櫛野ゆい リブレ出版 2009/11

失礼ながら、エダさんの小冊子が欲しくて買った本。
既刊3冊(うち1冊がエダ作品)の中から1冊買うと、小冊子がもらえるという悲しいフェアだった。目当てのエダさんは当然もう買ってるし…。
というわけで、他の2作品を見て、年下攻だし、北上れんさんのイラストだし、という理由でこちらを共同購入(…)。

ネタバレ
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まず、趣味じゃなかったなあ。年上受が敬語なんだけど、逆がいいでーす。おとなしくて優しくてリストカットする36歳の受。…18歳なら、まだ受け付けられる設定だったかもしれないけど、いい大人が自殺未遂ではなく(死ぬつもりではなく、ストレスのために)リストカットって……。ついていけません。
この辺で「かわいそう」と同情できる人なら面白く読めるかも?

突っ込みどころが結構多くて書こうと思っていたことを忘れてしまった。
いや別に、気にならない人もいるんだろうし、文章も普通に読みやすかったけど。
とりあえず、飼う意思のない人に無理やりペットを押し付けるのは、ペットがかわいそうだからやめましょう。
そしてどうでもいいことだが、「いつもスーツをきっちり着ている受のパジャマ姿を見たことがあるのは同居している自分だけだろう」と攻は考えていたが、…少なくとも日本国内ではパジャマ姿で外を歩く人は滅多にいないので、スーツがどうとか、関係ないような…。
あと、大人が4メートルぐらいの高さから落ちて、風で落ちる位置が変わるほど流されるってことはないような。竜巻? …死んだ恋人が助けてくれたということらしいが。なんだかなあ。
久能千明 新書館 2009/01

たまたま読む時期が重なっただけなんだけど、また上海もの。
にしても、なんかディアプラスだとイメージ的に違和感ある作品だなあ。

時代やキャラの設定が凝っていて骨太な作品なので、期待が大きい分だけ要求レベルが高くなってしまった。そんなわけで文句の多い感想になりそうだけど、すごく面白かったし、これがデビュー作とはさすがと思っている。
…という前提で、感想は読んでもらえればと。

ネタバレ
194X年、東洋の魔都上海。貴族の出である新聞記者折原尚之は、『陸王』という巨大バイクに乗る将校、藤堂克己に命を救われた。『真実の報道』という信念を持って記者をしていた尚之は、ある人物から命を狙われていたのだ。戦争を生業とする藤堂を最初は憎んでいた尚之だが、見かけとのギャップに徐々に心を開いていく。だがたがいの気持ちに気づいた時、もうふたりに残された時間はほんのわずかだった…。久能千明デビュー作大幅加筆完全版。


タイトルから中華風FTだと勘違いしていたんだけど(…)、陸王ってバイクのブランド名だった。本文の説明を読むと、何かものすごく特別なバイクという印象を受けるのだが、ハーレーからライセンスを取って日本で製造したバイクということらしい。ハーレーなら馴染みがある。でも、サイドカーとかついてて、おじさんが乗るバイクというイメージかな……。
デビュー作ということで、かなり古い作品。文庫1冊を短い章に区切って章ごとにサブタイトルをつけるというのも懐かしい感じ。タイトルに「リインカーネーション」とつけているのもそう。同じく古い作品の復刊、上海繋がりで引き合いに出すと、かわいさんの『上海』も最初は『上海―うたかたの恋』だったのに、復刊するときに「うたかたの恋」を削ったのと対照的かも。
良くも悪くもオールドスタイルということで、もちろん良い面も多い。最近のBLのお手頃感がないかわりに、丁寧でオリジナリティがある。イラストでいえばCGとアナログの違いみたいなもので、どちらがいいかは読者の好みによるだろうし、一長一短というところ。

分類すれば、寡黙攻×強気受って感じかな。
あとがきに、大幅に削ったと書いてあった。面白かったけど、内容的に多少物足りなさを感じたし、2冊ぐらいの長さだとよかったんじゃないかと。
超ざっくりした流れとしては、主人公(受)が攻に危ないところ助けられる→ 反発から親しみを感じるようになる→ 恋の自覚と別れっていうライン。
けど、途中で出てくるバーの女主人&従業員のエピソードが目立ってしまっていて、恋愛ものとしての流れが中断され、肝心の惹かれ合っていく部分が弱く感じた。バーの話も面白いので小説としてはいいし、惹かれる理由が分からないということはないんだけど、感情移入するには「データ不足です」という状態だった。

