永遠の昨日

2010年11月21日 榎田尤利
榎田尤利 白泉社 2010/11

CROSS NOVELSの単行本の再版。
イラストがユギさんから紺野キタさんにかわって、書き下ろしはなし。
再版は嬉しいけど、1,470円。高いよ。
花丸はノベルズやめちゃったから、こういう形なんだと(素直には)思えなかった…。装丁に凝らなきゃ(紙と箔押しぐらいだが…)、儲けられないってことですかね、白泉社さん?
そういや、SHYノベルズから出た『普通のひと』や魚住くんシリーズも高かったなあ…。
あと、解説はないほうがよかったな。


ネタバレ
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面白かった。
最初から結末は分かっている。いや、結末の分からないBLって、ほとんどないと思うけど、この作品の場合はしっかり予告つきというか。結末より過程を語るほうがネタバレかもしれない。
主人公は高校生。結果は変えられないと分かっていて、終わりの見えている恋愛を精一杯育てていく姿が切なかった。
まだ高校生だし…、また素敵な相手を見つけてほしいなあ。

うーん、それにしても…この解説はないよなあ。この作品に対して、「諦観にも似た厳しさという<棘>が潜んでいるように思えてならない」って、すごい違和感ある。べつに潜んでないし、むしろ前面(全面)に出てるでしょう、それは。繰り返し語られているのに、どんな読み方をすれば「容易に悟らせない」という感想が出てくるのか、不可解……。
逆に、死別の辛さや厳しい現実の中に、優しさや希望を見つけていく話だと思う。だからこそ、ラストシーンが活きてくるわけで…。あのラストシーン、解説者の心には届かなかったのかな?

再読記録

2010年11月19日 榎田尤利
今週はエダさん強化週間だった。
シリーズものをいっぱい持っているエダさんなので、今週はあえて?シリーズになっていない作品ばかり選んでみた。

『少年はスワンを目指す』 ビブロス 2004/05
元気で可愛い話で結構好き。美少年な王子だけど、結構中身は男っぽいところがいいなあと。


『執事の特権』 大洋図書 2006/1
かなり好きな作品。とぼけた体育会系秘書と潔癖すぎる上司のバトル?が面白いんだけど、途中からしっかりラブvなところも好き。


『Stepbrother』 リブレ出版 2007/04
初めて読んだとき、うーん、それほどでも?という印象だった。エダさんにしちゃ、ずいぶん地味だなと。でも、読み返したら、まとまりとテンポのよさに驚いた。エダさんはやっぱ職人だと思う。


『ビューティフル・プア』 リブレ出版 2008/05
キャラがそれぞれ魅力的でいいなあと。主人公のライバル??たちも、執事さんも
いい味を出しているなあと。
侯爵の妙な?身売りという設定から始まるが、じっくり腰を据えたような書き方というか、テンポは悪くないけど落ち着いた雰囲気の作品で、読み応えがあって好き。


『菫の騎士』 大洋図書 2008/5
攻が子供すぎて、どうもなあ…と思っていたが、再読の今回のほうが面白く感じた。
「ファンタジーとしてはちょっと…」という感想も分からんでもないけど、BLで(ラブがテーマの作品で)ハイファンタジー という難しいテーマを1冊でよくぞここまでまとめてくれました、と思うけどなあ? 精霊とか領地の危機とかきっちり入ってるし、むしろあんまり世界観を強く出しすぎないことが、読みきりのライトノベルスとして求められるポイントだと思うし、バランスがいいと思う。
『猫はいつでも甘やかされる』
榎田尤利 大洋図書 2003/03

再読。『放蕩長屋の猫』のスピンオフなんだけど、この作品は先に読んでて、水曜に『放蕩~』を読んだので、ついでに読み返してみた。
本編タイトルの「放蕩」は、『猫は~』の主人公の春彦のことだし、必然的な?スピンオフ。

表紙の環さん(猫)、すごい顔。そして人間と比べると、すごいサイズだって分かりやすい(笑)
うーん、8キロもある猫って見たことないような気がするけど、実際これぐらいのサイズなんだろうなあ。とにかく重そうだ。

この話もキャラが趣味に合わないんだけど、読みやすくて面白い。

ネタバレ
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前半はシュウの自業自得な失敗ぶりが読んでて居たたまれないというか…。で、なんでそんなに感じが悪くなっちゃったのか、という事情で同情する。同時に、シュウも失敗してから少しずつ成長しているので、応援もしやすい。
けど、春彦を好きになったあたりは唐突に感じた。グループ内で仲がいいなあと思っていた二人がいつの間にか付き合ってました、みたいな印象。両視点なのが、分かりやすい一方で、感情移入もしづらい。話は出会いから始まっているのに、「好きになりました」というより、「前から好きでした」に近いような。
ラストはエダさんらしいなあ。
ほとんどの作家さんは逆パターンにすると思うんだけど、エダさんの場合は
住んでる環境が違う二人が付き合い始めたとき、攻が受に合わせることが多いような気がする。
セレブな攻の豪華マンションで同棲しますとか、天才の攻に受がついていきますとか、そういうパターンは少ないような。

