新書館 2013/02

表紙買い。中のイラストも可愛かった。

ネタバレ
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出会ってわりとすぐに両想いになってしまい、以後はずっとバカップルなので、ちょっと物足りなかった。

二人の恋愛より、病的なブラコンの弟との攻防(というか防戦一方)のほうがメインという感じ。渡海さんって本当に偏執的&病的なキャラ、好きだな~と。
主人公がこの弟にすぐに絆されてしまうので、そこで置いてけぼりになって、最後まで挽回できなかった。続編の最後には少しまともになってたけど、やっぱり極端すぎて笑えないというか。しかも、この弟のキャラをスルーしてしまうと、残るものはバカップルだけという…。

俺様攻より、ヘタレ攻のほうが好きだから、そういう意味では読みやすかった。
新書館 2015/04

考えてみれば、渡海作品のキャラを格好いい、素敵、可愛い、と思ったことがほとんどない。
このキャラが好き!とはっきり言えるキャラは、某脇役キャラのみ。
たぶん、趣味が合わないんだろうなあ。

ネタバレ
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最初はお坊ちゃんの態度にイラッとして挫折しそうになった。
なんでプロポーズの相手を使用人扱いするのか…と。
馬が出てきたあたりから読みやすくなり(…)、あとはテンポよく読めた。

渡海さんの作品の中では、かなりまとまりがいいほうだと思う。
いや、いつもストーリー構成としてはまとまりがあるんだけど、加速装置がついていて、見失っちゃうことが多いから…。
この作品は主人公と同じペースでゴール地点に着けました…という感じ。

キャラも変人ではあるけど、病んではないし(重要項目)、白馬の王子様を実践しちゃうあたりも楽しかった。
でも、とうとう最後まで攻にとっての受は、婿ではなく執事(メイド?)だったあたり、個人的には残念。
新書館 2015/01

渡海さんはしばらくいいかな、と思ってたけど、表紙絵に負けた。
この構図と配色がたまらん。

ネタバレ
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久しぶりの渡海さんだったけど、いつもより癖が弱くて、読みやすい話だった。
奥さんとのエピソードとか、らしいな~と思う個所も多かったけど、ついていける程度というか。
いろんな設定がゴタゴタ詰め込まれてるわりに、しっとり読ませるあたり、さすがというか。

同じ相手と気付かずに3度も一目惚れとか、社会人になってから偶然の再会とか、ありえないよ~と思いながら読んだ。そのありえないところを「運命」って言われると、確かにね、と妙に納得。

チーズとほうれん草のカレーが食べたい。
プランタン出版 2014/06

今年は、最後まで読むのが苦痛…という本をよく引き当ててしまうような。

ネタバレ
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あー、読みづらい本だった。

病んでて嗜虐的で、まあ、渡海さんらしい攻だなあと。苦手な攻タイプなんで、ブレないよね、渡海さん…とか諦めつつ読んでたんだけど、弟のほうがダメだわ。
弟の義兄への執着が想像以上に気持ち悪かった…。
優しいと何年も信じていた義兄が、実は性格の歪んだ(壊れた)人間だと知っても好きだというのは、なんだかよく分からないし。つまり性格じゃなくて、外見が好きだったの?それとも、魂とか?(笑) 

どうもこういう対等じゃない関係って好きになれない。これ、もっと重たくJUNEっぽく書かかれてれば(好き嫌いは別として)読み応えあるだろうけど、ライトに書かれると、ただ気持ち悪いだけというか…。
まあ、気持ち悪いと思うのも、趣味の問題かもしれないけど。
新書館 2014/05

地味系。

ネタバレ
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ある日、ベランダに半裸のイケメンが降ってくるという出会いが笑える。たとえ事情を説明しても、女性宅ならアウト(警察に通報レベル)だろうなあ。
そんなインパクトのある始まりなのに、その後はひたすら地味という印象。渡海作品にありがちな(…)、ついていけない超展開もなかったから、のんびり楽しめた。
それに、渡海作品では珍しく、攻が穏やかないい人だった。意地悪攻が多い印象だから、今回は普通だな~と思いながら読んだ。
でも、台詞や考え方が渡海節というか、言い回しに少し癖があるせいか、どの作品を読んでも、キャラが似たように感じる…。

