その手で咲かせて
2010年11月5日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 幻冬舎 2010/10
読んでみたいノベルスがあったんだけど、節約節約と近くにあった文庫を買ってみた…。
ネタバレ
----------------------------------------
ホテルマン×花屋の店員、年下敬語攻。
いつも通り読みやすいし、入り込みやすい設定なんだけど……。
うーーん、キャラにあまり魅力を感じなかったし、感情移入もしづらかった。
まず花屋。正直、イラッとした。たとえば、仕事で「時間がないから急いで車出して」って言われてるのに、ぼんやり考え込んですぐに動かない。真面目に仕事の算段をしてたわけだが、そんなの移動中に考えりゃいいじゃん動くのが先でしょ…と思ってしまう。反応が遅い&薄いという設定のキャラなのでブレはないんだけど、こういうタイプにはイラッとする。
電車の中で痴漢をしておいて(ラッシュのときに背中にくっついただけだから可愛いものだけど、やっぱり見ず知らずの人にそんなことされたら普通は気持ち悪いと思う…)、その後相手が話そうとしてるのに逃げ回るのもどうかと。
悪い子じゃないけど、とにかく行動と思考がうっとうしくて……。いや、ひどい言い方だとは思うんだけど、ごめん無理…という感じだった。
あと、電車の中でたまたま痴漢した相手が、2回とも偶然にも片思いの相手でしたって、いくらなんでも苦しいような? …それに相手が東堂(攻)だって知っててやるならまだ理解できるけど、まったくの他人(と本人は思っている)に対して2回も意図的に密着するって…やっぱり引くわー。
ホテルマンのほうは…新人だけど、できる人でいいな~と思ったんだけど、実は老舗ホテルの跡取りでした、という要らん設定(ありがちすぎて興醒めというか)が入ったので、途端に薄っぺらいキャラだと感じてしまった。この話で、攻が実は金持ちでしたっていう設定が必要なんだろうか…。
そして、お互いが惹かれあう理由が、第二印象止まり(なんじゃそりゃ)って感じで、相手に対して勝手に抱いているイメージ以上の何かがあるのか、よく分からなかった。
書き下ろしの続編までいっても、お互い敬語で甘さとは程遠いので、素敵vって感じがまるでなく…、なんだか散漫な印象だった。
読んでみたいノベルスがあったんだけど、節約節約と近くにあった文庫を買ってみた…。
ネタバレ
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ホテルマン×花屋の店員、年下敬語攻。
いつも通り読みやすいし、入り込みやすい設定なんだけど……。
うーーん、キャラにあまり魅力を感じなかったし、感情移入もしづらかった。
まず花屋。正直、イラッとした。たとえば、仕事で「時間がないから急いで車出して」って言われてるのに、ぼんやり考え込んですぐに動かない。真面目に仕事の算段をしてたわけだが、そんなの移動中に考えりゃいいじゃん動くのが先でしょ…と思ってしまう。反応が遅い&薄いという設定のキャラなのでブレはないんだけど、こういうタイプにはイラッとする。
電車の中で痴漢をしておいて(ラッシュのときに背中にくっついただけだから可愛いものだけど、やっぱり見ず知らずの人にそんなことされたら普通は気持ち悪いと思う…)、その後相手が話そうとしてるのに逃げ回るのもどうかと。
悪い子じゃないけど、とにかく行動と思考がうっとうしくて……。いや、ひどい言い方だとは思うんだけど、ごめん無理…という感じだった。
あと、電車の中でたまたま痴漢した相手が、2回とも偶然にも片思いの相手でしたって、いくらなんでも苦しいような? …それに相手が東堂(攻)だって知っててやるならまだ理解できるけど、まったくの他人(と本人は思っている)に対して2回も意図的に密着するって…やっぱり引くわー。
ホテルマンのほうは…新人だけど、できる人でいいな~と思ったんだけど、実は老舗ホテルの跡取りでした、という要らん設定(ありがちすぎて興醒めというか)が入ったので、途端に薄っぺらいキャラだと感じてしまった。この話で、攻が実は金持ちでしたっていう設定が必要なんだろうか…。
そして、お互いが惹かれあう理由が、第二印象止まり(なんじゃそりゃ)って感じで、相手に対して勝手に抱いているイメージ以上の何かがあるのか、よく分からなかった。
書き下ろしの続編までいっても、お互い敬語で甘さとは程遠いので、素敵vって感じがまるでなく…、なんだか散漫な印象だった。
有明月に、おねがい。
2010年10月29日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 幻冬舎コミックス 2009/4
スピンオフ。『朧月夜~』と一緒に買った。
こちらも30代の男と高校生のカップル。イラストが若すぎて、年の差だとは気付かなかったなあ…とぼんやり買ったときのことを思い出したり。