そういうところが私の趣味としては読みやすくていいんだけど、今回は舞台が作品の大きな魅力のひとつだったのに、その下町を出て行くというのが、ちょーっと寂しかったかな。エダ作品に多い、もっと二人の仲のいいところを見たいのにラストは第三者視点にするっていうパターンも同じことで、それが悪いとは思わないけど、個人的にはちょっとガッカリする。
まあ作品自体が面白くなければ味わえない種類の、ある意味ものすごく贅沢なガッカリ感なんだけど(笑)

木曜日の1冊

2010年11月12日 榎田尤利
『はつ恋』
榎田尤利  リブレ出版 発売:2009/10

再読だけど、かなり集中して読んだ。
こんな短い話だったっけ?とちょっと驚いた。
やっぱ好きだなあ。

ネタバレ
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あー、あと一人称「私」について。
最初に読んだときの感想で書き忘れてたし、今回読み直して、また同じように感じたので追記。
書き分けっていう意味もあるだろうけど、高校生に戻ったとき「俺」のままより「私」のほうが、17歳の体に31歳の精神っていうアンバランスさが出ていいなあと。
この設定で「私」を使うのは一切小細工なしの直球勝負って感じだけど、だからこそ効果抜群というか。敬遠しないで、きっちりストレートで投げ込んできたみたいな?
エダさんは正攻法で書いて成功させるあたり、職人だなあと思う。

放蕩長屋の猫

2010年11月12日 榎田尤利
榎田尤利 大洋図書 2001/12

今週はエダさん強化週間だった。
水曜日の1冊。(初読)

ネタバレ
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表紙を見たときから好みじゃないことは分かっていたのだが、考えてみれば、エダ作品で私の好みに合うキャラやカップルって珍しいので、気にせず読むか~と。
年下攻だったのは嬉しいが、年下くんの可愛さが分からず…。
うーん、ヘタレは好きだけど、バカだから思いやりがないキャラって好きじゃないんだよなあ。悪い人間じゃないとは思うけど、男としての魅力を感じないんで、このまま別れちゃえばいいのに♪と思っていたのだが、まあちゃんと仲直りしまして。当たり前か(笑)
どっちかというと幼馴染のほうがいいと思うけど、甘ったれのおバカさんが好きって好みじゃ、包容系の年上には興味ないだろうなあと。
榎田尤利 リブレ出版 2006/08

こちらも久し振りの再読。

ネタバレ
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律も相当おバカさんだが、必要のないところで絡む久々野は、好きな子をからかう小学生のようで……。微笑ましいというより、最初はなんだかなあという感じだった。
ちなみに「ごめんなさい」と言うべき立場?なのは律のほうだが、だいたいいつでも先に暴言を吐くのは久々野なので、どっちもどっち。まあ、要は子供のケンカなので、いくら頭の固い私でもさすがにこれを読んで、「悪いことをしたら謝るべき」とは思わなかった(笑)
どっちもどっちの二人の意地の張り合いが面白いわけで。コメディーですから。

…律は相当子供っぽい性格なのに、シリーズの他のマンガ家の先生方と比べると、うわ~、この先生は普通だ!という感じがするから恐ろしい(笑)
で、この作品はマンガ家シリーズの中で唯一、攻も受も創作をしている。そして、互いの才能を認め合っている。だからこそ、意地の張り合いが面白い。
意地を張り合いつつも相手の作品は素直に誉めるあたり、プライド持って仕事してる男はカッコいいなあと思える。

律の元カノは、薄々律の本当の気持ちに気付いてたのかなあ。自分の彼氏の本命をゲットしてしまいました…って複雑すぎる。うーん。
榎田尤利 リブレ出版 2006/10

久しぶりにペラペラめくってたら、懐かしくなって再読。

ネタバレ
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表題作のほうは、作中作のヒロイン、麗奈が強烈過ぎて、読み終わってみるとキャンディ先生の印象が薄い。いや、面白いし、内気で一途で天然なキャンディ先生はいい子なんだけど、私の趣味的にちょっと物足りない。
攻の飴屋は俺様でカッコつけで面白いキャラ。結構好きだなあ。
この話で1番好きなのは、キャンディ先生の長年の片思いが実ったときに、担当の橘とアシさんが拍手で祝福してあげる場面。笑える~。
続編も楽しい。

「愛ならいらない」
橘と作家の話。
小谷の恋人は、優しいのか残酷なのか…。もちろん優しいからこその行動だったんだけど、残酷にも感じる。うーん、なんにしても切ない。
橘は、半年経つ前に謝りに行けよ…と思った。あと落ち込んでる人に「甘えるな」を連発するのは、結構危険です…。いや、そう言えるのが橘の強さなんだろうし、結構好きだけど。
榎田尤利 大洋図書 2010/7