攻の勘違いは、読者には勘違いしていることが分かるようになっていて、ややこしいことになってるな~と、傍観する感覚で読める。特定キャラに感情移入しなくていいのが楽でもあり、物足りなくもあり。ゲイでもない主人公が、男を好きになってしまっても、反応が薄いせいか。
プランタン出版 2013/05

まあ、渡海さんらしい話ではあるけど。


ネタバレ
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初期作品のせいか、しっかり加速装置つき。
ついていけません。

まず、第三者視点から始まるあたりが…。友達視点で始まるからこそ、「おうちのひみつ」が読者に対して秘密になるという効果は分かるんだけど、肝心の兄弟の気持ちがなかなか明かされなくて読みづらかった。
誰にどう感情移入していいのか、戸惑う感じ。

この作品、近親相姦より、弟の暴力を黙って受け入れる兄の態度のほうが問題では…。弟は心のバランスを崩してると分かってるんだから、抵抗することで暴力を止めてあげるのが愛情でしょって説教したくなりましたよ…。
プレッシャーに負けて暴力をふるった弟は、何かの困難にぶつかったときに、また暴力をふるうんじゃないの?という疑惑も拭いきれなかった。

母親の弟への期待と偏愛が行き過ぎていると分かっていて、黙って放置する父親と、叱られ役に徹する兄。見て見ぬ振りをする態度が、父子でそっくりだなあと。
せめて、近親相姦がバレた時点で、弟への偏愛とプレッシャーに対して一言ぐらい親に歯向かってほしかった。「おうちバイバイ」(もとの題)で逃げるだけだから、モヤモヤが残る。
もちろん、一生和解できない親子はいると思うけど、親元から逃げ出した二人は一生仲良く暮らしました、めでたしめでたしってね…。なんだかね。

BLというより、家族関係がメインという感じだった。
新書館 2012/12

従兄弟同士。

ネタバレ
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加速装置つきの(=置いてかれちゃう)渡海作品。
お盆に3つ年下・中学1年の受がほかの親戚と一緒に、高校1年の攻の家に泊まりに来るところから始まる。ワガママな従弟の面倒をみる主人公ってことで、包容攻か~と喜んでいたら、いきなり土下座をする主人公…。べつにそんな重たい意味じゃなく、「言うことをきいてください」と土下座するだけなんだけど、意味が重かろうが軽かろうが、何の落ち度もないのに、中1に土下座してみせる高校生って、どこの星の奴隷だよ…と思ってしまった。
そして、受は常時、ストーカーや変質者(男女問わず)を引き寄せてしまうそうで。この現実離れした設定は、渡海作品では3回目ぐらいかな~(全作品読んでないから、もっとあるかも)。モテるんじゃくて、普通に好きって告白してこない、変質者ばかりっていうのも、いくらなんでも無理があるような。極端すぎる。
肝心の恋愛は、攻は親戚で男である受への思いを認められずに逃げ回り、受は脅迫まがいのことまで口にして追い掛け回すという構図で、途中で読むのが嫌になった…。二人とも、好感持てないわ…。

書き下ろしの後半は受視点で、ひねくれた受の内面が分かりやすくなったし、攻も覚悟を決めて、どっしり構えてくれたから、やっと読みやすくなった。
…渡海さんはもしかして、この包容攻より石崎のほうが好み…というか書きやすかったんじゃないかな~とか、ちょっと思った。結構、意地悪だったり、病んだ感じの攻をよく書いてるから。

