値が高すぎて評価が辛くなっているから、という特殊事情がある…。うえだ真由さん、佐々木禎子さん、砂原糖子さんも結構な冊数を読んでいるはずだけど、安定して平均的に面白いのでかえってこれというタイトルが思いつかず、どれも捨てがたいけど1冊ずつに絞った。
『ホーリー・アップル』は個人的な思い入れが強すぎるので別枠扱いにして入れなかった。

『言ノ葉ノ花』 砂原糖子
人の心の声が聞こえてしまうという変わった設定だが、特殊な状況での心理を丁寧に描写していて切なく、恋愛ものとして読み応え十分だった。他の部分では地に足の着いたキャラ設定なので共感しやすい。

『美しいこと(下)』 木原音瀬
今年のベスト1。
1月に早くも今年のベストが出ちゃったな、と読後に思ったのだが、年間を通してやはりこの作品以上に私の趣味に合う作品は出なかった。
木原作品にしては珍しくキャラも設定も好みだった。ヘタレ攻×女装受。
基本的には木原作品の王道パターンで話が進み、文章にもはっきり木原節が出ているわりに読みやすく、ふだんより恋愛中心のストーリーなので人にも薦めやすい作品。痛さより切なさが勝っていて、最後までハラハラさせられた。
とにかく松岡が魅力的。健気で一途で男前。素晴らしい。

『水槽の中、熱帯魚は恋をする』 うえだ真由
まず友達になって、そこから恋愛に移行していく過程が、しっとりした雰囲気でじっくりと描かれる。等身大というわけでもないんだけど、キャラが自然に感じられるのもよかった。最初は不気味だったアロワナにも最後には親近感が(笑)

『スローリズム』 杉原理生
同級生もの。この作者さんは文章やキャラが趣味に合わなくて苦手だけど、これは唯一面白く読めた作品。もともと私は地味でセンシティブな話が好きなので、主人公に共感さえできれば、読み応えもあるし好きな作風なんだと思う。

『南嵐』 松野たば子
ヤクザ×刑事のハードな展開の話。思いっきり苦手設定なのだが、受の西村があまりに男前受(しかも若過ぎない。これは重要)なので惚れ惚れしているうちに読み終わった。読者の妄想の余地のあるBLというところで評価が分かれそうだが、ハードボイルド系は妄想したくなるニア的ジャンルなので、私はこれでいいと思う。続き~! 早く続きが読みたい。

『ビューティフル・プア』 榎田尤利
趣味には合わないのだが、面白くて読みやすかった。作者がエダさんでなければ、かなり評価が高くなったはず。ちょっと惚けた感じの攻が結構好き。あとトンデモになりそうな設定なのにきれいにまとまっているのが読んでいて気持ちがよかった。色々な要素がおさまるべきところに、きちんとおさまる気持ちよさ、というか。まあとにかく、さすがエダさん。

『NOW HERE』 木原音瀬
オヤジ受は以前より増えてきていると思うが、これほどしっかり「オヤジ」の受も珍しい。40代なのに20代に見えるなんて云われると(しかも中身も乙女みたいだったりする…)、それオヤジにしてる意味ないじゃん、とガックリくるので、それだけでも楽しかったが、恋愛ものとしても面白かった。オヤジにどっぷりはまってしまった攻の一途さがよかった。

『恋愛犯―LOVE HOLIC』 凪良ゆう
初めて読む作家さん。ストーカー攻。やっていることはストーカーでしかないのに「純愛」として(読者とか受に)扱ってもらえる幸運なタイプではなく、正真正銘のストーカー。警察沙汰にもなってる。しかも記憶喪失もの。なかなかチャレンジャーな作家さんだな、と上から目線で読み始めたが(…間違ってる)、脱帽。読みやすい文章とどっしりした読み応えに加えて、読後感のよさがある。面白かった。次回作は下から目線で上目遣いに読ませていただきます。

『薔薇色の人生』 木原音瀬
痛いといえば痛いが、いろんな要素がバランスよく入っていて読みやすい作品。百田はヘタレでちっともカッコよくないけど、いい奴っていうキャラで、受の浜渦は真面目なしっかりもの。正反対のふたりだけど相性はよくて、なんかいいなあ~とほのぼのできた。
木原作品で「ほのぼの」って、なんかすごいなあと。

