松雪奈々 幻冬舎 2013/06

スピンオフらしいけど、前作を読んでいなくても想像がつくので、無問題。
いいトンチキだった。

ネタバレ
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面白かった。
デカイ男にウサ耳って、なんだこのトンチキ設定(笑)と思っていたら、わりと切ない部分もあったり、たっぷり甘かったり、期待以上に満足できる作品だった。
お気楽コメディと恋愛部分のバランスがよくて、読みやすい。
最初から飛ばしてるから、とくにツッコミを入れる必要もないし、アホらしい中にも筋が一本通っている。
キャラも魅力的で、二人が惹かれ合うのも納得だし、日本に帰りたいっていう思いと恋心との葛藤がよかった。
海岸でウサギを待つ場面(×2)と、ススキの丘の場面がとくに印象的だった。
風景描写が効果的に使われる小説っていいと思う。

ところで、ウサ耳族にとってキュウリとナスは敵らしいけど、好物の間違いじゃ?(笑)
じゃあ、ニンジンはどうなの、ニンジンは? そのへん気になるわ…。

挿絵も結構好き。那須くんは美形で、ウサ耳族が惑わされるのも無理はないかも。
表紙のTシャツは、もしかして茄子色なのかな?
丸木文華 フランス書院 2009/11

本屋で見かけるから知ってはいたけど、きっと読むことはないだろうなと思っていた作家さん。
お借りしたので読んでみた。

ネタバレ
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受も攻も気持ちの流れが不自然で、共感できないというより、単に意味不明なことが多かった。そのときどきの感情は一応説明しているけど、どうしてそういう行動、選択をするのか説明不足。単に話の都合に合わせてるようにしか感じなかった。
作家である攻の作品を「いい人が出てこない、ドロドロ系。話が面白いから、登場人物に共感できなくてもいい」と説明していたから、この作品自体もそういう方向を目指してたのかもしれないけど、この作品は恋愛小説なんだし、そういう路線は無理だろうと思った…。

関係を強要された受が「ああ~ん、気持ちいい」とハートマークを飛ばしまくるので、ドロドロ系の心理描写としては物足りないは、萎えるわで……。
しかも、復讐が始まって関係を強要されると、巻き込まないために恋人と別れるんだけど、これも唐突過ぎた。恋人については「知られたくない」ぐらいしか受の気持ちが描かれていないから、恋人のことなんてどうでもいいのかと思ってた。
最初は罪悪感があるから復讐を受け入れたはずなのに、後は単なる脅迫みたいになったけど、そこにあるはずの気持ちの揺れとか葛藤も描写が不足してたかな。
行間を読み取るというよりは、虫食い部分を勝手な想像で補うような作業を強いられる作品だった。

共感もできなければ、魅力もないキャラで、話も復讐がテーマ。これは読むのキツイと思ったけど、復讐劇をどういう着地点に持っていくんだろうという興味だけで最後まで読んだ。
結果は、受は自殺する前に攻を殺しておきたいと思うほど追い詰められ、攻は騙して婚約までしていた受の妹に刺された後、なんとなく和解して終わり。
受は「これで対等の関係になった」と言っていたが、受の心境がどうして変わったのかさっぱり読み取れなくて、これまた意味不明。
まあ、付き合っていた恋人のことは、本当にどうでもよかったということは分かった。元彼?はいい人だから、なんだか気の毒だった。
妹は…最後はいい人だったけど、人を刺すようなヒステリックなところが異常な母親そっくりで、かなり怖かった。…婚約者は責めず、可愛がってくれてる兄を一方的に悪者に仕立て上げてたせいか、巻き込まれた被害者なのにあまり同情もできなかった。

ハッピーエンドにしたことで後味はよくなったんだろうけど、前半が大仰だったわりに、中途半端な結末だった。
いっそのこと、互いへの執着心をもっと前面に出してから、バッドエンドにしたほうが面白かったと思う。
李丘那岐 心交社 2011/10

