おのにしこぐさ アスキー・メディアワークス 2012/11

寡作な作家さん。なんと6年ぶりの新刊だったそうで。
ディアプラスのデビュー作を読んだことあるんだけど、さっぱり内容を覚えていなかった。
「なんか大学生の地味な話」としか覚えていなくて、手元に本が残ってないから密林のレビューを見て話を思い出そうとしてみたけど、まったく思い出せない…。
私の記憶力は問題が有り余ってるけど、ここまで思い出せないのも珍しい。

…今度は印象的なシーンがあったりするかな?と読み始めた。

ネタバレ
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あー、これも記憶できる自信がないや。
インパクト薄い系かも。

テンポが悪くて読みづらかった。とくに最初のほうが冗長。なぜこれだけしか展開がないのに、このページ数を割くの??と読み進めるのをためらってしまった。
主人公が酔っ払う、攻がいじけて距離を置く、という以外には何も起きない話なのに、この長さはきつい…。

攻は世話焼きでいい奴だけど、襲ったことだけはきちんと謝ろうよ。相手を鈍感だと責める前に、気持ちを知ってもらう努力しようよ。
受のほうは、友達続けるのは無理って言われてるのに、どうして攻に対する自分の気持ちと真剣に向き合わないんだろう。放置する期間が長すぎて、なんだかなあ。

二人が話し合うと、そこでENDマークがついちゃうのは分かるんだけど、最初から最後まで「とりあえず話し合えば?」としか思えなかった……。
安西リカ 新書館 2013/07

知らないな作家さんだな~と思ってたら、これがデビュー作だそうで。
…雑誌を買わなくなっちゃったから、新人さんを全然知らない。

ネタバレ
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キャラが二人ともよかったし、優しい雰囲気がよかった。
けど、両思いになるまでの過程が簡単すぎて、物足りなかった。
こんな早くにまとまっちゃって、この後はどうするの、何があるの?と思ったら、とくに何もなかった。
日常系の話は好きだし、徐々に二人の距離が縮まっていく話運びはよかったんだけど、「雨降らずに地固まる」という感じ。一目惚れしました→告白しました→プロポーズしました、という道程があまりに平坦すぎるというか。
もうちょっと仕事の話を多くするとかじゃないと、ちょっと辛い。

あと、真二を悪く言われた和泉が真一に店できつく言い返す場面、最初はいいな~と思ったんだけど、さりげなく庇うぐらいのほうが格好よかったかも。
兄弟仲がいいから意地悪を言ってるだけなのに、(いくら恋人でも)他人がマジギレはちょっと違う……。

文章読みやすいし、地味で丁寧で優しい。とってもレーベルに合った作風だった。
ディアプラスって、ブレないな……。
次の作品に期待したい。
オハル 大誠社 2011/05

『テミス~』が面白かったので、苦手そうな話だけど読んでみた。

ネタバレ
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あらすじの最初の「暴行された過去」という文字だけ読んで買った。
痛い系は読みたくないけど、まあ、過去の出来事だし、大丈夫でしょ!と思っていたら…わりとリアルタイム描写だった。
犯人との出会い(一目惚れらしい)から、拉致監禁されて、刺青彫られながら暴行されるところまでで、心が折れそうになった。
こんな猟奇攻はイヤだ!!
と心の中で叫んだが、…それは私の勘違いで犯人は攻ではなかった。
よかった……。ものすごく怖かった……。

それはともかくとして、突っ込みどころの多い話で、ちょっと誉めようかと思っていたのだが、誉めるところまで感想を書く気力が続かなかった。

まず、文章は視点の切替がはっきりしなくて読みづらい。主人公の視点が長いから一視点なのかと思ったら、途中で攻の視点に変わり、ランダムに交替を繰り返して、犯人の視点まで出てくる。
「とりあえず、お前は誰だ、名乗ってくれ」ってところから始まるので、ちょっと疲れる。

拉致監禁より警察対応のまずさに暗い気分になった。
…警官に対して殺意を口にしてナイフを振り回した犯人に殺人未遂の罪状がついてないのは、役立たず過ぎて税金ドロボーなんじゃ。これで殺人未遂にならないなら、殺人未遂ってなんだろうって思った。
警察署に脅迫電話をかけてきてるのに、録音もしないし。階段から突き落とされて入院してるのに、どうせ証拠がないからって捜査もしないし。
だいたい、刑事としての自覚はないんだろうか。主人公はそんな被害に遭ったら、最低限、防犯しっかりしたマンションに住もうよ。なぜ、ストーカー被害に遭ってるのに、警戒せずに生活できるのか。
刑事さんたち、スタンガンは飛び道具じゃないから、犯人と距離取ろう。なんで無防備に近づくのか、さっぱり理解できない。

