というわけで、なんだか涼しげなタイトルの本を選んでみた。
まあタイトルに関係なく作家×レーベル買いしたんだけど。
あらすじはまったく見なかったが、表紙を見る限り多分あんまり好きじゃないだろうなあ(受が)と思いつつ。
砂原さん×大洋じゃスルーできない…。
『恋雪』 砂原糖子
ネタバレ感想。
-----------------------------------------------------------
あらすじ・引用
いつか迎えにって…なんかすごい言い方だと最初は思ったのだが、この台詞は大袈裟でもなんでもなく、湊には本当に島を出られないだけの事情がきちんとある。
某アンソロの後遺症で(…)、たったそれだけのことで感心してしまった。すごい、ちゃんと納得できる理由があるよ!と。えらい態度の悪い読み方だ。
最初は攻視点(好み)から始まったために、この湊の人の好さは本当に野暮ったく、空気が読めないキャラに思えて苦手だった。湊の視点になってもそれはあんまり変わらず…。やっぱり表紙の印象どおりか…と思いかけたのだが。
成明が島に帰り二人が別れ、湊の事情が分かってくるにつれて、だんだん魅力が分かってくる。成明が湊への気持ちを取り戻すのと同じタイミングだから、知らずに感情移入していたようで、上手いなあと。
で、湊が柏木と寝てしまい、有名になっていき、一方で成明は島に残ることになり…。最終的にうまくいくのは分かりきっていても切ない。
映画俳優を続けず、柏木との関係を断ち切っていくあたりが、主体性に乏しいように見えた(まあ選択肢の少ない環境だったから仕方ないと思う)湊の成長を感じさせてよかった。優しくちょっと頼りない、健気なだけのタイプというイメージを、俳優としてもBLキャラとしても、二重の意味で脱却するところが好みだ。
再会後の告白ですんなりいかなかったところも、展開として好み。
たぶん、この作品は読者を選ぶだろうなあという印象。
誤解ではなく、本当に攻が心変わりしたり受が他の相手と寝たりするのは、好まない人も多いと思う。でも私はそういう部分が気に入った。
人間の感情を描写する部分でまで綺麗なだけでまとめられると物足りなかったりするし。もちろん書き方によるし、シビアでリアルな作品が絶対にいいというわけではないけど、この作品みたいにしっかりハッピーエンドになるなら、途中はこれぐらいのほうが読みやすい。ある程度リアリティのあるほうが夢だと気付かない分、途中で冷静にならずにすんで夢も見やすい。どうせ騙すなら上手く騙してって気分(笑)
それに二人が乗り越えてきたものが大きいほうが「それでもあなたが好き」って部分に共感しやすくて、ラストで感動できる。甘いだけじゃなくアクセントが効いていたなあと。
しかし。作品の雰囲気、ストーリーは好みだったのだが、湊はいいキャラだと思ってもやっぱり趣味じゃなかったので、面白かったけど……という感想。
作品とは関係ない話。
BLはあくまでFTみたいな書き方をするのは、そういう側面があることを否定できないからっていうのも確かにあるけど、これだけどっぷり浸かってると客観的には見られないし、ちょっと厳しいぐらいの書き方のほうがバランスが取れるかなあと思っちゃうせいかも…。それにしても最近よく語るなあ…。
(小説64)
まあタイトルに関係なく作家×レーベル買いしたんだけど。
あらすじはまったく見なかったが、表紙を見る限り多分あんまり好きじゃないだろうなあ(受が)と思いつつ。
砂原さん×大洋じゃスルーできない…。
『恋雪』 砂原糖子
ネタバレ感想。
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あらすじ・引用
「いつか必ず迎えに来るから、向こうで一緒に暮らそう」そう言って島から去った幼馴染みの成明を信じ東京に来た湊だったが、成明は劇団の仕事が忙しく、冷たかった。
それでも、成明が酔って帰ってきた日に結ばれ、喜ぶ湊だった。
しかし、実は成明には好きな女がいて、その代わりに抱かれたことを知りショックを受ける。そんなとき湊に俳優になることを薦めるプロデューサー柏木が現れて・・・!?