途中でものすごく気になったのが受の台詞。「いじめられてた」=「性格が悪い」っていう趣旨の台詞は、さすがにこのご時勢にどうかと思った。
BL読者はあまりそういうことを気にしない人が多いけど、…これがブログとかなら炎上確実では。
取り立てて重要な台詞じゃないのに、下手すれば作者の人格が疑われる危険もあるし、止めてやれよ、編集者……。
渡海奈穂 2012/07

最近、キャラ文庫を買うことが多い気がする。
あんまりよく買うんで、思わず小冊子を応募しようかと迷ってしまったほど。
…やめたけど。


ネタバレ
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面白かった。
キャラ文庫の渡海作品は他のレーベルより読みやすい気がする。
他のレーベルだと極端すぎて、病的にさえ感じるキャラの言動が多い中で、わりと受け入れやすいというか、控えめというか。

ただ、「大人同士の恋」というあらすじは、ちょっと違うと思う。
…攻がもう少し大人だったらなあ。年下の四方堂が一番大人だったかもしれない。
とはいえ、意地悪攻がデフォルト?の渡海作品の攻の中では、これでも好感度高かったけど(笑)
「高槻は芦原に幼馴染としての好意は持っているはず」という前提で読むと、乱暴な高槻の言動の中にも微量に優しさが混じっていることに気付く…けど、当事者(芦原)は気付かないだろうなあ。
このへんはさすが、渡海さん。実に丁寧に描かれていて、読み応えがあった。
相性のいい人と付き合うより、ケンカばっかりする相手と付き合うほうが刺激はあるかも? 小説のコヤシになるし??
渡海奈穂 フランス書院 2012/04

会社員(常連)×カフェ店員

ネタバレ
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面白かった。読みやすいほうの渡海作品。
また意地悪攻?と思いながら読み始めたら、攻の西条は結構いい人だった。ものすごく、いい人じゃないけど、わりといい人というバランスがよかった。
受の立花は無愛想な、ちょっとダメな店員だと思うけど、接客業なのにどうなの…と本人が自覚してるから、かえって魅力になっている感じ。魅力というか…味わいか。
いいところも悪いところも含めて、キャラ設定が練られている、後から意外な面が出てくることはあってもブレはない。渡海さんの描くキャラは奥行きがあっていいなあと思う。
今回はストーリーの運びも丁寧だったから、置いていかれることもなく、じっくり楽しめた。なんていうか、まとまりがいい。二人が近づいていく過程も自然な速度で、感情移入しやすかった。
立花の頑固なまでの自信のなさも、小説用にデフォルメは入っているけど、こういう人っているだろうなと思えたし。
地に足のついたキャラ設定だし、派手な展開とかもないんだけど、地味とは思わなかった。
すごく好きかというと、それほど好みではないんだけど、読みやすくて良質な作品だと思った。
渡海奈穂 徳間書店 2011/10

キャラで渡海さんか~と、意外に思って買ってみた。


ネタバレ
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面白かった。
義兄弟もの大好きだし!
いいなー、義兄弟。表紙を見て、兄弟だと制服ですら「お揃い」っぽくて可愛いわ~と思ってしまった。
…って、はりきって書いてみたけど、好きな義兄弟作品が思いつかなかった。

特筆すべきは、渡海作品なのに攻が意地悪でも変態でもなかったこと。
しかも文章も癖が少なくて読みやすい。これはレーベル効果なのか??
はっきりいってしまえば、漂う毒素がない(悪気はないです…)。
それとも高校生ものだから、キャラがかわいくなってるのかな?
ストーリーは途中、道徳の教科書的な展開になってしまったが、高校生カップルの可愛らしさでカバーされた感じ。
ついてけないっすよ~と思ってしまうこともなく、読みやすい渡海作品だった。
渡海奈穂 新書館 2011/2