どこかで見たことのあるような設定。でも、同じ設定の作品を思い出そうとしても、何も思い浮かばなかった。


ネタバレ
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分厚い眼鏡と長過ぎる前髪で美貌を隠しているという、よくあるような、すでに絶滅したような、そんな設定の攻。
「もさ男」と呼ばれる彼と、ゲイバーで超イケメンの遊び人として有名な彼が同一人物であることは、最初から読者に隠されていないので(はっきり書いてはいないけど、丸分かり)、いつどうやってバレるのか、というところがポイントだった。
それにしても、私は人の顔を覚えるの苦手だけど、好きな男の顔ぐらいはさすがに見分けつきます。目の部分が見えないだけで人の顔の見分けがつかないなら、濃いサングラスしたら分からないってことじゃ?? …パパが眼鏡かけると(パパだって分からなくて)泣き出す赤ん坊のようだ。
花ちゃん、大丈夫か…。

とにかく、受の花宮が可愛かった~。とくに一生懸命なところが。個人的に、教師は適当にやっちゃいけない職業だと思ってるんで、熱血なぐらいがちょうどいい。
イラストが中性的なのが残念。もうちょっと男らしい顔がよかったかなあ。

恋愛菌には笑ったけど、菌トークはもうちょっと控え目がいい。ちょーっとくどかったかな。どうせなら序盤でしつこくやって笑いを取ればよかったのに。
あと、別に敬語フェチじゃないけど、鐘崎に関しては最後まで敬語がよかった。タメ語で話す攻になんとなくガッカリした。

面白いけど、ちょっとずつツボに合わない作品だった。
呉のスピンオフが読みたい。
李丘那岐 大洋図書 2012/03

半分は表紙買いだったんだけど、佐々木さんのイラストが崩れててびっくり。

ネタバレ
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攻が自分勝手すぎて、魅力が分からなかった。
高校時代のことって結局のところ攻と女性の間の問題なのに、巻き込まれた受だけが罪悪感を持ってる…。攻は受の罪悪感を分かっていながら「抱きたいから」という理由で真実を明かさない…。再会後も神社の土地買収問題でボロボロになっている受をいつでも助けられる状態なのに、「受が頼ってくるまでは」と放置し、挙句の果てに境内でレイプ。人間として最低なんじゃ…。
真面目そうな受も恋愛至上主義で…もう少し職業意識を持ってもいいんじゃないかな。少なくとも私はこんな神社には参拝したくない。
李丘那岐 リブレ出版 2008/07

麻生さんのイラストに惹かれて手に取ってみた。

ネタバレ
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面白かった。
主人公の虎太郎のまっすぐさと不器用さのバランスもいいし、久竜の落ち着いたところも、いかにも剣道やってそうな雰囲気で格好いい。ヤキモチやきなところもいいし。

岡部は…このラストしかありえないけど、なーんか色気があっていいキャラだった。…それに刑事として犯人を逮捕したところで(遺族にしてみれば殺人と変わらないのに)びっくりするぐらい軽い罪にしかならないと思うから、同情も。

重いテーマのわりに読後感がいいのは、虎太郎のまわりがいい人ばかりだからかも。交番の先輩も好きだし、当て馬の年下くんもいい感じだった。

虎太郎が罪悪感を持ってしまったことに対して「悩みすぎ」って感想を見かけたけど、それは悩むでしょう……。
客観的にみれば、主人公は何も悪くない。でも、自分の身に置き換えて考えたら、人が死んでるのに「別に何の責任もないから」と割り切るのは難しいって分かると思うんだけど。
…まあ、人事だし、エンタメ小説だし、いちいち自分の身に置き換えたりしないのかな。
感じ方は人それぞれとはいえ…引っかかった。
みとう鈴梨 幻冬舎 2013/05

これは作家買い。1冊目(デビュー作?)がよかったので、2冊目も読んでみようと思って。
で、同じ日に北上レンさんのイラストに惹かれて、『妄愛ショコラホリック』を買った。
作家買いとイラスト買いで、あらすじどころか、ろくにタイトルも見ていなかったので、まさかのショコラ繋がりだった。

暑くなってきて、チョコって気分じゃないんだけどな~とか思いつつ、2冊続けて読んで、コンビニにチョコを買いに走りました…。


ネタバレ
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2冊のうち、こっちのほうが読み応えがあったかな。

面白かった。文章も読みやすいし、キャラも個性があってよかった。
普通なら痛くなりそうな展開なのに、主人公は何の痛手も負わずに、さらーっと流れていく。そこらへんを物足りないと思うか、読みやすいと思うかで評価が分かれそう。
九条が恋愛を自覚する前から、好きなんだなーというのが伝わってくるところがよかった。

3冊目も楽しみ。
李丘那岐 幻冬舎 2012/02

この作家さんの作品を読むのは2冊目だったかな?