ハッピーエンドのはずなのに、犯人がすぐ出てくるぞってところで終わってるから後味の悪さばかり残った。ラブの印象はほとんど残ってない…。

槙島はいいな~と思った。
いおかいつき 徳間書店 2013/02

お久しぶりの、いおかさん。
ずいぶん前に初期の頃の作品を読んで、あんまり趣味に合わないな~と思い、その後手に取ることがなかった。
今回は小山田さんの表紙イラストに引かれ、久しぶりに試してみることに。


ネタバレ
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面白かった。
いおか作品からは好みの問題で離れていたけど、これはストーリーもキャラも趣味に合う。続きが出れば、買うつもり。
ただ、ものすごく引っかかるのが、あとがきの「難産でした」という言葉。作家本人が「今回は調子が悪かった」と申告してる作品って、大抵は作品の出来自体も悪いことが多い。ということは、調子が上がってくると、私の好みから外れちゃいそうだな~と。

タイトルから主人公が探偵事務所を押し付けられ、仲間の手を借りながら、苦労して事件を解決する話を想像していたので、最後に探偵見習いになるのは意外だった。

クールで情緒がちょっと欠落しちゃってるような祐介のキャラがよかった。感じの悪いところもあるけど、仕事に対して真面目だし、根は素直なんだな~と分かるから好感が持てた。
石堂と言い合いしてるときがとく楽しいだけに、恋愛面で流されてばかりなのがつまらなく感じた。

自分を捨てた父親と関わりたくないと思うのは自然な感情なのに、直情型の石堂だけじゃなく富野まで理解を示さないのは、納得できない。認知もされていなかったのなら遺産の問題もないし、普通は「関係ありません」の一言で済ませるような。祐介がクールなんじゃなくて、「死んだからって、許せない」と意地になるのが人情ではないかと思う。

石堂は単体だと偉そうで嫌だけど、祐介&富野にやり込められてると、偉そうな態度も可愛く感じる。祐介の鈍さに困っているところも笑えた。

横領の濡れ衣を着せられそうになった件は、ありえそうだな~と思った。

謝罪の手紙も出さない父親は駄目な人だった…。「自分には父親の資格がない」と言って責任を放棄できるんだから、本当に父親になる資格がない人間だと思う。他の人にとって、いい人間だったとしても、父親としては最低だよな~。
過去を探ることで、父親が少しは名誉挽回できる話かと思っていたら、母親もかなり悪かった、という事実が出てきただけで、全然いい話になっていないところがもったいない。お涙頂戴の話でもいいから、ここは後味よくしておけばいいのに、と思った。

と色々書いたものの、かなり楽しんで読んだ。
話は本当に始まったばかりという感じだし、続きが出ますように。
尾上与一 蒼竜社 2012/10

この作者さん読むのは、これが2冊目。
時代物は大正~昭和初期(戦前)しか受け付けないわっていう趣味なんで、戦時下の話は重苦しくてキツイな~と思いながら読み始めた。
当然自分で買ったものではなく、借り物。

ネタバレ
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読み応えがあって面白かった。間違いなく力作で佳作。
当時のことをとってもよく調べて、時代を理解しようと努力なさってるのが伝わってくる。
戦時中なのにきれいすぎる感もあるけど、登場人物のものの考え方とか台詞に時代を感じて、上手いと思った。
憧れの人の身代わりに特攻に志願するという特殊な状況下の人間の心情も丁寧に、共感できるように描いていた。幼い頃からの初恋のために命を懸けるという設定に無理を感じさせない(現代人でも納得できる)だけでも、すごいことだと思う。

希(主人公)は資紀(攻)の冷たい仕打ちに耐える、いわゆる「健気受」なんだけど、だんだん気持ちが冷めていきそうになり、「慕う気持ちが薄れる前に、早く特攻に行きたい」と思うようになる。真面目な軍人である資紀が家の事情で特攻に行けないのは耐え難いことだろうと理解を示しながらも、理不尽は理不尽と感じるところが、感情移入しやすかった。
…ただ感情が鈍いだけなんじゃないの?というような耐え方ではなく、冷静に考えた上で耐えることを選んで、自分の生き方を貫こうとするところがよかった。

資紀の凶行には、ここまでやる必要がある?と思った。特攻を静かに受け入れている主人公にとっては、特攻に行かせてやることのほうが幸せじゃないのか、と思ったから。
ただ、資紀の気持ちが分かってくると、「ああ、そういう時代なんだな」と納得できる。彼の取った方法が正しいかどうかは分からないし、当時の倫理観ではまずいだろうという気もするが、生を選択することを否定できない。
というか、特攻で死んだほうが幸せだろうと思ってしまった自分に少し驚いた…。

見えなかったインクの星が浮かび上がってくるとか、金平糖の話とか、素敵なエピソードも多い。
新多や光子さんもいいキャラだったな~。
この作品に感動して「特別な1冊」として何度も読み返す人も少なくないだろうと思う。
こういう骨太というか、ストーリーがしっかりしたBLが増えるといいな~。
素晴らしい作品だと思ったし、「ちょっと設定は重たいけど、試してみて」って人に薦めたくなった。