クールで強引な成明と素直で従順な湊が東京で繰り広げる、切なく擦れ違う恋物語。
いつか迎えにって…なんかすごい言い方だと最初は思ったのだが、この台詞は大袈裟でもなんでもなく、湊には本当に島を出られないだけの事情がきちんとある。
某アンソロの後遺症で(…)、たったそれだけのことで感心してしまった。すごい、ちゃんと納得できる理由があるよ!と。えらい態度の悪い読み方だ。
最初は攻視点(好み)から始まったために、この湊の人の好さは本当に野暮ったく、空気が読めないキャラに思えて苦手だった。湊の視点になってもそれはあんまり変わらず…。やっぱり表紙の印象どおりか…と思いかけたのだが。
成明が島に帰り二人が別れ、湊の事情が分かってくるにつれて、だんだん魅力が分かってくる。成明が湊への気持ちを取り戻すのと同じタイミングだから、知らずに感情移入していたようで、上手いなあと。
で、湊が柏木と寝てしまい、有名になっていき、一方で成明は島に残ることになり…。最終的にうまくいくのは分かりきっていても切ない。
映画俳優を続けず、柏木との関係を断ち切っていくあたりが、主体性に乏しいように見えた(まあ選択肢の少ない環境だったから仕方ないと思う)湊の成長を感じさせてよかった。優しくちょっと頼りない、健気なだけのタイプというイメージを、俳優としてもBLキャラとしても、二重の意味で脱却するところが好みだ。
再会後の告白ですんなりいかなかったところも、展開として好み。
たぶん、この作品は読者を選ぶだろうなあという印象。
誤解ではなく、本当に攻が心変わりしたり受が他の相手と寝たりするのは、好まない人も多いと思う。でも私はそういう部分が気に入った。
人間の感情を描写する部分でまで綺麗なだけでまとめられると物足りなかったりするし。もちろん書き方によるし、シビアでリアルな作品が絶対にいいというわけではないけど、この作品みたいにしっかりハッピーエンドになるなら、途中はこれぐらいのほうが読みやすい。ある程度リアリティのあるほうが夢だと気付かない分、途中で冷静にならずにすんで夢も見やすい。どうせ騙すなら上手く騙してって気分(笑)
それに二人が乗り越えてきたものが大きいほうが「それでもあなたが好き」って部分に共感しやすくて、ラストで感動できる。甘いだけじゃなくアクセントが効いていたなあと。
しかし。作品の雰囲気、ストーリーは好みだったのだが、湊はいいキャラだと思ってもやっぱり趣味じゃなかったので、面白かったけど……という感想。
作品とは関係ない話。
BLはあくまでFTみたいな書き方をするのは、そういう側面があることを否定できないからっていうのも確かにあるけど、これだけどっぷり浸かってると客観的には見られないし、ちょっと厳しいぐらいの書き方のほうがバランスが取れるかなあと思っちゃうせいかも…。それにしても最近よく語るなあ…。
(小説64)
ヤクザとネバーランド
2007年5月18日 砂原糖子
砂原 糖子 幻冬舎コミックス 2007/05
タイトルで迷ったが、砂原さん×ルチル文庫っていう組み合わせでは買わないわけにはいかなかった。
前作はかなり私の趣味から逸れてしまったが、その前の2作が感触よかったし、いまは文庫ならルチル、単行本なら大洋、漫画なら東京/漫画/社がお気に入りレーベルで、好きな作家さんがこの3つから出してれば、ほぼマスト買い。(ほぼってつけると、マストじゃないような?)
読む前にタイトルについて考えた。
ヤクザ…避けて通りたい題材。
でも、ヤクザをにおわせる「龍」とかそういう単語を使わず、直球。ここで外してるよね。ヤクザもの苦手な私にとっては、いい意味で。
しかもヤクザものとしてはかなり相容れない「ネバーランド」ときてるので、これはもう「可愛い受を拉致監禁して無理やり女にして、ついでに墨をいれてみました。だって好きなんだもーん」って話ではないだろうと思い(そういうのが個人的に好みじゃないというだけで、否定はしてません)、そうなるとどんなヤクザものなのよ?っていう興味を引かれ…。
以下、ネタバレ感想。
---------------------------------------------------------
あとがきを読んで、嬉しくなった。
私もヤクザとアラブ王子は受にしたいです。専門用語?を使えば、下克上好きなので。
やっぱりヤクザものなら受は姐さんじゃなくて、組長よね。と常々思っていた。嬉しい。
というわけで、とっても趣味に合った作品だった。なにげに年下攻だし。(1歳差だが)
ヤクザものが好きな人からすると、ちょっと肩透かしなヤクザものかもしれないが、リーマンから組長への転職って新しくて楽しいと思う。
受は文句なく好みな男前で強気タイプだし、攻も不器用で面白かった。
攻の名前は私のさび付いた脳ではどうにも読み方を覚えられず(発音しにくい名前って覚えづらい)、何度も最初のルビを見直すことになったが、受が服を脱いだときにだけ時々平仮名で名前を読んで…じゃなくて、呼んでくれるので、ありがたかった。いや、ほんとに…。
まあそんなことはともかく、話としても感情移入しやすく、面白く読めた。話としては規模が小さいのだが、ヤクザものらしいテイストもしっかりありつつ、基本は肩の力が抜けてていい。
しっかり最後まで楽しませてもらった。
(小説32)
タイトルで迷ったが、砂原さん×ルチル文庫っていう組み合わせでは買わないわけにはいかなかった。
前作はかなり私の趣味から逸れてしまったが、その前の2作が感触よかったし、いまは文庫ならルチル、単行本なら大洋、漫画なら東京/漫画/社がお気に入りレーベルで、好きな作家さんがこの3つから出してれば、ほぼマスト買い。(ほぼってつけると、マストじゃないような?)
