KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014/04

佐々木さんの作品は読みやすくていいなあ。

ネタバレ
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双子が可愛いし、全体にほわっと優しい感じだった。文章も読みやすい。
航の21歳児ぶりには、もうちょっとしっかりしてても…と思ったけど、そんな兄を可愛がる弟とセットで考えると、これもいいかも~。
双子入れ替わり話の最大のツッコミどころ(?)「友達に協力してもらえば?」という点にツッコミがしっかり入ってるあたり、佐々木さんらしい。キャラはほわほわしていながらも、作者が手綱をがっちり握ってて、話は地に足がついてた。こういうところが佐々木作品の読みやすいところ。疲れてるときに読んでも、話に入り込みやすいというか。
二人が惹かれ合う過程は短いながらも印象的で、好きなる気持ちがよく分かった。

弟のスピンオフも読みたいなあ。
アスキー・メディアワークス 2013/08

いつもの佐々木さん。

ネタバレ
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ヤクザと作曲家というキャラ設定のわりに、ちょっとおとなしいストーリーで、まったく破綻がない丁寧な書き方。ああ、佐々木さんだな~というクオリティ。

受の流されから話が動くけど、その辺り(寝たとか寝ないとか)は、あんまり大筋に影響しないのが…BLらしくないかも(笑)
大人の駆け引きともまた違う。佐々木さんの作品はいつも王道路線から斜めに外れるので、そっち行くの?と軽く驚かされる。ただ、衝撃的ということはない。読者の感情を揺さぶらないストーリーなので、まあ読んでて疲れない。

主人公は変人設定なんだし、もっと弾けちゃってもよかった気が。良くも悪くも佐々木作品のキャラにアホはいないというか。

しっかり手は出すけど、基本的には甘い年下攻てところがよかったなあ。ヤクザ攻とくれば強引だろうという先入観はあっさり裏切られ、最後は巻き込んじゃいけないからとフェードアウトしようとしてたり、スマートというか、いまいち情熱が足りないというか。お利口さんな攻だった。
出会いがピアノ教室なだけに?

あと、受の担当さんがいい人だ~。普通でいい感じ。

恋愛はサラッと流れていく感じだから、親友くんに裏切られちゃう場面が一番印象的だった。とりあえず親友はボコるべきだと…。一歩間違えば死んでたのに、こんな簡単に許しちゃうのも納得がいかなかった。
うーん、許したほうが読後感はいいとは思うけど、モヤモヤする~。

月の欠片

2013年6月1日 佐々木禎子
佐々木禎子 二見書房 2013/05

面白かった。
これはかなり好き。

ネタバレ
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人によっては物足りないと感じるだろうな、と思う。ものすごく感動するとか、読んで大満足!とかいうタイプの作品でもないし。
佐々木さんの作品は結構な冊数を読んだと思うけど、私はこれが1番好きかもしれない。
私の波長と合っているのかも。
佐々木作品で時々感じる癖の強さを感じなかった。ストレートに見せかけて変化球みたいな。バランスを取ろうとして、軸が傾いちゃてるような不自然さ、とでもいえばいいのか。
それがないから読みやすかったし、話の運び方や心理描写も丁寧でよかった。
…感覚的に好きな作品だから、なんだか抽象的にしか好きな理由を書けないんだけど。

静かで落ち着いた雰囲気だけど、同時に力強さも感じた。
帯に引用されている英俊の台詞が素敵。一途で切なくなるというか。
裕真が英俊のことを考えて、付き合うことを躊躇してしまう気持ちも分かるし、将来に対する不安も共感しやすかった。目覚める確率は低いのに、8年も待ち続けるほどの強い思いがなければ、裕真を支えることはできないかも。
英俊の執着は精神的に不安定なものを感じるから、そこは裕真がフォローできるといいな~とか。
金環日食の記憶が新しいうちに読んだほうが楽しめそう。
佐々木禎子 徳間書店 2012/07

ほんとに最近よくキャラを読んでる気が…。
変人准教授の出てくるコメディか?と思ったら、わりとシリアス。
でも、暗くならない程度かなー。

ネタバレ
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面白かった。
大変上から目線で書かせてもらえば(すでに図々しい…)、「難産だった」というだけあって、佐々木作品にしてはどっぷり系。いつもは、さらっと流して書くようなところで、珍しく足踏みしてるな、というような。
そういう意味でも読み応えがあった。
作家さんによっては、「難産=イマイチ」になることもあるけど、刊行ペースの早い作家さんの場合、いい意味で作風に変化が出るのかもしれない。