舞台設定は好きだし、少し謎めいたところのある将校と、軍の物資の横流しをすっぱ抜こうとして軍人から命を狙われることになった新聞記者という設定も面白かった。ただ、欲を言えば主人公の尚之の仕事ぶりが読みたかった。なかなか男らしい過去を持っていて、冒頭で「鳴り物入り」という感じで登場するだけに、横流しの実行犯の将校に命を狙われることになったという設定しか残さなかったのがもったいない。結局、逃亡してきた上海支局で最後まで飼い殺しにされているだけだったし、記事を書きたいという情熱もほとんど描写がないのが気になってしまった。

最後の藤堂の決断も、少しばかり物足りなかった。まあ好みの問題なんだけど、残される家族や許婚に対しては責任を果たすと言うのに、尚之に対してはとくに謝罪めいた言葉もなく…。いや、尚之と出会う前から決めていたことだし謝る必要はないんだけど、結果的に捨てていくわけだから、もう少し気遣いがあってもよかったんじゃないのかなーとか。尚之に責められた藤堂が語る言葉から気持ちは伝わってくるが、あまりに自分勝手なので、仕方ないんだろうと思いつつ、まあ感情的な問題で納得がいかなかった。

エピローグは冗長だった。エピローグ自体が蛇足とは思わないし、ページ数は短いんだけど、書き方がちょっとしつこくて間延びしてしまっていた…。転生後のキャラの詳細な紹介なんていらないし、二人の会話がダラダラしているように感じた。なんというか、前の章の余韻が残っているので、ここはもう少しさらりとしているほうが好みだった。「どこかで会ったことがある」と感じたことを書いて、陸王のプレートでアクセント付けて終わりぐらいのほうがよかったような。

…注文だらけ、文句だらけの感想になっちゃったけど、大正~昭和初期という時代設定や、キャラの性格なんかは好みにぴったりだったし、悲恋に終わって転生後に再会するという王道ストーリーもわりと好きなので面白かった。
神奈木智 幻冬舎コミックス 2010/2

読んだことのない作家さん。
イラスト買いした。
日高さんのイラストが素晴らしかった。

自分の趣味に合わないということだけを書いた感想なので、未読の人の参考にはならないと思う。

ネタバレ
出張ホストを天職と自負するトヲルが、社長の指示で出向いた先にいたのは男の客。神原と名乗るその客に自分でも意外なほど素直に身体を開いたトヲルだが、それ以来「仕事」が出来なくなってしまう。やむなく休職し、神原のもとに犬の世話係として身を寄せるが、ホストに復活出来るよう親身に協力してくれる神原にトヲルは本気で惹かれはじめて…。

まず、二人の出会いの場面でどっちが商売してるか分からない…。天職とか自負しているのに主人公のプロ意識のなさに、なんだかなあという気分になった。うーん。苦労したという設定の割りに、単なる苦労知らずみたいに見えるのも、ちょっと…。
そして主人公のメチャクチャな主張&要求(単なるワガママ)がとくに問題なく通っていくので、話にもついていけず…。いくら苦労した過去があるからって、ここまで子供を甘やかさなくても。
あとスピンオフにしたかったのかなんなのか、話に関係なく中途半端に社長とマネージャーというカップルが出てくるところも、総ホモ的でついていけないものがあった。
二人の出会いが、実は主人公に色気を出すために社長が攻に頼んでいたというオチも、アホっぽくて目が上滑りした。ゲイでもない男の子に恋をさせるために男を宛がうという発想がすでにFT設定というか。
と、こまごましたところでキャラもストーリーも趣味に合わなかった。せっかくだから全部書こうと思ったが、切りがないし面倒くさいからやめておこうかと。
犬が一番素敵なキャラだったかもしれない…。

ひとつも誉めていないが、「私の趣味に合いませんよ」と長々書いていただけで、趣味に合えば普通に楽しめるんじゃないかと思う。

日高さんのイラストがいつも通り好みだったので、中身がどうであれ素敵なキャラに見えた。
イラストのために大事に保管しようと思う。
鹿住槇 学習研究社 2009/3

お借りした。(いつもいつもありがとう)
で、わたくしの趣味を熟知しているため、親切な取り扱い注意をつけてくれた。
表題作は飛ばして、同時収録だけ読みましょうと。
ほ~、と興味を引かれて表題作から読んでみた。せっかくの取り扱い注意が…。