渡海さんらしい癖はあるけど、いつもより読みやすかった。

ネタバレ
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攻の棚澤が珍しく優しいタイプというか、わりと分かりやすい感覚の持ち主で、感情移入しやすかった。おお~、普通にカッコいいタイプ(笑)
いや、駄目なところもあるけど、まあ誰しも弱いところはあるし、その後の行動見てると許せる。
受の千野はかなり変ったところ(?)もあるけど、全体に共感できたし。弱い部分があるからこそ、いい出会いがあってよかったね~と言いたくなるような。

千野のお兄さんが好みのタイプだったから、ぜひとも受としてスピンオフを読みたかったのに、お似合いの奥さんがいて残念…。
渡海奈穂 新書館 2010/3

軽い話で読みやすかった。

ネタバレ
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イケメンオタク×自称?オタク。年上攻。
やっぱり渡海作品は社会人もののほうが入りやすい。
今回は癖(毒素)も少なめで加速装置もなく、オタクという障害?を乗り越えていく過程をゆる~く楽しめたという感じ。
佐々木さんのオタクホストが「オタク設定のキャラ」という感じだったのに対して、渡海さんのイケメンオタクはもっとリアルに生々しくオタクだった。渡海さんはオタクの生態をいきいきと書くなあ…。見た目が爽やかでも、やっぱり攻はヘンタイさん。らしいなあと思った。
部屋の描写もものすごいのだが、最後の「翌日指定で送った戦利品を受け取るために朝帰る」という台詞がまたすごいなあと。元日から午前中配達してくれるのねー、知らなかった。

未熟な誘惑

2009年11月27日 渡海奈穂
渡海奈穂 新書館 2009/11

ネタバレ
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超ネガティブ思考の主人公だというので、俺様攻が振り回されるコメディかなと、あらすじを斜め読みして予想していたんだけど、そういう話ではなかった。
うーん、渡海作品ではデフォルトの俺様攻だが、あんまり趣味に合わないので、いつも通りだなあという感想になった。しかも今回は義兄も最悪な俺様なので、私の趣味的には、うわ~という感じ。この義兄は『兄弟の事情』の不幸バージョンを見ているようだった。
職場で男といちゃついていた受が攻に注意されて、仕返しにセクハラするっていう加速装置にはついていけなくて置いていかれた。でも、流されるように付き合ううちに恋を自覚していく気持ちのほうは分かりやすくてよかった。
あと、主人公が仕事の上でも生活全般でも、ちょっとずつ成長していき、義兄との問題も乗り越えていくところがよかった。
あとあと、攻は趣味には合わないけど、面白くていい人?だったと思う。
好みではなかったが、面白かった。

兄弟の事情

2009年8月1日 渡海奈穂
渡海奈穂 新書館 2009/7

兄(大学生)×弟(高校生)。

ネタバレ
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趣味に合わないことは、兄×弟ってことと、表紙を見た時点で分かり切っていたが、つい買ってしまった。
どうでもいいが、兄の顔が無駄に怖い気がする。単なる俺様系なのに…なんかこれじゃ執着系みたいだ。
捨て子の健気受って設定なのに、う、苦しいって感じははなかったし(健気受拒否反応が出なかったという意味)、流されているといっても、惚れた弱みで流されているだけなので、この設定にしては入りやすい要素が揃っていた。…高校生の美少年に興味が持てないので、好みでもなかったが。
兄は何がいいのかよう分からんとしか。これも俺様系、傲慢系が好みじゃないからで、こういう系統が好きな人にとっては素敵な攻様だったのかもしれない。