最初は仙川、ちょっと付き合いづらいタイプかも?と思ったけど、後半の行動力は男らしかった。秀真の無神経メールには、おいおい…と思ったけど、無神経なことを言って後悔するときってあるよなーと自分のこと考えたら、あんなに必死に謝れないかも。真正面から謝れる秀真は勇気がある。

ハンバーグが美味しそうだったから、ついつい食べに行っちゃった。ハンバーグの歌は歌わなかったけど(笑)
佐々木禎子 徳間書店 2011/5

高久さんのイラスト、好きだなー。
アロハシャツが(地味すぎるけど)上品というか、趣味よく感じる。
スーツも変な色使いにせず、画面を暗くさせず、いいな~。スーツがちゃんとスーツに見えるのは重要。

ネタバレ
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アロハシャツは内容とは関係ない。タイトルからは、マイペースな攻に受が振り回される話かな?と想像するけど、…タイトルありきで、タイトルに引っ掛けるために、アロハの話題を引っ張ってたなあと。

建築業界の事件が面白かった。受が建築士なんで、仕事での活躍がなかったのが残念。

恋愛に関しては、攻の寛大さが素晴しかったです……。
ただまあ…こんだけ恵まれた人なら、他人から妬まれることにも慣れてそうで、受に睨まれる理由ぐらい分かりそうなものだけど。
受はせっかくタチ設定なんだし、もう少しゴネてもよかったんじゃ。攻×攻を期待したのに…!

体言止めの多用は、10代向けのラノベを多く手がけている作者さんだから、多くなるだろうなあ…。
徳間書店 2004/11

レストランものとして面白かった。それぞれ、自分のやり方があるのがいいなーと。
恋愛のほうはちょっと薄味というか、うーん、味は調ってるけど、一味物足りない…という感じ。佐々木さんらしい味のバランスで、悪くないなーと思うんだけど。
スピンオフとかで続編も面白そう。って思うけど、2004年の作品じゃ、続編はないだろうなあ。
佐々木禎子 徳間書店 2005/07


それぞれの形で映画が好きな2人の情熱がよかったし、面白かった。
ただ、恋愛ものとしては、ちょーっと盛り上がりが足りなかった気がする。

殉愛の掟

2011年6月16日 佐々木禎子
佐々木禎子 二見書房 2010/12

佐々木さんの作品は安定していて読みやすい。
ものすごく面白いと思うこともないかわりに、必ず満足できるというか。

ネタバレ
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経済ヤクザ×潰れそうな組の二代目。
「守ってあげるから、やらせてよ」っていう話だが、まあ別に強要されているわけでもないから、読みづらくはない。
ただ、あなたがたの趣味は私には分からん…ってぐらいで。うーん、お道具の出てくるBLってイマイチ好きになれないなあ。
哲也(受)がわりと好みのタイプだっただけに、半人前のまま、あまり活躍もせずに終わってしまったのが残念。せっかく魅力があるのに、調教されてるだけ(…)ではもったいない。
アットホームなヤクザ稼業のほうが楽しかったなあ。
佐々木禎子 徳間書店 2009/08

世話焼き年下攻×漫画家。
ご飯だけじゃなく、アシスタントもマネージメントもしてくれる、とっても重宝な攻だった。受のほうはダメダメだけど、やっぱり年上って感じもあって、ちょうどいい匙加減だった。
まったり読んでると結構深いところもあって、さらっと読めるわりに読み応えがあったなあと。
まとまりがあって手堅く読みやすく、これも佐々木さんらしい作品。
佐々木禎子 徳間書店 2004/5

実は別の作品と間違えて買ってしまった本。
アナウンサーもので、先輩×新人ものを雑誌で読んだことがあるような気がするんだけど、佐々木さんの作品じゃなかったかもしれない。うーん…、忘れっぽくて困る。