ネタバレ
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読み終わった感想は可もなく不可もなく、なんだけど、感想書こうとすると、ダメ出ししかないなあ。

受がぼんやりしすぎてて、ついていけなかった。攻との最悪な馴れ初め(ムリヤリ)でも、まだぼんやりし続けているので、こんな常人とかけ離れた感覚の主人公って…とあきれた。
革職人ゆえに革フェチだったり、極度のブラコンで俳優の兄のポスターを部屋に何枚も飾っていたり、最悪の出会いも関わらず、あっさりと攻を好きになったり。
どこでどのように共感すればいいのか、よく分からなかった。
が、他の方の感想を拝読するとわりと好意的だったので、個人的に合わなかっただけらしい。

ちょっと文章が雑なのも気になった、というか読みづらかった。急に台詞が入って誰の台詞なのか分からないとか、描写が足りなくてイマイチ状況が分かりづらいとか。唐突な感じが、文章にアクセントをつける効果にもなっていないので、雑にしか感じない。

それはともかく、革職人としての話や兄との関係は面白かったし、途中からテンポが上がって読みやすくなった。
私の好みには合わなかったけど、多くの人は満足するんじゃないかと思う。
水壬楓子 海王社 2013/2

表紙イラストの傘とスーツの色合いのバランスが好きで買ってみた本。

でも、なんで昔の作品を別の出版社で文庫化するんだろう。

ネタバレ
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さくさくと読めた。面白いといえば、面白い。ストーリーにとくに目新しいところはないけど、パターン化された作品の強みで、とにかく読みやすい。好みじゃなくても、すべてが収まるべきところに収まっていく気持ちよさみたいなものだけで結構読めてしまうというか。

最初は志水、駄目な子!と思ったけど、続編の泉視点では泉がウジウジしているせいか、志水が頼もしく見えた。
続編は雨男ネタが全然なかったな~。そもそも、このネタで長編は無理だろうから、続編もキツかったんだろうな…。

それにしても、職場でペアリングまでしておいて、いまさら旅行を誤魔化す必要があるのか(笑)
…と、のんびり読み終わってから、驚いた。『ストレイリング』はこれのスピンオフなのか!
好きな作品なのに、ちっとも気付かなかった。『ストレイリング』再読後に『雨男~』の二人の登場シーンを拾い読みしようかな。

作品と関係ないけど。
タイトル、「晴れ男の憂鬱」を見たとき、大変どうでもいいことだが我が家の晴れ女のことを思い出した。我が家では旅行やイベントで雨が降ると、「サボってるでしょ!」と晴れ女を責める。
車の中で「晴れさせろ!」と言っていると、目的地につく頃には晴れる。晴れ女がホテルに入ると、待っていたように土砂降りに。
…と、このように人から利用される(脅される?)ので、全国の晴れ女や晴れ男はわりと憂鬱なんじゃないかな。
みとう鈴梨 幻冬舎 2013/02

初めて読む作家さん。
初文庫ということだから、新人さんなのかな。

ネタバレ
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受が魅力的だった。「受」としてじゃなく、男性として魅力があるところが好み。余裕があって、ちょっと軽くて、基本優しい。
私はタチで遊んでいるという設定が好きなんだけど、受に受らしさを求める読者のほうが多いんだろうな~と思う。
ただ、酷い目に遭っても相手に対してほとんど怒らないのはよく分からなかったけど…。
そこで大事にしないところが主人公のキャラなのは分かるけど、私はムリヤリを軽々しく扱うのはBLの悪い点だと思ってるので。
…人間の感情にかかわる部分をファンタジーにしちゃうと、切ない恋心とか優しい気持ちまで、作り話になっちゃうと思うんだけど。まあ、もっと自分に都合よく読んで、気軽に楽しむ人のほうが多いかな。

攻は年齢のわりに子供っぽかった。せっかく寡黙で恋愛に不器用な年下くんという設定なのに、ガタイ以外に男らしさがないのがもったいない。
ストーリーは好きだな~。臆病者の二人がちょっとずつ距離を縮めていく過程が面白かった。とくにネクタイピンのプレゼントは、素敵だな~と。「初めてのおつかい」よく頑張ったねという意味でもよかった(笑)
李丘那岐 幻冬舎 2012/06