電車の中で『~嵌められる』を読み終わったので、続きは憂鬱な月曜日の楽しみに取っておこうと思っていたんだけど、我慢できずに『~諦めない』も読んでしまった。一気読み。
というわけで、2冊セットで感想。


いろいろガッツリとネタバレ
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まず安心したこと。
交渉人シリーズはこれで終わりじゃなかった!
緊迫した展開や2冊同時発売や次巻がスピンオフということで、まさかこれで終わり?と心配していたけど、まだ続きがありそうな雰囲気。
面白い作品だからこそ、あまり引っ張らずに終わってほしいという思いもあるが、エダさんは今回もしっかりクオリティを保っている!
これなら続刊にも期待できるし、「長くなると間延びしてクオリティーが落ちる」というシリーズものの悲しい法則に当てはまることはなさそう。

冒頭の恒例となってきた芽吹のコスプレだが、今回はヤクザだった。芽吹は頑張っていたが、うわ~、似合わない(笑) 優男な風貌だし、弁が立ちすぎて、凄んでもヤクザっぽいイメージじゃないなあと。

今回は芽吹の過去の話が明らかになり、重たい展開が続いた。芽吹の軽い一人称が魅力の作品だが、今回は三人称が多くて、あちこち視点が飛ぶので落ち着かなかった。それが読みづらいってわけじゃなくて、先の見えない感じと「何か裏があるらしい」という不安感を煽られて、ストーリーに合っていたと思う。こういうところも上手いなあと思う。
芽吹と兵頭の利害が対立してしまった場面では、最初は兵頭の行動を残念に思った。けど、恋人を優先して信念を曲げないところがこの二人の魅力なんだろうなあと思い直した。…まあ正直、ヤクザの信念なんかどうでもいいけど、兵頭は世話になった人のために、芽吹は亡き親友のために譲れなかったわけで、結局同じ理由なのかな。
タイトルどおり、芽吹の活躍があまり見られなくて残念だった『~嵌められる』だが、芽吹の過去がじっくり語られてよかった。痛手から少しずつ立ち直っていく学生時代の話、その後、親友を失って絶望する話。本当に辛い過去が続いているが、そこから這い上がることができた芽吹は強いなあと惚れ直した。

『~諦めない』では、最初のほうから「反撃はもう始まってるんだな」と分かる伏線(プラグソケットとビー玉)がきっちり張ってあるのだが、それが分かっていても芽吹にとって痛い展開が続き、読んでいてしんどい部分があった。私は芽吹と違って兵頭を信用していないので(笑)、ちょっと兵頭が嫌いになった。
芽吹は自分で思っている以上にタフな人だなあというエピソードが続いたし。
芽吹が盗聴に気付いていたというのは分かっていたが、ビー玉の使い道は分からず、種明かしで驚いた。たったそれだけのメッセージで…二人の絆の強さが改めて分かるエピソードで、不足しまくりだった?ラブ部分でも最後に大満足。

今回大活躍だった?環は、確かに強い敵役だったのかもしれないけど、USBを持ち歩いていると分かっていて、ヤクザが手を出せないものかな~という疑問がちょっとあった。あと、「気に入らない」とかいう感情的な理由だけで動く敵というのはあまり好みじゃなく、面白くはあったけど、個人的にはそこだけ物足りなかったかなあ…。

3冊ほどヘビーな展開が続いた。もちろんそれも読み応えがあって最高に面白かったけど、次回は芽吹の一人称オンリーのコメディーに戻して、依頼人を助ける芽吹の活躍を描いてほしいなあ。笑えるコメディー作品って数が少ないので、このシリーズには笑いも期待してしまう。

追記。
兵頭を全部「兵藤」と書き間違えてた…。あとから誤字を見つけて直したのに気付かなかったなー…。

2冊同時発売なので、感想は2冊目を読んでから。

どっちが先なのか分かりづらい。
とにかくネタバレはやめて!と思っている私の場合、既読のシリーズはできれば、あらすじも読みたくない。2冊同時発売で、あらすじ斜め読みじゃ、どっちが先か分かりづらいよー。
まあ、タイトルで想像はついたけど…。
榎田尤利 雄飛 2002/07

宮本佳野さんの表紙イラストが暗いし、こういうタイトルだし、榎田さんも時々ひどく暗いものを書く作家さんだから、読みづらそうだなーと敬遠していた作品。
明るいとはいえないけど、そんな読みづらい作品ではなかった。

ネタバレ
「夏場のミサ先生はだめ」「なにしろ問題のあるヤツだから」ここ5年、白黒のイラスト以外を描かない水窪あきらには、作品の好評さとは裏腹に、いい噂がない。それでも、以前から彼の画風に心惹かれていた、編集者の藤野渉は挿絵を依頼するが…。仕事はいい加減。人肌恋しければ、知り合ったばかりの男とでも気軽に寝るような自堕落ぶり。しかしそんな水窪を、藤野は放っておくことができなかった。誘われるままに身体を重ね、尚更彼の絵を諦めきれずに―。