ネタバレ
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面白かった。
秀巳の不器用なところと優秀なところのバランスがちょうどよくてよかった。佐々木さんの地に足が着いた設定ながら魅力的というキャラにいつも感心してしまう。
設楽いわく「足りないところ」のある秀巳が成長していく姿も楽しめる。
設楽は軽口or嫌味と説教ばかりなので、最初はあんまり好きじゃなかったが、間違ったことは云わないし、色々考えて云っているのが分かるので、結構いい人だなーと。
基本的に偉そうなのに、秀巳に対してきちんと謝ったり、気持ちを伝えるところもよかった。尽くし系でも包容系でもないんだけど頼りになるし、カッコいい攻だなーと。
最後に秀巳をライバルとして認める発言をするところがとくによかった。

イラストはとくに好きでもないし、上手いとも思わなかったけど、この作品の雰囲気に合ってると思った。
佐々木禎子 徳間書店 2010/03

期待していたより好みの話だった。

ネタバレ
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執事×主人。ちょっと年の差、ほのぼの系。

執事攻のほうが好きだけど、年上攻か~と思っていたのだが、思ったより読みやすいし、面白かった。
有能で優しい執事のキャラもいいが、大学を休学して起業しているご主人様の可愛らしい性格がいい。仕事中毒で不眠症だったりする不器用なところと、人に何かしてもらったらきちんとお礼を言う素直さとか、子供っぽい部分と大人並にしっかりしている部分とのバランスがちょうどよかった。感情移入しやすいし、好感が持てるキャラだった。
親友にして共同経営者のスティーブや母親、他の使用人たちもそれぞれ個性があって魅力的だった。なんていうか作り物っぽさのないキャラ造詣というか、「キャラ立ちさせる」という設計図の指示が透けて見えないというか。とくにリアルというわけではないんだけど、自然な感じなのがよかった。

とくに大きな事件とかなく全体にほのぼのしているんだけど、退屈しないしテンポもいい、リラックスして読める作品。
佐々木禎子 講談社 2010/3

続きを楽しみにしていた2冊目。

ネタバレ
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全体のストーリーとしては、あまり進展がなかった気がするけど、相変わらずキャラの性格に奥行きがあって面白かった。スピンオフだと、本編のキャラに比べると少々パワーが落ちるという場合が多いけど、華炎はきっちり主役を張っているなあという感じで。
麻薬を売るダークヒーローというだけでなく、弱さを抱えて強く生きている姿が魅力的で。モラルが気になって楽しめないというところはなく、「小説だから」と楽しめる。たぶん、地の文に偽善とごまかしがないからだろうなあ。犯罪行為を正当化してないし、生い立ちを免罪符にしないあたりとか。不幸な生い立ちは描かれているんだけど、「だから許してね」って本人は思ってないので。そこで読者に理解を求められたら、私は読むの無理だし…。
モラルに反していることを前提に書かれていて、決してモラルを無視して(忘れて)はいないので、余計な突っ込みを入れずに読めるというか。
今回のパクの「裏切り」は、普通の感覚であれば信じがたく許せないものだと思うけど、華炎は気持ち的に受け入れてしまっているあたり、興味深い関係だなあと。
二人がどういうところに行きつくのか、続きが楽しみ。
佐々木禎子 講談社 2009/12

アラブもの。続編。

ネタバレ
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きちんとお仕事するアラブものということで面白かった1冊目だが、2冊目も同じように面白かった。今度の舞台は日本なので、アラブものという括りとはちょっと違うかもしれないし、派手なアラブものが好きな人には物足りないかもしれないけど、その分説得力とリアリティがあるので入り込みやすい。
身分差+遠距離恋愛の二人が、障害を乗り越えて絆を深めていくというのが、2巻のザックリなあらすじ。
まず、ナイジェルが相変わらずカッコよくていいなあと。強引で頼もしくて、有能で情熱的。王子という身分より、王子としての資質のほうで魅力を感じさせてくれるところがいい。芳人は振り回されて困らせられたりもするけど、その強引さも愛すべきところになっている。
一方の芳人は真面目で優しく、気が強くてしっかりしている。でも今回は自信をなくして、ぐるぐる思い悩んでいた。真面目だからこその悩みなので、悩まないよりずっと好感が持てるし、ナイジェルを信じきれないというのも、それはそうだろうと思えた。遠距離というだけだって普通は不安になるものだし…。逆に余裕でどっしり構えているより、ちょっとぐらい疑ってくれるほうが恋人として可愛いと思うなあ。
あと、仕事をやめて二人で南の島で暮らしたいって云わないところが、芳人の魅力だと思う。
自信が持てるように努力するしかないっていう結論も前向きでよかった。
佐々木禎子 徳間書店 2009/10