いい意味でオーソドックスな話だった。義理の兄弟ということで悩みはすれど、ドロドロしたものはなく、渡海作品らしく、あっけらかんとした決着だった。重さがなくて読みやすいんじゃないかと。逆に兄弟ものに禁忌の愛とか執着を求める人には物足りないと思う。まあ表面的にはライトな兄弟ものって感じ。
でも渡海作品だけあって、なんとなく裏側にドロドロしたものが透けて見えるようで、「好きなものはしょうがない」と明るく割り切ってしまうところがかえって危うく感じる。うーん、感覚的なことだから説明が難しいし、「文章の端々からそう感じた」としか云えないんだけど…。この子は怖々一線を踏み越えたようで、実は禁忌なんてどうでもいいんじゃないかというような。今回は血の繋がりがないからモラルを持ち出す必要もないが、もし持ち出す必要があったとしても結果は同じだったろうなあという気がする。
捨て子とか、男性恐怖症の友人とか、兄の友人の言動とか、「かわいそう」にはしないで、ビターで少し殺伐としたエピソードになってるからかもしれない。このへんに癖を感じるなあ。全体のトーンとは関係なく、どこかに必ず毒要素が入っているというか。

個人的な好みの問題で楽しめなかった。けど、このキャラが好みに合う人なら、まとまりもいいし、読みやすい作品なんだろうと思う。たぶん。
渡海奈穂 新書館 2009/4

印刷会社営業×印刷所の社長、年下攻。

これは再読。渡海作品では(たぶん)珍しい意地悪でも変態でもない年下攻だし、わりと好き。やっぱり学生ものより社会人もののほうが趣味に合うことが多いような。
脇キャラの歪みっぷりが、らしいな~という感じで、相変わらず癖は強いけど、主役ふたりが常識的なので読みやすい。まあ社長のモテっぷりは、正直よく分からなくて、なんでそこまで…?って思うけど。ストーリー自体に加速装置がついているわりに、置いていかれることがなかった。特殊な環境だから想像はしにくいけど、その場面での心情の流れには納得できるし、共感もしやすい。

そして相変わらずキャラの個性を出すのが上手いなあと。他の作品に似たようなタイプのキャラもいるんだけど、同じ人にはなってない。どこがどうっていう設定上の違いじゃなくて、言動とか雰囲気で別人だなって思う。趣味に合わないことが多いのに新作が出ると気になるのは、やっぱりこのあたりが上手いからだろうなあ。

…何の感想なのかよく分からない。
渡海奈穂 新書館 2008/11

趣味に合わなかった。

ネタバレ
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渡海作品としては癖が少なくて読みやすいんじゃないかなあと。なんていうか、途中で置いていかれる感じがしないし、まとまりもよくて読みやすい。本自体が薄いせいもあるけど、いつもより短く感じた。…癖を感じる作家さんだから、ついちょっと語りたくなる。
この作品はムリヤリが入ったので、その時点で私の趣味としてはアウト。…もとからこういう強引で押し付けがましいタイプの攻って苦手で、読んでいて息苦しい感じがしてくる。渡海作品としては王道の攻タイプだろうと思うけど。
甲子園出場目前で事故に遭い、野球を諦めることになった樋崎は、落ち込んだり自棄になったり無気力になったり人に八つ当たりしてしまったりするところまで含めて、感情移入しやすいタイプだった。本気で打ち込んでいたものを突然取り上げられたら、これぐらいは当然というか。
逆に同じ野球部の後輩で以前から憧れていて、樋崎の事情を知っていて、しかも自分は今も野球に打ち込んでいる(続けていられる)立場の明石が、ムリヤリ樋崎を立ち直らせようとする気持ちにはまったく共感できなかった。立ち直ってほしいという気持ちは分かる。でもそんな荒療治をするのはエゴでしかないというか。結局、自分の理想を相手に押し付けているだけで…優しさではないと思う。たまたまうまく事が運んだが、下手したら樋崎は人間不信に陥っていたのではないだろうか。まあ今回はおまわりさんは呼ばなくてもいいムリヤリだったから、考え方の違いかもしれないけど。樋崎は明石を突っぱねることはいくらでもできたから、樋崎が自分で選んだことであって、明石を責めることはないのかもしれないけど。優しさを感じないんだよなあ……。エゴを押し付けてうまくいかなかったら、傷つくのはあんたじゃない、相手なんだぞ!ってすげえ思った。
樋崎は好みのタイプだったし、年下攻なんだけど、そういうわけであんまり楽しめなかった。
すっきりと納得できるラスト、樋崎が立ち直っていく過程も丁寧に描かれていて、小説としては面白いのだが、個人的に好きじゃない。
渡海奈穂 新書館 2008/09