分かりやすい伏線がはってあるので、まあネタバレというほどじゃない気がするけど、一応中盤以降までははっきり書かれないことなので、未読の方はご注意ください。


色って人によって見え方が違うんだろうな~って子供の頃から思ってた。たとえば、「これは青なのか、緑なのか分からない」なんてことは、誰にでもあるんじゃないかと思う。けど、はっきり「人と違う」「区別がつきづらい」っていうのは、大変なハンデだろうなあと。
そんなハンデを背負った藤野が好きになった相手が、傷心ゆえにモノクロの絵しか描かなくなってしまった画家だったというのは、皮肉というか、なんというか。運命的なものを感じてしまう。
それぞれ傷を抱えた二人が、痛手を乗り越えて前進していく姿が感動的だった。
編集者と画家というカップルだし、水窪は変った人だけど、話も地に足がついた感じがしたし、等身大で読みやすい話だった。ちょっと地味かもしれないけど、私としてはだからこそ趣味に合ったという感じ。

はつ恋

2009年10月19日 榎田尤利
榎田尤利 リブレ出版 2009/10

★★★★☆

わたしのエダさんに対する評価っていつもかなり辛口だと思う。
★評価するなら、エダさんの場合は★3つが最低基準値。そこはクリアして当然のライン。上手くて当たり前。エダ基準?
エダさんには、いつもいつも「上手な作品プラスα」を求めてしまっている。
この作品も、他の作家さんが書いていれば★6つぐらいの評価だったんじゃないかと。あ、もちろん★は5つが最高点として。
でも、「エダさんなら期待に応えてくれるから」とかいって最初から厳しい目で読もうとすると、往々にして上から目線になりやすいし、ある種の先入観のようなものを持って読んでしまうわけだから、かえって楽しめるものも楽しめなくなって損しているのではないかと思った。素直に読めば面白いのに、批評のために粗探ししてしまっているというかね。何のために読んでいるのか?って話になってしまう。
もちろん楽しむために読んでいる。しかも作品は恋愛小説。
自然に出てくる評価は別として、「それらしいこと」「わかったようなこと」を書くための辛口評価なら、いらない。
安定感があるからこそ要求するレベルが高くなってしまうわけだけど、実はハイアベレージを保っていられることこそ、凄いことであって、もっと評価するべきなんじゃないかと今回とくに強く思った。



ネタバレ
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「事故が原因で2度目の高校生活を送る久我山」というあらすじを読んで、事故で中退して高校に入りなおしたの?と思っていたのだが、SFだったのか。

自己中心的で、ちょっと感じの悪い弁護士が主人公。変な言い方だけど、嫌味のない感じの悪さというか。キャバ嬢のあしらいかたとか、親友に付き合ってくれと頼まれると断れなかったりとか、確かにイヤな奴だけど、どこか憎めない。さすがエダさんという、バランス感覚。
わりと好きなタイプだし、高校生より感情移入しやすくていい。

高校生に戻ってしまった久我山の戸惑い方も上手だった。ルーズソックスとか、Win95発売前とか、時代設定が上手。そうだった、そうだったと懐かしい気分になった。これはルーズソックスを履いたことのある世代の読者のほうが楽しめるかも。
ケータイのメールじゃなくて、ポケベル使ってたころかなー。でも高校生じゃポケベルは持ってないのが普通だったような。私の周りには、あんまりいなかった気がする。
これが高校生の久我山の視点でさらっと描写されても、それほど懐かしくはなかったかもしれないけど、ネットや携帯に慣れ親しんだ現代人の視点だから面白いんだと思う。
あと、大人の目から見た高校教師の子供っぽさも頷けるものがあった。そーなんだよな、高校生から見ると二十代後半の先生は大人だったし、自分の親に対しても求める理想が高すぎて厳しくなっちゃったりしたよなーと思い出した。
結果は苦くなっちゃったけど、デートの場面も楽しかった。いま自分が高校生に戻ったらって想像してみると、(大人になった今の自分なら)あの恋もうまくいったかも?みたいなことはやっぱり考えちゃうものだし、これは押さえておいてほしいポイントっていうか(笑)
なんて懐かしんでいるうちにも、久我山の家庭の事情とか、未熟ながらも理想を持った曾根の若き日の姿とか、特殊な設定を抜きにした部分でも話に引き込まれていく。
優しさとか危うい部分とか、31歳になったからこそ気付いた曾根の魅力もよかった。再会してから当時は気付かなかった相手の魅力に気付くってやつの、変形かなー。再会もの好きだから、ツボだった。映画の台詞も、授業なのになんかドキッとするものがあるし。
失恋して自棄酒を飲む久我山は、高校生に戻ったみたいに恋をしていて、いいなあと。さすが初恋。
絶対に曽根の未来を変えなくてはいけないという重たい理由もあったけど、失恋しても離れられなかった理由はそれだけじゃなく…切なかった。
曾根に影響されたし、高校生活をやり直すうちに見えてきたものも多くて、31歳の久我山もちょっとずつ成長していく。意識を共有していないこともあって、17歳の自分を別の人格として扱っていた彼は、両親の離婚に際して自分に投げつけられる辛い言葉を、17歳の自分には聞かせたくないと思う。自分を守るためっていうよりは、大人として子供を守ってやりたいという気持ちから、そう願うところがよかった。
17歳の久我山は、話を聞いてくれる曽根という存在もなくて、きつかっただろうなあ…。
最後に曽根とラーメンを食べに行く久我山の純情には胸キュン(…)だった。好きな人とならラーメンを食べに行くだけでも、こんなに特別なんだよね~と。
BLなら助からないはずはないと思っていても、やっぱりハラハラしてしまう場面で。久我山が心配っていうより、曾根はどうなっちゃうの?っていう不安のほうが大きかったかな。ハッピーエンドでしょって分かってても、見届けないと安心できなかった。
生きててよかった。
ほんと、そう思える話だった。
今回もさすがエダさん、でした。