ネタバレ
都立瑞荏高校には『王子さま』がいる―。容姿端麗・頭脳明晰な学園のアイドル、その名も大路正明!誰もが憧れる彼は、実はヒナの彼氏。ひょんなことから公認カップルになったけれど、あまりにも大路が人気すぎて“恋人”という実感がわかない。そんなとき、大路の彼女を名乗る美少女モデル・茜が現れた!やっぱり俺なんかじゃ釣り合わないんだ…とショックを受けるヒナだったが…。単行本未収録作品も収録。
続編なのだが、なんら前の巻を読んでいる必要性はない。「俺」一人称。
なんだか古典的な少女マンガのBL版みたいな話だった。主人公は彼氏のファンから嫌がらせされてるし…。王子に振られてるのに彼女だと名乗る痛い美少女とか、王子に振られているのに「お前なんかに王子は渡さない」とか言って嫌がらせしてくる痛い美少年とか。王子は顔がよくて痛い人にモテるらしい…。
王子は王子だけどわりとマトモな人柄なのでいいのだが、ヒナは「どうせ俺なんて彼にふさわしくない」、「彼の邪魔はできない」というのがデフォルトなので、うっとうしいことこの上ない。自信過剰よりいいのかもしれないが、同情するより先にイラッとする。
王子の従姉妹の妊婦さんに偶然会って車で送ってもらったときに、この従姉妹が具合が悪くなって救急車を呼ぶのだが、「俺が送ってもらわなければ、こんなことには」とか考えたりする。はいはいはいはい、世界中の悪い出来事の責任は全部きみにあるんだよね、分かってるならもっと反省しなさい。…悪い子じゃないんだが、うぜーとしか言いようがない。別に嫌っているわけではないが、イラッとするものはどうしようもないというか。
どうでもいいが、最中に「大路さん」といえずに「おじ、さ」と口ごもるのは、「おじさん」みたいで可哀想だから、気をつけてあげようよ……。


『エリートは甘え下手』
同時収録ってことは、スピンオフなのかなと思っていたが、「プリンス」シリーズ?とは違うようで安心した。こっちは三人称だし。
同棲していた彼女が出て行くときにペットのインコを置いていってしまい、そのインコが病気になったので病院に連れて行ったら、素敵なお医者様にいきなり叱られました、という話。
甘え下手のエリートが主人公で、最初はそりゃ彼女も結婚は考えちゃうよなー、怒って出てくよなーという考え方の持ち主だったが、別に根性が曲がっているわけでもなく、わりと感情移入しやすいタイプ。
で、彼女の書置き通りに世話をしていたらインコが病気になってしまって、ちゃんと世話しろーと獣医さんに怒られるわけだが、ここで相手の言うことはもっともだと思って言い返さないところがいい。別に世話をサボってたわけじゃなくて、忙しい中でも指示を守って、結構準備の面倒くさい離乳食みたいなエサを与えていたわけで、しかも具合が悪いと気付いた直後に会社を休んで病院に連れてきているので、叱られるのはちょっと理不尽な状況なんだけど、インコに可哀想なことしちゃったなってしっかり反省するところに好感が持てる。
そしてこのとき会社を休んだせいで大口の取引を駄目にしてしまうという不運が重なるのだが、インコの見舞いにも行く。このインコが主人公に懐くさまがとても可愛い。こんなに懐かれたら、そりゃ情が移るよなあと思う。
しかしインコと主人公の愛のある生活も長くは続かず、インコは彼女に引き取られていってしまうのだった。ああ、インコが…。とっても寂しいと思っていたら、主人公が新しいインコを飼うと決めたので、わ~いと喜んだ。ペットショップで病気になっている雛を買って、獣医さんに預けて病気を治してもらってから引き取るということになり、まあそんなわけで獣医さんとうまくいくのだが。
すまん、人間よりインコとの蜜月のほうが気になるよ!

…この主人公が激しく好みだったので、できれば相手は年下がいいなあと思ったのだが、獣医さんは年上。ただ、甘え下手な主人公を甘やかしてくれる人ということで、まあ年上のほうがいいのかもしれない。この獣医さんも適度に優しく包容力があり、とってもいい獣医さんなので、素敵なキャラだった。インコの次ぐらいに。
いやいや、インコを抜きにしても、面白かったので続きが読みたいところで。
なんで「プリンス」に同時収録なんだろう…。「プリンス」が好きな読者なら、学生ものが同時収録のほうが嬉しいだろうし。
だいたい、裏表紙のあらすじに「単行本未収録作品も収録」としか書いていないので、「未収録の王子様シリーズがもう1本読める」と誤解してしまいそうな気がするし、この作品が好きそうな読者層がこの作品にたどり着く確率は極めて低いような……。

