凪良ゆう 白泉社 2009/02
このタイトル、この表紙、そして主人公の名前。
私の趣味的にはもうすべてが辛いのだが、読みたいものが見つからなかったので買ってみた。
まあトンチキであっても、凪良さんならそれなりに楽しませてくれるはず、という上から目線の信頼感で読み始めた。
大学生の男が「華族のお姫さま」と云われていても、誰もツッコミ入れないし、それはそれでいいんじゃないかと思えてしまう主人公…。花時雨って名前も、変な当て字なのか?と思ったら、まんま「はなしぐれ」と読む。うーーん…。
役に立たない上に偉そうな宇宙人なのだが、とくにイラッとはしなかった。まあこういう生き物なんだろうと思えるのは、何をしていても本人なりに筋が通っているからだろうか。
そしてこのお姫さまは、実は男前な性格で、健気なところがある。可愛いわ~と思って読了。
お気に入りの場面は遊園地でのデートかなあ。媚びない可愛らしさがよかった。
なかなか面白くて、トンチキでも食わず嫌いはいけないのか?と考えを改めそうになってしまった。…いやいや、これはたぶんレアケースなはず。
このタイトル、この表紙、そして主人公の名前。
私の趣味的にはもうすべてが辛いのだが、読みたいものが見つからなかったので買ってみた。
まあトンチキであっても、凪良さんならそれなりに楽しませてくれるはず、という上から目線の信頼感で読み始めた。
華族の流れを汲む企業グループ、佐治家の末っ子、花時雨は、蝶よ花よと育てられたまさに深窓の“お姫さま”。祖父の命を受け、ご先祖さまの主筋となる下町の定食屋の危機を救うために、住み込みで手伝いに入る。とはいえしょせんはお姫さま育ち。慣れない仕事に失敗ばかりしてしまう。さらに若主人の上月一心を好きになってしまい…。お姫さまの初恋。だが一心には秘めた想い人(しかも♂)が。
大学生の男が「華族のお姫さま」と云われていても、誰もツッコミ入れないし、それはそれでいいんじゃないかと思えてしまう主人公…。花時雨って名前も、変な当て字なのか?と思ったら、まんま「はなしぐれ」と読む。うーーん…。
役に立たない上に偉そうな宇宙人なのだが、とくにイラッとはしなかった。まあこういう生き物なんだろうと思えるのは、何をしていても本人なりに筋が通っているからだろうか。
そしてこのお姫さまは、実は男前な性格で、健気なところがある。可愛いわ~と思って読了。
お気に入りの場面は遊園地でのデートかなあ。媚びない可愛らしさがよかった。
なかなか面白くて、トンチキでも食わず嫌いはいけないのか?と考えを改めそうになってしまった。…いやいや、これはたぶんレアケースなはず。
凪良ゆう 大誠社 2011/04
リリ文庫、聞いたことないなあ。
(どうでもいいが、ちょっと横幅が広いというか、縦横の比率が微妙に普通の文庫と違って感じてすごく気になった(読んでて気が散った)から、他の文庫と重ねて比べてみたら、普通のサイズだった。ただ行数が多かっただけみたい)
これは現代ファンタジー?(と、まず誤解していた)
完全な作家買いで、タイトルだけしか見ていなかったので、なんだか趣味にあわなそう…って積んでたんだけど。たぶん、あらすじと設定知ってたら、食わず嫌いしたと思う。
けど、面白かった!!
今年のマイベスト当確。
ネタバレ
------------------------------------------
上から目線で申し訳ないが(…)、久々に凪良さんの良さが前面に出た作品という感じ。
私の中では『恋愛犯』以来のヒット。
読み始めてすぐ、小学生攻…?!と戦慄したけど(それはもうショタが苦手で)、この子がよい年下攻に育ってくれたので、とっても楽しく読めた。
個性的なのに共感しやすいキャラもよかったし、二人の成長や変化を焦らず丁寧に、しかも飽きさせないテンポで描いてるのがよかったなあと。
恋愛だけでなく、もっとこうキャラの全般が描かれているというか。それでいて、しっかりラブストーリーで。
いや~、本当いいものを読んだ。
「太陽の下に出られない病気」…これで苛められ、不登校になったっていう、わりと重たい話なのに、全体に暗さがない。いや、主人公の辛さも悩みもじっくり書いてあるんだけど、常に作者の優しい目線を感じるせいか、読みづらさがまったくなかった。
印象的な場面も多かったし、さすが凪良さん、という1冊だった。
リリ文庫、聞いたことないなあ。
(どうでもいいが、ちょっと横幅が広いというか、縦横の比率が微妙に普通の文庫と違って感じてすごく気になった(読んでて気が散った)から、他の文庫と重ねて比べてみたら、普通のサイズだった。ただ行数が多かっただけみたい)
これは現代ファンタジー?(と、まず誤解していた)
完全な作家買いで、タイトルだけしか見ていなかったので、なんだか趣味にあわなそう…って積んでたんだけど。たぶん、あらすじと設定知ってたら、食わず嫌いしたと思う。
けど、面白かった!!