続編のほうは、じれったく続いていた恋愛がようやく成就するところ。曾根はもとから不器用そうだし、久我山は初恋だし(笑)、なんだか可愛らしい恋愛になっていた。よかったね~。…やっぱり年下攻はいいなあと。

一人称「私」(人様のレビューに反応して、ちょっとだけ思ったことを追記。)
久我山のプライドの高さ、頭がいいという自信の表れから「私」という一人称を使ったのでは。こういう頭のいいエリートタイプの自我としては、「私」がぴったりなんじゃないかと思う。
人と喋るときは、親しい友人に対してはくだけた「俺」、いい人ぶりたいときは「僕」と使い分けているのも、久我山のそつのなさの表れかなと。会話で「私」と使って、堅苦しさや取っ付きにくさ、あるいはエリートであるという自覚みたいなものを人に悟らせてしまうのは、利口な彼としては「スマートじゃない」と思っているのかも。
外面のよさと性格の悪さのギャップを、一人称の使い分けで表現しているような気がする。

別の作家の作品で一人称「私」に難癖をつけたときは(……)、使い分けをしている意味も効果も感じなかったけど、この作品では結構違和感なく読めたし、きちんと意識しての使い分けだなーと感じた。
…まあ作品への好意から、そういうふうに感じただけかもしれないけど。

蛇とワルツ

2009年10月1日 榎田尤利
榎田尤利 大洋図書 2009/09

PET LOVERSシリーズの最終巻。

ネタバレ
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表紙を見てオーナーが受だってことには安心したんだけど(逆だとまったく好みじゃない)、蛇……。爬虫類は苦手だし、蛇を擬人化したら、いい人にはならなそうな気がする。冷たいとか、狡猾とか、そんな悪いイメージ。

そんなわけで、あまり期待せずに読み始めたのだが、面白かった。
さすがエダさん、ハイアベレージ更新中!

まず、20代半ば×30代半ばっていう年齢がツボだし、キャラの性格も好みだった。
最初は態度の悪い蛇が、病気の後で優しくなるっていうのも上手いよなあ。最初から世話焼きの尽くし攻だったら、オーナーもそんな惹かれなかったと思うけど、冷たかった人が優しくなるとインパクトが強い。
「人間、世話してもらうことにはすぐに慣れてしまうもので、世話をしてもらえなくなると、今までの恩に感謝するどころか、してくれなくなった人を憎む」って意味のことが、いま読んでる別の本に書いてあったけど、これはその逆パターン。

ストーリーは相変わらずテンポがよくて読みやすいし、メリハリもあるし、孤独なキャラのわりに暗すぎるところもなく、バランスがよかった。
反発→あまあま→裏切りってめまぐるしいパターンが、主人公にどっぷり感情移入しているので、いちいち振り回されて楽しかった。
エッチシーンは色気があってよかったが、途中で小難しい(…)ことをいうので、ちょっと興を殺がれた気分。まあそれはそれでワンパターンで終わらずによかったのかもしれないが、ちょっとうるさかったというか、ここで語らんでも…って思った。うーん…。
今回は意外性もあったし。…袴田はものすごくブラックな役どころかなと予想していたのだが、そんなひどい人じゃなくてよかった。これで後味がよくなった気がする。
轡田がいい人だったな~。辛いときに頼る相手として正解だよね。ユキとも仲良くやっているようでよかった。

普通のひと

2009年7月1日 榎田尤利
大洋図書 2009/3

文庫版を持ってるので、3、4回目の再読?
わりと好きな作品。

ネタバレ
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文庫と大きく違うところは、書き下ろしの短編がついてるのと、イラストが変わったこと。木下さんのイラスト、悪いとは思わないんだけど、オジサンがオジサンっぽくないんだよなあと。あとお花ちゃんはもっとお洒落っぽい外見にしたほうがイメージに合うなあとか。上手い下手の問題じゃなく、私がこの作品のキャラに持っていたイメージと違っていたので、あんまり……。