隠れたところにある私好みの作品と出会えてよかった。

First Love

2009年2月20日 BL作家か行
神江真凪 二見書房 2008/6

たまには新規開拓ってことで読んでみた。
再会もの好きだし。

ネタバレ
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新規開拓といってもデビュー作(?)は読んだことがある。2作目に期待ということで読んでみたという感じかなあ。
1作目と同じような感想になった。優しく素直なお話で適度に読みやすく、キャラも普通に魅力的。普通にっていうのも変な言い方だが、良くも悪くも平均的なキャラになっているというか。時々信じられないような非常識なことをやらかすが(状況も確認もせずに殴りかかるとか、手錠をかけて車に乗せるとか…)、それもその後の普通な行動で相殺され、均されていき、取り立てて印象に残らない。
受の聡史視点の本編ではふたりが別れた理由を結構引っ張っていたので、どんな衝撃的な過去が?(どうせ誤解だろうけどー)と期待していたのだが、まあなんというか納得しつつも肩透かしだった。ただ驚きはまったくなかったけど、聡史のピュアなキャラに合っていてよかったんじゃないだろうか。…残念ながら私はピュアなキャラに共感できないから、よく分からない。
攻の瀬良視点の続編は最初ちょっと退屈だった。けどこれもテンプレ的ではあるけど、丁寧に心情が描かれていてよかったんじゃないかと。うーん、もうちょっとぐらい個性か、あるいは話にひねりがあってもよさそうだけど。いやこういう話も嫌いじゃないんだけど、私にはちょっと物足りなかった。
とにかく取り立ててケチをつけるようなところがない。強いて言えば、薄味。さわやかで可愛らしいお話なので素直なタイプの読者なら楽しめそう。BL初心者に薦めたいような作品かも。
平井さんはもちろんいい男でしたが、繁樹くんが可愛かったです。
あと平井さんの自宅がいい感じでした〜。住み心地がよさそうです。しかもウィスキーとイケメンつき(笑)
鹿住槙を読んでみたいといって貸してもらったシリーズもの。
というわけで初読みの作者さん。

『ピンスポットの向こう側』 ビブロス 1999/07
『成り上がりバトル』 ビブロス 1999/08
『スキャンダル・ステージ』 ビブロス 2001/03
『二人だけの喝采(アプローズ)』 ビブロス 2002/11

ネタバレで。
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アイドル×俳優、年下攻。一人称。
芸能界もので一人称なんて、自分では絶対に手に取らない作品だが、お借りしたものなので食わず嫌いはやめて読んでみた。
読み始めてすぐに、またスピンオフを読んじゃった?と不安になったが、まあ別にスピンオフでもいいや、面白いし、意味が分からないところもないし、と半分ぐらい読んでから、いや、これはありえないだろ、いくらなんでもって諦めて裏表紙を見てみたら、「完結」の文字。
よりによってシリーズ最終巻から読んでしまった…。やっぱり裏表紙のあらすじは読むべきだなあ。にしてもシリーズものなら表紙に書いといてくれればいいのになあ、といつも思う。順番も分かりづらいしー。
そんなわたくしの個人的なよくやる失敗はともかく、面白かった!
文章は読みやすいから一人称でも気にならないし、ストーリーは単純だけど感情移入しやすいし、テンポがいいから飽きないし。こういう王道系のBLってあんまり楽しめることがないんだけど、これは好きだなー。
キャラもいい。主人公の樹は性格が男らしくてさっぱりしてるし、何より俳優の仕事が好きで打ち込んでいる姿がカッコいい。意地を張っちゃったり、素直になれなかったりするあたりも親しみが持てるし、共感しやすかった。
攻の進也のほうは『ピンスポット〜』では可愛いくて一途な年下君って感じだけだったが、樹が惹かれる気持ちが分かるような子だった。『スキャンダル〜』ではちょっとイラついたりもした。で、完結の『二人だけの〜』では前半メールだけ、電話でも喋らないという徹底した露出の抑え方で、やっと出てきたと思ったらカッコよく成長していて、おお〜!と。期待を裏切らない攻様ぶり。

読みやすいけど、軽すぎないところがいい。ベタな展開が多いんだけど、芸能界ものの場合はベタなほうがかえって読みやすいかもしれないなあ。楽しく読んだ。

愛しい鍵

2008年6月21日 BL作家か行
幻冬舎コミックス 2008/6

最終巻。
ネタバレで。

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1、2巻でここが気になる、と思っていた部分が前面に出てきて読み応えがありました。先の気になる展開で、最後のほうまで緊張感がありましたし、重いテーマのわりに読みやすかったです。
あっけらかんとしていて行動力のある主人公の性格が気に入っていましたが、今回は悩みぬいた末に頼もしく成長してくれて、いい男になったなあと。
結構クセのある脇役たちも味があってよかったです。手放しで「いい人」とは言えないキャラばかりですが、最後には「いい奴」になっていました。とくに猛とおじいちゃんが好きです。
あとは、許されないことをしている人だけど、光樹が結構好きで。小説の中の人物の場合、モラルは脇において魅力を感じるキャラがたまにいますが、そういう位置づけ?で好きです。
久我有加 新書館 2008/5