ネタバレ
受は帰国子女とか関係なく、なんだか宇宙人な感覚の持ち主。真面目でいい子なんだろうけど、よくこれを恋愛の対象として見られるな~と、ある意味感心する。
『朧月夜~』の広重より友坂のほうが普通の人なのだが、侑里が標準より幼い上に、血が繋がってなくても甥は甥だろうと思うと、なんだかこっちのほうがヤバイ感じ。
とはいえ、私が年の差でとくに辛いと思う「30代のイケメン社長が元気で小柄な美少年に目をつけて~」って話ではないので、そこは読みやすかったかも。
友坂も侑里もいいキャラだと思うし、こちらも可愛らしいお話だった。趣味に合わないだけで、面白いし、読み応えもある。真面目でズレてて健気系の美少年がお好きな人なら、お薦めしたい。好みじゃないだけに、誉め方に困るが、好みを抜きにして考えれば、優しい感じの話でよかったなあと。
…お前もか、お前も女装少年だったのか!という個人的な衝撃が強かった。
スピンオフ。『朧月夜~』と一緒に買った。
こちらも30代の男と高校生のカップル。イラストが若すぎて、年の差だとは気付かなかったなあ…とぼんやり買ったときのことを思い出したり。
ネタバレ
友坂眞澄は、静かな町で父親から引き継いだ小さな医院を営んでいる。ある朝、友坂を頼って突然やってきたのは、恋人と海外に飛び出したきり音信不通になっていた姉のひとり息子・侑里。「独りぼっちになった」と話す侑里を放り出せるはずもなく一緒に暮らすことにした友坂だが、庇護すべき対象である侑里から、一生懸命に「好き」と迫られて―。
受は帰国子女とか関係なく、なんだか宇宙人な感覚の持ち主。真面目でいい子なんだろうけど、よくこれを恋愛の対象として見られるな~と、ある意味感心する。
『朧月夜~』の広重より友坂のほうが普通の人なのだが、侑里が標準より幼い上に、血が繋がってなくても甥は甥だろうと思うと、なんだかこっちのほうがヤバイ感じ。
とはいえ、私が年の差でとくに辛いと思う「30代のイケメン社長が元気で小柄な美少年に目をつけて~」って話ではないので、そこは読みやすかったかも。
友坂も侑里もいいキャラだと思うし、こちらも可愛らしいお話だった。趣味に合わないだけで、面白いし、読み応えもある。真面目でズレてて健気系の美少年がお好きな人なら、お薦めしたい。好みじゃないだけに、誉め方に困るが、好みを抜きにして考えれば、優しい感じの話でよかったなあと。
…お前もか、お前も女装少年だったのか!という個人的な衝撃が強かった。
朧月夜に、あいたい。
2010年10月29日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 幻冬舎コミックス 2009/02
最初から趣味には合わないが、可愛い話だった。
ネタバレ
なんで女装する高校生なんて激しく自分の趣味に合わないものを買おうと思ったのか忘れてしまったが、たぶん真崎さんなら何でもいいや~という気分だったんじゃないかと。まあ1冊2冊買うために混んだレジに並びたくないから、数合わせで?買ったのかもしれないが。
とにかく、買ったはいいが積んでおいて、やっと読んでみた。
うう…30過ぎの攻と小柄な高校生の年の差カップル……辛い。でも、主人公はいい子だし、まあ可愛いからいいかな~と、だんだん慣れた。
これといった決定打はないのだが、普通に盛り上がり普通に楽しめる、優しい話だった。
面白かったし、まったく文句はない。最初から趣味に合わないってだけで、小説としてはわりと好きだなあ。
最初から趣味には合わないが、可愛い話だった。
ネタバレ
女の幽霊が出ると噂の公園。女装して悪ふざけに出かけた新名啓杜は、そこで「死んだ恋人に逢いに来た」らしい不思議な男と出逢う。ピアノの音に導かれてその男・相原広重と再会し、いつしか彼独特の優しさに惹かれていく啓杜。普段はピアノ好きな男子高校生として、朧月夜には彼の大切な女性のふりをして、繰り返し相原に逢いに行くけれど…。
なんで女装する高校生なんて激しく自分の趣味に合わないものを買おうと思ったのか忘れてしまったが、たぶん真崎さんなら何でもいいや~という気分だったんじゃないかと。まあ1冊2冊買うために混んだレジに並びたくないから、数合わせで?買ったのかもしれないが。
とにかく、買ったはいいが積んでおいて、やっと読んでみた。
うう…30過ぎの攻と小柄な高校生の年の差カップル……辛い。でも、主人公はいい子だし、まあ可愛いからいいかな~と、だんだん慣れた。
これといった決定打はないのだが、普通に盛り上がり普通に楽しめる、優しい話だった。
面白かったし、まったく文句はない。最初から趣味に合わないってだけで、小説としてはわりと好きだなあ。
スピンオフ
2010年10月23日 BL作家ま・や・ら・わ行
水壬楓子 幻冬舎コミックス 2010/01
この方の本を読むのは、2冊目かなあ?