「普通の男」
普通、普通と言葉にこだわるあたりが私は少々うるさく感じる。既成概念に無闇矢鱈に反発したがる学生みたいで…。でもこれは多くの人には気にならない程度だと思う。
ノンケがいきなり同性を好きになったら、これぐらい戸惑うのが「普通」だと思うので、こういう作品のほうが感情移入しやすくていい。キャラも等身大、カッコいいところもカッコ悪いところもある三十代ってところが好みにぴったりだし、ちゃんと仕事をするリーマンってところもいい。
花島がきちんと大人なのに、子供らしいところも残っていて、すごく可愛い。
もとがクリスタル文庫なのでエッチはぬるめ。最初の話ではキスもないという。これが30代同士だと思うと、なんだかこの純情ぶりが可愛い。

「普通の恋」
誤解からすれ違っていき、別れるところまでいってしまうが、そこに至るまでの不安とか、思わず見栄を張ってしまうところとか、誰でも覚えのあるような感情が丁寧に描かれているし、そのわりにテンポがいいし、起伏もしっかりある。テーマは地味なのに、退屈させないところがすごい。
この話では当て馬の経済学者の先生がすごくいい奴なので、先生にも素敵な出会いがあるといいなあと。
またしてもエッチはぬるめ。なければないで構わないんだけど、布団まで敷いた後に焦らされるので、なんだか気分が盛り上がりましたよ……。
…まあそれはいいとして、時間をかけて気持ちを確かめ合うところがよかった。
この作品のキャッチは「恋がしたくなる」だったと思うんだけど、まさにそういう読後感だった。
エダさんは今回もハイアベレージを保っている

「普通のオジサン」
本編の5年後。続編にありがちな甘ったるいだけの話ではないところが好みだった。
5年後なのでミクちゃんがすでに店を辞めていたりするけど、真砂はまだ元気に働いてた。素敵な彼氏はできたのかな? そういう変わっているところと変わってないところをさりげなく描いてあるあたりもよかった。当たり前のことだけど、いきなり5年後じゃなくて、ちゃんと年月が積み重なって5年後なんだなという雰囲気が感じられたというか。だからこそ、ふたりの生活はこれからも続いていくし、ずっと一緒にいるんだろうなあと安心できた。
榎田尤利 大洋図書 2009/5

シリーズ第3弾。
2冊目でも書いたが、あまりに前作の出来がいいため、ネガティブな私は「今回は大丈夫だろうか?」と心配していたのだが、まあ杞憂だった。
さすがエダさん!
今回もすごく面白かった。

以下、ネタバレ
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しかし、3冊続けてこのクオリティ。驚異的だなあ。

交渉人としての仕事は、みんなで鍋をつついて和気藹々としながらも兵藤の登場で怖いところに行ってしまう(笑)という、ほのぼのテイストだった。なんかいいなあ、このチームプレー。脇役まで味があって、みんなそれぞれ魅力的。人情路線なのも、このシリーズのよさだと思う。鍋には参加してないけど、もちろん七五三野も好き。保護者として?兵藤に対抗するってポジションがいいなあ。

今回も最初から笑わせてくれ、テンポもよく、すぐに引き込まれた。で、また1つの事件に1冊かけ、芽吹の手腕で解決していくのかと思っていたら、1巻とも2巻ともまた少しテイストを変え、すごくシリアスだった。扱う事件よりも、芽吹の過去と、交渉人を続けていく上での1つの転機になりそうな出来事にスポットが当たっていたような。これが今後にどう影響していくのか、まだちょっとはっきりしないけど。
暗めで重くて、事件だけを見るなら救いがなかった。芽吹や事件関係者の心の痛みは十分すぎるほどに伝わってくるし、ギリギリのところまで踏み込んだ描写になっていて、かなり読み応えがある。
でも内容に比して、読みやすい。描写が足りないわけでも、逃げた書き方をしているわけでもないのに、読んでいて苦痛が少ない。…たぶん、自分の弱さから目を逸らさず、しっかりと向き合おうとする芽吹の強さが読み手の気持ちまで救ってくれるからだと思う。感情移入して読んでいるから、芽吹が幻覚の中で自分を糾弾したり、事件のその後を知る場面は痛いし、辛いのだが、それだからこそ芽吹の真っ直ぐなところがさらに感動的で……。難しいことだと理解した上で、人を信じたいと願い続ける芽吹は、本当に魅力的なキャラだと思う。
次回はまたさらに芽吹の過去に踏み込むのかな。ますます目が離せない。