リーマンだしイラストも好きだし、どうしようかなーと悩んでいるときに、面白いと聞いたのが決め手になって購入。

ネタバレ
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同い年で付き合いが長くて学生時代からずっと片思いしてるっていう設定がまず好きだ。
でも渡海作品のキャラはアクが強いこと多いし…と読み始めてからもビクビクしていたのだが、さっぱりしているがゆえに(?)ちょっと無神経な淡野は好みのタイプだった。いきなり素直になっちゃうところもツボ。
癖があるというのは個性が強いことの裏返しで、自分の趣味にはまると濃味で楽しい。当て馬なんかもキャラが立っているだけでなく、奥行きが感じられたし。…よくあるタイプのキャラでもキャラ立ち自体はあると思う。けどそれだけじゃなくて、ちゃんと個性があるというか。人間誰しも持っている性格上の固有の癖みたいなものが、渡海作品のキャラにはしっかりあるんだと思う。…まあそこが合わなくて読みづらいときもあるのだが。

ストーリー自体は意外な展開とかは特にない。でも、いきなり尾崎の想いが判明する(告白じゃなく自滅ってあたり…)と同時に「さようなら」されちゃった淡野の心情の揺れとか、持ち前の(ちょっと間違った)行動力とか、友情から恋愛への移行とかが丁寧に描かれていて面白かった。
攻の尾崎は一途なイケメンだが、かなりヘン。ほんと、思い込みが激しいというか、ダメな子……。行動が極端で迷惑というか取扱いが難しい人なので、実は好き勝手に振舞っているように見える淡野のほうが大変なんじゃないかと。尾崎が変態なのを抜きにしても…。でも友達がみんな尾崎を優しく見守っているの分かるなあという感じ。非常識じゃなくて、ただちょっとヘンなので、見てる分には面白いというか可愛いというか。
「楽しかった」という事後の感想には、愛情確認じゃなくてやっぱりプレイだったのか?とか突っ込みを入れたくなった(笑)

職業ものじゃなくて、あくまでリーマンもの。きっちり仕事をする素敵な受だが、あくまで恋愛メインでまったり系の明るい話。
居酒屋から始まり居酒屋に終わるリーマンもの。好きだなあ。

恋になるなら

2007年12月12日 渡海奈穂
渡海 奈穂 新書館 2007/12

私にとっては当たり外れが激しい作家さんなので、新刊が出るたびに買うかどうか迷う。最近は外れが続いたので(根本的にキャラの趣味が合わないらしい)、そろそろ試し買いはやめて確実に趣味に合いそうなときだけ買おうかなあとぼんやり考えていたのだが、富士山さんのイラストだし、リーマンだし、買わずにいられなかった。

激しくネタバレ
ネタバレないほうが面白いはず。

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やっぱりこの作者さんの作品ならリーマンもの…というか大人のキャラのほうが好みに合うかも。たぶん地味。私は地味設定のほうが好きだから、そのほうがありがたい。
今回は渡海節が控えめで読みやすかった。…途中でキャラや展開がすごい勢いで加速するときがあって、それをやられるとついていけないのだが、今回はたまにしか置いていかれなかった。
地味な展開ながら、丁寧に心情を追っていき、主人公に感情移入しやすい。ドキドキしたり切なかったり、私がBLに求めている系統の話なので面白かった。
が。ディアプラスの場合、そうそう重苦しい展開にはならずに無難にいくだろうという先入観があったので、分かりやすい伏線があったのに、ここまでやるとは思わなかった。うーん…。
なんだかなあ。真剣に悩んではいるんだけどね、ページ数が足りないというか、浅く感じられてしまって。病気という重たいテーマを扱うなら、もう少し掘り下げてほしかった。ちょっと作風にそぐわないテーマを扱ってしまったんじゃないかという気もする。
この先どうなるのか分からないというところで終わってしまうのも、すっきりしなかった…。そのへんが残念。
でも、キャラに好感が持てるし…。そのへんを差し引いても面白かった。