まあこのタイトルだし、スピンオフなんだろうなと思っていたが、本当にスピンオフだった。タイトルは簡単カタカナ単語ばかりで、どれがどのシリーズなのか、分かりづらそう。
わりと読みやすくて面白く読んだわりに、ちっとも誉めてないので、分かりやすく★評価もしておいた…。
ネタバレ
-----------------------------------------
警察キャリア×元弁護士の芸能マネージャー。
BLでスピンオフと来れば当然のことながら、出てくる男が揃いも揃ってゲイで、なんだかなあという気分になった。
元弁護士の主人公のちょっと偉そうな(?)マネージャーぶりが楽しかった。もともとこういうスクエアじゃない(重要)、器用なクール系が好きだから、花戸は好みのタイプ。
…お勉強ができるだけの世間知らずがクール系でも、ちっともカッコよくないし。ある程度は要領がよくないと、なんだか仕事もできなそうで減点対象というか。
そういう基準からいうと、攻の箕島も好みだったかなあ。そこ限定で。
ストーリーはまとまりもいいし、面白かったけど、箕島ムカつく~というのが強くて、楽しめなかった。
うーん、悪い人間じゃないけど、自覚ありで無神経な言動ってどうだろうと…。まず、主人公を落とすために、主人公の元カレが婚約者と会っている姿をわざわざ見せるというのが、普通に嫌な人間って感じ。…失恋で弱っているところにつけこむだけでも卑怯な感じなのに、自分で傷口に塩をすり込んでおいて、「慰めてあげるよ?」って言われるのは怖いんですが。なんか人間性疑うわー。
と、これだけでも引き気味だったのだが、さらに主人公を利用して、主人公の元カレを追い詰めて(箕島が主人公に近づいたせいで追い詰められた)逮捕っていうのも。
いくら「好きだ、愛してる」なんて言われても、騙して囮として利用されて、挙句に殺されかけたのに許せるものなんだろうか…。
元カレの田方の裏切りよりも、こっちのほうが悪質というか。…だって、箕島が近づいてきたせいで田方に殺されそうになったわけで、他に殺されそうになる理由なんてなかったのに、「利用したことは謝らない」って、恋人としてというより人間として最低だろう。その台詞がなければ、まあここまで最悪の展開になることは予測できなかったわけだし、謝っているんだからと思えたけど。
これは明らかに反省が足りてないと思う。あんたの強引な捜査のやり方が原因で、人が殺されかけたのに、結果オーライじゃマズイでしょうよ。
花戸が刺されなかったのって、幸運だっただけだよね。だいたい玄関ドアがオートロックだったら、捜査員も踏み込めずに死んでましたよね??…て考えないんだろうか。いや、オートロックじゃないと事前に調べてあったにせよ、室内の二人の距離が分からない以上、助けが間に合わない可能性が高かったわけで。まったく、人間の命をなんだと思ってるんだろう…。
そして、捜査のために自分と寝たのかと聞かれて、「つまらないことを考えるな」って答えるのも、なんとも的外れ。いや、花戸は確かに自虐的な気分で聞いてるんだけど、ここは箕島の誠実さが疑われているわけであって、実際疑われても仕方のない場面なのに「つまらないこと」と(自分の気持ちが誠実なのは当然だという前提で)切り捨てるのは、かなり強引で傲慢な態度ですが……。うーん。
もう1つ。田方のことを「捜査方法が強引だった」という理由で捜査し始めた箕島が、盗聴という違法捜査を行っているあたりに、なんとも皮肉で納得のいかないものを感じる。恋人のコートに盗聴器を入れるぐらいは、罪のないイタズラってわけですか?
話は当然これでハッピーエンドなのだが、こんな男最悪だわ、と思ってしまったので、すっかり冷めた気分になってしまい、あとは楽しめなかった。
…上に書いたようなことを疑問に思わずに読める人なら、箕島は優しくて頼りがいのある攻かもしれない。
善意の解釈をすれば箕島を弁護することも簡単なのだが、あくまで好意的に憶測すればということであって、大事なことなんだし、「箕島はいい人」だという前提なしでも分かる程度にもう一歩踏み込んだフォローを入れておいてほしかった。書き方が軽い分、「全体の雰囲気から書かなくても分かる」って感じでもないので。
この方の本を読むのは、2冊目かなあ?
