読了。
とても面白かったです。

愛溺

2016年7月23日 BL作家あ行
英田サキ リブレ出版 2016/03

『兄貴とヤス』懐かしいなあ、と手に取ってみた。
1冊丸ごと『兄貴とヤス』かと思ってたら、もとの短編に後日譚SSがついているだけで、ほとんど別の作品だった。
ちょっとガッカリ。

--------------ネタバレ-------------

『兄貴とヤス』
わりと好きなんだけど、何も感想が出てこない…。
兄貴は格好いいけど、兄貴の露骨すぎる言葉責めはちょっと萎える(笑)

『一度だけでも』
最初にホテルに行っておいて、その後は既婚者だからと距離を置く攻が好きになれなかった。奥さんが離婚してほしいって言ってて、離婚しようと思えばいつでもできるのに、「妻に未練はないが離婚はしない、気になる部下には手を出す」って身勝手すぎるでしょう…。

『潮騒の褥』
甥×叔父のJUNEっぽい雰囲気の作品。
二人とも共感できなかった。
まず、子供に手を出す時点で地雷過ぎる。親戚の子を預かっておいて、男女問わずセフレを家に連れ込んで、最後には子供にまで手を出すって…。非常識っていうより、もはや性的虐待でしょ。
「自分も子供の頃、養父に…」っていう生い立ちゆえに壊れてしまっているという設定だけど、ただ性的にゆるいだけで本人は辛いと思っていないみたいなので、なんだか同情もできず。
薄暗い雰囲気にどっぷり浸れれば感動的な話らしいけど、重たい過去を持つ叔父がしっとり系じゃないせいか、私はまったく浸れなかった。切なくもないし、哀しくもない。
重たい設定の割に薄っぺらいとしか…。
これなら、いっそバッドエンドのほうが面白かった。
幻冬舎 2016/06

爽やかな表紙。
けど、檸檬の木は棘ないのかな~とか余計な心配をしてしまった(笑)

面白かったです。
尖ったところのない、穏やかな話。
うちの近所にもこういうカフェがあったらいいのに~、とカフェ描写にうっとりしてしまった。(スタバとコメダはあっても、素敵なカフェはない田舎生活…)

甘い駆け落ち生活は、どこか地に足がつかず、どこか寂しく、駆け落ち前の知り合いに会っただけで崩れてしまうほど脆かった。高校時代から続くスローで浮世離れしたような雰囲気は綺麗だったけど、やっぱり不安定過ぎる。関係がしっかり固まって、ちょっとずつ遠慮が消えて、最後は現実的になったのがよかった。
やっぱり長く続けるには、これぐらいの関係のほうが安心。

また時間をおいて再読したい作品。
幻冬舎 2016/01

まだ感想を書いてなかった。

ネタバレ
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添い寝屋のバイトの顧客は淫魔だったという設定。
この設定で想像するのは「めくるめくエロ」(個人的に苦手)。あらすじ、設定を確かめないで買ったから、うわ~、という感じで読み始めた。
テンポもいいし、キャラに嫌みがなくて読みやすい。
しかもストーリー重視で、ほっとした…。
特殊な設定を最初から明かさないし、逆に長々と「謎」として引っ張らないから、話に入り込みやすかった。このあたりのバランス感覚が合わないと、ついていけずに終わってしまうこともあるし…。

肝心の恋愛のほうは、わかばの魅力が分かってくると、だんだん焦れったくなってくる。わかばはマイペースに見えて、全然マイペースじゃない。そういえば、眠れないんだっけ、と思い出したり。
動物園デートが楽しそうでよかった。

友達の吸血鬼もいいキャラだった。当て馬じゃない、いい男っていうのは美味しいキャラというか。
彼の若葉に対する感覚には納得。確かに、歳の差過ぎる(笑)
とはいえ、スピンで歳の差ラブも 期待したいところで。
幻冬舎 2015/08

とにかく面白かった。

ネタバレ
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主人公が少しずつ成長して、少しずつ攻と惹かれ合っていくのがよかった。バッサリとした話し方も好きだなあ(笑)
お母さんとの和解も自然で、ほっこり。

バレエに興味がなくても分かりやすいし、長い話じゃないのに読み応えもたっぷり。しかも、詰め込み感がないというバランスのよさ。
バレエというある意味「お上品な」モチーフの作品で牛丼を食べに行くのも、親しみを感じてよかった(笑)