兵藤とのエピソードもよかった。とくに海岸でコートを借りるところ。たまには慰めてもらうのもいいんじゃないかと。寄りかかるんじゃなくて、立ち上がるのに手を貸してもらうような関係がいい。
このふたりは立場や価値観や生き方まで違っていながら、互いを必要とし、しっかりと絆がある。甘い言葉を交し合うより、もっと深い愛を感じた。
芽吹が目を覚ました場面で、兵藤が助けに来たことがわかって安心できたのも、こうした積み重ねがあるからだと思う。ラブの面でも大満足な1冊だった。

次回はどういうテイストでくるのかな。
とにかくひたすら4巻が待ち遠しい。
榎田尤利 大洋図書 2008/12

「PET LOVERS」シリーズの3冊目。
面白かった。

激しくネタバレ!
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猫か…。猫は好きだけど、BLで猫イメージのキャラって趣味じゃないと思う。
いや、どう考えてもプライドの高くてきまぐれな美人系(男だが…)か小柄で素直な可愛い子ぐらいしか思いつかないしなあと、しばらく積んでおいたのだが、エダさんだし、と思い直して読んでみた。
で、読みやすかったし、面白かった。さすがエダさんっていつものように思った。

今回は生前にまったく会ったことのなかった祖父の遺言状により古びた屋敷に集められる相続人候補たち、故人の弁護士、秘書、謎の友人、さらにメイドさんまで揃っている。ミステリファンなら、待ってました!という舞台設定じゃないかと。…よく知らないけど、たぶん。
というわけで、気合を入れてネタバレ表示をしておいた。
でもいきなり殺人が起こったりはせず(がっかり?)、6匹の猫の中から「シュレディンガー」って名前の猫を言い当てたら、遺産をもらえるっていう話。
最初からあまりにもシュレディンガーのヒントが多すぎて、ワタクシは逆に「引っかけ問題か?」と疑ってしまい、途中までどっちなのか結構迷った。まあミステリじゃないんで、別に謎は簡単でいいってことなのだろう。メインは雨宮の過去の事情と恋愛のほうだし。
エダさんらしい素直な話の展開で、わりと予想通りにすべてが進んでいったが、話の流れがスムーズでテンポがよく、シリーズ3作の中では一番読みやすかった。ドギツイ描写がないせいか、ほのぼのしていて後味もいい。
ただ「PET LOVERS」シリーズとしては弱かったかな。まずカップルは客と男娼って形が崩れたので、シリーズの中に入っている意義が薄いというか。まあ別にこだわることもないのだろうが、なんとなく番外編的な設定だと思った。間接的には関わっているとはいえ、別にクラブが介在している必要がないという意味で。
まあそういったことはともかく、猫がいっぱい出てくるので猫好きには嬉しい作品かも。
傲慢そうに見えて優しく、しかも猫アレルギーっていう舘のキャラがよかった。雨宮はとくに趣味に合わなかった。…真面目で融通が利かないツンケンした美人秘書って設定がとくに好きじゃないから。でも、なかなか好感が持てるし、感情移入もしやすいキャラだった。帯に出ている「真面目な秘書さんに楽しみを~」(?)とかいう台詞の結果が、台詞どおりに行かなかったところなんかも好み。初心な受が攻に身体から落ちていくって展開が好きじゃないので。
あとは。舘じゃないけど、ほんとよく許せるよなあという、意外な強さが好みだった。
舘もいい奴で、自然と応援したくなる二人だったし、王道的な面白さと甘いラストがよかった。

個人的には3冊目のこれが一番BLとして面白かった。設定が濃いだけに、話を重くしないでくれたところも好み。ただまあ、あくまで趣味の問題だけだけど。
榎田尤利 大洋図書 2008/10

1作目が面白ければ面白いほど2作目は過度に期待してしまう。それだけ作品の出来に対する心配も大きくなるものだが、さすがエダさん!

ネタバレ
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面白かった!
1巻とキャラも違っていないし、パワーダウンもしていない。相変わらずのテンポのよさや巧みな交渉場面も楽しい。
やっぱり芽吹は男前で面白かった。冒頭でいきなりホストになってるのも楽しかった。顔もよければ話も楽しい芽吹には、ホストも向いているかもしれないが、素敵、うっとりvみたいなカッコよさにはならず、愛嬌があるのがいいと思う。
全体に1巻のような緊張感はなかった。緊迫する場面も少なかった。ただ本筋になっている依頼を追っていく過程が1巻よりすっきりしているので、芽吹の仕事に対する姿勢やプライド、この作品の持ち味でもある人情味が分かりやすくなっている。2作目らしい余裕が出ているというか。
兵藤との関係もいい感じで。まだ(というより、これからも?)照れや戸惑いはあるけど、肝心なところでは逃げずに相手を受け止める芽吹は本当に度量が大きいし、情も深い人だ。
兵藤も一途で、ホストクラブの客にまでいちいち嫉妬しているあたりが、可愛い年下攻って感じ。強引だけど無理強いはしないし、本当に芽吹が好きなんだなーと伝わってくるところがいい。七五三野の登場でまた兵藤が面白くなってくれそうで楽しみだ。
意外な組み合わせのカップルもできそうで、こちらも楽しみ。
イラストは顔が怖くなってしまったので、次回はもうちょっと色気を増量してほしい……。
あの携帯のイラストはよかった。
榎田尤利 リブレ出版 2008/09