まあこのタイトルだし、スピンオフなんだろうなと思っていたが、本当にスピンオフだった。タイトルは簡単カタカナ単語ばかりで、どれがどのシリーズなのか、分かりづらそう。
わりと読みやすくて面白く読んだわりに、ちっとも誉めてないので、分かりやすく★評価もしておいた…。
ネタバレ
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警察キャリア×元弁護士の芸能マネージャー。
BLでスピンオフと来れば当然のことながら、出てくる男が揃いも揃ってゲイで、なんだかなあという気分になった。
元弁護士の主人公のちょっと偉そうな(?)マネージャーぶりが楽しかった。もともとこういうスクエアじゃない(重要)、器用なクール系が好きだから、花戸は好みのタイプ。
…お勉強ができるだけの世間知らずがクール系でも、ちっともカッコよくないし。ある程度は要領がよくないと、なんだか仕事もできなそうで減点対象というか。
そういう基準からいうと、攻の箕島も好みだったかなあ。そこ限定で。
ストーリーはまとまりもいいし、面白かったけど、箕島ムカつく~というのが強くて、楽しめなかった。
うーん、悪い人間じゃないけど、自覚ありで無神経な言動ってどうだろうと…。まず、主人公を落とすために、主人公の元カレが婚約者と会っている姿をわざわざ見せるというのが、普通に嫌な人間って感じ。…失恋で弱っているところにつけこむだけでも卑怯な感じなのに、自分で傷口に塩をすり込んでおいて、「慰めてあげるよ?」って言われるのは怖いんですが。なんか人間性疑うわー。
と、これだけでも引き気味だったのだが、さらに主人公を利用して、主人公の元カレを追い詰めて(箕島が主人公に近づいたせいで追い詰められた)逮捕っていうのも。
いくら「好きだ、愛してる」なんて言われても、騙して囮として利用されて、挙句に殺されかけたのに許せるものなんだろうか…。
元カレの田方の裏切りよりも、こっちのほうが悪質というか。…だって、箕島が近づいてきたせいで田方に殺されそうになったわけで、他に殺されそうになる理由なんてなかったのに、「利用したことは謝らない」って、恋人としてというより人間として最低だろう。その台詞がなければ、まあここまで最悪の展開になることは予測できなかったわけだし、謝っているんだからと思えたけど。
これは明らかに反省が足りてないと思う。あんたの強引な捜査のやり方が原因で、人が殺されかけたのに、結果オーライじゃマズイでしょうよ。
花戸が刺されなかったのって、幸運だっただけだよね。だいたい玄関ドアがオートロックだったら、捜査員も踏み込めずに死んでましたよね??…て考えないんだろうか。いや、オートロックじゃないと事前に調べてあったにせよ、室内の二人の距離が分からない以上、助けが間に合わない可能性が高かったわけで。まったく、人間の命をなんだと思ってるんだろう…。
そして、捜査のために自分と寝たのかと聞かれて、「つまらないことを考えるな」って答えるのも、なんとも的外れ。いや、花戸は確かに自虐的な気分で聞いてるんだけど、ここは箕島の誠実さが疑われているわけであって、実際疑われても仕方のない場面なのに「つまらないこと」と(自分の気持ちが誠実なのは当然だという前提で)切り捨てるのは、かなり強引で傲慢な態度ですが……。うーん。
もう1つ。田方のことを「捜査方法が強引だった」という理由で捜査し始めた箕島が、盗聴という違法捜査を行っているあたりに、なんとも皮肉で納得のいかないものを感じる。恋人のコートに盗聴器を入れるぐらいは、罪のないイタズラってわけですか?