珍しく普通に発売日近くに買えた。なんだか知らないけど、キャラ文庫とは相性が悪くて?買えないことが多いから。

ネタバレ
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うーん、今回は弁護士ものということで期待していたけど、あんまりキャラが好みじゃなかった。主人公の真琴は本来好みのタイプなんだろうけど、どうも感情移入しづらかったというか。公平のキャラは好きだったけど、同じ作者さんで2回同じ名前の攻キャラというのは気になります……。
あと、当て馬が出てくる割に、勢いのない話で。このへんで感情移入しづらかったんじゃないかと思う。

イラストは、もとから趣味に合わないイラストレーターだけど、今回はかなり…。攻と当て馬はタイプが違うって結構強調されていたのに、似たような顔に描いてて、しかも文章から受けるイメージとかけ離れていて参った。これならイラストはないほうがいいな……。
佐々木禎子 講談社 2009/7

佐々木さんのアラブものを読むのは、これで2冊目。…アラブは私にとって結構不得意設定なのだが、1冊目はすごく読みやすかった。そんなわけで今回も期待して読んでみた。

ネタバレ
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自家用ジェットで連れ去られるというのはアラブものテンプレ冒頭だと思うけど、王子から仕事の依頼を受けているという前提があるところが佐々木さんらしい。バルファードという架空の国が舞台になっているが、日本との文化の違いを前面に出しきたりして作り物っぽさが少なく、かといってムードは目減りもしていない。さすがと書きたくなる匙加減。…アラブものってトンデモ設定が多いから、もしかしたらアラブ好きには地味すぎるかもしれないが、ふだんアラブものを読まない私には入り込みやすかった。異国情緒のある景色や建物の描写も楽しめた。
王子は強引なところもあるけど、ムリヤリもないし、受の人権もきっちり守られるところがいい。受の芳人がきっちり仕事をこなし、仕事のうえで周りから評価されるのも。
ラブストーリーとしては、じれったい再会もの+身分差ものでちょっと切なく、最後は甘いという王道で、ふたりの表には出さない情熱がよかった。
少し大人向けのアラブもので、大満足~。
佐々木禎子 講談社 2008/12

「ドロップアウト」のスピンオフシリーズ。
続くらしい。

ネタバレ
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「ドロップアウト」の華勝の弟で、香港マフィア『新勝義』のトップになった華炎が主人公。華炎は女顔で長髪でブラコンでプライドが高く、しかもヒステリックかつサディスティックというキャラで、まあいわゆる「女王様受」ってやつか。うーーん、全然好みじゃないんだよなあと。買うかどうしようか迷っていたのだが、結局気になって買ってしまった。

面白かった。
さすが佐々木さんという読みやすさ。あとがきでも触れられていたが、今回は珍しくキャラも話濃く、話のスケールも大きいので、いつもより読み応えも増量という感じ。
BLによくある「女王様受」は、男なのに女王様って言われてもついていけないんだよねーと常々思っているが、華炎は意外とそういうタイプとは違っていて、そこらへんも読みやすかった。なんていうか、うーん。ヒステリックでサディスティックなのは変わらないし、内面にドロドロしたものを抱えているんだけど、中身は案外男らしいし、乾いていたというか。
別に本人はそれほど気にしてはいないんだけど、ものすごく孤独なキャラだった。本当にまわりに誰もいない。常にボディーガードを従えて歩いてるし、名前のある部下もちらっと出てくるけど、命令と報告以外の会話は出てこない。たまに会う情報屋のほうがよほど親しい気がするが、もちろんビジネスライクな関係だし。
手が届かないと思って諦めた兄の華勝との会話が一番親しく感じられたというぐらい、孤独。
満たされることを望んではいるけど、寂しいって描写は少なくて、読み終わってから「孤独な人だ」と改めて気付く感じ。自覚が足りない分、余計に切ない…。
その中で華炎が華勝以外に珍しく興味を持った相手がパクなのだが、これも裏切られたことがきっかけで。たぶん華炎以上に冷酷なパクが、華炎に跪いて愛を請い、気を引くために裏切り続けるというのも、二人の性格を見ていると理解しやすかった。「普通に愛される方法が分からない」という、ギリギリな関係が切なくもあり魅力的でもある。
普段は従順だけど最終的には裏切るというパクの態度の二面性も興味深い。受を騙して優位に立つ攻って構図は珍しくない気がするけど、パクの場合、裏切る相手である華炎を心底尊敬しているのも事実なので、単純には語れない。振り回すことを楽しんではいるけど、これしか相手に関わる方法を知らないから裏切っているという…。
今後二人の関係がどう変わっていくのか、続きが楽しみなシリーズになった。
佐々木禎子 講談社
「甘い爪痕」 2007/04
「堕天使の焦燥」 2007/10
「龍の咆哮」 2008/05