『明日も愛してる』 安芸まくら
切ない系で面白かった。読んでいて、「眠っていて目が覚めた瞬間、自分が誰で何をしているのかという情報をとっさに思い出せなかった」という経験を思い出した。BLでは記憶喪失ものは珍しくないが、記憶に関するテーマだからといってそんなことを思い出したのはこの作品だけ。読んだ端から内容を忘れてしまう作品も多いだけに、しっかりとした読み応えがあって、心に残る作品というのはそれだけですごい。
それほど趣味には合わないが、感動した作品。

『交渉人は疑わない』 榎田尤利
エダ作品のベスト。
代表作といえそうな、有名&人気シリーズは数多くあるのに、どうも私の趣味に合うキャラや設定の作品が少なく、いままで「エダさんといえばこれ」という作品が個人的にはなかったのだが、ついに登場したのがこのシリーズ。1冊目が面白かっただけに2冊目には過度に期待してしまっていたが、しっかりと期待に応えてくれたのが嬉しい。さすがエダさん。
合同誌での番外編も入手済み。ありがとう、我が友。

『正しい恋の悩み方』 渡海奈穂
居酒屋から始まり居酒屋に終わるリーマンもの。同い年で付き合いが長くて学生時代からずっと片思いしてるっていう設定も好き。渡海作品の中では比較的癖がなくて読みやすい作風だった。

『美女と野獣と紳士』 高遠琉加
高遠作品のベスト。
『愛と混乱のレストラン』の2冊目。1巻を読んだ時点で、これはかなり好きかもと期待していたのだが、2巻で個人的な「高遠作品ベスト1」に決定。『好きで好きで好きで』と甲乙つけがたいが、まだ完結していないこともあり、期待を込めてあえてこれをベストに選んでおこうと思う。
面白いし、文章もいつもより癖がなくて読みやすいし、キャラもそれぞれ魅力的。とくに理人が趣味にぴったりで、続きが楽しみだ。

『ミステリ作家の献身』 佐々木禎子
攻は作家だが、佐々木さんらしい地に足のついた設定で面白かった。高校時代に付き合っていた二人の再会ものというのが私のツボで。キャラの性格や言動に説得力があるところがいい。文章や構成が上手なので読んでいてとても安心感がある。読者の精神状態と関係なく楽しめる作品という感じ。

『恋でなくても』 真崎ひかる
再読作品だが、数年前に1度読んだだけなのにディテールまで覚えていて驚かされた。それだけひとつひとつの場面の印象が強かったということだと思う。とくに回想の入れ方がちょうどいいと思う。キャラ設定が好みではないのだが、小説として面白かった。
ひさびさに眼精疲労&肩凝り→頭痛に。昨日は朝から晩まで本を読んでたからなあ…。

ちょっとだけ夏雑誌の感想。
相変わらず、温くて読みやすい雑誌だ…。でも、今回は読むところが少なくて、あとは全部スルーの予定。

『恋は愚かというけれど』久我有加
結構キャラが好みだったし、読みやすかった。新鮮味はなかったけど、その分安定感があったというか。

『15センチメートル未満の恋』砂原糖子
色物…。いつもどおり面白かったし、キャラも好みだったんだけど、萌えみたいなものはなかった。

『君と、夢の/あとに』絢/谷り/つこ
初読みの作家さん。派手になりそうな設定、展開なのに、わりと地味。その分、丁寧で優しい感じの作風で読みやすかった。キャラもカッコよかったし、趣味に合う作品だった。

冬雑誌

2008年1月5日 BL小説その他
くさいって言われた。肩凝りの薬を塗ったら確かに自分でもくさい。でも二日ぶりに頭痛が治ったからいいや…。
年明けから今朝まで地味に頑固に続いていた胃痛もやっと治った。
ふー。相変わらず健康なのに薬づけ。

前々から雑誌は読んでも感想を書けないからつまらないなと思っていたのだが、日記に書くこともないので雑誌の感想を書いてしまうことにした。…感想が書けないのは、単にタイトルと著者名を書き写すのが面倒くさいからだが、頑張ってみよう。

小D(この略し方は間違っているはずだが愛用中)冬号適当感想。
ネタバレあり。

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うーん。あんまり雑誌を買わないから半分想像だけど、こういうBL雑誌は珍しいんじゃないかなー。「キス止まりのBL小説が読めるのは小Dだけ!」とかキャッチをつけてもいいかもしれない。