話は当然これでハッピーエンドなのだが、こんな男最悪だわ、と思ってしまったので、すっかり冷めた気分になってしまい、あとは楽しめなかった。
…上に書いたようなことを疑問に思わずに読める人なら、箕島は優しくて頼りがいのある攻かもしれない。
善意の解釈をすれば箕島を弁護することも簡単なのだが、あくまで好意的に憶測すればということであって、大事なことなんだし、「箕島はいい人」だという前提なしでも分かる程度にもう一歩踏み込んだフォローを入れておいてほしかった。書き方が軽い分、「全体の雰囲気から書かなくても分かる」って感じでもないので。
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蒼穹の剣士と漆黒の騎士
2010年5月26日 BL作家ま・や・ら・わ行
夜光花 幻冬舎コミックス 2010/04
久しぶりに趣味に合う夜光作品でした。
いい情報をありがとうございます♪
ネタバレ
----------------------------------------------
初期の刑事×調律師の作品以来、久々に楽しめる作品だった。
BLなのでファンタジーとしての描写は少しばかり足りなくて、どっぷり世界観に浸ることはできないけど(想像を掻き立てられることはないというか)、物足りないというほどでもなかった。世界観が分かりやすい分、とっつきやすいファンタジーだと思う。
キャラもそれぞれ個性があって面白かったし、見せ場も多かったし、最後まで楽しめた。
一族が滅んでいく運命だったり、主人公がもともと短命だったりする。短命な一族なので寿命が短いことは本人にとって悲しむところじゃないし、一族が滅ぶのも先の話なので、読んでいて重苦しくはないけど、ラストは少し寂しい感じかな。でもそれが余韻を生んでいていいんじゃないかと。
攻が好みだったな~。
ものすごく面白いというほどではないけど、文句はないという作品だった。
久しぶりに趣味に合う夜光作品でした。
いい情報をありがとうございます♪
ネタバレ
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初期の刑事×調律師の作品以来、久々に楽しめる作品だった。
BLなのでファンタジーとしての描写は少しばかり足りなくて、どっぷり世界観に浸ることはできないけど(想像を掻き立てられることはないというか)、物足りないというほどでもなかった。世界観が分かりやすい分、とっつきやすいファンタジーだと思う。
キャラもそれぞれ個性があって面白かったし、見せ場も多かったし、最後まで楽しめた。
一族が滅んでいく運命だったり、主人公がもともと短命だったりする。短命な一族なので寿命が短いことは本人にとって悲しむところじゃないし、一族が滅ぶのも先の話なので、読んでいて重苦しくはないけど、ラストは少し寂しい感じかな。でもそれが余韻を生んでいていいんじゃないかと。
攻が好みだったな~。
ものすごく面白いというほどではないけど、文句はないという作品だった。
硝子の筐
2010年4月8日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 幻冬舎コミックス 2010/2
送料無料あわせで買ってみた。
高校生の健気受とか、年上攻の年の差が好きな人なら楽しめるんじゃないかと。
★★★
ネタバレ
うーん、取り立てて文句をつけるようなところはないが、主人公の、健気、素直、子供、かわいそうな境遇という作りすぎたキャラ設定にお腹いっぱいで、どうにも。まあ趣味の問題だろうけど。
家族をいっぺんに亡くした主人公が「生き残ったのが僕でごめんなさい」とか謝る場面では、いくらその状況でも、普通以上に愛されて育った子供がそんなこと言うものかな?と首をひねってしまった。
さらに好きな相手(亡くなった姉の婚約者)に告白して、相手からも好きだといわれると「気のせいだよ」と決め付ける。
はあ、そうですか…としか。まったく共感ができない。ちょっとイラッとする。
嫌いじゃないが、苦手キャラだ…。
でも、主人公が年上の保護者的な立場(他人なんだけど)の人に相談する場面の会話で、共感できないけど、その考え方は理解はできるなあというふうに変わった。ああ、なるほどねーと。
趣味の問題で面白くはなかったが、趣味に合いさえすれば読みやすいし面白いと思う。
送料無料あわせで買ってみた。
高校生の健気受とか、年上攻の年の差が好きな人なら楽しめるんじゃないかと。
★★★
ネタバレ
高校生の新庄七魚が恋する相手は、大好きな姉と結婚するはずだった年上の人。両親と姉を同時に失った四年前のその日、不器用に抱きしめてくれた久世朝長は誰より特別な人になった。そして互いに独りきりの二人は寄り添い合い“家族”になる。家族なら壊れたりしない、ずっと傍にいられるなら片想いのままがいい。そう心に決めている七魚は…。
うーん、取り立てて文句をつけるようなところはないが、主人公の、健気、素直、子供、かわいそうな境遇という作りすぎたキャラ設定にお腹いっぱいで、どうにも。まあ趣味の問題だろうけど。
家族をいっぺんに亡くした主人公が「生き残ったのが僕でごめんなさい」とか謝る場面では、いくらその状況でも、普通以上に愛されて育った子供がそんなこと言うものかな?と首をひねってしまった。