ルコちゃんの2冊目で、マンガ家シリーズの最終巻。


ネタバレ
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1冊目と同じく、趣味じゃないけど面白かった。
誰にでも見える形で恋人に何かしてあげられる人なんて、本当は少ないような気がする。東海林は何から何までルコちゃんのお世話をしてるわけだし、いきすぎた負担がかかっているのも確かだけど、それは表面上の問題で……。カップルが必ず目に見える形で助け合わないといけないってことはないと思うんだけど。
…私は人の世話が焼けないタイプの人間なので、ついそんなことを考えてしまった。
まあそこでまったく悩まなかったら、いくらなんでも図々しいんじゃないかと思うし、これは二人にとって必要なプロセスだったんだろうなあと。…きれいにまとまっているので納得させられる。
ルコちゃんは強烈なキャラだが、迷ったり考えたりするところは共感しやすいし、むしろ弱い部分に惹かれるというか。
でも東海林はしっかりしてるほうがカッコいいと思う。
ラストの東海林の夢が暖かくてよかった。
シリーズのほかのキャラが顔を出していたのも嬉しい。
円陣闇丸 リブレ出版 2007/11

小冊子目当てで買ったけど、面白かった。
原作の雰囲気がうまく出ているなあと感心したし、原作より東海林がカッコよく感じた。や、なんか原作は保護者成分が多めで、文句なく男前なんだけど、ちょっと(笑)
榎田尤利 大洋図書 2008/8

Pet Loversシリーズ第2弾。
今度はライオン。

ネタバレ

シンがカッコよかった。性格が優しく男らしい上に、年下で顔がよくて体がよくて頭もよければ、最高じゃないですか。男は完璧すぎないほうがいいので、完璧じゃないところまで完璧(笑)
まあ個人的にはとくにタイプではないのだが、あまりにカッコいいので、別にタイプじゃなくてもいいや〜って気分。何をやっても堂々としていて、まあステキvとうっとり読んでしまった。

千昭もいいなあと思ったけど、うーん、そこまで暴力に耐える理由がよく分からなかった。というのが正直な感想。
…たぶん理屈じゃないんだろうなあ。家庭内暴力の被害者の心理を分かっていないから、「分からない」って書いてしまうんだと思う。読んでいるこっちが痛々しくて理不尽に耐えられないから、暴力に立ち向かって欲しいんだけど、理不尽に立ち向かわずに耐えるのが弱さだって非難するのは、酷な感想だよなあ……。所詮は他人事ってことか。
…と、自分の感想に対して意見しておきたい。

義兄はいじけ具合がエダ作品の義兄らしくて、最後は改心しないまでも行動を改めるのかなと思っていたら、珍しくダメパターンで、ちょっと驚いた。
どうでもいいが、それで借金がチャラになるって、ずいぶん高く売りつけられたものだと感心した。本当にどうでもいい…。

このシリーズはちょっと痛いが、面白いし読み応えがあって好きだ。3冊目も楽しみ。
榎田尤利 徳間書店 2008/6

藤井沢商店街シリーズの最終巻。
あ、もう終わりなんだー、とちょっと驚いた。前巻に書いてあったのかもしれないけど…。

ネタバレ

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こんなイケメンのゲイばっかりの街じゃ、女性はさぞ苦労するだろうな…とか思ったりしつつ、結構好きなシリーズなので、終わってしまうとなると寂しい。
今回は理髪師×美容師という珍しいカップリング。
同級生で幼馴染み、再会もの。好きな要素がいっぱいだし、両方とも趣味に合うキャラだった。エダ作品では珍しい…。とくに受の晴輝がかわいくていいなあ。攻の圭治は一途な寡黙攻が好きな人にはオススメのキャラだ。私にとっては面白おかしい攻だけど…。
そんなわけで楽しく読んだ。さすがエダさんというテンポのよさ、読みやすさだし。
最終巻だからゲストキャラが多いのも楽しかった。とくに「もえぎ」のおやじさんがいい味を出していた。
はるたんとカホりんのほのぼのカップルが可愛かったので、途中からうっかりこっちを応援してしまったが、BLなので男女カップルは成立しなかった。残念なことだ。
エダさん特有の書き方なのかもしれないが、盛り上がる一歩手前で間が空くので、キャラ文庫らしい?ぬる〜い展開だった。それがこのシリーズ共通ののんびりした雰囲気に繋がってるのかもしれない。
ラストは、ちょっとしんみりした展開から、「おかえりなさい」と暖かく締めくくってあってよかった。

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