掲載順で。
「プリティ・ベイビィズ」 岩本薫
巻頭からスルー。いや、人がいっぱい出てそうだったから…。

「すきまのココロ」 渡海奈穂
今回は加速装置はついていなかったが、やっぱり癖が強くてついていけなかった。なんかこう…恋愛より描かれた歪みのほうが気になってしまう。
どうでもいいが大学生と高校生のカップルは年の差なのか…。若くないせいかその感覚が分からん。

「秋霖高校第二寮リターンズ」 月村奎
第二寮に波多野ファンの女の子が入るというあらすじで、なんかウザそうだと思っていたのだが、このメガネっこが意外に可愛いので、うっかりメガネっこに目覚めそうになった。踏みとどまって目覚めなかったが、作品はいつも通りに面白かった。

「イノセント・キス」 うえだ真由
苦手な年上攻、年の差カップル。(こっちは11歳差なので、言われずとも年の差カップルだと認識)
で、どうしようかと思ったが、最近うえだ先生が好きなので読んでみたら面白かった。趣味が狭い私は、こういう可愛いタイプの受を可愛く思えるのが珍しいので、ちょっと嬉しかった。甘い続編希望。文庫が出たら買います〜。

「あなたの色に染まります」(ももいろヘヴン) 久我有加
清純派?な雑誌の中で、ここだけ使っている紙もピンクだ。
年上強気男前受、と表紙に書いてあったので、ヘタレ攻も好きだし〜とうきうきと読んだ。うきうきした分の元は取れた感じ。ヘタレ君がもうちょっと成長したその後の話とか読みたいな。

次の読み切り小説。
スルー。知らない作家さんだから読んでみようと思っていたのだが、太陽と流星って…。そのネーミングはついていけない。

次の連載漫画。スルー。

「がまんがまん」 かずきあつし
うーん。自信家さんなんだから。

「タイミング」 新堂奈槻
本編のほうが趣味に合わず2ページぐらいで挫折したので、スルー決定していたのだが、私の趣味を熟知した友達に面白いからと勧められたので、えー?って思いつつ読んでみた。
ごめん、いつもの食わず嫌いだったよ。面白かった。無気力で一途な主人公がよかった。
結構エグいストーカーが出てくるのだが、主人公がさらっと流してしまうので、あんまり気にならない。あらすじを書いたらドロドロしそうだけど重苦しくないのがいいなあ。

次回は買うかどうか微妙だな。
今年もお世話になりました。
みなさま、よいお年をお迎えください。

今年も今日で最後ということで、せっかく通し番号を振ったことだし、読書記録のまとめをしようかと。
小説 141 作
漫画  62 作
今年は本を多く読もうと張り切ったので、例年より冊数が多いような。
とりあえず小説120冊の目標は達成できたので満足。
漫画は思っていた以上の冊数を買ったけど、読む気力がなかなか出てこなくて、多いのか少ないのかよく分からない結果に。

2007年のお気に入り。
私が2007年に読んだというだけで、古い本も混じっている。
読書傾向が偏っているので(…)漫画、小説、BL小説に分けて選んでみた。
BL小説はまだ語りたいので簡単な感想つき。
後ろの番号は私が読んだ順番なので、あんまり意味はない…。

〜漫画ベスト10作品〜
再版で再読の『誰にも愛されない』も面白かった。
それと『海街diary 1 蝉時雨のやむ頃』が次点ってところかな。

『くいもの処明楽』 ヤマシタトモコ 13
『ディア・グリーン 瞳の追うのは』 富士山ひょうた 21
『セルナンバー8』 石原理 23
『幻月楼奇譚 2』 今市子 39
『Daddy Long Legs』 勝田文 40
『レディー・ヴィクトリアン』 もとなおこ 44
『きみが恋に溺れる』 高永ひなこ 46
『百鬼夜行抄 16』 今市子 51
『どうしようもないけれど』 夏目イサク 11 54
『リアル 7』 井上雄彦 55

〜小説ベスト5作品〜
BL以外の本はほとんど読まなかった…ので10作も選びようがなくて。
『ブレイブ〜』は繰り返し読んだので1ヶ月かかった。

『ブレイブ・ストーリー』 宮部みゆき 1
『グレート・ギャツビー』 スコット・フィッツジェラルド 訳:村上春樹 14
『海辺のカフカ』 村上春樹 30
『封殺鬼鵺子ドリ鳴イタ』 霜島ケイ 37 97
『ライバルvol.3 北風と太陽と』 柏枝真郷 118