蛇足。
ここまで絶賛しておいてなんだけど、私個人としては感動までいかなかった。
泣ける話なんだろうけど、とくに泣けなかったし、ラストは少し引っ張っているように感じた。なんていうか、凄い設定とエピソードのわりには淡々としていて、いまいち心に響かなかったというか。
ここらへんが傑作とは書かずに、佳作と誉めた理由かもしれない。
これは個人的な感覚の問題で、どーでもいいといえばどーでもいいんだけど、あくまで自分の感想として書いているブログなので、感じたことも記録しておこうかと。

彼岸の赤

2013年2月8日 BL作家あ行
尾上与一 ムービック 2012/03

初めて読む作家さん。

ネタバレ
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文章は上手いけど、微妙な作風。
まず、二人の出会い。主人公(攻)が屋上にいると、自殺しようとしていると勘違いされ、自殺を止めようとした僧侶の恋慈(受)に逆に突き落とされてしまうというもの。
このドタバタ劇と、落ちた直後に坊さんと一緒にいたために救命隊員に死んだと勘違いされる件は、ギャグなのか、なんなのか。
このまま主人公が転落死していたら、恋慈は人を殺しておきながら「自殺者を止めようとしたけど、力及ばず助けられなかった」と勘違いしたままだったんだろうか…。
もうビルから落ちた時点で笑えるネタではなく、書き方もシリアスなのかギャグなのか分からず…。

とにかく微妙。
これは作品全体の印象でもあった。
ムショ帰りの元ヤクザ攻とか心中して一人だけ生き残った受とか、設定自体がやたら重苦しくて濃いわりに、ほぼ病院と寺だけという閉じられた舞台の中でぼんやりした日常話。

恋慈の異様なネガティブさには最後まで共感も魅力も感じなかった。
…しかも、ネガティブが繰り返し強調されるせいか、話が進んでいる感じが全然しなくて読みづらかった。

話の終盤に、恋慈の心中相手が、ただ心中したいがために相手を物色していて、恋慈に目をつけたと分かるが、ここまで常軌を逸した人物像にしなくてもいいだろうに…と思った。話のスパイスにしてるんだろうけど、恋慈が相手の本音を知っていたことで、変な風に相殺されてしまっていた。
カレーの匂いを香水で消そうとするみたいな?
なんていえばいいのかな。
「愛されていないと分かっていながらも、自分は好きだから心中した」とか、あるいは「愛し合っていたけど、心中という愚かな選択をしてしまった」とか、単に「寂しい二人が出会って、心中してしまった」とか。
そういう普通の話じゃ駄目だったのかな。
「心中で片方だけ生き残る」というだけで、テーマとしてはもう十分すぎるほど重苦しくて、読んでるこっちはお腹いっぱいという感じだから、あとはもう普通に書いたほうが心に残ったと思う。盛り込みすぎというか。

幼馴染とニワトリ(なんとなくセットになってる)がよかったなあ。
海野幸 二見書房 2012/07

わりと相性の悪い海野さん。

ネタバレ
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幼馴染、同級生、お仕事ものときて、設定はかなり好み。
前半はテンポもいいし、これは久しぶりに海野さんで(個人的に)当たりを引いたかな~と思った。
ただ、後半でテンポが落ちてから読みづらくなり、思いが通じ合ってからのシーンはかなり読むのに時間がかかったというか、長く感じた。
で、読み終わって、やっぱり海野作品は趣味に合わないかも~と思った。

意地を張り合ってる二人(攻も結局、5年も放置してたってことだし)が、お菓子の共同開発で再接近して…というストーリーは面白かった。
ただ、引っかかることが多すぎた。
まず、たった5年でそんな器用に嫌なことだけ、きれいさっぱりと忘れられる人っていないんじゃないかな、ということ。
美形設定なのに受がモテないのも不自然だし、恋を自覚してからの受の動揺ぶりはついていけないものが…。人から頼まれている仕事を放り出すほど動揺するのって、いくらなんでも変では。
それと、海野さんのお仕事ものは仕事描写自体は詳しいんだけど、どうにも本人の情熱とか仕事へのプライドなんかを感じづらくて、いつも残念な感じ。
工場見学をしたから商品の製造過程は分かったけど、製造者の熱意までは伝わってきませんでした、というような感覚。
共同開発のはずが「俺の菓子を食え」になっちゃてる上に、受が菓子作りに情熱を見せるのはこのときだけというのも…。これで菓子の開発に失敗して受が失恋するのは自業自得だけど、そんな身勝手な理由で菓子ができなかったら、商店街の人は迷惑したのでは…。責任感ってものはないのか、と呆れた。