ネタバレ
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佐々木さんのBLは脇キャラが個性的で魅力的なことが多いので、シリーズものじゃないのが惜しいと思うことも多いのだが、これはしっかり全3冊。
普段より少しエンタメ色が強い作風で、とくに脇キャラがのびのびと動いているという感じだった。普段より抑えてないなあと、なんとなく。まあ設定もいつもより派手だからかもしれない。起こる事件は設定の割には地味な気もするが、その分、恋愛のほうに力が入っていて、やっぱり恋愛ものとしてBLを読みたい私にはちょうどいい配分だった。それにBLでマフィアが出てきて、ツッコミどころがないっていうのも地味に抑えているからかもしれない。ストーリーはハードになりすぎず、甘くなりすぎず、私が苦手そうなマフィア攻なのに読みやすかった。
攻の華勝は辛さや冷たさも持ちつつ(マフィアの幹部だから…)、基本的には甘くて優しい人で、文句なく男前。安心して、素敵vと云っていられるタイプ。
受の修哉は無資格だけど医師としての責任感やプライドがしっかりあって、基本はクールだけど華勝が絡むとちょっと熱い、というタイプで、カッコよかった。3巻ではすっかり暴走受(止められてるのに勝手に突っ走ってピンチに陥り、結局は攻に助けてもらうという傍迷惑なタイプ)っぽくなっていたが、そういう気概や自分なりの生き方を持った上で、たとえ籠の鳥になっても華勝と一緒にいたいと思う一途さがよかった。なんていうか、最初から軟禁でも監禁でもしてください、あなたが好きなんです~という受は私には健気とは思えなくて……。そのへんをクリアしてくれてるのがいいなあと。
しかも結局、華勝が修哉の頼みを受け入れてマフィアをやめるというラストもよかった。潔いし、情の深さが伝わってきて。「修哉がいればいい」じゃなくて、他にも欲しいものはたくさんあるって言うあたりも、男らしくてカッコいい。

全体に、微妙に趣味に合わないんだけど、面白かった。
佐々木禎子 徳間書店 2008/11

イラストの高久さんも結構好きだし、と買ってみた。

ネタバレ
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タイトルに献身とつくだけで某ミステリを連想してしまうので、あらすじ的にも今回は微妙かな~と失礼なことを思っていたのだが、やっぱり面白かった。
結構、再会ものが好きで。しかも幼い頃にとかじゃなく、付き合っていた二人が別れて再会みたいな話がツボだから、この作品はまさに好みの設定だった。
佐々木さんなのでもちろん文章は読みやすく、テンポもよければ構成もいい。でもちょっと地味ってところが、また私好みで。
そんなわけで攻の竟は人気覆面作家という職業で(人気も含めて職業です、たぶん)顔もいいけど、中身はわりと普通。
受の悠太はおもちゃが好きだから学芸員をやっているという、羨ましいようなタイプだが、考え方はわりと後ろ向き。
こんな二人の両思いなのにグルグル悩んじゃってます、という恋愛なので、感情移入がしやすかった。とくに別れた後にレストランで会って、夜のプールに一緒に行く場面がちょっと切なくて、いい場面だった。
悠太の「弱い犬」体質は分かるな~という部分と、ちょっと行き過ぎな部分とがあって、そういうところがやけにリアリティがあるというか、完璧じゃないが故の魅力というか。佐々木さんのキャラらしく、奥行きがあっていい。
竟の従妹の愛も、最初は感じが悪そうだったけど、さばさばしていて、いい子だった。本人は頭が悪いといってるけど、かなりしっかりした考え方の持ち主で好感が持てた。
やっぱり佐々木さんはいつでも安心して読める安全牌な作家さんだなあと。
佐々木禎子 オークラ出版 2008/8