〜BL小説ベスト16作品〜
2007年はエダ、木原作品で埋め尽くされた。
もちろん本棚のスペースも埋め尽くされた。
職人芸のエダ先生、力技の木原先生というのが私の印象。
今年の新規開拓が佐々木禎子先生だけっていうのはちょっと寂しい。
トーナメント戦の結果みたいな中途半端な冊数なのは15冊に絞りきれなかったから。どれもいい作品で削れない…。

『交渉人は黙らない』 榎田尤利 13
 読みやすくてテンポがいいし、なんといっても受の芽吹が面白い上にカッコよかった。
 再読したらさらに気に入ったので、上半期に読んだ作品の中ではこれがベスト1。
 来秋の続編がとにかく待ち遠しい。

『ハンサムは嫌い。』 榎田尤利 28
 珍しくキャラが攻受ともに私の趣味に合ったエダ作品。
 職業ものとしても楽しめ、脇キャラまでいきいきしていてよかった。
 美容師という仕事を見直してしまった。

『透過性恋愛装置』 かわい有美子 31
 キャラがちょっと趣味に合わなかったけど、話として面白かったので。
 ストレートに恋愛ものとして楽しめるストーリー。タイトルと表紙も好き。
 建物(とくにマンション)好きな私にはたまらない設定だった。

『ヤクザとネバーランド』 砂原糖子 32
 庶民派?ヤクザもの。ヤクザものとして相当珍しいと思われる組長受。
 地味だが意外性もあり、受のさっぱりした性格が気に入った。男前受が好きだ。

『普通の恋』 榎田尤利 44
 普通、普通と言葉にこだわるあたりがちょっとうるさいが、リーマンものとしてリアリティがあって面白い。
 受が大人の男性としての可愛らしさを持っているのがよかった。

『牛泥棒』 木原音瀬 49
 BLとは思えないタイトルに驚いたが、読んだら妖怪もので二度驚いたという作品。
 珍しく攻受ともに分かりやすい魅力を持っていて、痛みなし、心理描写はさっぱりめ。木原作品としては比較的読みやすくライトな作風。
 キーワードは褌。ありきたりではもう満足できない、褌上級者向け。(←参考:モエダン)

植物シリーズ『WEED』、『FLOWER』、『POLLINATION』 木原音瀬 52 53 54
 新装再版本。あらすじを読んで、絶対趣味に合わない、無理!と思ったんだけど…。
 はまりまくってどうしようかと…。ここだけの話、鬼畜攻の帝王・谷脇が大好きだ。
 鬼畜攻を気に入ってしまうなんてとても不本意で、私のアイデンティティーは軽くクライシス…。

『SASRA』 Unit Vanilla 61 62 68 69
 企画もの。有名作家が集まっているし、BLとしてはわりと異色な作品もあって読み応えがあった。
 もはやタブーになっている(?)悲劇を扱っているところが面白い。
 作家当ても面白かったな。

『神さまに言っとけ』 榎田尤利 72
 ヤクザが主役の現代FT。ほのぼの感の中に現実の重さや理不尽なところもきちんとミックスされている。
 ネタバレになるので詳しく書けないが、ラストが秀逸。
 エダ作品の中では地味な内容で、恐らく人気も評価もそう高いものではないが、私にとってはお気に入りの1冊になった。

『吸血鬼には向いてる職業』 榎田尤利 88
 マンガ家シリーズ唯一のマンガ家攻、黒田瑞祥先生×熱血オタク編集者。
 基本は笑えて笑えて暖かく、ちょっとしんみり、の絶妙な配合がお見事でした。

『砂塵のかなた』 佐々木禎子 90
 アラブものを初めて最初から最後まで読み通せた!
 アラブものなのに、受に人格と人権と能力と責任感がある。もうそれだけで素晴らしいが、権力より自己の資質で魅力を発揮する攻が、受を仕事上でも認めているところがさらに好き。

『ロマンスの黙秘権』 うえだ真由 57 76 103
 弁護士もの。俺様でカッコいい攻と生真面目で天然な受の対等な関係がよかった。
 あと7冊ぐらいお付き合いしたかったのに、終わってしまって残念。
 (同人誌で出ている続編はゲット済み♪ ありがとう、我が友)
 深見は年間1位のお気に入り攻キャラ。とっても素敵v
 谷脇と黒田先生も好きだけど、うっとり乙女な気分にはならないじゃないですか…。