読む前にタイトルについて考えた。
ヤクザ…避けて通りたい題材。
でも、ヤクザをにおわせる「龍」とかそういう単語を使わず、直球。ここで外してるよね。ヤクザもの苦手な私にとっては、いい意味で。
しかもヤクザものとしてはかなり相容れない「ネバーランド」ときてるので、これはもう「可愛い受を拉致監禁して無理やり女にして、ついでに墨をいれてみました。だって好きなんだもーん」って話ではないだろうと思い(そういうのが個人的に好みじゃないというだけで、否定はしてません)、そうなるとどんなヤクザものなのよ?っていう興味を引かれ…。
以下、ネタバレ感想。
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あとがきを読んで、嬉しくなった。
私もヤクザとアラブ王子は受にしたいです。専門用語?を使えば、下克上好きなので。
やっぱりヤクザものなら受は姐さんじゃなくて、組長よね。と常々思っていた。嬉しい。
というわけで、とっても趣味に合った作品だった。なにげに年下攻だし。(1歳差だが)
ヤクザものが好きな人からすると、ちょっと肩透かしなヤクザものかもしれないが、リーマンから組長への転職って新しくて楽しいと思う。
受は文句なく好みな男前で強気タイプだし、攻も不器用で面白かった。
攻の名前は私のさび付いた脳ではどうにも読み方を覚えられず(発音しにくい名前って覚えづらい)、何度も最初のルビを見直すことになったが、受が服を脱いだときにだけ時々平仮名で名前を読んで…じゃなくて、呼んでくれるので、ありがたかった。いや、ほんとに…。
まあそんなことはともかく、話としても感情移入しやすく、面白く読めた。話としては規模が小さいのだが、ヤクザものらしいテイストもしっかりありつつ、基本は肩の力が抜けてていい。
しっかり最後まで楽しませてもらった。
(小説32)
砂原糖子『真夜中に降る光』
これが感想を書きたいと騒いでいた5/16発売の新刊。
実は他の作品の番外編(スピンオフってやつ?)で、しかもそれがこの本の代わりに買おうかと迷った既刊だったと知り、どうしてあのとき買っておかなかったんだと激しく後悔してたり。うう、そっちも読みたい、今すぐに!
というわけで、すごく気に入ったのだが、気に入るとなんだか言葉が出てこないときがあって、そんな状態なので感想はあんまり書けそうにない。
でも、以下はネタバレ。
------------------------------------------------------
ひねくれたキャラが好きなので、最初から最後まで楽しめた。
早く素直になればいいのに〜と、ものすごくじれったいところがいい。
津久井も最初はあまりにいい人過ぎて受け付けないものを感じたが、だんだんそれが快感になってくるから不思議だ(笑)
…金崎の最低振りは最初から受け付けたんだけど。
なにか自分の趣味に疑問を感じるなあ。といっても、別に金崎のしている悪いことを肯定しているわけでもなくて、金崎が最後まで自分のしてきたことのツケを払わずに、ただ津久井に癒されるような話だったら、金崎というキャラに何の魅力も感じないと思う。
ただ、金崎が本当にどうしようもないことばかりしている話の冒頭あたりから、すでにこのキャラに魅力を感じさせてしまうあたり、やっぱりこの作者さん好きだなあと、しみじみ。
あー、でも耳以外のピアスは受け付けないので、外してくれてよかった。注射も怖い人間なんで、ピアスって痛そうで、見てるだけでも(読んでるだけでも)怖い。とくにあのリングになってるやつが、すごくダメ。引っ張ると痛そうでどうにも。
津久井の株が急上昇したのは、ピアスを外してくれたときだったかも(笑)
これが感想を書きたいと騒いでいた5/16発売の新刊。
実は他の作品の番外編(スピンオフってやつ?)で、しかもそれがこの本の代わりに買おうかと迷った既刊だったと知り、どうしてあのとき買っておかなかったんだと激しく後悔してたり。うう、そっちも読みたい、今すぐに!
というわけで、すごく気に入ったのだが、気に入るとなんだか言葉が出てこないときがあって、そんな状態なので感想はあんまり書けそうにない。
でも、以下はネタバレ。
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ひねくれたキャラが好きなので、最初から最後まで楽しめた。
早く素直になればいいのに〜と、ものすごくじれったいところがいい。
津久井も最初はあまりにいい人過ぎて受け付けないものを感じたが、だんだんそれが快感になってくるから不思議だ(笑)
…金崎の最低振りは最初から受け付けたんだけど。
なにか自分の趣味に疑問を感じるなあ。といっても、別に金崎のしている悪いことを肯定しているわけでもなくて、金崎が最後まで自分のしてきたことのツケを払わずに、ただ津久井に癒されるような話だったら、金崎というキャラに何の魅力も感じないと思う。
ただ、金崎が本当にどうしようもないことばかりしている話の冒頭あたりから、すでにこのキャラに魅力を感じさせてしまうあたり、やっぱりこの作者さん好きだなあと、しみじみ。
あー、でも耳以外のピアスは受け付けないので、外してくれてよかった。注射も怖い人間なんで、ピアスって痛そうで、見てるだけでも(読んでるだけでも)怖い。とくにあのリングになってるやつが、すごくダメ。引っ張ると痛そうでどうにも。
津久井の株が急上昇したのは、ピアスを外してくれたときだったかも(笑)