今年のマイベスト当確。
ネタバレ
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上から目線で申し訳ないが(…)、久々に凪良さんの良さが前面に出た作品という感じ。
私の中では『恋愛犯』以来のヒット。
読み始めてすぐ、小学生攻…?!と戦慄したけど(それはもうショタが苦手で)、この子がよい年下攻に育ってくれたので、とっても楽しく読めた。
個性的なのに共感しやすいキャラもよかったし、二人の成長や変化を焦らず丁寧に、しかも飽きさせないテンポで描いてるのがよかったなあと。
恋愛だけでなく、もっとこうキャラの全般が描かれているというか。それでいて、しっかりラブストーリーで。
いや~、本当いいものを読んだ。
「太陽の下に出られない病気」…これで苛められ、不登校になったっていう、わりと重たい話なのに、全体に暗さがない。いや、主人公の辛さも悩みもじっくり書いてあるんだけど、常に作者の優しい目線を感じるせいか、読みづらさがまったくなかった。
印象的な場面も多かったし、さすが凪良さん、という1冊だった。
叶わない、恋をしている
2010年12月11日 凪良ゆう
凪良ゆう 大洋図書 2010/11
両親が亡くなったために大学を中退し、働きながら3人の弟を育てる主人公が、知り合ったばかりの男に亡くなった恋人の身代わりとして会ってほしいと言われ、お金をもらうようになるというストーリー。
ネタバレ
-----------------------------------------------
頑張ってるお兄ちゃんも、身代わりものも、恋人との死別から立ち直れない男というのも、とてもよく見かける設定…なんだけど、凪良さんらしいテンポ&丁寧さで書かれていて面白かった。
ありがちだからこそ、こういう設定は適当に書くと粗が出ちゃうと思う。この作品は1つ1つ段階を踏んでいて、読み応えがあった。
最初はそれほど気にならなかった身代わりがだんだん辛くなってくることとか、気軽な大学生だったのが、いきなり働きづめの生活になってしまう大変さとか、誰でも想像はつくところを、飛ばさずにきちんと書いてあって共感しやすかった。
すごく感動する話でもないけど、安らぎを感じたり切なかったりする場面で分かるなーってことが多いから、読みやすいし楽しみやすい。
主人公は頑張っているし、健気なタイプだけど、「かわいそう」な子じゃないのも趣味に合ってよかった。説明が難しいけど、不運でかわいそうだと、主人公が健気に頑張っていても作り物っぽくなって心に響かなかったりする。でも…、うーん、例えば話を聞いてコメントのしようもないほど不幸なら、同情はしても気分が重くなってしまうだけだけど、「それは大変だ」って言えるぐらいの状況で頑張っている人なら、頑張ってねって応援して、こっちも頑張ろうと思えるというか。
なんかそういう匙加減?がちょうどよかった。
半年ぐらいしたら、また読み返したいかも。
両親が亡くなったために大学を中退し、働きながら3人の弟を育てる主人公が、知り合ったばかりの男に亡くなった恋人の身代わりとして会ってほしいと言われ、お金をもらうようになるというストーリー。
ネタバレ
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頑張ってるお兄ちゃんも、身代わりものも、恋人との死別から立ち直れない男というのも、とてもよく見かける設定…なんだけど、凪良さんらしいテンポ&丁寧さで書かれていて面白かった。
ありがちだからこそ、こういう設定は適当に書くと粗が出ちゃうと思う。この作品は1つ1つ段階を踏んでいて、読み応えがあった。
最初はそれほど気にならなかった身代わりがだんだん辛くなってくることとか、気軽な大学生だったのが、いきなり働きづめの生活になってしまう大変さとか、誰でも想像はつくところを、飛ばさずにきちんと書いてあって共感しやすかった。
すごく感動する話でもないけど、安らぎを感じたり切なかったりする場面で分かるなーってことが多いから、読みやすいし楽しみやすい。
主人公は頑張っているし、健気なタイプだけど、「かわいそう」な子じゃないのも趣味に合ってよかった。説明が難しいけど、不運でかわいそうだと、主人公が健気に頑張っていても作り物っぽくなって心に響かなかったりする。でも…、うーん、例えば話を聞いてコメントのしようもないほど不幸なら、同情はしても気分が重くなってしまうだけだけど、「それは大変だ」って言えるぐらいの状況で頑張っている人なら、頑張ってねって応援して、こっちも頑張ろうと思えるというか。
なんかそういう匙加減?がちょうどよかった。
半年ぐらいしたら、また読み返したいかも。
凪良ゆう 心交社 2010/7
ショコラの本、久し振りに買ったなあ。
ネタバレ
-----------------------------------------
コメディでもなければ、変った設定でもない凪良作品ってことで期待していたのだが、期待以上に楽しめた。
リーマン、しかも年下攻(部下)という設定も個人的な趣味の問題で嬉しい。
職業ものとか事件もののBLも好きなんだけど、やっぱりこういう恋愛が前面で全面なストーリーのほうが好き。
受の如月も攻の里見も有能でカッコいいリーマンなんだけど、適度に弱い部分を持っていて、キャラも地に足が着いているという感じ。かといって読んでいて疲れるほどのリアリティーもなく、白けるほどの作り物っぽさもなく、ある程度リアルな日常ものが好きな私にとっては夢を見やすい作品だった。
穏やかで優しいのに素直になれないというか…甘え下手な如月の不器用さは共感しやすかった。小さな見栄を張ってしまう気持ちも分かるなあ~と。
その如月が家族扱いしている犬のロボットは、最初はいい大人がオモチャと会話…という感じで引いてしまったのだが、読んでいるうちに情が移ってくる。如月に同情して理解するというんじゃなくて、少しずつロボットの存在が大きくなっていって、無機物を「物」として見ずに人格を与えて愛する気持ちが分かるようになるんだと思う。ここらへんが上手いなあと。
本物の犬を出せば、大半の読者は出てきた直後に可愛いと思うだろうし、主人公がペットを愛する気持ちというのも説明や描写がなくても理解や共感を持てるし、人工知能を持ったアンドロイドなら「キャラ」としてすんなり受け入れるはず。けど、オモチャのロボットって微妙な位置のものを自然に「家族なんだな」と思わせるあたりがよかった。
…キンピラ(ロボットの名前)について熱く語りすぎたか。
あと、如月の住んでいる日本家屋&庭もよかった。
はじめのほうは里見の態度が図々しく感じ、攻は親友の榎本のほうがいいなあと思ったりした。二人の関係が進んでいくにつれて、無神経に思えた里見の態度が素直で気持ちに正直なだけなんだと分かってきて、少しネガティブなところのある如月にはぴったりな相手だと思えてきた。
里見が片思いの相手だった高橋から如月へと気持ちを移していく過程がまた自然な流れで、如月の視点だから里見の気持ちは少し見えづらいけど、ブレがないな~と感心してしまった。
ちょっと地味だけど、等身大よりちょっぴり上ぐらいのキャラが魅力的だし、読後感がよくて面白い作品だった。