さらに好きな相手(亡くなった姉の婚約者)に告白して、相手からも好きだといわれると「気のせいだよ」と決め付ける。
はあ、そうですか…としか。まったく共感ができない。ちょっとイラッとする。
嫌いじゃないが、苦手キャラだ…。
でも、主人公が年上の保護者的な立場(他人なんだけど)の人に相談する場面の会話で、共感できないけど、その考え方は理解はできるなあというふうに変わった。ああ、なるほどねーと。
趣味の問題で面白くはなかったが、趣味に合いさえすれば読みやすいし面白いと思う。
暁の高嶺で
2010年2月20日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 二見書房 2010/01
山岳警備隊もの2冊目。
ネタバレ
-----------------------------------------
1冊目よりストーリーの流れがよくて、面白かった。
1冊目の主人公たちは恋に落ちるまでの過程がわかりづらくて、恋愛面では感情移入しづらかったけど、今回の主人公の音羽の場合は相手を好きな気持ちがわかりやすいからかも。
過去に誤解した理由もわかるなあという感じで。客観的に見れば高代の気持ちは分かりそうなものだけど、エベレストに行くって言われた直後じゃ動揺してるし、微妙な態度の理由なんて気付けないと思う。あと、恋愛って弱気になっちゃうときあるし…、些細なきっかけで悪いほうに向かっちゃうときもあるというか……。
それにしても高代……、とってもダメな男(笑)
たとえ婚約してたって、ケンカした後にフォローもなく2年も一切連絡しなかったら、普通は愛想尽かされる。ケンカした時点で別れる気がなくたって、放っておいてる2年の間に逃げられると思うけど…。
まあそういう人だからしょうがないのだといってしまえばそれまでだし、憎めないキャラだけど、音羽が待っててくれると思うのはかなり図々しい…。
その後、高代の気持ちが語られて、絆される気持ちもやっぱり分かるなあと思ったけど。
…秋林さんのおっしゃるとおり、こういう男に惚れてしまったんだから音羽は諦めるしかないのでしょうね。
大変どうでもいいことだが、なんで浅田は高代や音羽のことを名前で呼ぶのに、塩見だけ名字で呼ぶんだろう? なんとなく気になってしまった。
塩見の話は少し切なくて面白かった。
遺品が出てきたことは、塩見にとっても朝陽にとっても、ひとつの区切りになってよかったんだろうなあと。朝陽はちゃんと前に進めているんだなあと確認できて安心した。
山岳警備隊もの2冊目。
ネタバレ
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1冊目よりストーリーの流れがよくて、面白かった。
1冊目の主人公たちは恋に落ちるまでの過程がわかりづらくて、恋愛面では感情移入しづらかったけど、今回の主人公の音羽の場合は相手を好きな気持ちがわかりやすいからかも。
過去に誤解した理由もわかるなあという感じで。客観的に見れば高代の気持ちは分かりそうなものだけど、エベレストに行くって言われた直後じゃ動揺してるし、微妙な態度の理由なんて気付けないと思う。あと、恋愛って弱気になっちゃうときあるし…、些細なきっかけで悪いほうに向かっちゃうときもあるというか……。
それにしても高代……、とってもダメな男(笑)
たとえ婚約してたって、ケンカした後にフォローもなく2年も一切連絡しなかったら、普通は愛想尽かされる。ケンカした時点で別れる気がなくたって、放っておいてる2年の間に逃げられると思うけど…。
まあそういう人だからしょうがないのだといってしまえばそれまでだし、憎めないキャラだけど、音羽が待っててくれると思うのはかなり図々しい…。
その後、高代の気持ちが語られて、絆される気持ちもやっぱり分かるなあと思ったけど。
…秋林さんのおっしゃるとおり、こういう男に惚れてしまったんだから音羽は諦めるしかないのでしょうね。
大変どうでもいいことだが、なんで浅田は高代や音羽のことを名前で呼ぶのに、塩見だけ名字で呼ぶんだろう? なんとなく気になってしまった。
塩見の話は少し切なくて面白かった。
遺品が出てきたことは、塩見にとっても朝陽にとっても、ひとつの区切りになってよかったんだろうなあと。朝陽はちゃんと前に進めているんだなあと確認できて安心した。
白の彼方へ
2010年2月15日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 二見書房 2007/04
雑誌で読んだから、文庫は別に買わなくていいかなと思ってスルーしていたのだが、スピンオフ?の新刊を見たら懐かしくなったので買ってみた。
表紙のイラストは1巻のほうが好き。色使いが綺麗。
ネタバレ
--------------------------------------------
初めて読んだ真崎作品はこれだったなあ。
すごく好みというわけではないけど、文章が読みやすいし、とっつきやすい作品だったので面白く読んだ。で、私好みな1冊を探して色々買ったような。
主人公の朝陽が結構好きなタイプ。さっぱりしてるし、考え方や感覚も普通で共感しやすい。強さと弱さのバランスが取れているというか、過去を引きずっているけど、暗いということもなく、まあ安心して感情移入できる。山荘で働くようになった経緯とか仕事の話とかも面白かった。