うーん、今度こそ趣味に合うと思ったのになあ。
オハル 大誠社 2012/11

初めて読む作家さん。
弁護士ものということだけ確認して読んでみた。

ネタバレ
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面白かった。
仕事も恋愛も適度に熱く、テンポよくという感じ。
同じ事務所にいながら、雇用関係もなく、協力して仕事をするわけでもないという関係が新鮮だった。
藤巻の仕事できるけどヘタレなところと、普段は真面目でクールなのに思い込んだら一直線(?)、藤巻のところに押しかけていく白石のキャラもよかった。元彼との間で揺れているのも、逆にそれだけ真剣に好きだったんだろうなあと好感が持てた。
知らない作家さんだから、痛かったらイヤだな~とか多少は心配してたんだけど、重たくならず、かといってお花畑でもなく、ちょうどよくリアルでよかった。
せっかく両思いになったんだし、もうちょっと二人のやり取りが楽しみたいので、続き希望~。
五百香ノエル オークラ出版 1997/2

読んだのはノベルスだけど、画像が出なかったので文庫(2巻)のほうを。
ちなみにノベルス版のほうはイラストレーターが違う。

お借りした五百香さん。
自分で読んだのは趣味に合わなかったけど、お借りした初期作品は2作品ともすごく趣味に合った。

昔の作品だけあってさすがに目新しさもないし、多少の時代色はあるけど、その代わり最近の作品にはない読み応えがある。王道設定をいっぱい詰め込みながらも、王道だけに終わらない個性もあって、王道を見事に描き切っている。
…なんて大仰な誉め方をしてしまったが、気楽に楽しめる作品。


ネタバレ
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面白かった。
最初、一平が勝負を持ちかけるあたりは、アホな子だなーと思っていたんだけど、面倒見がよくて、いい子。一平のよさが分かってくると、話も面白くなる。

BLによくある「ボロアパートもの」は住人が男子学生ばっかりという設定にしていることが多い。住人が「一癖も二癖もある美男揃い」とかいう設定だと、設定だけでお腹いっぱいになるけど、この作品は老若男女揃っていて、賑やかな雰囲気がよかった。訳ありだし癖はあるけど、嫌な奴はいないというところもいい。
テンポもいいわりに、店子それぞれの事情や心情なんかも丁寧に拾っていて、恋愛以外の面でも楽しめる。

恋愛面に関しても、少しずつ惹かれあっていく過程がよかった。明るく軽い一平の意外な過去を知り、恋を自覚してからの明哉の猪突猛進ぶり(?)もよかった。
明哉のお父さんも楽しいキャラだった。
これだけ木犀荘を愛しちゃってる一平は、引っ越してくるのかなーと思っていたけど、最後まで通い婚だったな(笑)
英田サキ 白泉社 2005/12

この表紙の人体のおかしさに、まず戸惑う。
まあいいや。カバーすれば見えないし。

あらすじは、帯に詳しく書いてあります(笑)

ネタバレ
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最初はイケメンしか住んでない下宿って、なんてコテコテの設定…と若干引いたけど(キャラ紹介だけでお腹いっぱい)、読みやすいのでだんだん気にならなくなった。
そういえば、英田さんはお約束な設定でしか書かないし、いつもコテコテだよな!と妙に納得したし。
しかし、出てくる女性がみんな嫌な人で(子供と老人以外…)、このままではイケメンが全員ゲイになるな~と思った。

重たい過去持ち主人公なのに、わりと軽い話。なんだろう…悪い男や悪い女に引っかかって、悪い取引先の社長に出会ってしまっただけなんだけど、あまりの植物的、受動的なので、あまりかわいそうな感じがしなかった。左遷されたのはひどい話だが、元彼と元妻に関しては、あなたにも責任があるんじゃない?と思わず言いたくなるぐらい、無為無策無努力っぷり、コミュニケーション放棄、自分で何もしない人だなと。
まあ最大の不幸(いっぱい不幸がある)に関しては、かわいそう過ぎて涙が出そうだったが。
攻のほうは巻き込まれ型?の不運で、かなり同情した。

まあそんな二人が両思いになって幸せになるなら、よかったね、と思うけど。
英田作品はどーしていつも、恋愛>仕事なんだろう。
いや、逆だとBLにならないのかもしれないけど、別にいつもいつも「私と仕事、どっちが大事なの?」な状況を作らんでもいいのに、と思ってしまう。

…面白かったです。(なぜこんな感想になったのか分からない)
絢谷りつこ 新書館 2012/06

文楽というのが面白そうで読んでみた。


ネタバレ
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読みやすかった。
表題作はだらだらした印象で読みづらかったけど、仕事で壁にぶつかる続編は読み応えがあってよかった。こちらのほうが、素直な主人公の魅力も分かりやすかった気がする。
和服でデートっていうのもいいなあ。といっても、普段着だけど(笑)

話としては大事件が起こるわけでもなく、ちょっと地味だけど、穏やかで落ち着いた雰囲気がよかった。変にガチャガチャしてなくて、大人向けな作風。
最初の頃は、練習や師匠とのやり取りの雰囲気が、いつの時代の話?というぐらい独特で、情緒を感じた。
今城けい 二見書房 2012/05