初読みの作家さん。
なんとなくペンネームが趣味に合わなくて食わず嫌いしていた…。

ネタバレ
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文章は読みやすかったし、話も暖かくてよかった。

面白かった。
一人で子育ては大変だし(夫婦で協力したって大変だもの)同性愛に踏み切るのは相当な勇気が必要だし(私なら無理)、梓の悩みは共感しやすかった。
…BLだとこの辺の葛藤はすっ飛ばして、おとぎ話になってることも多いだけに、丁寧でよかった。

一途に片思いをしている黒崎がいいな~と思った。
まあでも、諦めきれない気持ちも分かるような。親友として気が合う上に、押せばなんとかなりそうな相手って…。好きになったら深みにはまりそうなタイプだな~と。
妄想御殿には笑った。
でも、彼女もいないのに結婚前提で家を建てる男性は実際にいるし、実はそんなに驚くことでもないのかも?

子供の健気さ&たくましさに、ちょっとウルっときた。
南野十好 心交社 2012/09

初めて読む作家さん。
ちっとも共感できるところがなかった…。

ネタバレ
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大学生同士の地味で丁寧な恋愛もの。
大好きな設定のはずなのに、途中で退屈したし、キャラの言動にはイライラしっぱなしだった。

攻はたぶん「優しく礼儀正しい剣道青年」みたいなキャラ設定だと思うのだが、行動がことごとく設定と違う…。合コンで話しかけられて無視するとか、最低。そんなに嫌なら行くなよー。「落ち込んでた」とか「最初から気乗りしなかった」というのは何の言い訳にもならないって。
その反面、受に対しては話しかけるのも遠慮するという過剰な気遣い。話しかけられずにモジモジしているのが可愛いと思うかどうかは好みの問題だろうけど、人によってそこまで態度変えるって…かなり嫌な奴なんじゃ。

受もキスされたのが嫌がらせだと思うって、攻を性格の悪い人間だと思ってるの?
なんか攻にたいしてヒドイような…。それとも、20年も生きてきて同性愛者の存在を知らないんだろうか。
受の「友達に戻ろう」発言は無神経で驚いた。告白の言葉を覚えてたら、絶対言えないと思う。相手のことを思いやれないタイプのようで…。自分勝手だったと反省する場面では、その通りだね~としか…。

「こう考えました」→「こういう行動をとりました」という流れがどうにも理解不能な人たちで、共感できるポイントが見つからなかった。
結城瑛朱 ムービック 2012/8

初読の作家さん。
読み始めてすぐに、「これ、なんでバンドものじゃないんだろう?」と思った。
定義や王道はよく知らないけど、私の持っているバンドもののイメージ(雰囲気、キャラの性格と関係性、表現)とぴったり重なる作風だった。

感想。
あー、疲れた。ちっとも共感できないキャラの内面に付き合うのは疲れる…。主人公二人の考え方(感じ方)に対して、それはちょっと違うんじゃない?と最初は反発というか、反論を持っていたけど、途中からどうでもよくなって、流してしまった。
テンポ悪いし、文章は癖が強くて読みづらいし…。
これ、最後まで読めるかな?と思いつつ、ここでやめたらもう二度と読まないだろうと思って、なんとか最後まで読み終えたが、最後まで読んでも、あー疲れた、としか思わなかった。
別に作品の出来がどうこうという問題ではなく、とにかくキャラと文章が趣味に合わなかった。
夕映月子 新書館 2012/08

雑誌掲載で読んだから、どうしようかな~と(ケチゆえに)迷ったが、地味系は貴重!買い支えしなくては!という義務感で買ってみた。

ネタバレ
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ものすごく偉そうに書かせていただくと(書かなければいいんだが、これも感想なので)、前作より文章の硬さが取れて、本来の読みやすさが出てきたな~という印象。
相変わらず丁寧で落ち着いた文章+乙女成分多めで、ちょっと地味系なところまで含め、ああ、ディアプラスの作家さんって感じ~と…。

前半は、こんな大学生って(いまどき女子中学生でもセックスに抵抗なんてなさそう)…と違和感が強かったけど、日下部視点の続編が面白かった。
遠距離の後は「俺について来い」的発言で、まあ、相手が物分りのいい大学生でよかったですね…というような。地方で就職は大変だろうな~。
物分りがよすぎて、たまに辛くなってしまう和音だから、日下部にはもっと心配りができるようになってもらいたい。