夏目さんのイラストが丁寧に描いてある感じでよかった。
おまけマンガも面白かったし。

ネタバレ

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標準語男前でわりと中身は普通攻×関西弁美形誘い受

帯にそれらしいキャッチがついていたので、攻っぽい受?と期待していたのだが(好きなんだもん)、そうでもなかった。まあそれはそれでかわいいからいいかなーと。

また関西弁がテーマか…と買ったもののちょっと読むのが面倒だったが、まあ文章が読みやすいのでサクサクと読了。なんだかBLそっちのけで関西弁について考えさせられるというか。
私なんて1泊の旅行でエセ大阪弁で喋りそうになったのだが、この主人公は大阪の大学に通って3ヶ月も経つのに標準語のままで、周囲がみんな大阪弁って環境でよく伝染しないなあと、むしろ感心した。
ちなみに主人公が大阪での生活に慣れると「関西弁」は「関西言葉」という表現になる。他の作品でもそうだったし、大阪の人にはこちらが好ましい表現なのだろうか。
と。このようにラブはあんまり頭に入ってこなかったのだが、受のペースでさくっとくっついたので、まあぼんやり読んでても問題なかったのではないかと。
で。続編で強気でマイペースに見えた受が、実は恋愛に対して臆病で、最初から別れる前提で攻に逃げ道を用意していたと分かる。わりとこういうタイプの受が好きだし、普通に優しい攻も好きだし、楽しく読めた。まあ二人とも色気を感じなかったが、かえって大学生ものらしくていいかなー。
さらに10年後の続編では、攻がいい感じに包容&強気攻に成長してくれていたので、結構ツボで、この短い続編が一番好みだった。
すごく面白くもないし、それほど好みでもないけど、安心して読める1冊という印象だった。
面白かったです。
この二人は本当に相性がよさそうで、ほのぼのと読み終わりました。
駒崎優 講談社 2007/04/27

書名で検索できなかった。ただ単にサーバが「忙しいんだから後にしろよ」と横柄な態度を取っていただけのようだが、頭の悪い私は横文字タイトルだとすぐにスペルを間違えるので、また自分が間違えたのかと思った。こんな基本単語すら忘れてるなんて困ったなあと悲しくなりつつ、作者の名前で検索。しばらく考えたら、こっちはなんとか思い出せた。

ごめんなさい、趣味に合いませんでした。(貸してくれた方に謝ってます)

クリス・J・ウォーカーの油彩画の個展を訪ねてきた男は、「天使」というタイトルの絵の前で呟いた。「これは、俺だ」と。その男ラフィと、クリスは幼馴染みだった。ニューヨークの向かいのアパートメントに住み、兄弟同然に育ったのだ。十年ぶりの再会は、しかし苦いものだった。「あのこと」が二人を引き裂いたのだから―。

ネタバレ
翻訳調の文章がちょっと読みづらい。最近の翻訳ものを読んでいないので「これが翻訳の文章」というイメージが少し古いかもしれないが…。どうせならくどくど読んでて息苦しくなるぐらいの一文の長さで描写を入れてくれると翻訳ものの雰囲気になっていいと思うんだけど、センテンスが短いので「彼は〜〜した」という書き方が頻出するとどうにも入り込みにくい。
たぶん多くの人にとってすっきり読みやすい文章なんだろうけど、私には合わなかったらしい。
肝心の内容はというと、恋愛ものというよりトラウマ克服がメインに思えた。BL系はキャラの心理を説明しすぎることが多いし、この作品もたっぷり解説してくれていて、共感もしやすい。だけど、こと恋愛に関しては訴えてくるところがなくて、文章で解説されてはじめて理解できるという感じ。全然伝わってこない。
クリスにとってラフィが幼馴染みから恋愛の対象に変わった場面が唐突過ぎたし、クリスの恋愛感情は続編になるまで読み取れなかった。本当に幼馴染への愛情以上の感情があるのか、よく分からなかった。
ベタかもしれないけど、怖さに耐えてまで寝るのはラフィが好きだからというのをもっと前面に出してほしかった。
一方ラフィのキャラも少々冷たく感じてダメだった。いや、優しいんだけどね。叔父を殺した犯人を救ってやりたいっていう熱意をさほど感じないのに、クリスの傷を抉ってまで供述書を作ろうとしてたり、必要のない場面で「叔父」と言ってみたり。クリスにとっては立ち直るきっかけになったんだろうし、荒療治にもなったけど、ラフィのほうには荒療治する覚悟があったのか、相手のことをしっかり考えて供述書を頼んだのか疑問で。
クリスに同情し哀れんでいるのは確かなんだろうけど、所詮は他人事なのかなーという無神経さだった…。あとこれを責めるのは酷なんだろうけど、友達がひどい目に遭っていると気付いていて助けに行かないのも。その場面でラフィの恐怖が十分に伝わってこないので、つい責めたくなってしまう。
面白いし、雰囲気もある。脇キャラにしっかり個性があって、当て馬君がかなり好みだった。…恋愛部分以外のほうがよかったかな。
優しくて切ない系の話なのは私にも分かるのだが、キャラが遠く感じられて感動までいかなかった。
久我有加 新書館 2006/06