追記。
「重たいテーマ」に対して真摯に取り組んでいるのが分かるので、その点でもいい作品だと思った。面倒なテーマを避けるのは簡単なのに、あえて挑戦したんだろうなと伝わってくるものがある。
…久し振りにヒットしたよと書くつもりだったのに、全然誉めてなかったので焦って追記してみた。
(小説134)
渡海 奈穂 新書館 2007/10

つい昨日午後茶の画像を出そうとして気付いたばかりだが、この日記の画像の出し方って…もしかしてタイミングをはかる必要があるのか?
「レビューを書く」ってボタンを出す段階で、あれ、なんで画像でないのよ?って思って、しつこく検索しなおしたら画像が出てきた。
えー? 相性とか努力の問題?

ネタバレ

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あらすじ(台詞の引用)
「言ったろ、要さんは俺が初めて、廃墟より気になった生身の人だって」(P216)

枯葉時代突入中(現在進行形)な私にとっては美味しくいただける二十代後半×三十代半ばという年齢設定だが、廃墟オタク×廃墟の妖精という斬新なカップリングでもある。
けど、三十半ばでそんなにオッサン扱い?という気もしなくもないが、イラスト同様、中身もまったくオヤジ入っていないので、オヤジ受を期待すると肩透かしかも。…余計な感想。
作者の萌が廃墟のほうに向いているので(?)、攻はいつもよりとっつきやすい性格だった気がする。珍しく意地悪じゃないよね。
全体に力が抜けたストーリーなので読みやすく、キャラは趣味には合わないが面白く読めた。ところどころ笑える。爆笑じゃなくて、にやりって感じで…。
続編で伊原木が古いバス停のベンチに座っているところが、ちょっとツボだった。

別に本人が幸せなんだからまったくもって文句はないのだが、やっぱり会社を辞めた主人公がアパート経営しながら恋人の仕事をサポートするってところに落ち着いたのは、好みじゃなかった。何も悪くない(ヘタレとかじゃない)けど、かっこよくもないっていうか。ふーん、いいんじゃないって感じになってしまう。
世間的に見てどうとか、そんなの全然関係なくね?って話なので、受が仕事に復帰しないほうが作品の流れとしてはいいと思うんだけど。
なんていうか、うーん。せっかく(せっかく?)結婚できない間柄なんだから、自分個人の世界を保ちつつ相手に寄り添って欲しいというか。でも、海外に行くような場合は仕事を辞めてついていくっていうのはありだと思うし、元から同じ仕事をしてるならサポートするのもいいと思うし、まあ本当に私の好みの問題だけど。

(小説104)

たけのこ

2007年4月12日 渡海奈穂
筍ご飯を食べた。幸せだ。
でもこれから採血(健診)…ちょっと幸せが目減りした。

渡海 奈穂『マイ・フェア・ダンディ』
完全ネタバレ〜
…今の日記色の場合、赤じゃあんまり目立たないかと思って大きくしてみた。

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受が攻をダンディ教育、服装髪形をいじってテーブルマナーを教え、ダンスは自らが女性パートを担当して教えて、実は攻はお金持ちでしたってオチの話は前にも読んだことあるけど、この話のほうが好みだった。
理由は多分、受が貧乏だから…。もちろん作品にもよるけど、基本的に金持ちより貧乏人の出てくるBLのほうが好み。
あと、教育後の仕上がりとは別のところで好きになってるので、そこらへんもよかったなあと。
かわいそうな保護者さんの話も読みたいなあと思っていたが、あとがきを読んでまあいいのかなと納得してみた。
続編はなんだか受の頭の緩み具合が引っかかったが面白かった。

(小説21)

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