榎本のSSもすごく好みだった。とくに最後の2行が秀逸です。
ショコラの本、久し振りに買ったなあ。
ネタバレ
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コメディでもなければ、変った設定でもない凪良作品ってことで期待していたのだが、期待以上に楽しめた。
リーマン、しかも年下攻(部下)という設定も個人的な趣味の問題で嬉しい。
職業ものとか事件もののBLも好きなんだけど、やっぱりこういう恋愛が前面で全面なストーリーのほうが好き。
受の如月も攻の里見も有能でカッコいいリーマンなんだけど、適度に弱い部分を持っていて、キャラも地に足が着いているという感じ。かといって読んでいて疲れるほどのリアリティーもなく、白けるほどの作り物っぽさもなく、ある程度リアルな日常ものが好きな私にとっては夢を見やすい作品だった。
穏やかで優しいのに素直になれないというか…甘え下手な如月の不器用さは共感しやすかった。小さな見栄を張ってしまう気持ちも分かるなあ~と。
その如月が家族扱いしている犬のロボットは、最初はいい大人がオモチャと会話…という感じで引いてしまったのだが、読んでいるうちに情が移ってくる。如月に同情して理解するというんじゃなくて、少しずつロボットの存在が大きくなっていって、無機物を「物」として見ずに人格を与えて愛する気持ちが分かるようになるんだと思う。ここらへんが上手いなあと。
本物の犬を出せば、大半の読者は出てきた直後に可愛いと思うだろうし、主人公がペットを愛する気持ちというのも説明や描写がなくても理解や共感を持てるし、人工知能を持ったアンドロイドなら「キャラ」としてすんなり受け入れるはず。けど、オモチャのロボットって微妙な位置のものを自然に「家族なんだな」と思わせるあたりがよかった。
…キンピラ(ロボットの名前)について熱く語りすぎたか。
あと、如月の住んでいる日本家屋&庭もよかった。
はじめのほうは里見の態度が図々しく感じ、攻は親友の榎本のほうがいいなあと思ったりした。二人の関係が進んでいくにつれて、無神経に思えた里見の態度が素直で気持ちに正直なだけなんだと分かってきて、少しネガティブなところのある如月にはぴったりな相手だと思えてきた。
里見が片思いの相手だった高橋から如月へと気持ちを移していく過程がまた自然な流れで、如月の視点だから里見の気持ちは少し見えづらいけど、ブレがないな~と感心してしまった。
ちょっと地味だけど、等身大よりちょっぴり上ぐらいのキャラが魅力的だし、読後感がよくて面白い作品だった。
榎本のSSもすごく好みだった。とくに最後の2行が秀逸です。
凪良ゆう 大洋図書 2010/04
凪良さん×SHYノベルス。凪良さん×石原さん。
よっしゃ、きた!!
私にとって凪良さんはブラック(レーベル名)でシリアスな作家さんなのだが、別のレーベルでも出してくれないかなーと思っていたので、発売前から楽しみにしていた。
というわけで気合を入れて感想を書こうと、読んだのもっと前だけど週末まで待ってみた。
ネタバレ
-------------------------------------------
★★★★ぐらいかなー。
読み応えもあったし、面白かったけど、手放しで誉めるような感じでもない。
この読みやすい文章と中身のある話とまとまりのよさは得がたいと思うので、これから色々文句をつけるけど(…)、★は落とさなかった。趣味に合うとか合わないとか面白いとか面白くないとかいう以前に、活字を読む楽しさがあるから、それだけで★3つぐらいというか。
一途な年下攻ってところがすごく趣味だった。受もいい人だと思うけど、それほど好みじゃなかったから、なんでそんなに好きなんだろうという感じはちょっとした。高校時代のエピソードはよかったけど。
ヤクザ、借金のカタという設定なので、痛さも起伏もあるんだけど、この設定のわりには甘さがあるし、追い込まれる感じは薄い。たぶんここで手を緩めることで読みやすさやBLに必要な甘さが出てるんだと思うし、これはこれでいいんだと思う。ただ、ちょっと逃げてるような気もしてしまうし、手堅くまとめるために風呂敷っていうかスケールを広げないようにしてしまったのかなあという印象もあった。…まあ個人的には、話を大きくするためにトンチキ設定にしたり収拾がつかなかったり辻褄が合ってなかったりする突っ込みどころ満載作品より、手堅い作品のほうがず~~っと好みなんだけど。
「借金にカタつけてやるから」って脅迫する場面、一也に感情移入していたせいか読んでるときは嫌な感じはしなかった。けど、後の展開を考えてみると、こいつがこんなこと言い出さなければ、夏生の人生は狂わなかったのになーと思った。いや、別にゲイだってことを認めたり偽装結婚をやめたりするのはいいと思うんだけど、逃亡生活はしなくてすんだよなーと。
…四百万って金額がね。肩代わりしたほうが安かっただろうなーと、つい思ってしまう。夏生は公務員で二十代後半で生活も地味そうだし、結婚資金も当然用意してあるだろうし、貯金は十分あるはず。弁護士に相談しながら余裕で返済できる金額だろうなあと。これが八百万なら厳しいかもしれないが。四百万だと一也は純情一途だけど、困ったちゃんな攻だなあ…と思ってしまう。
いや、一也が暴走しなかったら、この話が成り立たないんだけど。…それに、夏生の逃げ方を見てると、一也の一途さにはほろりとくるものがあった。偽装結婚だと聞いてもなお婚約者に遠慮するところとか、切なかったなあ。
上手く立ち回ろうとして泥沼に陥ってしまった事態の決着が、なんとも肩透かしだったのがこの話の残念なところ。なんだろう、主人公が偉い人に気に入られてピンチで助けられるって展開自体はよく見かけるし、悪くないと思うんだけど。
うーん、もう少し主人公が機転を利かせるなりして活躍した結果として、最後に救いの手が入るって展開なら文句なかっただろうなあ。たまたま昔の男に似ていたっていう理由で気に入られたって、カッコよくないしな。
直前までボディーガードつけてもらって逃亡資金まで用意してもらって、「さあお逃げなさい」って言われて、続編じゃ敵の排除までしてもらってアフターケアも万全。なんだかパッケージツアーみたいで緊迫感がないわー。
追い込まれてから助かる理由が、幸運だけの一発大逆転って話は単純だけど面白い。けど、一也は二段階で助けられてるから、どうにも気が抜けてしまう。しかも、九条のきまぐれという恣意的な要因というか人為が入ってしまうので、「幸運」の持つ鮮やかさがない。そこらへんで爽快さが目減りしてるんじゃないかなーと。
九条はとくに好みじゃないんで、ふーん、スピンオフあるんだーという感じ。私としては別に楽しみではない。まあ本が出たら買うし、読めばきっと面白いんだろうとは思うけど。
別作品のストーカー攻とかDV当て馬とかが話として面白かったから、一也のことを困ったちゃんと責めたばかりだけど、主人公をもっとどうしようもないキャラにするとか、凪良さんはもっと思い切って書いたほうがいいんじゃないかなー。
……そして私はもっと下から目線の感想を心がけたいものです。
凪良さん×SHYノベルス。凪良さん×石原さん。
よっしゃ、きた!!