佐々木さんのプリズム文庫はこれで3冊目。
まったくもって偶然だが3冊とも購入していた。…嘘つきました。読んでるけど、お借りしたものがありました。
まあたぶん、この組み合わせは好きなんだと思う。

ネタバレ
美人社長の城崎裕真は祖父から受け継いだ会社を守るため忙しい日々を過ごしていた。ある日祖父からの遺言で、見知らぬ男を秘書につけられる。筧和貴と名乗る男はとても秘書にはみえない野生の大型肉食獣のオーラを漂わせ、しかも突然『リラックスさせる』の名目でキスをしてきて! 筧の傲慢な振る舞いに戸惑いつつも、身体を奪われていくうちいつしか心まで捕らわれ――。


美人社長ですってvという理由で買った。私の偏狭な趣味では「美人」はNGワードなのだが、社長受に弱いもので、NG指定を一時的に解除してみた。
どうでもいいが、あらすじの「身体を奪われていくうち」という部分がとってもBLらしくてステキな表現だ。
ところで、イラストが作品に合っていなくて、もったいないと感じた。かわいいイラストを好む人も多いんだろうけど、この作品には攻が「野生の大型肉食獣のオーラを漂わせ」ているように見える、大人っぽいイラストが欲しかったな〜。上手下手の問題じゃなく、相性が悪いんだと思う。うーん。本来の読者層を表紙で逃がしそうだし、このイラストが好きな人は、この小説の作風は好まない気がする。まあ私の勝手なイメージだけど。

攻受ともに趣味に合った。傲慢に見える秘書は優しくて、文句なくカッコイイし、受も真面目なだけ強気なだけじゃないところがいい。なんていうか、BLのキャラってたとえば「強気受」って属性がつくと、「実は弱いところも」なんてオプションが1つ2つつくぐらいで、型にはまってしまうことが多いと思う。でも佐々木さんのキャラは型にはまらない。型破りってことじゃなく、あくまで常識的な範囲の中で(変人設定の場合もあるが)、それぞれの人格に奥行きや幅が感じられて個性的だと思う。特徴じゃなくて個性。脇キャラにまでそれがあるから、なんてことない場面でも引き込まれてしまう。
今回は裕真の真面目さ、繊細さ、素直さ、意外な大胆さがよかった。いろいろバランスよく要素を取り込んで、裕真というキャラがきっちり作りこまれているので、感情移入もしやすかった。
話も「見知らぬ男を秘書に!」っていうラインに会社内での政治まで絡めていて、セレブな社長が会議とパーティーに出るだけで終わってしまわないところが面白い。まあ逆にそこが地味かなと感じなくもないけど、二人が惹かれあう理由がしっかり描かれているし、盛り上がる場面もあるから物足りなさはない。
や〜、満足でした。
仕事のできるリーマンが好きという方には、ちょっとお薦めしたい作品。
…BLの場合、趣味に合うかどうかが大事(というか絶対条件かも?)だから、ちょっとしかお薦めはできないけど。
佐々木禎子 オークラ出版 2008/6

いつになったら密林レビューは復活するんだろう。楽天で画像を出そうと思ったら出なかった。(このブログの機能では)楽天は時間帯によって出ないことが多いから、たぶん機嫌の悪い時間帯なんだろう。

えーっと、シャ○ード掲載作だったはず。雑誌で読んだ覚えがある。
玩具デザイナー、童顔、可愛い系の受。私の趣味には激しく合わないキャラ設定だが、子供っぽいところが魅力としてだけではなく、欠点としても描かれるので、読みやすかった。
佐々木さんの作品は個々としてもそれぞれ面白いが、この「やりすぎない」バランス感覚にいつもうっとりする。主人公は確かに天然ではあるんだけど、ちゃんと誰もが共感しやすい感覚を持ち合わせていて、ついていけないと感じさせるようなことはない。それでいて仕事に没頭すると寝食を忘れてしまうようなところは、やっぱりちょっと変わっていて…という匙加減が絶妙。
バランスをとるので作品はどうしてもおとなしめになるし、加減しないで突っ走ってしまったほうが趣味に合うという読者も多そうだが、私はツッコミを入れずに読める作品のほうがありがたい。
攻はちょっと苦手なタイプだったが、尽くし系でかなり男前、年下攻とくれば、まあいいかと許容範囲。
テンポよくまとまっているし、面白かった。

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