スケートの場面、パリでの甘い再会、結婚式がとくに素敵。

当て馬はいい人だけど、清親とはかなりタイプが違うし、直希の好みじゃなかったんだろうなあ。甘やかしてくれる男より、一緒に成長できる相手を選んで正解だと思う。正直、もったいないと思うけど…。

全体に爽やかで柔らかな空気感でまとまっててよかった。
絢谷りつこ 新書館 2015/04

シューフィッターっていう職業がちょっと新鮮だった。
でも、話全体の印象は薄かった。

可愛い話、なんだと思う…。
受がイラストを含めて幼すぎて、まったく成人男性と思えないところが残念。
もう社会人なんだし、子ども扱いされて拗ねる様子が可愛いって年齢ではないような…。
素直で努力家で好みのキャラなんだけど、すぐに泣きそうになって黙り込んでしまうところもちょっと…。
攻のほうは、いいお兄ちゃんというイメージを守りつつ年齢相応に余裕のないところもあって、自然なキャラでよかった。
二人の関係が受のお母さんにバレたら、面倒くさそうだな~。
海野幸 二見書房 2014/04

読みやすかった。
腹黒キャラって、最後に本性を現してニヤリ、みたいな攻が多くて、あんまり好きじゃないんだけど、この攻は結構いい人。ちゃんと反省するし、強面くんから、いい影響を受けて成長していくところもよかった。
これだけ熱血な強面先生が同僚から熱血認定されてないっていうのは、さすがに無理があると思った。
いちか凛 大洋図書 2015/02

デビュー作らしい。

ネタバレ
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山岳もの。優しくて、ちょっと地味な作風かな。
面白かったし、好きだけど、感想書こうとすると辛口になっちゃうかも。

真崎さんの山岳ものと設定や展開が被るな~と、まず思った。別にそっくりってわけでもないんだけど、BLで山岳ものって数多くあるわけじゃないから、先行作品と共通点が多いと、それだけで二番煎じにみたいなってしまって不利というか。

冒頭に脇役の説明が多くて取っ付きづらいな~というのも気になった。脇役の説明が続く間(それほど長い文章じゃないけど)ずっと、「それで主人公の職業は何? 脇役より先に書いてよ」と思いながら読んでた。
いつもチームで動いてて(たとえば刑事ものとか)、それが話のメインになってるなら、こういう書き方もありだけど、この話ではキャラをいっぺんに説明する意味があまりなかった。

過去を織り交ぜつつ、丁寧に綴っていくような書き方がよかった。恋愛面での動きがほとんどない話だから、過去の話がないと間が持たなかったと思うし。

キャラがおとなしくて、もったいない。主人公も攻も、まあいい人だよね、ぐらいの印象しか残らなかった。脇役の設楽くんが一番よかったかも。当て馬にならなくて残念だった。

あと、山の描写は細かいのに、主人公が登山しないという設定のせいか、臨場感が薄いのも惜しい。

デビュー作ということだから、次の作品に期待。
いおかいつき 幻冬舎 2015/02

表紙のイラスト、いいな~と思ったんだけど、中の挿絵はあんまりよくなかった。
とくに最初の主人公の顔が…妖怪っぽいような。

ネタバレ
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読みやすいけど、面白くはなかった。
あまり座敷童ってイメージでもないオッサンだったし。小金は運んできてくれるけど、座敷童が食べる分を考えたら、家計はマイナスだよ!とか、どうでもいいことを考えてしまった。
初恋の少女がオッサンに変貌しても構わないという、主人公の雑食ぶりに脱帽(笑)


いおかいつき 角川書店 2014/08

レーベル的にあまり期待してなかったんだけど、面白かった。

ネタバレ
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事件ものとしてもまとまりがいいし、嫌味のないキャラばかりでよかった。特殊能力はあるけど、組織で上手くやっていけないタイプばかりを集めたチームって、どこかで見たことがあるような設定を、テンプレ通りに料理してるところが、逆に安心感があって読みやすかった。

美形なのに美味しい思いはしたことがなくて、ひたすら受難体質な響…。少しぐらいモテて楽しいことがありそうなものだけど、実は元からあまり女性に興味がなかったのかな?と深読みしてしまった。

もう少し響と暁がぶつかりあったほうがよかった気がするけど、このページ数でそれやったら、たぶんラブまで辿り着かない(笑)
人気次第で続編を出すってパターンかな? 続きが出たら読みたい。