『美しいこと(上)』 木原音瀬 126
 女装リーマン受、冴えないヘタレ攻。木原作品の王道ストーリーで痛切ない。受の松岡がかなり健気でカッコいい。
 木原節がきいていて、なおかつ読みやすいんだから、待ってました!という作品。
 普段なら最後まで読んでいない作品は評価対象外だが、これは上巻だけで迷わず高評価をつけた。
 木原作品なのでこの先どんな落とし穴が待ち構えているか怖いけど、続きがものすごく楽しみだ。

『最後のテロリスト』 谷崎泉 130-132
 厚みのあるハードなストーリーとテンポのよさ、個性的なキャラがよかった。
 個人的には趣味に合わなかったが、一気読みさせられるパワーがあったし、読後に残るものがある。
 ライトなだけ、甘いだけがBLじゃないと思わせてくれる作品。

『恋になるなら』 渡海奈穂 134
 地味なセンシティブ系が大好物なので、外せない1冊。イラストが富士山ひょうた、というのも嬉しい。
 渡海作品は癖が強くて私には読みづらいこともあるが、これはキャラやストーリーのバランスが取れていて読みやすかった。
 商業誌では避けられる傾向にある(と思われる)ビタースイートなのもいい。

『帝都に秘めた華の咲く』 佐々木禎子 136
 好き嫌いの多い私が、どんな素材であっても安心して読める作家さんの遊郭もの。
 発売前から楽しみにしていたが、期待にプラスアルファをつけて応えてくれた。
 描写にさりげなく織り交ぜられた鋭いリアリティは、どちらかといえば大人向けかな。
感想を書くためにBL雑誌を1冊読みきった。普段は趣味に合いそうな設定の作品を2作ぐらい拾い読みして捨ててしまうのだが、気合を入れれば読めるものだなあと。

Ch//ara//de 2007年 11月号 雑誌 二//見書房

ネタバレ
ないと思うけど、一応。

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『愛と混乱のレストラン』 高遠琉加
前編を読み終わったときは期待値が大きかったんだけど、意外と趣味に合わないキャラだった。でも最後まで読まないと面白いかどうか判断できないから、文庫になったら買うと思う。
風邪を引いたらミルクセーキだよねー。
★★★☆
『マグロのススメ』 結城一美
これならマグロ漁船もののほうがよかったな。…読んだことないけど、何号か前に載っていたなあと。
単に私の趣味に合わないだけで、こういうタイプのキャラと話が好きなら楽しめそう。
★☆
『あまよのつき』 角田緑
連載の途中で何度かスルーしたので判断は保留だが、たぶん物足りない。

『ゴールデン・アワーズ・ショウ』 山田たまき
攻の鳴瀬が気に入ったが、要素が多すぎて恋愛ものって感じがしなかった。鳴瀬というキャラの成長だけに焦点を絞っているなら、これはこれで面白かったと思うけど。あと黄金時代というにはちょっと充実感が少なかったなあと。あ、黄金時代の幕開けって意味なのかな。
いい感じに重ための作風なので設定が上手く趣味に合えば好きになれそうな新人さんだが、たぶん私の趣味とはどこまでいっても平行線。
★★☆
『週刊ダイヤ主水』 あくつめい太
単行本にならないかなー。毎回楽しみにしていたのに。
★★★☆
『あの日、君に言えなかったこと』 可南さらさ
いままで読んだ作品より文章が読みやすかったし、キャラもよかった。結構好きだなー。
★★★☆
『圭司と十三君』 長尾沙紀
オチがオチていないようで、どうもなあ。

『三百年の恋の果て』 海野幸
受は青年と書いてあるのに言動もイラストも小学生ぐらいにしか見えなくて辛かった。まあどっちにしても狐は守備範囲じゃないが。
これは神主カップルの話のスピンオフなのかな。
★★
『満月の欠片』 不破桐子
うーん。弟のキャラが弱いような気がするが、趣味の問題か。
兄のほうが気に入ったので、星半個追加。
★★☆
『恋人はバカ』 桐生らん
攻はまったく趣味に合わないが、攻のキャラで成り立っている話だから仕方ない。受は結構好きだし、面白かった。新人さんなので、次作も読んでみたい。
イラストがなあ…。ノンケに見えないというか……。
★★★
Ch//ara//de 2007年 11月号 雑誌 二//見書房 2007/09/29