余計なことだが…、私の大好きな大正~昭和初期で一本書いていただきたい。
絶対、作風に合うと思う。
松雪奈々 幻冬舎 2012/5

初めて読む作家さん。
男らしい容姿だけどレース編みの好きな受という設定。

ネタバレ
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主人公はもっと見た目と中身にギャップがあるかと思ってたから、ちょっと中途半端に感じた。
もっと弾けたコメディのほうがよかったような。
…設定が似てるから、砂原さんの『ミスター・ロマンチストの恋』と比べてしまったせいもあるかも。まあ完全にコメディではない作品で、、砂原さん並みのパワーを求めるべきじゃないだろうけど…。
カラオケの歌詞はあんまり笑えなかったかな~。笑いのツボがちょっと違うのかも。

攻も親友もちゃんと反省してるけど、後味の悪さが残ってしまった。両思いを確認した後に、主人公が付き合うのをためらってしまう気持ちが分かるというか…。
読みやすくはあったんだけど。

あと、好みの問題かもしれないけど、「ベッタリ主人公視点」三人称で「~は気付かなかったが」と地の文で書かれるの、野暮な感じがする。そこまで書かないと伏線を拾ってくれないだろうと危惧してなのか(読者に読解力求めてもね…って気持ちは分かる)、単にこういう書き方が楽で選んでるだけなのか、続編を読む限り微妙だった…。
夜光花 徳間書店 2010/09

あらすじは読まないので、表紙とタイトルから、監禁ものだろうと思った。
苦手なんだよなー、これは課題図書だなー、と重~い気分で読み始めた。


ネタバレ
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なかなか読みやすいし、面白かったんだけど。どうにも、理解はしづらかった。
高校生が付き合って1年しか経っていない相手に対して、浮気とか決定的な何かがあったわけじゃないのに、そこまで執着するものなのかな。…執着するだけの過程が見えないので、なんか唐突な感じがしてしまった。
執着系は苦手なんで、攻が受を監禁しようとして、受がそれを喜ぶ場面では、ウゲーっと思ってしまった…。
そんな私がこの作品で1番面白く読んだ場面は、攻にすべてバレてしまい、別れる場面だった。別れてくれて、すっきりした。うっとうしいよ~、はいはい、次いこうよ、次!って感じで。
ほんと、執着系って共感できなくて。こういう作品の良さが分からなくて、もったいないと思う。男は攻だろうが受だろうが、さっぱりしてるほうがいいわ~。
ラストの決断も、見事に世界の閉じた執着系で、いっそのこと、もっと痛重暗くしたほうが、面白かったかもしれない。

あと、薫はお父さんの彼かと思った。
吉田ナツ 二見書房 2011/10

お名前よく見かけるけど、初めて読む作家さん。
聞こえてくるゴタゴタが煩わしくて、なんとなく避けていたというか。

イラストのみずかねさんは、お名前をひらがなにしてくれてよかったなあと。
漢字が読めないせいで、なかなか覚えられなかったから。

ネタバレ
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弟×兄。父親違いの兄弟。

文章読みやすいし、キャラも癖がなくていいな~。面白かった。
兄弟ものとしての葛藤はありつつ、ドロドロしてないのも読みやすかった。テーマのわりに、書き方がきれいすぎるっていうか。兄弟ものに執着を求める読者には物足りないんじゃないかな。
ただ、兄弟もので気合が入りすぎると昼ドラになりやすいから(この作品も設定自体は昼ドラだが)、あっさりめのラストが逆によかったと思う。終盤の盛り上がりを捨てて全体のトーンを重視したように思えたけど、これは効果を狙ったというより、話の流れでそうなっただけかも(?)。流れに沿って丁寧に書いたというような印象を受けた。
結果として、兄弟ものは読みたいけど、暗いのは嫌!っていうニーズに応えた作品なんじゃないかと。

けど、弟との恋愛はあんまり響いてこなかったなあ。個人的には(書き方のせいではないが)、お父さんと話してた場面と金沢での穏やかな生活と魚が死んだ場面がインパクトあった。
深山ひより フランス書院 2011/8

初読みの作家さん。

ネタバレ
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文章は癖がなくて読みやすいし、いいなーと思ったんだけど。