私にとって凪良さんはブラック(レーベル名)でシリアスな作家さんなのだが、別のレーベルでも出してくれないかなーと思っていたので、発売前から楽しみにしていた。
というわけで気合を入れて感想を書こうと、読んだのもっと前だけど週末まで待ってみた。
ネタバレ
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★★★★ぐらいかなー。
読み応えもあったし、面白かったけど、手放しで誉めるような感じでもない。
この読みやすい文章と中身のある話とまとまりのよさは得がたいと思うので、これから色々文句をつけるけど(…)、★は落とさなかった。趣味に合うとか合わないとか面白いとか面白くないとかいう以前に、活字を読む楽しさがあるから、それだけで★3つぐらいというか。
一途な年下攻ってところがすごく趣味だった。受もいい人だと思うけど、それほど好みじゃなかったから、なんでそんなに好きなんだろうという感じはちょっとした。高校時代のエピソードはよかったけど。
ヤクザ、借金のカタという設定なので、痛さも起伏もあるんだけど、この設定のわりには甘さがあるし、追い込まれる感じは薄い。たぶんここで手を緩めることで読みやすさやBLに必要な甘さが出てるんだと思うし、これはこれでいいんだと思う。ただ、ちょっと逃げてるような気もしてしまうし、手堅くまとめるために風呂敷っていうかスケールを広げないようにしてしまったのかなあという印象もあった。…まあ個人的には、話を大きくするためにトンチキ設定にしたり収拾がつかなかったり辻褄が合ってなかったりする突っ込みどころ満載作品より、手堅い作品のほうがず~~っと好みなんだけど。
「借金にカタつけてやるから」って脅迫する場面、一也に感情移入していたせいか読んでるときは嫌な感じはしなかった。けど、後の展開を考えてみると、こいつがこんなこと言い出さなければ、夏生の人生は狂わなかったのになーと思った。いや、別にゲイだってことを認めたり偽装結婚をやめたりするのはいいと思うんだけど、逃亡生活はしなくてすんだよなーと。
…四百万って金額がね。肩代わりしたほうが安かっただろうなーと、つい思ってしまう。夏生は公務員で二十代後半で生活も地味そうだし、結婚資金も当然用意してあるだろうし、貯金は十分あるはず。弁護士に相談しながら余裕で返済できる金額だろうなあと。これが八百万なら厳しいかもしれないが。四百万だと一也は純情一途だけど、困ったちゃんな攻だなあ…と思ってしまう。
いや、一也が暴走しなかったら、この話が成り立たないんだけど。…それに、夏生の逃げ方を見てると、一也の一途さにはほろりとくるものがあった。偽装結婚だと聞いてもなお婚約者に遠慮するところとか、切なかったなあ。
上手く立ち回ろうとして泥沼に陥ってしまった事態の決着が、なんとも肩透かしだったのがこの話の残念なところ。なんだろう、主人公が偉い人に気に入られてピンチで助けられるって展開自体はよく見かけるし、悪くないと思うんだけど。
うーん、もう少し主人公が機転を利かせるなりして活躍した結果として、最後に救いの手が入るって展開なら文句なかっただろうなあ。たまたま昔の男に似ていたっていう理由で気に入られたって、カッコよくないしな。
直前までボディーガードつけてもらって逃亡資金まで用意してもらって、「さあお逃げなさい」って言われて、続編じゃ敵の排除までしてもらってアフターケアも万全。なんだかパッケージツアーみたいで緊迫感がないわー。
追い込まれてから助かる理由が、幸運だけの一発大逆転って話は単純だけど面白い。けど、一也は二段階で助けられてるから、どうにも気が抜けてしまう。しかも、九条のきまぐれという恣意的な要因というか人為が入ってしまうので、「幸運」の持つ鮮やかさがない。そこらへんで爽快さが目減りしてるんじゃないかなーと。
九条はとくに好みじゃないんで、ふーん、スピンオフあるんだーという感じ。私としては別に楽しみではない。まあ本が出たら買うし、読めばきっと面白いんだろうとは思うけど。
別作品のストーカー攻とかDV当て馬とかが話として面白かったから、一也のことを困ったちゃんと責めたばかりだけど、主人公をもっとどうしようもないキャラにするとか、凪良さんはもっと思い切って書いたほうがいいんじゃないかなー。
……そして私はもっと下から目線の感想を心がけたいものです。
凪良ゆう 白泉社 2010/03
この作品と、来月の新刊と買いそびれていた既刊の3冊まとめて凪良作品を注文してみた。とくに来月の新刊には期待している。
ネタバレ
--------------------------------------------
やっぱりブラックな凪良作品のほうが好きだなー。
もちろんレーベルのこと。レーベルを見ないで買って、なにやら変な設定(まあデビュー作もチャレンジャーな設定だったが…)だと思ってたんだけど、届いて納得。そうか今回は黒くないんですかー。
いや、楽しく読んだし、コメディーは好きなんだけど、こういう路線はとくに求めていなかったので、感想書きづらいなあという感じ。
大変赤裸々なことを申し上げますが(…書かないという配慮は?)、処女な女王様とかいう性別受みたいなキャラにあまり興味がないし、お布団の中での下克上にもそれほど……という趣味なもので。
いやいやいや、でも趣味の問題はともかく、面白かったです。
佐藤父(攻の父親)が気の毒で笑ってしまった。
あと、最初はウザい系(…)だった飯島の意外な男振りが素敵だった。この子は攻になるべきだと思います。…またイバラなことを書いてしまったなあ。