休刊は残念だ。結構買っている雑誌だったのに。
休刊前の最終号なのに看板作家が落としていたのはちょっと寂しかったな。もう一人の看板さんも書いてなかったし、高遠さんだけでも載っててよかった…。
ひそかに「週刊〜」のファンだったので、休刊するなら1冊にまとめてくれないだろうか。
そういえば休刊のお知らせのようなものがどこにも出ていなかったような…。まだちゃんと読んでないから見逃したかな。
朝6時から起きて『エロとじv』をコンプリートしてしまった。1作読み終えるごとに目次を開いて何作残っているのか数えながら、とうとう制覇。はー。疲れた。でもすごい達成感(笑)
感想は書かないつもりだったが、記念碑として書き残しておきたい気分になった…。

完全ネタバレ

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好きなものを先に読んでしまってから他の作品に戻る勇気がなかったので、掲載順に読んだ。
英田サキ、木原音瀬、榎田尤利以外は初めて読む作家さん。和泉桂は『SASRA』で読んだけど、読んだって自覚できないので…。

鬼塚ツヤコ 『痴漢電車』
これに「初めての」ってつくタイトルの作品なら本屋で見かけたことがあったが、わりと人気のある?シチュなのに、そのままか。決定版的なタイトルだなあと思った。
十数年ぶりの再会でいきなり痴漢、しかも脱税。ご立派に成長してくれて百年の恋も冷めそうだが…そうでもないらしい。
どうでもいいことだが、電車内で自分も興奮していた攻はラストで涼しい顔をしているが実は大変だったんだろうかとか、つい考えてしまった自分がイヤだ。
★★(キャラ設定が好み)

南原兼 『バッドステータスv発情中』
初南原作品。いつもタイトルだけで驚かされていたが、ついに。
「それにしても悪夢のようだよな?」の台詞に、悪夢っていうか……と言葉を探してしまった。私の趣味に合わないというだけで、やんちゃな猫耳で、これはこれでいいんじゃないかと。
★☆(読後感がいい)
 
水上ルイ 『媚薬』
手軽に(抵抗なく)読める時代物。長さの割りに雰囲気があってよかったと思う。年下攻で、受が才覚を見せてくれると好みだった。
★★★(普通に面白かった)

英田サキ 『兄貴とヤス』
受がものすごく好みだったが、攻はそうでもなかった。(英田作品共通感想)
キャラ萌えして、カップルがその後も上手くいくといいと思った作品は13本中、これだけ。つまり恋愛ものとして楽しんだのはこれだけ。
★★★★
 
水戸泉 『蜜月メイド』
あまりにも趣味じゃないので、だんだん目がうつろになってきて眠くなった。でも受がメイドから犬になったので、びっくりして目が覚めた。ラストで「そんな破天荒な話」といわれて、この作品内でもこれは破天荒だったのか、と驚いた。

 
木原音瀬 『鈍色の華』
これが一番読み応えがあって面白かった。小説を読んでいるという満足感が一番あったというか。とにかく吸引力があった。
BLって恋愛小説じゃないのか、と思ったりしたが、ラブはなくてもエロはあるので、エロとじv的にはこれでいいはず…(?)
話の中で実は一番居たたまれない立場なのは社長じゃないかと思っていて、ひっそり社長をプッシュしていたら、ラストでいい感じに(笑)
萌はないが、なんとなく鶴谷が気に入ってしまった。
★★★★☆(半個落とすのに葛藤があったが…趣味に正直に)
 
和泉桂 『隷従の檻』
そもそも監禁には嫌悪感しか持てない上に、受が一方的な被害者じゃないところで同情もできず、ただただ読みづらかった。苦手。
☆(とにかく趣味の問題で)
 
榎田尤利 『クリスタル』
趣味じゃないが、小説として面白い。(榎田作品ほぼ共通感想)
攻は好きだが、受はちょっと…。ネタも苦手だし、この文章じゃなければ読むのが辛かったかも。読み返したくはないが、満足度はかなり高い。
★★★★ 

斑鳩サハラ 『貴人たちの後継儀式』
兄弟の父親はやっぱり儀式の経験者なのだろうか。だったら子供たちにもっと優しくアドバイスしてやれよ、とわけの分からない感想しか持てなかった。
腹違いの弟が双子なのは何か意味があるのかと思っていたら、単なる双子萌? それとも1人より2人のほうがビジュアル的にも効果があるから?