攻があまりに人の気持ちが分からない男なので、ちょっとイラッとした。自分が振った相手が落ち込んでるのを見て、落ち込んでる理由を何度も聞くとか…どんな神経なのか。恋愛がどうとかいう以前に、幼馴染の気持ちを察する努力もできないのだろうか?
「恋人より親友を優先しろ」とかわけの分からないことを言ってストーカー化するのも変だし、受はよく愛想尽かさなかったな~!と心の広さに感心した。
…受が攻のことを好きだったからよかったけど、これ、受が他の人を好きになって攻から離れてたらどうなったんだろう? 執着が怖そうだなー。
しかも、男とセックスするのは無理とか言ってたのに、そんな簡単に?!
…恋愛観が異常で傍迷惑な攻だが、たぶん恋愛以外の面では、優しくていい人だと思う。
やたら読みづらい受の名前「陽翔(はると)」は、数年前にこういう字面の名前が流行ってた気がする。赤ちゃんの名付けランキングに入ってんじゃないかなー。
松岡なつき 徳間書店 1999/05/31

10時前に帰ってこられた…!

まあそんなことはともかく、前世紀の本か~。
うーん、あんま趣味に合わなかった。

ネタバレ
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えらい冗長だなー、と思いつつ、最初は楽しく読んでいた。
が。
気の強い男の子を苛めたいとか、調教したいとかいう気持ちがさっぱり分からないので、この攻、嫌な奴だなーとしか思えず。
気持ちが通じ合って終わりじゃなかったのはよかったけど、典型的なキャラがお約束どおりに動くので、あまり印象に残らないラストだった。
…まあ、攻も受も現実感に乏しい設定なので、私には向かなかったのかも。
こういうキャラと王道ストーリーが好きという人には、ものすごくツボにはまるタイプの作品じゃないかと。
森田しほ 幻冬舎 2011/12

待ってました~、2冊目♪
面白かったし、読み応えがあった。

ネタバレ
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夜毎迫ってくる情緒不安定な少年。
なんともBL的な設定なのに、かなり重たく、それだけに読み応えのある作品だった。設定としては痛い系になってしまいそうなのに重苦しくもならず、かといって軽くも薄くもなく…という書き方が好き。

学の抱えている事情を簡単に解決せず、じっくりじわじわと苦しい心情を出していくのがいい。
だんだん義久が気の毒になってくるほど、時間をかけてゆっくり過去を乗り越えていくところがよかった。

西村や巧明といって脇役も味があったなあ。西村にはこの先どんな恋人ができるんだろうというのが、結構気になる。

他人から見れば、「異常」で片付けられてしまいそうな兄の執着と行動は、誰にも頼れずに追い詰められてしまった17歳の少年と思えば切なく…しかも弟はしっかり愛情として受け取っているだけに責められないというか。
でも、兄の抱えていた苦しみは作品内で多くは語られていないわけで…、そこを想像で補って、兄の気持ちを思いやることができる義久がいいなー。
本当にいい子だと思う。かなり辛抱強く学に寄り添ってあげてたし。
学が元気になってくれて、読後感も暖かかった。
夜光花 フランス書院 2011/06

夜花さん、しかもこの表紙、タイトル。
ドロドロの執着系ですね?と警戒しながら読み始めたが、軽くて読みやすい話だった。
蓮川さんの表紙に騙されたのは2回目だ。『硝子の騎士』も表紙見る限りシリアスなのに、中身は…だったし。コメディー系、ライト系のときは明るい表紙にしてください~。


ネタバレ
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面白かった。夜花作品の中では、かなり読みやすい部類じゃないかと。

攻の人形作家は浮世離れしてて、行動は変だけど、気持ちはなんとなく理解できる程度というか。ポイント、ポイントで、しっかり魅力を発揮してて、受がほだされていってしまうのも納得できる。

受は普通にいい人だと思うけど、最後のほうに出てくる会社の先輩からの評価をみると、ダメな人なんだなーと分かる。ただ、ダメッぷりが可愛いというような書き方でもなく、実はヘタレでしたというギャップもなく、なんで話の後半で受の短所を並べ立てる必要があったのか、意味不明だった。
なんかこうキャラの欠点が出てくれば「完璧じゃないからこそ共感しやすい」っていう効果が出るのが普通なのに、この作品の場合、「受はつまらない人間だ」っていうような書き方で、話の印象自体下がってしまったのだが…。
これを1番最初に書いて、「ダメだけど、結構いい奴だね」って方向に持っていく、ありがちパターンじゃダメだったのかなあ?

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