タイトル買い。
というわけで、あらすじも設定も知らずに買った。

ネタバレ
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最初の仕事部分が面白かった。
ただ、タイトルは…ちょっと違うかな。
肝心の会社勤めの部分が「リアル」と感じない。専門バカでコミュニケーション能力が極端に低い瀬戸のような会社員は実在するかもしれないけど、特殊すぎて「キャラ」としか思えなかった。業界全体から一目置かれている優秀な社員って設定が、すでに特殊だし。「リアル御曹司ライフ」が庶民には想像つかないように、無能会社員の私には、瀬戸の有能さが「これはリアルなの?」っていうレベルで。
タイトル見て勝手に地に足のついたリーマンものを想像していただけに、タイトルがなあ…という感想になってしまう。

瀬戸の元恋人の言動と、それに対する瀬戸の反応もリアリティがあるとは思えず、瀬戸の気持は分からなくもないけど、作品に期待してた方向性から直角方向にずれちゃった感じ。

ストーリーは同居するあたりまでは、瀬戸の性格が面白くて楽しめるけど、だんだんテンポが悪くなった。益原が怒り出すタイミングもよく分からない…。
え、瀬戸が悪いの? だって恋人の振りするって前提の付き合いだったよね??
わけも分からず謝って、落ち込んでいる瀬戸がかわいそうになってしまった。
…益原の気持ちも分かるんで、ひどい!とは思わなかったんだけど。

受攻は益原が瀬戸を抱いているようにしか思えないから、「決定的な行為以外は主人公の瀬戸が受」と思って読んだ(回りくどく表現してみた)。
リバも攻×攻も好きだけど、瀬戸は性格的に受としか思えない。頼りなくてもいいし、体格が受より細くてもいい。だけど、心意気が攻じゃないのよ!
…思わず、自分の「攻基準」を再確認してしまう作品だった。
瀬戸はわたくし個人の攻基準をクリアできていないので、最後まで微妙な気分だった。

off you go

2012年3月31日 BL作家あ行
一穂ミチ 幻冬舎 2012/03

「ファントムレター」と一緒にどうですか?と、ネット書店で「おすすめ」されたから、なんとなく読んでみた。

ネタバレ
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スピンオフだったのか…。前作を読んでいなくてもまったく困らず、かつ前作のカップルが悪目立ちなんていうこともなく、とっても親切設計なスピンオフだった。逆に、香港の恋人の話をこれからスピンオフで書くのかな?とは思ったけど。
でも、買ってからスピンオフだって気付くと、なんとなくガッカリするんだよなあ。うーん。

面白いし、書き方が丁寧でよかった。突然、回想場面になるのが読みづらかったけど、まあ過去を書いていかないことには話を進めようもないし、一つひとつのエピソードに読み応えがあるから、それほど気にならなかった。
もしかして、あえて分かりづらくしたのかな?
時系列に順序立てて語るより、こうやってゴチャゴチャ現在のエピソードに混ざって「思い出していく」ほうが、主人公の心理を上手く語れる気がする。…いや、技術的なことを言いたかったのではなく、雰囲気的にこの書き方がよさそうって意味で。

3人それぞれの性格と思いが丁寧に描写されていて、ゆっくり楽しめた。ストーリーの展開は気にならなくて、ちょっとずつ関係性の裏側に迫っていくところがいいなあと。
3人のうち誰かが踏み出さないと終わらない関係を、20年も変われずに続けてしまったのは、リアルな気がする。この3人はちょっと事情が複雑すぎるけど、なんとなく踏み出せないまま、一生を終えてしまうことってあるんじゃないかな。

全体にニアっぽい雰囲気で、ニアのまま終わったほうが、逆に色っぽくなったような気がした…。やることやっててもエロくないというか。

密が良時の元妻を罵倒するシーンは、お前が言うか?としか思えなかった。本命(妻の兄…)がいて、セックスレスで、長年浮気を続けている自分の行状を全部棚上げして他人を罵れる神経には引いた。人間性、疑うよ。
…フラットな話の中で大事な転換点のはずなのに、まったく密に感情移入できなくて残念。密のキャラが嫌いじゃないだけに。
しっかし、本当に結婚してる意味ない夫婦だったなあ。普段そばにいなくて(海外赴任が長いから)、辛いときもそばにいないんじゃ(入院しても「心配すぎて辛い」とかいう甘えた理由で来ない、妻の両親の葬儀も欠席)、夫なんて要らないだろうなあ。
英田サキ 徳間書店 2009/11

お久し振りの英田作品。
表紙とあらすじから、年上攻かと思ってたけど、年下(元教え子)攻だった。

ネタバレ
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地味目で楽しめた。派手な作品より、キャラの言動が自然で感情移入しやすい。
あとがきに「地味な作品は読者のニーズに応えてない」と書いてあって苦笑したけど。イバラ趣味を指摘された気分。