神凪の恋

2014年12月13日 BL作家あ行
いつき朔夜 新書館 2014/06

何かのバラエティーで、この神社のモデルらしき島を見たことがあるなあ。

あと、BLで受を神主にすると、「ああ~ん、境内じゃダメよ、ダメダメ~vv」ってネタを入れないといけないってルールでもあるのか…。

ネタバレ
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なんで神主の話で、こんなに品がないのか。
文章の下品さにガッカリし、攻の態度の悪さにうんざりし…。
主人公のほうもそれほど信仰心がないらしく、権禰宜を職業としか捉えてないのかな~という描写がチラホラ。奥行のない話が、余計に薄っぺらく感じてしまった。

あと、続編の攻が…。外で〇〇抓ってくるとか、どんな変態だ。二人きりの室内にいて、服を着たままセックス終わらせるのが最低な行為って分からないのか…。

建築士も神職も職業ものとして面白そうな題材だったから、期待しすぎたかも。

推定恋情

2014年12月13日 BL作家あ行
いおかいつき KADOKAWA/メディアファクトリー 2014/05

フルール文庫。
表紙はなんでこんな薄暗くしたんだろう。
全然、内容にそぐわないし、キャラの性格さえも違って見える…。

ネタバレ
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事件ものとして面白かった。
わりと淡々とした話だけど、最後まで飽きずに読める。

キャラも、恵まれていると自覚している主人公は、エリートなのに嫌味を感じさせず、自信たっぷりで。
攻は、投げやりになってた時の印象が強いせいか、印象が薄いかも。可もなく不可もなくっていうか。
フリーライターという職業なのも、ほとんど活かされていない。

恋愛面は少し弱いけど…どっちかが押すんじゃなくて、友情っぽいやり取りから恋愛に発展していくのがよかった。法廷ものニア作品をBLにしたような感じ。
まあ、さらっと読めていいかなと。
雨月夜道 幻冬舎 2014/04

『恋愛小説は書けない』が面白かったから、期待して読んだけど…。


ネタバレ
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うーーん。
攻は不可解というより、キャラに一貫性がなくてブレているだけに感じた…。
普段は好きな相手にコーヒーを入れるだけで満足しているのに、スイッチが入るとレイプ、監禁をするなんて…ただの異常者では。
攻が変人になってしまった生い立ちを知っても、同情するより前に、治療が必要なんじゃないかなーと思ってしまう。
後から、「実はこういう理由で、こういう行動をとりました」と説明されても、納得できる説明ではないので、話の辻褄が合わないように感じた。話の勢いでキャラを暴走させてみたけど、収拾がつきませんでした、というような。
『恋愛小説は書けない』みたいに、ギャグって思える程度の変人なら面白かったはずなのに、なんか残念。

受も言動に非常識なところ(意味もなく意地を張ったり、暴言を繰り返す)が多くて、共感できないキャラだった。
いおかいつき 海王社 2011/03

面白かったけど…。

ネタバレ
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面白かったけど、色々と引っかかるところが…。
残りページ数が少なくなってから、すんなりいってしまうから、盛り上がりが足りなくて、細かい点が気になってしまったというか。

まず、恋人を作るのも面倒という人間が、親しくもない隣人に度を越した強引さで近づくのが不自然すぎた。
いくら男子高校生を好きになったからといって、お肌のことを気にし始める40男。なんだか、見たくない感じ。
オネエキャラならいいんだけど…、若い男の子ならいいんだけど、40男はダメって思ってしまうのは、差別かなあ?

攻は素直で可愛かったけど、コーヒーをブラックで飲むことを「大人の味」とかいう高校生って、さすがに現実離れしてるというか…ありえない。
現実にこんなセリフを吐く高校生がいたら、可愛いと思う前に引く…。

最初は親切から申し出た勉強部屋の提供に恋愛感情が絡むと、親子ほど年が離れてるだけに、下心から高校生を部屋に連れ込んだオヤジ…という構図に見えてしまう。相手の気持ちを確認せずキスした時点でアウト。
信用してくれたお隣さん(攻の両親)に悪いと思わないのかな~。
絢谷りつこ 新書館 2013/03

雑誌掲載時に読んだ作品。

ネタバレ
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受が花屋、仕事で攻の職場(大抵ホテル)に行くって話を読むの、これで何度目だろう。
またか…とうんざりしたけど、今まで読んだ中で一番花の描写がきれいだった。お仕事描写(主人公が花が好き)というより、純粋に花がきれいと思えるのが貴重。