この作品と、来月の新刊と買いそびれていた既刊の3冊まとめて凪良作品を注文してみた。とくに来月の新刊には期待している。
ネタバレ
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やっぱりブラックな凪良作品のほうが好きだなー。
もちろんレーベルのこと。レーベルを見ないで買って、なにやら変な設定(まあデビュー作もチャレンジャーな設定だったが…)だと思ってたんだけど、届いて納得。そうか今回は黒くないんですかー。
いや、楽しく読んだし、コメディーは好きなんだけど、こういう路線はとくに求めていなかったので、感想書きづらいなあという感じ。
大変赤裸々なことを申し上げますが(…書かないという配慮は?)、処女な女王様とかいう性別受みたいなキャラにあまり興味がないし、お布団の中での下克上にもそれほど……という趣味なもので。
いやいやいや、でも趣味の問題はともかく、面白かったです。
佐藤父(攻の父親)が気の毒で笑ってしまった。
あと、最初はウザい系(…)だった飯島の意外な男振りが素敵だった。この子は攻になるべきだと思います。…またイバラなことを書いてしまったなあ。
夜明けには優しいキスを
2009年7月25日 凪良ゆう
凪良ゆう 白泉社 2009/7
タイトルから、しっとり系かな~と予想し、とくにあらすじや設定は確認しないで買ってみた。
関係ないけど、相変わらずブラックは高いなあ。690円。同じページ数のディアプラス文庫がちょうど手元にあったから値段を見たら560円だった。…でもこの作品は買いだったから、いいや。
ネタバレ注意!
---------------------------------------------------
はい、当たりでました~。
久々に…殿堂ブログを更新できるので、ありがたい。
まず。テーマが重いし、暗い。普段なら避けて通るタイプの話。
読み始めた直後は、やっちゃったかな、って思ったんだけど。やっぱり凪良さんの文章には引き込まれてしまう。
キャラクターがまた、奥行きがあるというか、凝ったつくりになっている。あとがきで裏設定やらその後の話なんかを紹介してるけど、本編を読んでいても、そういうキャラの背景を感じ取れるような書き方だった。
それとキャラの台詞に、ハッとさせられるようなものがあった。ちょっと新鮮だったり、感心させられたり、いい意味で予想を裏切るものがあった。それに共感できるかどうかは別の問題だけど、読んでて面白かった。
しっかりしているように見えて、抱えている事情が事情なだけに脆いところのある要と、ちょっと暑苦しいけど(…すみません)自分の生き方を貫いているところがカッコイイ公平。まさにお似合いというカップルだった。
主人公の要は過去の罪を常に気にして、自分を過酷な状況に追いやって苛めることで、贖罪しようとしている。はっきりいって私には感情移入しにくいタイプなのだが、不思議と抵抗を感じずに読めた。
別の作家の作品でこれと似たような設定の話をいくつか読んだことがあるけど、主人公の罪悪感や苦しみまでは伝わってくるのに、行動が的外れだったり浅慮だったりして「贖罪」という言葉にリアリティがなく、ピンと来なかった。リアリティのない設定の話であっても、主人公の心情はリアリティを出さなくちゃいけない部分だと思う…。
この作品の場合、要の行動や考え方に終始一貫したものを感じた。常に罪の意識がつきまとっている感じがして、考え方が理解しやすく、心情部分でリアリティを感じた。正しいとはいえない方向にいっているので共感はできないのだが、かえって人間臭さを感じ、感情移入できるし、応援したくなる。
同じような題材を扱っても、書き方次第でこんなに面白くなるんだなあと。
あ、…やや上から目線になってしまった。気をつけないと。
ストーリーは主人公の過去の罪と、DV男の今カレとの関係が軸になっていて、かなり重苦しいものだが、きっちり丁寧に書かれているところがいい。痛いは痛いんだけど、ドロドロしすぎていないというか、気分が悪くなるというよりは悲しくなってくるような痛さで、後味は悪くなってない。痛い分、公平の優しさが救いになるし、要が少しずつ強くなっていくところが感動的だった。
要の罪は、ボランティアで話相手をしていた高校生の少女に告白されて振ったら、その子が「捨てられました」という書置きを残して自殺したというもの。
どちらかといえば要は被害者という感じなのだが、まったく責任がないとは言い切れない部分もあり、結果が重大なだけに罪悪感を持つのも当然だと思った。この匙加減?のよさで主人公に同情しやすくなったし、話に納得がいったんだと思う。この過去が分かることで主人公を軽蔑してしまうようなこともないし、かといって「なんで君が悩んでるの?」ということにもならない。
何も悪くない主人公が「全部自分が悪いんです」というのは、BLにはわりと多いと思うんだけど、そういうのは理不尽でかわいそうというより、単に思考回路が理解できないまま終わっちゃう…。(…健気受が苦手な理由その3)
この自殺した少女の件も公平に背中を押される形で決着をつけに行き、少女の両親との和解まで含め、端折らず逃げずにひとつひとつ解決していくところが良かった。
この後、要は自殺を図った元カレ(…またしても主人公が不憫です)加瀬を救うために、公平と別れる。恋愛至上主義じゃないところがBLとしては珍しい展開。でも要にとって必要なことだと思えるので、えーって思いつつも納得の展開だった。
そして要の気持ちを理解し、尊重してくれる公平にジーンとなった。別れないって言い張らないところに、愛情の深さを感じた。