それはそうと、英田さんの一人称はくどいな~。はっきりいって読みづらい。
一人称の話の続編が三人称っていうのも、読みづらい。統一して欲しい。

攻の一人称のほうは、攻の身勝手さと狡さにちょっと疲れた。婚約者も先生もかわいそう。
人間的な弱さより、狡さが目立ってしまっていて…。婚約者にこっぴどく罵られるシーンをきちっと入れてくれれば、納得がいったかもしれないけど。叩かれたよって台詞だけじゃ、そんなもんですんだの?という気分にしかならなかった。
不倫の次は婚約者がいる男とは、先生の男運の悪さ、半端ないかも。

続編で先生の視点になると、なんだか棚橋(攻)がいい男に見えてきた。優しいし、粘り強いし。
うまくやっていけそうなラストでよかった。
絢谷りつこ アスキーメディアワークス 2011/03

あらすじを読んで、おバカ系コメディだと思ったんだけど。

ネタバレ
趣味の自転車旅で鎌倉へやってきた祥吾は、ゲストハウスの脱衣所で春色の香りを放つ魅力的な男性用パンツを見つける。においフェチの祥吾としては見過ごせないそのパンツをつい握りしめ、においを嗅ごうとしたところ、パンツの持ち主・真紀に見つかってしまった。しかし不思議と仲良くなり同室で泊まることになった夜、魅惑的な香りに誘われて、祥吾は真紀を押し倒してしまい…!?香りに惹かれて恋をする、本能充足ラブコメ。


コメディなんだけど、わりと落ち着いているというか、そんなにパワーがないから、笑いたくて読むなら微妙かもしれない。まあその日の気分に関係なくて読みやすいとも言える。
大好きな鎌倉が舞台だし、もともとしっとり系の作者さんだから、そういう部分が楽しかった。

で、においフェチについて(笑)
…脱衣所でパンツのにおいを嗅ぎたい!と思うまでは趣味の範疇(?)だけど、パンツを握りしめた時点で、もはや犯罪ですよ~。妄想は許されても、そこから一歩でも踏み出したら変質者なのです。
いや、許せないわ!って言いたいわけじゃなく、ヤバイ人だよね、と。
けど、そんな変態行為を見ても恋ができるというのは、実は受のほうが変態度が高いのでは?!
にしても、においフェチって、彼女に逃げられるの分かる気がするなあ。変態だ、変質者だっていうのも大問題だけど、そうじゃなくても自分のにおいを嗅がれたい人っていないと思う…。とくに1日身につけてた下着のにおいに自信?がある人は少ないだろうし、「くさいかも」っていうプレッシャーがありそう。
そーでもないのかなあ??
いや、もう夏場に電車乗ると、つくづく臭いんで。ワタクシ鼻が悪くて、花とかの、いい香り~っていうのに気付かないことが多いんだけど、夏場の体臭だけは耐えられません。鼻の悪い私でさえ気持ち悪くなるんだから、普通に鼻が機能してる?人なんて、どんだけ我慢してるんだろうとか。
においについて、考えさせられた(笑)

攻のにおいフェチぶりは、笑ってしまうというより、そんな気持ちは理解できん!としか。双方合意だから何をしても構わないけど、恋愛ものとして楽しいかどうかはよく分からない。
雨月夜道 白泉社 2010/12

新人さんらしい。
面白かった。

ネタバレ
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いつもの通り、読む前にあらすじは確かめなかった。
よくあるタイトル、編集者と小説家という、ありがちな設定。
正直、なんの期待もなく読み始めた。
数行読んで、「こんな変な奴いねーよ、またトンチキかよ、花○だからしょーがないけど」と呆れたのだが、受の小説家はもとから変人設定だった。あ、変人設定なのね、それは上手いね!と俄然身を入れて読み進めた。
とはいえ、最初は受の宇宙人ぶりについていけず、読みづらいなあと思った。でも、ぶっ飛んだ言動に慣れてくると(?)笑えてしょうがない。いや、コメディーなんだけど、この手の宇宙人ネタはラブストーリーを期待してる読者にとっては多少取っ付きづらいというか、ネタとして難しいところがあるのかも?
笑えるようになってくると、今度はこの受がわりと鋭くて、常識的なことに気付く。確かに変人なんだけど、傍若無人なわけじゃなくて、気を遣うポイントがおかしいっていうか。つまり憎めないタイプ。ただし直接的な被害がなければ(笑)
一番の被害者であるカウンセラーの悲劇には笑った~。
パワーのある変人っぷりが楽しい。
で、攻の担当編集者のほうはヤクザみたいな強面で、わりと不器用。作家の作品に惚れ込んで全力でサポートしているという、好感の持てるタイプでもある。
だから受が好きになるのも分かるし、受に告白された後の振り回されっぷりも楽しい。それに攻が変人の受を好きになっていく過程も無理がない。確かに可愛いし、確かにいい人っていうのが、ちょっとずつ見えてくる。