久し振りに読む久我さん。

がっつりとネタバレで。

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最初は主人公、受だよね?受だよね?と思いながら読んでいた。なんせ攻が年下・きれい系、受が無精ヒゲなのでちょっと自信がなくて。でも攻のほうが身長がちょっと高いというので、そこで自信を持った(笑) 攻が高校生ぐらいなら逆転の可能性があるので受より身長が低いのもアリなのだが、20代半ばではそれもないし。女装攻でも身長は受より高いのが一般的だし、攻のほうが身長が高いというのは(それ自体をネタにしていない限り)ほとんど不文律。たぶん間違いないだろうと。
しかしだんだん受の誠が無気力さんから、ただのぼんやりさんになってきたので、あなた、やっぱり攻に転向しませんか?と打診したくなった。どっちやねん。
まあそんな私の趣味とは関係なく誠は受におさまったのだが、このぼんやりさんは結構気に入っているので、なんでこんな薄らぼんやりした生き物をいじめるんだろうと、攻の株はここで暴落。
えーっと、話を戻して。いきなり小学生の息子がいると言われた主人公が慌てふためかずにそれを受け入れるという展開が、ちょっと見たことなくて面白かった。息子のほうも素直で優しいけど強かってタイプで可愛いし。ほのぼのしていて読みやすい話だったが、攻の株が暴落したところから、話自体もちょっと…になってしまった。
新の母親(攻の姉)の重たい話が長々続くので、読んでいて失速感があり、どうもなあ、と。本当に新が誠の息子だったら救いがあったかもなあと思ってしまうあたり、悲しい話だ。しかも姉への罪悪感で誠を傷つけるっていうのは、それどうなのよ、と攻の株がさらに大暴落。
まあ攻はどうも好きになれなかったが、ご近所さんたちもいい味を出していたし、ストーリーも主人公の過去の傷と癒されていく過程が自然に描かれていて最後まで面白かった。
病弱な鯖がまた寝込んでいたようで。


『王子さまは誘惑する』幻冬舎コミックス 2007/11
(小説125)

恋になる日

2007年10月19日 BL作家か行
可南 さらさ 二見書房 2001/01

表紙のデザインは趣味に合わないが、イラストが気に入った。
最近の画風よりこの頃のほうが好みかも。

ネタバレ

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母親の再婚で兄弟が4人できた主人公ってあらすじを読んで、兄弟の間で奪い合いみたいな話を想像していたのだが、そうでもなかった。
学校でも会社でもホモは公認らしい。主人公はみんなから美人だといわれている。とりあえずいくら天然でも否定しときなよ…。まあこの作品ではこれがデフォルトなのだろう。
いわゆるツンデレってやつだが、あんまりデレてない。むしろグダグダ。ストーリーもグダグダなので、どこまでいったら終わるんだろうと思いながら読んだ…。なんかこう、私の中では3回ぐらいエンドマークがついたもので。
主人公は泣きっぱなし。読んでるこっちは、泣くのが商売なのは赤ん坊だけだ、いい加減にしろ!とイライラしっぱなし。(私は特別気が短いから…)
これが「涙が出ちゃう、だって男の子だもん」という泣き虫くんタイプなら、ある意味読みやすいのだが、もとがクール、スクエア系なのでタチが悪い。うーん。うざいけど、わりと好きかも。
三人称蝶々視点。なんだそりゃって感じだが、花から花へ、あっちへふわふわ、こっちへふわふわ、の意。移り気な神様ってところか。3行ぐらいで視点が移ってしまったりする。はっきりいって読みづらい。君は誰だ? いつ人格が交代したんだ、とかいちいち聞きたくなる。
で。それにもかかわらず、キャラの心情は追いやすくできている。たまに第三者視点になるのも、ここまで移り変わりが激しいと、かえって分かりやすくていいかもしれない。
義理の弟も攻らしい魅力がいっぱいで読みやすい作品なんじゃないかなあ。好みではないのだが、わりと面白く読んだ。