ここらで加瀬が潔く(都合よく?)身を引いてくれることを期待したのだが、そう簡単にはいかず、要は加瀬と恋人としてではなく、友人として同居を始める。要の献身でちょっとずつ加瀬の心がほぐれていき、救われていく過程が素晴らしかった。…なんだかだんだん加瀬のことが好きになってきちゃった。それで最後にとうとう勇気を出して要を手放す場面で、またしてもジーンときた。なんといってもやっと要が幸せになれるときが来たし、加瀬が立ち直ってくれたことも嬉しかった。加瀬にも幸せになってもらいたいなあ。(あとがきで彼の未来が保証されてよかった。スピンオフが読めないのは残念だけど)
ラストの静かな朝の情景がよかった。暖かな気持ちで読み終えた。
タイトルから、しっとり系かな~と予想し、とくにあらすじや設定は確認しないで買ってみた。
関係ないけど、相変わらずブラックは高いなあ。690円。同じページ数のディアプラス文庫がちょうど手元にあったから値段を見たら560円だった。…でもこの作品は買いだったから、いいや。
ネタバレ注意!
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はい、当たりでました~。
久々に…殿堂ブログを更新できるので、ありがたい。
まず。テーマが重いし、暗い。普段なら避けて通るタイプの話。
読み始めた直後は、やっちゃったかな、って思ったんだけど。やっぱり凪良さんの文章には引き込まれてしまう。
キャラクターがまた、奥行きがあるというか、凝ったつくりになっている。あとがきで裏設定やらその後の話なんかを紹介してるけど、本編を読んでいても、そういうキャラの背景を感じ取れるような書き方だった。
それとキャラの台詞に、ハッとさせられるようなものがあった。ちょっと新鮮だったり、感心させられたり、いい意味で予想を裏切るものがあった。それに共感できるかどうかは別の問題だけど、読んでて面白かった。
しっかりしているように見えて、抱えている事情が事情なだけに脆いところのある要と、ちょっと暑苦しいけど(…すみません)自分の生き方を貫いているところがカッコイイ公平。まさにお似合いというカップルだった。
主人公の要は過去の罪を常に気にして、自分を過酷な状況に追いやって苛めることで、贖罪しようとしている。はっきりいって私には感情移入しにくいタイプなのだが、不思議と抵抗を感じずに読めた。
別の作家の作品でこれと似たような設定の話をいくつか読んだことがあるけど、主人公の罪悪感や苦しみまでは伝わってくるのに、行動が的外れだったり浅慮だったりして「贖罪」という言葉にリアリティがなく、ピンと来なかった。リアリティのない設定の話であっても、主人公の心情はリアリティを出さなくちゃいけない部分だと思う…。
この作品の場合、要の行動や考え方に終始一貫したものを感じた。常に罪の意識がつきまとっている感じがして、考え方が理解しやすく、心情部分でリアリティを感じた。正しいとはいえない方向にいっているので共感はできないのだが、かえって人間臭さを感じ、感情移入できるし、応援したくなる。
同じような題材を扱っても、書き方次第でこんなに面白くなるんだなあと。
あ、…やや上から目線になってしまった。気をつけないと。
ストーリーは主人公の過去の罪と、DV男の今カレとの関係が軸になっていて、かなり重苦しいものだが、きっちり丁寧に書かれているところがいい。痛いは痛いんだけど、ドロドロしすぎていないというか、気分が悪くなるというよりは悲しくなってくるような痛さで、後味は悪くなってない。痛い分、公平の優しさが救いになるし、要が少しずつ強くなっていくところが感動的だった。
要の罪は、ボランティアで話相手をしていた高校生の少女に告白されて振ったら、その子が「捨てられました」という書置きを残して自殺したというもの。
どちらかといえば要は被害者という感じなのだが、まったく責任がないとは言い切れない部分もあり、結果が重大なだけに罪悪感を持つのも当然だと思った。この匙加減?のよさで主人公に同情しやすくなったし、話に納得がいったんだと思う。この過去が分かることで主人公を軽蔑してしまうようなこともないし、かといって「なんで君が悩んでるの?」ということにもならない。
何も悪くない主人公が「全部自分が悪いんです」というのは、BLにはわりと多いと思うんだけど、そういうのは理不尽でかわいそうというより、単に思考回路が理解できないまま終わっちゃう…。(…健気受が苦手な理由その3)
この自殺した少女の件も公平に背中を押される形で決着をつけに行き、少女の両親との和解まで含め、端折らず逃げずにひとつひとつ解決していくところが良かった。
この後、要は自殺を図った元カレ(…またしても主人公が不憫です)加瀬を救うために、公平と別れる。恋愛至上主義じゃないところがBLとしては珍しい展開。でも要にとって必要なことだと思えるので、えーって思いつつも納得の展開だった。
そして要の気持ちを理解し、尊重してくれる公平にジーンとなった。別れないって言い張らないところに、愛情の深さを感じた。
ここらで加瀬が潔く(都合よく?)身を引いてくれることを期待したのだが、そう簡単にはいかず、要は加瀬と恋人としてではなく、友人として同居を始める。要の献身でちょっとずつ加瀬の心がほぐれていき、救われていく過程が素晴らしかった。…なんだかだんだん加瀬のことが好きになってきちゃった。それで最後にとうとう勇気を出して要を手放す場面で、またしてもジーンときた。なんといってもやっと要が幸せになれるときが来たし、加瀬が立ち直ってくれたことも嬉しかった。加瀬にも幸せになってもらいたいなあ。(あとがきで彼の未来が保証されてよかった。スピンオフが読めないのは残念だけど)