攻の宇宙人ぶりは慣れてくると結構楽しい。変人設定の場合、周囲はただ迷惑するだけっていう話が多い中、気遣いもするし、周囲にも愛される変人ってところがよかった。
結婚式の誤解は、そんな誤解するかな?と無理を感じた。
確かに結婚式の打ち合わせに、婚約者以外の相手と来ることなんて、まずないだろうけど。それを言うなら、(本気じゃないとしても)口説いてる途中で、まだ落ちてもない相手に、自分の結婚式の準備を依頼する人間なんていないだろう…。

攻の自宅が高級マンションじゃなくて、古い日本家屋ってところが魅力的。プロポーズ話はベタだけど、甘さを気軽に楽しめた。
すごく面白いってわけじゃないけど、なんだか雰囲気が柔らかくて好きな作品。
いおかいつき 徳間書店 2012/01

表紙。
どうでもいいけど、普通はエプロンつける前にネクタイはずさないかな。


ネタバレ
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雰囲気が柔らかくて読みやすいけど、突っ込みどころが多かった。
まず、主人公の一歩が近所の小学生の洋平に声をかけるところ。人の買い物袋の中身を見て食生活を説教とか、昭和のおばちゃんか!と言いたくなるお節介ぶり。
その後、事情も知らずに人様の家庭に口出しするのも呆れる…。
そりゃあ、小学生に夜中一人で留守番させるのは問題がある。アメリカなら通報されちゃうのかな?
でも、頼れる親戚がいなかったり、家政婦を雇うだけの経済力がなかったりするシングル家庭は多いでしょ…。お金があっても、夜中に小学生を安心して預けられる業者なんてないような…。
これを責められたら、親子一緒に住むのを諦めて、施設にでも入れるしかないんじゃないかなあ…。
一歩、いい人なんだけど…、無神経というか。

攻の子供と元妻が男同士の恋愛を推奨するのもファンタジー過ぎ。愛し合ってるならいいんじゃない?って理解を示すなら分かるんだけど、「男同士のほうが向いてると思う」って、ゲイでもない自分の父親や元夫にそんなこと言う人間はいないと思う…。
洋平が可愛いだけに、もったいない。

後半の当て馬高校生は中途半端で、スピンオフ狙い?と思った。思わせぶりな言動を繰り返させて、変わった性格に設定しているわりに、結局なんだったの?と聞きたくなるような引き際で。

どうでもいいけど、上下階に住んでて隣人なの?って何度も引っかかった。
海野幸 二見書房 2013/09

私の趣味に合わない作家さんだけど、お借りしたので。

ネタバレ
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今回はなかなか好みにも合っていて、面白かった。
とくに課長の倹約ぶりは結構共感できるものが(笑)
お金使うことに罪悪感はないけど、無駄遣いしちゃったなあって後悔と反省をすることは多いし…。
課長が倹約家…というかケチになってしまった理由が切ないから、ちょっとずつ生活に潤いを持てるようになってきて安心した。

ただ、面白いは面白いんだけど、やっぱり海野作品にはどこか冷たさと…刺々しさも感じてしまう…。
とくに王子の「実験です」発言は、なんか人として信用できないものまで感じてしまった。
あと、王子の姉たち…。海野さんはどうしてこうも強烈な性格の姉が好きなんだろう。こういう女性には魅力を感じないどころか、性格の悪さを感じてしまう。出てくると、またか…とうんざりする。

課長がうっかりゲイだと告白してしまう場面と、無断で日記を読んでしまう場面は、そんなキャラだっけ?と不自然さを感じた。

プラネタリウムを買う時、4万のじゃなく1万のを選んだあたり、課長らしくて笑えた。
きっと、このプラネタリウムをつけてのエッチあるはず!という予想は外れた…。
綾ちはる 心交社 2013/11

ネタバレ
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自分の幻覚だと分かっている相手と同居する主人公。なんか痛い設定だった。
幻覚の元ネタ?である同級生に突然押しかけてこられて、容姿も性格も昔と違っている上に、過去にこっぴどく振られた(と誤解してる)のに、同居を拒まないのが理解できない。
あまり攻が好きになれなかった。虚勢を張るのはいいが、相手の都合も考えずに家に居座り、置いてもらっているという感謝も示さずに、自分の生活ペースを家主に押し付けるとか…最悪。
別に、何が何でも俺様タイプが苦手というわけじゃないんだけど、両思いになってからも、この攻には魅力を感じなかった。
イラストが好きじゃないのも大きいかも。