山藍紫姫子 『多岐川肛門病院の秘密』
四字熟語がうるさい。まったく趣味に合わないが、読み応えはある。ラストは面白かった。
★☆
 
あすま理彩 『華麗なる賭け』
身長180センチ越えの受。そこにちょっと惹かれたが、それだけだった。攻っぽい要素はまったくない。食事の前まで好きだった相手が他の男と寝ていても反応が鈍いし、なんだかなあ。

 
あさぎり夕 『縛めの白薔薇』
庶民の私にはなぜそこまでして屋敷を守りたいのか、理解できず。人に売り渡して観光客を入れてる時点で、もう自分のものではないような。両親や祖父母だってそこまでして屋敷を残して欲しいとは思わないんじゃないだろうか……、むしろ燃やしてくれたほうが思い出も美しく残るんじゃ…。
時代ものにすればよかったのに。
★ 
 
雪代鞠絵 『可愛くて、可愛くて。』
二人とも好きっていうのは納得だ。そんなに違いが分からない。


こんなに苦労して読み終わっても、カウントは1冊。3冊分ぐらいに数えたい…。
(小説63)
正直なところ、日記に書くことが何もない。
なので、最近1日1冊ペースで読んでいるBL限定読書日記。
(ある意味、もっと本を読もうという目標は達成できているかも?)
基本的にネタバレありで。

『お願い!ダーリン』(1)(2) ひちわゆか 幻冬舎ルチル文庫
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今田の暴走マシンガントークがとにかく面白かった。
たまに…あまりの頭の悪さに笑えなくなる箇所もあったが…。
こんな今田と付き合える相原は男前だと思う。
あんまり男前なので、秋山にしとけ、と身も蓋もないことを思ってしまったり。
まわりのキャラも楽しいが、中でもお気に入りキャラは秋山嬢(名前合ってるだろうか…)なので。
書き下ろしの10年後の話は、正直…ないほうがよかったな。面白かったんだけど、コメディだから、しんみりしなくてよかったのになあ。

『斜向かいのヘブン』 砂原糖子 新書館ディアプラス文庫
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なんだかちょっと変わってるけど、羽村は好みのタイプだし久條もいい人そうだし、なんといってもスーツだ。
これは好きそうな話だと思っていたら、うーん、吸血鬼は小道具じゃなくてモチーフだったのか…。普通のリーマンのほうが好みだったなあ。
とはいえ、恐ろしい設定のわりに話自体は普通目。多分。
久條のこれからの苦労がしのばれるが、読んでて楽しかった。
早く羽村が常人になってくれないかなあと思ってしまうのは、間違ってるでしょうか?
というか、いくら不死身だからって痛覚があるのに。傘が線路に落ちたぐらいで、電車に飛び込むのはどうかと思うな。

『モニタリング・ハート』 うえだ 真由 ディアプラス文庫
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最初に雑誌で第1話を読んだときは、ちょっと寿のダメっぷりがいたたまれない感じで、受け付けない話だと思ったんだけど。
2回目のせいか感情移入が弱まり?わりと楽しく読めた。
別にそういう趣味はないのだが、いつリバるんだろうとずっと思ってたら、特にそういったこともなく終わってしまい、あれ〜?って。確か雑誌掲載時にイラストレーターさんが?リバ希望みたいなことを、あとがきに書いてたから、あると信じてました…。
桐野は最後までかっこいいとは思えなかったけど、寿は男前で好き。
どっちかというと好きなキャラには受でいてほしいので(そんな大雑把な…)、そのまま終わってくれてよかったなあと。

『わけも知らないで』 久我 有加 新書館ディアプラス文庫
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哲哉は面白いキャラだったが、遠山はちょっと物足りなかった。
まさか標準語キャラだからか?!
そんな理由だけではないと思うが…哲哉の視点の話のほうが断然面白かった。
本人視点だとせっかくの美貌がいかされないせいかも
まあ、そんなことはともかく、設定の割りにほのぼのしたカップルで楽しく読めた。パン屋さんとかバーのママとか、まわりの大人もいい感じだったし。
哲哉視点だと「関西言葉」、遠山視点だと「関西弁」。そんなこだわりがなんだか面白かった。

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他にも読んだ気がするけど、これだけだったかなあ。うーん?
というか、全部お借りして読みました…。
ありがとうございます♪

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