あとがきに、〆切前にPCがクラッシュして全部書き直したと書いてあった。うう、それは気の毒な…。手放しで誉めるべきでしたよ。

(小説105)

野良猫

2007年10月13日 BL作家か行
久能 千明 光風社出版 1998/11

これもネタバレかな。

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ちょっと変った雰囲気の話だなー。
BLというよりJUNEかな。言葉の定義分けをよく知らないけど、なんとなく。出来事より内面世界重視で、エッチが入らないあたり、耽美な雰囲気だと思う。重たいんだけどドロドロしたところはなくて、むしろ透明感のようなものもあるが、浮世離れはしていない。
イメージでばかり感想を書いているが、さらっと流して読んだほうが独特の空気を味わえていいかなと。
なんだかいつも以上に独りよがりな(読む人にとってつまらない)感想になっているが、なんせ普通に感情移入できるような恋愛が描かれていないのに、やっぱりしっかり恋愛ものだと感じさせるという、難しい作品で。読みやすいし、気軽に楽しめる作品ではあるんだけど。
ぶっちゃけて書くと、昔の作品には割と多い、ニアみたいな恋愛もの。直接的な描写は抑え、少し回りくどく、行間にはしっかり漂っている、と。この控えめにつけた香水みたいな書き方が、ちょっとだけもどかしく、その分期待感を煽るんだと思う。
イメージ終わり。
受のキャラが新鮮だった。クールでマイペース、その実は不器用、強くもあり弱くもありという、作り物っぽさの少ないキャラだった。かっこいいし、変ってるんだけど、親しみやすさもある。
攻もとにかくマイペース。特別ずれているわけでもないけど、つかみづらい。かっこいいとも、かわいいともちょっと違う気がするけど…なんか説明はしづらいけど個性的な魅力がある。
さあ、いよいよ続編で甘いシーンを!と思ったら、これで終わりですか。うう、物足りないとは言わないけど、続きが読みたかったな。
「アビ//シニ/アン」は正直、あまり好きじゃなかった。
あっさりくっつかれても興醒めだっただろうが、真剣に相手を想っていた主人公が土壇場で引いてしまう話というのは、どうにも。そこまで感情移入していたのに、急にほっぽり出されて置いていかれてしまうので苦手。
不満はないけど、一度冷めてしまうとその後の展開には興味も持てない。まあこういう恋愛もあるのかな、と適当に分かったふりをして突き放してしまう。

(小説101)
『恋の値段は君次第』
(小説66)


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『優しい鎖』
親世代萌〜。光樹がとくに好みで……。
(小説58)

湿気か

2007年5月22日 BL作家か行
梅雨が近付いているせいか、蒸し暑い。体が重い〜。湿気が原因かなー。

『紅茶/は媚薬』剛/し/いら

この本は単行本だったものを文庫化したらしい。
ってことは人気のあるシリーズなのかな。…またスピンオフって知らずに買っちゃった。別にこれ1作で読めるようになっているので関係ないともいえるのだが、シリーズものならシリーズものだと分かりやすく書いといてくれないかなあ。別にこの作品に限ったことじゃないけど。
大変どうでもいいことかもしれないが、ネット書店であらすじを見ると、主人公の名前が違っている。大道寺じゃなくて、大徳寺じゃないのか。それとも文庫化に当たって改名したのか…。別に誰も困らないだろうが、なんとなく気になったので。

感想としては、とにかく文章とかセンスみたいなものが趣味に合わなかった。たぶん別の作者が同じ設定と同じストーリーで書けば、もう少し楽しめたと思う。
攻の台詞のオヤジくささと受が日本語で喋るときの口調さえ変えてくれればなあ…。

この話、わりと仕事のシーンも多いのだが、やっぱりBLファンタジーだなあと思いながら読んだ。
で、また作品と関係のない話になってしまうが、なんでBLってリアルにしちゃいけないんだろうと思って(しちゃいけないと断言してる人もいるので)、なんだか考えさせられた。
(この作品がとくにそういうことを考えさせられる内容というわけではなく、たまたま)
まあどこかで(どこだったか忘れた)「BLなのに、なんで男女の恋愛をなぞらえる必要があるのか」という趣旨の意見を目にして、なんでBLだからって特異な形をとる必要があるのかと、逆に不思議だったことがあって。BLの場合、ゲイよりヘテロが多いような気がするし、読者はリアルなゲイカップルの話が読みたいわけじゃないんじゃないかなと思ったことがあって。
そういう意味でファンタジーにしといたほうが都合がいいのかなあと思わなくはないんだけど。
設定はある程度リアルで、恋愛部分だけファンタジーっていうのは無理なのかなあ。

(小説33)
行く暇がないので、ネットで注文してみた。
在庫がなかったので2軒に分けてみたら送料無料合わせでちょっと泣かされた。
草/間さ/かえで検索したら『秘密』 木/原 音/瀬がヒットした。…この作品のレーターさん別の人なのに。まあ一緒に買うつもりだったので、手間が省けたが。

羨ましくない話。
梅干の入ったたいやきなら食べた。あんこに梅干。美味しくはないけど、わたしは普通に食べられた。チーズのたいやきは美味しそうだ。
バトンキャッチありがと〜。今日はパソコンからなのね。

肌荒れが!