ラストの静かな朝の情景がよかった。暖かな気持ちで読み終えた。
凪良ゆう 白泉社 2009/4
久しぶりにブラックを買った気がするなあ。
高校生×教師。
ネタバレ
--------------------------------------------
裏表紙のあらすじはちょっとネタバレしてる気がする。目新しい展開ではないだろうけど、いくつもある選択肢の中から作者がどれを選ぶのか、よほどのテンプレ作品じゃない限り読めそうで読めないものだし、かなり後半になってから出てくる「転」の部分を書いちゃうのはどうなのかと…。
再読では決して味わえない、初めて読むときの楽しみを奪わないでほしい。
凪良ゆうさんの作品は設定が好きそうなものしか読まないので、これで2冊目。
前回読んだ『恋愛犯』の感想として、「次は下から目線で上目遣いに読みます」と書いたので(……)、当社比では謙虚な気持ちで読みはじめた。
だから誉めるわけではないが、読みやすかったし、面白かった。
主人公、瀬名の高校生らしい未熟さと一途さがよかった。阿南のほうは最初、二面性があるタイプかと思ったんだけど、一貫した考えに基づいて行動しているように描かれている。キャラの造詣がしっかりしているというか。ふたりともカッコいいという設定なのだが、突出したカッコよさじゃなくて、あくまでリアリティのあるカッコよさで、感情移入がしやすかった。
ふたりの関係も同じ。家庭の事情で鬱屈した生活を送っている瀬名が、偶然クラブで高校の教師を見かけ、近づいていく過程が自然で。どこにも行き場のない瀬名が、クールに見えても優しい阿南にのめり込んでいくのは説得力がある。
凪良さんの文章は読みやすくて、いろいろな意味で上手いと思うんだけど、キャラの心情に読者を導入する部分がとくに上手いと思う。共感できない言動であっても、無理なくついていけるというか、引き込まれやすいというか。
瀬名が阿南にだけ縋るのは痛々しくもあったけど、好かれようと背伸びする姿は高校生らしくて可愛い。年下攻作品の醍醐味だなあと(笑)
この話では、教師と生徒、男同士ということが深刻な障壁になっている。かといってドロドロもしてないし、重苦しさより切なさを感じて、高校生が主人公の作品だけあってビターであってもピュアな印象が強い。
ふたりが別れを決める場面がとくによかった。悲しいんだけど、お互いに相手を想う気持ちがひしひしと伝わってくる。切ない…。
最後までハラハラさせられたが、甘く終わってくれて大満足だった。
次回作も楽しみだ。
久しぶりにブラックを買った気がするなあ。
高校生×教師。
ネタバレ
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裏表紙のあらすじはちょっとネタバレしてる気がする。目新しい展開ではないだろうけど、いくつもある選択肢の中から作者がどれを選ぶのか、よほどのテンプレ作品じゃない限り読めそうで読めないものだし、かなり後半になってから出てくる「転」の部分を書いちゃうのはどうなのかと…。
再読では決して味わえない、初めて読むときの楽しみを奪わないでほしい。
凪良ゆうさんの作品は設定が好きそうなものしか読まないので、これで2冊目。
前回読んだ『恋愛犯』の感想として、「次は下から目線で上目遣いに読みます」と書いたので(……)、当社比では謙虚な気持ちで読みはじめた。
だから誉めるわけではないが、読みやすかったし、面白かった。
主人公、瀬名の高校生らしい未熟さと一途さがよかった。阿南のほうは最初、二面性があるタイプかと思ったんだけど、一貫した考えに基づいて行動しているように描かれている。キャラの造詣がしっかりしているというか。ふたりともカッコいいという設定なのだが、突出したカッコよさじゃなくて、あくまでリアリティのあるカッコよさで、感情移入がしやすかった。
ふたりの関係も同じ。家庭の事情で鬱屈した生活を送っている瀬名が、偶然クラブで高校の教師を見かけ、近づいていく過程が自然で。どこにも行き場のない瀬名が、クールに見えても優しい阿南にのめり込んでいくのは説得力がある。
凪良さんの文章は読みやすくて、いろいろな意味で上手いと思うんだけど、キャラの心情に読者を導入する部分がとくに上手いと思う。共感できない言動であっても、無理なくついていけるというか、引き込まれやすいというか。
瀬名が阿南にだけ縋るのは痛々しくもあったけど、好かれようと背伸びする姿は高校生らしくて可愛い。年下攻作品の醍醐味だなあと(笑)
この話では、教師と生徒、男同士ということが深刻な障壁になっている。かといってドロドロもしてないし、重苦しさより切なさを感じて、高校生が主人公の作品だけあってビターであってもピュアな印象が強い。
ふたりが別れを決める場面がとくによかった。悲しいんだけど、お互いに相手を想う気持ちがひしひしと伝わってくる。切ない…。
最後までハラハラさせられたが、甘く終わってくれて大満足だった。
次回作も楽しみだ。
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恋愛犯―LOVE HOLIC
2008年6月26日 凪良ゆう コメント (2)
凪良ゆう 白泉社 2008/5
これも花○ブラック。
お借りしたので、読んでみた。
ネタバレで。
ちょっと面倒なあらすじなので、久しぶりに引用。でもちょっとだけ本編読んだ後だと違和感が。攻の日永視点だから「なぜか」とか「実は」っていう展開ではないのだが…。
わー、ストーカー攻だ。木原作品みたい〜とか思った時点で自分にストップをかけた。いまや一番売れているBL作家の一人と新人さんをくらべるのもどうかと思うし、くらべてしまえば作品の出来は関係なく、2番目に読むほうがつまらなく感じるに決まってる。