塩見は基本が男らしいし、素直な年下攻で可愛いけど、ちょっと地味というか。魅力的なキャラなんだけど、十分に魅力を発揮できなかったかなーと。朝陽の過去の話が長いので、塩見にはページ数が足りなかったような印象。二人が惹かれあう過程をもっとじっくり語ってほしかった。
スピンオフのほうは、本編で攻以上に目立っていた?浅田と、赴任してきたお医者さんの話。これも、なんか気がついたら惹かれ合ってました的な話で、浅田という魅力的な攻を持ってきた割に、ちょっと盛り上がらなかったなあと。塩見が滑落したところでは、浅田と朝陽の仲に嫉妬したことよりも、間宮が出る幕無しで居心地悪くて、なんだか浮いてしまったという描写が妙に印象に残った。
間宮もいいキャラだと思うけど、イマイチ好みじゃなかったし、ちょっと感情移入しづらかった。そのせいか、浅田が間宮のどこに惹かれたのか分かりづらかった。納得できないわけじゃないけど、ピンと来なかったという感じ。
両方のカップルが仲良く食事をする続編SSは、ちょっとばかりついていけなかった。やっぱり1作品にホモカップルは一組だけっていうほうが私は好きだなあ。
あと、男を「美人」と称して、とくに突っ込みの入らないBLにはどうしても入り込めないものを感じる……。
…文句ばかり並べてしまったが、結構楽しく読んだ。わりとあっさりした話なので(驚きとか感動とか、そういう種類の面白さじゃないので)、面白い部分はサクサクと読んでしまい、あー面白かったなあという感じ。スタンダードなので、ちょっと感想が書きづらい……。
雑誌で読んだから、文庫は別に買わなくていいかなと思ってスルーしていたのだが、スピンオフ?の新刊を見たら懐かしくなったので買ってみた。
表紙のイラストは1巻のほうが好き。色使いが綺麗。
ネタバレ
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初めて読んだ真崎作品はこれだったなあ。
すごく好みというわけではないけど、文章が読みやすいし、とっつきやすい作品だったので面白く読んだ。で、私好みな1冊を探して色々買ったような。
主人公の朝陽が結構好きなタイプ。さっぱりしてるし、考え方や感覚も普通で共感しやすい。強さと弱さのバランスが取れているというか、過去を引きずっているけど、暗いということもなく、まあ安心して感情移入できる。山荘で働くようになった経緯とか仕事の話とかも面白かった。
塩見は基本が男らしいし、素直な年下攻で可愛いけど、ちょっと地味というか。魅力的なキャラなんだけど、十分に魅力を発揮できなかったかなーと。朝陽の過去の話が長いので、塩見にはページ数が足りなかったような印象。二人が惹かれあう過程をもっとじっくり語ってほしかった。
スピンオフのほうは、本編で攻以上に目立っていた?浅田と、赴任してきたお医者さんの話。これも、なんか気がついたら惹かれ合ってました的な話で、浅田という魅力的な攻を持ってきた割に、ちょっと盛り上がらなかったなあと。塩見が滑落したところでは、浅田と朝陽の仲に嫉妬したことよりも、間宮が出る幕無しで居心地悪くて、なんだか浮いてしまったという描写が妙に印象に残った。
間宮もいいキャラだと思うけど、イマイチ好みじゃなかったし、ちょっと感情移入しづらかった。そのせいか、浅田が間宮のどこに惹かれたのか分かりづらかった。納得できないわけじゃないけど、ピンと来なかったという感じ。
両方のカップルが仲良く食事をする続編SSは、ちょっとばかりついていけなかった。やっぱり1作品にホモカップルは一組だけっていうほうが私は好きだなあ。
あと、男を「美人」と称して、とくに突っ込みの入らないBLにはどうしても入り込めないものを感じる……。
…文句ばかり並べてしまったが、結構楽しく読んだ。わりとあっさりした話なので(驚きとか感動とか、そういう種類の面白さじゃないので)、面白い部分はサクサクと読んでしまい、あー面白かったなあという感じ。スタンダードなので、ちょっと感想が書きづらい……。
ホライズンブルー
2010年1月8日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 幻冬舎コミックス 2009/06
本屋のレジで列に並ぶのが面倒なので、どうせならいっぱい買おうと思って、あらすじも設定も確かめずに作家買いした本。
この表紙でよく買ったなあ。いや、イラスト自体は好きな絵柄だし、文句をつけてるわけじゃなく、受が可愛い系の学生に見えるので。たぶん普段なら趣味に合わないだろうと思って、中身を確かめずに棚に戻してしまう。
ネタバレ
-----------------------------------------------
そんなわけで、話が面白ければ趣味に合わなくてもいいやと思って読み始めたのだが、受は27歳、攻は22歳。年下攻だった。しかも受はちっとも可愛い系ではなく、さばさばしていて攻にはちょっと意地悪というキャラで、好みのタイプだった。
崖から飛び降りた攻を受が助けるところから始まり、島の民宿でののんびりとした生活が続く。まったりした中で距離を縮めていきつつ、お互いの事情と過去が邪魔をして…というストーリーも面白かった。
重たすぎる過去を持つわりには、あっさり救われてしまった気がしなくもないけど、本来立ち止まっていられるタイプじゃないんだろうなあということで納得した。たぶん、きっかけさえあれば立ち直れる時期に、攻と出会ったんじゃないかなあと思った。