柊平 ハルモ 『センチメントな誘惑』
(小説27)
時々、というか非常によく検索除けを入れ忘れる。…後から慌てて入れてみてもキャッシュで引っかかってるし。キャッシュなんてキライだ。

私が今まで見た中で一番驚いた(というか、あきれた?)誤植は、某BL雑誌で「虚勢を張る」の「きょせい」がBLの受を表現するのにそれはどうだろうという漢字になっていたとき。
しかし、そんなこととは関係なく作品自体は面白かったので(まあ関係があるわけもないけど)、他の作品も読んでみようかしらと思って、でもあんまり好みの設定のものが見つからなかったので、とりあえず古本で買ってみようと思ったのだが、1冊しか見当たらず、選択の余地もなく買ってきて、あらすじを読み直して無理っぽくて放置してあった本をようやく読了。

『微/熱の引/力』 可/南さ/らさ
とりあえずネタバレってことで。

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受が趣味じゃなかった。
裏表紙のあらすじを読んで表紙のイラストを見れば見当がつくことであったが、よほど好みの絵柄か、買うのに支障があるような激しいものでない限り、あんまり表紙のイラストを見る習慣がない……。見とけばよかった…。
といってもあくまで個人的な好みの問題で、別にこのキャラに魅力がないという意味ではない。…そんなの当然かもしれないけど、個人的な趣味の問題以前の場合もたまにはあると思うので。
というわけで、あまりに受が趣味に合わなくて読むのが辛かったのだが、攻は普通に好みのタイプだったので、頑張って読んでみた。どうにもビールを飲んでるみたいな辛さだったが、一気に読めた。(私はビール苦手なので、乾杯の後はさっさとグラスやらジョッキやらを空けて次にいくことにしているのだが、一気飲みすれば案外飲める。それにちょっと似てる)
ものすごく失礼な態度ですが、逆説的に攻の魅力と読みやすい文章を褒めようとしているつもりなので、ご容赦ください。つまり受がそこまで苦手だったのに、文章と攻の魅力で読めてしまったと言いたかったわけで…。
文章は、癖が少なくて結構好きかも。癖が強いと愛が冷めてきたときに鼻につきやすいし…。
で、攻が(BLとしては)控えめなカッコよさで、わりと等身大で、かなりムカつくキャラでよかった。読んでてムカつくんで、とりあえず痛い目をみて思い知れ!とか思ってたら(…)、本当に思い知っててツボだった(…変なところにツボがあるなあ。やっぱりSなんだわ、私)。いや、その後思い知りすぎて、おとなしくなってしまったのはちょっとばっかり可哀想ではあったが。可愛さ余って(?)振られてしまえと呪いをかけていたのに、ちゃんとハッピーエンドだった。残念だ(嘘です)。
ちなみに続編で受視点になってしまって倒れそうになったが、なんだかだんだんこっちも慣れてきたし、受が成長していたので、なかなか読後感がよかった。
10ページ目で放り出さないでよかったな。
(小説17)

ケーキ

2006年10月16日 BL作家か行
昨日は車を動かすついでに米を買って砂(ガーデニング用)を買って。なんだか重たいものばかり…。
チキンフィレサンドを食べられなかった心の傷を癒すべく(そのあとCMを見てしまって辛い目にあった!)、久しぶりにケーキを買ってきた。
季節もののカボチャのプリンと定番のクラシックショコラ。
どちらも大満足。しあわせだ。

 

『花扇』読了。
他の作家さんの漫才を扱った作品で、漫才の内容を文章にしないところが白けなくていいという感想を書いたことがあるが、この作品は落語の内容をきっちり書いてくれるところがいい。
文章じゃなくて、耳で聞いたほうがいいんだろうなと思わせてくれるあたり、さすがだなあと思う。
これは作風の違いではなく、漫才と落語の違いなのかもしれない。両方よく知らないので、なんともいえないけど。
BLとしてはさっぱり好みに合わない作品だが、面白く読めた。

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