テンポよく話が進んでいくうちに、だんだん受の深い悩みが分かってくる。変人ゆえに好きな人から拒絶される、というもの。確かに感覚が変わってる人っていうのは、付き合いづらくはあるだろう。でも、誰だって「自分を好きなら性格変えろ」なんて言われたくないし、そう簡単に変えられない。とくにこの受の場合は、「ここが駄目」って言えるようなものじゃない。思考と感覚を丸ごと変えないと駄目かもしれない……。
このあたりにまで読むと、変人の受がいい奴に思えてくる。愛すべき変人という感じ? だから、ずっと人格全否定されて生きてきたという過去が辛く切ない。
しかも、それを「仕方のないこと」と諦めて、それなりに人生を楽しんでしまっているところが、哀しくも、強くていいなあと。
そこで攻を好きなった理由が分かる。どうやら攻の「それで先生がのびのびと創作できるのでしたら、どうか私の前ではありのままの先生でいてください」という発言がきっかけだったらしい。つまり、「ありのままで」と人格を肯定されたことが理由。
この台詞と好きになった理由は、実は冒頭の場面にしっかり書いてある。ただ、受の事情を知らないうちに読んだので、軽くさらっと流してしまって覚えていなかった。まあ私が忘れっぽいだけかもしれないけど。
そんな深い理由だったのか、と驚いたし、上手いなあと思った。さらっと書いてあるのに、改めて読み返してみると深い意味を含んでいるという台詞やシーンがある作品って、そう多くはない。いいな~と思った。

変人設定だけに、かなり癖はある。
でも、基本の視点(地の文)はきちんと普通の感覚で書かれているから共感しやすいし、読みづらくはない。文章も読みやすいと思う。ネット上でいくつか、「文章が読みづらい」という批評を見かけたが、私は読みやすいと思った。
甘さや切なさも程よく入っていて、なにより話にパワーがある。
次作も楽しみ。
海野幸 二見書房 2010/09

お仕事もの。

ネタバレ
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仕事のできるクールな受も誘い受(襲い受)も大好物という趣味なのに、穂高はあんまり好みじゃなかった。この一言に尽きる…。
そして、流され攻…にちょっとイラッとした。
二人ともわりと好きなタイプなのに、なぜだか趣味に合わないという。根本的な趣味が合わないってことかなー。
なんだか前半は色々と事件がある割りに、だれた印象で、かなり読みづらかったが、結婚式の企画が始まってからテンポがよくなって、お仕事ものとして面白くなった。
しかし、穂高が春臣に式場の雑用を押し付けたのには、か~な~り引いた。えーっと…、自社の仕事でしょ。なんで当たり前の顔で取引先の人を使うのか、意味が分からない。困ってて頼むにしても、せめて「お願いします」の一言は必要なんじゃ…。プライベートでこき使うなら「そういうキャラ」で通るかもしれないけど、仕事でしょう?? そこはきっちり線引かないと公私混同も甚だしいし、仕事上で人に何かしてもらうなら最低限のマナーは守らないと。
結果的にはいい勉強(経験)になったかもしれないけど、春臣にしてみれば別に見学するだけでもよかっただろうし。なんだかなあ。
ラストは警察での事情聴取はいいのかな~とか、仕事をお兄さんに代わってもらったお礼は言ったのかなあとか、結局まだ式の様子を聞いてないよなあ、聞きたくないのかなあとか。せっかく二人で頑張ってきたんだし(お仕事ものだし)、穂高と結婚式の成功を喜び合う場面がないのはもったいない。
…という感じに、他にも「それで、あの件はどうなったの?」と気になることがボロボロと。割愛していいことも多いけど、さらっと触れておいてくれるとすっきりしたかも。

基本ラインは面白かったのに、微妙に趣味に合わなかったなあ。

追記。愛し合ってない人たちの結婚式なんて失敗してもいいよな~と思ってしまう。ウェディングプランナーの仕事を描くなら、癖はあっても幸せなカップルを持ってきたほうが面白かったんじゃないかな~。性格が強烈な女性は、攻の姉だけでお腹いっぱいだし。
海野幸 二見書房 2010/07

最近、読んだ直後に感想を書く時間が取れない。感想はすぐに書かないと、書くパワーが半減するらしく、長い感想が書けなくなったような。

ネタバレ
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職業ものとして面白かった。ただし税理士としての仕事だけ、という条件つきで。
お仕事描写は初歩的なことばかりだけど(しっかり書かれたら面倒くさくて読めないだろうし)、雰囲気が出ていてバランスがいいなあと。
中古車販売の社員たちはみんなキャラが立っていて、彼らが変っていく様子が面白かったし、社長と税理士が惹かれあっていく過程も楽しかった。
というわけで、後半好みから外れてしまったのが残念。
うーん。続編出すのかな?というような物足りなさが残った。もう少し甘い場面が欲しかったなあ…。別に裸エプロンまでしてくれとは言わないが(笑)、あともうちょっと。
それと結局のところ、主役ふたりは父親の生き様と死に様を理解したんだろうけど、どうにも共感できなかった。税理士が不正に目をつぶると言っちゃうあたりにも、なんだか仕事への信念を感じずガッカリした…。
そしてなぜか(作風の割りに)妙に陰惨なヤクザ描写?が続いた後に、ヤクザとしてのし上がれというのも、個人的には納得がいかず…。しかも社長を慕っている社員たちも巻き込んで、不幸になりそうな道を選ぶ気持ちが理解できなかった。
良い悪いではなく、好き嫌いの問題で、どうにも……という終わり方だった。
どうでもいいが、忘年会の余興に10万って…。それは経費で落とせるの?(笑)