というわけで仕切り直してから読んだのだが、文章は読みやすいし、じっくり描かれるので面白い。読むのを中断したとき、これ前にも読んだことなかったっけ?とそんなわけがないのに思ってしまった。私は作品に引き込まれると、たまにこういう既視感が起こることがあるので、相当集中して読んでいたのではないかと。
うーん、ストーカーかあ、モラルの問題も厄介だし、痛い?とか警戒していたが、とくに痛くはない。警察に捕まろうが、学校でいじめられようが、家族に絶縁されようが、勢田のことしか考えていないので、読んでいるこっちも楽というか。
日永が粘着質であることは確かだが、不器用で一途な部分が大きく、歪みのほうはそれほどない。でも、ヘタレ攻は好きなのに、はっきりいって日永はまったく好みではなかった。頭が悪いとか社交性がないのはいいんだけど、やっぱり勢田以外への思いやりが欠如しているのは、どうにも魅力を感じず…。けどまあ、やりたいことにしか興味が向かないっていうのは、結構分かるし、日永がバイオリンを弾く場面は結構好き。
勢田が記憶喪失になってしまい、日永が他人のふりで引き取るあたりは、これだからストーカーは…という気分にしかならなかったし、若い刑事の「説教しても無駄」というような心無い台詞を思い出し、そのとおりになったなあと思ったりした。
それに引き換え、勢田は思いやりがあって、常識があって、芯が強い、魅力的なキャラだった。そんな勢田と暮らすうちに、日永も少しずつ成長していって、最後には自分から真実を打明けようとするところが感動的だった。
またしても警察に捕まってしまう日永だったが(…)、勢田が庇ってくれてハッピーエンドというのもよかった。普通なら嫌われてしまったままでも仕方のない日永の行動だが、きちんと思いが伝わっていたということで。勢田が日永を許し、惹かれた理由もよく分かるし、日永も周囲を思いやれるぐらいになってきているので、読後感もよかったし、面白かった。
次作も楽しみな作家さんだ。このブログではちょっと感想の数が少なくて寂しい「た・な・は行」の作家さんだし。いや、そんなことはどうでもいいんだけど、なんとなく。
これも花○ブラック。
お借りしたので、読んでみた。
ネタバレで。
季節が夏に向かうとある日、日永望は街中で高校時代のクラスメイト、勢田春人を偶然に見かけた。声をかけた瞬間、勢田は歩道橋から落下し、なんと記憶を失ってしまう。そんな勢田を日永は自分のマンションへ引き取るが、なぜか彼の過去を説明しようとしない。実は日永には、勢田をストーカーしたという過去があったのだ。歪んだ過去を封印したまま、2人の奇妙な同居生活が始まったのだが…!?罪にも似た妄執は、はたして本当の愛となり得るのだろうか?期待の新鋭作家がお送りする超問題作、新レーベルで堂々の登場。
ちょっと面倒なあらすじなので、久しぶりに引用。でもちょっとだけ本編読んだ後だと違和感が。攻の日永視点だから「なぜか」とか「実は」っていう展開ではないのだが…。
わー、ストーカー攻だ。木原作品みたい〜とか思った時点で自分にストップをかけた。いまや一番売れているBL作家の一人と新人さんをくらべるのもどうかと思うし、くらべてしまえば作品の出来は関係なく、2番目に読むほうがつまらなく感じるに決まってる。
というわけで仕切り直してから読んだのだが、文章は読みやすいし、じっくり描かれるので面白い。読むのを中断したとき、これ前にも読んだことなかったっけ?とそんなわけがないのに思ってしまった。私は作品に引き込まれると、たまにこういう既視感が起こることがあるので、相当集中して読んでいたのではないかと。
うーん、ストーカーかあ、モラルの問題も厄介だし、痛い?とか警戒していたが、とくに痛くはない。警察に捕まろうが、学校でいじめられようが、家族に絶縁されようが、勢田のことしか考えていないので、読んでいるこっちも楽というか。
日永が粘着質であることは確かだが、不器用で一途な部分が大きく、歪みのほうはそれほどない。でも、ヘタレ攻は好きなのに、はっきりいって日永はまったく好みではなかった。頭が悪いとか社交性がないのはいいんだけど、やっぱり勢田以外への思いやりが欠如しているのは、どうにも魅力を感じず…。けどまあ、やりたいことにしか興味が向かないっていうのは、結構分かるし、日永がバイオリンを弾く場面は結構好き。
勢田が記憶喪失になってしまい、日永が他人のふりで引き取るあたりは、これだからストーカーは…という気分にしかならなかったし、若い刑事の「説教しても無駄」というような心無い台詞を思い出し、そのとおりになったなあと思ったりした。
それに引き換え、勢田は思いやりがあって、常識があって、芯が強い、魅力的なキャラだった。そんな勢田と暮らすうちに、日永も少しずつ成長していって、最後には自分から真実を打明けようとするところが感動的だった。
またしても警察に捕まってしまう日永だったが(…)、勢田が庇ってくれてハッピーエンドというのもよかった。普通なら嫌われてしまったままでも仕方のない日永の行動だが、きちんと思いが伝わっていたということで。勢田が日永を許し、惹かれた理由もよく分かるし、日永も周囲を思いやれるぐらいになってきているので、読後感もよかったし、面白かった。
次作も楽しみな作家さんだ。このブログではちょっと感想の数が少なくて寂しい「た・な・は行」の作家さんだし。いや、そんなことはどうでもいいんだけど、なんとなく。
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