逆に幻の彼がわりと好印象で、攻がこのまま育ってたら、いい話だったかもなあ…とか思った。
幻があっさり消えちゃうのは、肩透かしだった。

前作同様、オチにガッカリ。すれ違った原因がそれ?!
…いくら動揺してても、目の前で過呼吸になってりゃ気付くような。無理がありすぎる。

義母と実父との関係も簡単に片付いてしまって、都合がよすぎるように感じてしまい、なんだかなあと。

いろいろ書いたけど、話とキャラが好みなら気にならないようなことばかりだと思う。
つまり、私の趣味に合ってなかっただけ。
綾ちはる 心交社 2013/08

知らない作家さんだと思ったら、これがデビュー作だそうで。

ネタバレ
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表題作のほうは、人の生死という重たいテーマのわりに書き方が軽いというか、物足りない感じだった。
切ないといえば、切ない。でも、人間の生死が関わってるにしては、薄っぺらい。
「人生のやり直し」話では、どうやって悲劇を回避してハッピーエンドに持っていくかもポイントだと思うんだけど、…意外というより、そんな解決法か…とガッカリしてしまった。
それで生き返るなら、早死にする人間なんてほとんどいないだろうな~。
正直、つまらないオチだった。

「1年後にさよなら」エンドにしたほうが、心に残る作品になったと思う。
まあ、BLというジャンルでは難しいだろうし、作者さんは甘いハッピーエンドを書きたかったんだろうけど。

椿視点のほうは切なくて面白かった。…とはいえ、表題作である意味捨ててしまったはずの1年間をメインに持ってくるのは、夢オチでしかない気がして引っかかったけど。
いい話だし、面白かったけど、感動まではいかなかった。

キャラは二人ともいい子でよかった。椿のズレ方はちょっと……だった。
尾上与一 蒼竜社 2013/08

『天球儀の海』のスピンオフだけど、前作を読んでいなくても問題なし。

ネタバレ!!
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面白かった。
ラバウルね…、重苦しそう。どんだけ悲惨な話になるんだろうと覚悟して読み始めたけど、読みづらさはなかった。
戦争の悲惨さはきちんと語られてるけど、生々しさはなく、かといって美化もせず。BLとしていいバランスだったと思う。
正直、BLでここまできっちり戦闘機のこととか描写されているとは思わなかった。もうちょっとこう雰囲気で終わらせるのかな、と。かといって、専門的すぎて読みづらいってこともなく。
まあ、期待していた以上に読み応えがあった。

戦闘の合間に派手な喧嘩をしたり、わりとアクティブなんだけど、ストーリーそのものは、ずっと静かな雰囲気だった。落ち着いた六郎の視点だからかもしれない。
敵機に囲まれていても、基地の中で仲間と過ごしていても、ずっと二人きりのような感じだった。

キャラもいい。一途で包容力がある六郎もよかったし、恒の強くて真っ直ぐで飛行機バカなところもよかった。

恒はもっと粘るのかな~と思ってたら、意外にあっさり落ちた感じ。ただ…、そのあっさり感さえも生き急いでいるような気にさせられて、暗い予感がしてしまったけど。
戦局が決定的になった頃から、息苦しい雰囲気が続くが、二人の結びつき(恋愛+友情)が美しくて、生きさせてあげたいなあと思った。六郎の最後の決断が素晴らしくて、私も撃墜された(笑)

花火の続編が、短いながら感動的。涙をこぼしたんじゃなくて、号泣したってところから、万感の思いが伝わってきた。

『天球儀の海』は上手い、面白いと思いながらも、個人的にはあまり心に刺さらなかったけど、こちらはとても心に残る作品だった。
…ただ、本文途中の漫画はいりません。せっかく美しい場面なのに、どうして邪魔をするのか。文章もきれいだったが、漫画が挟まっているために集中が途切れて、印象が薄まってしまった。ほんと、興ざめした~。
たとえば、映画やドラマの中で、いきなり同じ場面をリピートされたら、どれだけ素晴らしい場面でも「は?」って思わないだろうか。小説も漫画もストーリーだから、リピートしちゃダメ!

イラストもよかっただけに、もったいない。せめて巻末に入れてほしかった。

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