著者名で検索すると爆乳漫画が出てくるから目が泳ぐけど、そちらの漫画の読者さんもBLが検索に引っかかってくるのは微妙な気分だろうなあとか、ちょっと思った。
海野幸 二見書房 2009/12

自分では決して手に取らないタイトルだが、お借りしたので読んでみた。
食わず嫌いで損してるので、試す機会があってよかったなあと。いつもありがとう。


ネタバレ
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タイトルからいってエッチが長そうって思った。きっと「お勉強」と称してめくるめくエロに突入してほとんどこっちに帰ってこないで8割がエロエロしているラブコメ風味だろうと想像し(…)、読むのが面倒くさそうだな~と、いらない覚悟をしていた。…エッチシーンが長いと、途中で飽きて斜め読みしてしまうもので。
が。そっち方面に気合の入った話かと思いきや中身はエッチ控えめで、FTとしてもおとなしかった。まあ読みやすい。FTを読む面倒くささがないのは少々物足りないけど、その分取っ付きやすくはある。
しかし、ダメッ子が最後までダメッ子でしかなかったのが、つまらなかったな。別にお色気たっぷりな方面で成長しなくてもいいんだけど、人間的には(人間じゃないが)もっと成長してほしかった。
最初からダメッ子らしい卑屈さがうざかったのだが、そこらへんが変ったわけでもなく、新たな一面が見られたわけでもなく、どうにも魅力を感じかなかった。たぶん選り取り見取りなんだろうと思われるクライブが、なんでダメッ子を好きになったのか分かりづらかった。…ダメッ子は悪魔としては珍しいタイプらしいが、恋愛の相手としては人間でもよさそうな世界観なので、顔以外に何か惹かれる要素があったのかなーと考えてしまった。
キスしてくれないと言って家出して、キスしてもらうと「昔の男のほうがいいんでしょ」とか「僕なんかが」とかいうのは、本当にうっとうしい。
予想に違わず「みにくいアヒルの子は、本当は白鳥でした」というオチがついて、少し主人公に変化が現れるのかなと期待したけど、それもなく。うーん。
ただまあ、こういうダメッ子が好きだという攻と読者にとっては、主人公が変わらないほうが好ましいわけで、好みの問題って気もする。

イラストは本文と違和感があったなあ。ダメッ子は顔と体だけはいいという設定だからおかしくないのかもしれないけど、細マッチョなのがやけに気になった。メソメソウジウジするマッチョって、絵的にどうもなあ。
あと、クライブがオッサンくさく感じて、美貌の公爵って感じしなかったなあと。
英田サキ 大洋図書 2009/12

「エス」と「デコイ」を読んでるし、これも読んでみることにした。

ネタバレ
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これでシリーズ完結だそうで。個人的には、ちょうどいい長さだと思った。
英田作品の中では、これが1番好みに合った気がする。面白かった。
篠塚が孤独とは思わないし、自分で選んだ道なので、これはハッピーエンドだと思う。だから読後感も爽やかだった。
もうちょっと篠塚が江波に傾いて、それでこういう結論を出してくれたほうが話的に面白かった気がするけど、ジタバタしないのが魅力のキャラだから、このほうがいいのかな。
江波の役割が小さかったし、失恋後の心理描写も少なかった気がするので、ちょっと扱いが気の毒だなーと思ったもので。…いいのか、篠塚の話だから。
神津も面白いキャラだったなー。
世の中的には失恋で終わる恋愛物は珍しくもないが、BL的にはほとんど反則扱いのラストだった。ロミジュリ的悲恋は一部で(というかJUNEっぽい作品では?)OKなのに、両思いにならないのはNGみたいな…縛りがあると思う。
こういうのが増えてくれると面白くていいと思う。けど、人気作家の人気シリーズじゃないと出版社のGOサインが出なそう…。
「英田先生にしか書けない」って感想を見かけたが、実力的な意味じゃなく、「商業的に、英田先生クラスの人気がないと書かせてもらえない」が正解じゃないかと……。…まあ余計な憶測。

…これを読んで、やっぱり『デコイ』で気の毒だったのは篠塚だよなーと改めて思った。泰原の荷物を個人的に預っているっていう件で、ずっしりきた。

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