恋愛部分もよかったけど、お年寄りとのふれあいとかもよかったし、こういう静かな島で何もしないでボーっと過ごす休暇とか憧れる。
本屋のレジで列に並ぶのが面倒なので、どうせならいっぱい買おうと思って、あらすじも設定も確かめずに作家買いした本。
この表紙でよく買ったなあ。いや、イラスト自体は好きな絵柄だし、文句をつけてるわけじゃなく、受が可愛い系の学生に見えるので。たぶん普段なら趣味に合わないだろうと思って、中身を確かめずに棚に戻してしまう。
ネタバレ
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そんなわけで、話が面白ければ趣味に合わなくてもいいやと思って読み始めたのだが、受は27歳、攻は22歳。年下攻だった。しかも受はちっとも可愛い系ではなく、さばさばしていて攻にはちょっと意地悪というキャラで、好みのタイプだった。
崖から飛び降りた攻を受が助けるところから始まり、島の民宿でののんびりとした生活が続く。まったりした中で距離を縮めていきつつ、お互いの事情と過去が邪魔をして…というストーリーも面白かった。
重たすぎる過去を持つわりには、あっさり救われてしまった気がしなくもないけど、本来立ち止まっていられるタイプじゃないんだろうなあということで納得した。たぶん、きっかけさえあれば立ち直れる時期に、攻と出会ったんじゃないかなあと思った。
恋愛部分もよかったけど、お年寄りとのふれあいとかもよかったし、こういう静かな島で何もしないでボーっと過ごす休暇とか憧れる。
陰猫
2009年11月24日 BL作家ま・や・ら・わ行
水原とほる 海王社 2008/11
初めて読む作者さん。
ガッシュ文庫も初めてだったり?
もしかしたら1度ぐらいは読んだことがあるかもしれないけど、縁がないレーベルであることは確か。
ネタバレ
------------------------------------------
草間さんのイラストが素敵だった!
好きだな~。攻のアパートをもっと描いてほしかった。攻が風邪を引いているせいで、ベッドで寝てるシーンのイラストしかなくて残念。
あとがきがわりにイラスト指定のないシーンを描いてて、さすが草間さん、そのシーンはイラスト欲しかったですよね!と嬉しくなってしまった。
正直、エッチシーンのイラストとか、あんまり興味ないし、むしろ読むのに邪魔だったりするし。せっかく情景が浮かぶような絵的に美しいシーンがあるんだから、そっちにイラスト欲しかったよなあと。
…小説の感想も。
面白かった。
なんか変なタイトル……って読むのをためらってたけど面白かった。
タイトルの意味は話の中身に合ってはいるんだけど、あんまりセンスよくないような。造語だから本文を読まないと意味も分からないし、最初に見たときは化け猫の怪談かと思った。他になかったのか…。
南風さんのレビューを拝読してなかったら、いくら草間さんのイラストでも手に取らなかったと思う。ありがとうございます。
まあそんなことはともかく、あらすじ。結婚詐欺にあった会社員が婚約者の弟に捜索を依頼したら、うっかり食われちゃう話。
真面目でちょっと気が弱いだけの流され受かと思えば、わりと自分を持っているキャラだった。ピントがずれているようでも、本人なりの筋が通っているので、共感できないまでも行動に納得ができる。頑固だったり、自分は「日陰」の人間だと思っていたり、内面も奥深いものがあった。好みではないけど、好感の持てるタイプで。
結婚詐欺の話も単なるトラブルに終わらず、かなり丁寧に描きこまれていて、しかもそれが攻の生い立ちと、受の隠し持っていた一面を浮き彫りにしていくので読み応えがあった。
脇キャラも個性的だったし、お互いが惹かれあう過程も分かりやすかったし、テンポのよさや意外性もあって最後まで楽しめた。
BLとして好みかと聞かれるとそうでもなかったけど、小説として面白かった。
初めて読む作者さん。
ガッシュ文庫も初めてだったり?
もしかしたら1度ぐらいは読んだことがあるかもしれないけど、縁がないレーベルであることは確か。
ネタバレ
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草間さんのイラストが素敵だった!
好きだな~。攻のアパートをもっと描いてほしかった。攻が風邪を引いているせいで、ベッドで寝てるシーンのイラストしかなくて残念。
あとがきがわりにイラスト指定のないシーンを描いてて、さすが草間さん、そのシーンはイラスト欲しかったですよね!と嬉しくなってしまった。
正直、エッチシーンのイラストとか、あんまり興味ないし、むしろ読むのに邪魔だったりするし。せっかく情景が浮かぶような絵的に美しいシーンがあるんだから、そっちにイラスト欲しかったよなあと。
…小説の感想も。
面白かった。
なんか変なタイトル……って読むのをためらってたけど面白かった。
タイトルの意味は話の中身に合ってはいるんだけど、あんまりセンスよくないような。造語だから本文を読まないと意味も分からないし、最初に見たときは化け猫の怪談かと思った。他になかったのか…。
南風さんのレビューを拝読してなかったら、いくら草間さんのイラストでも手に取らなかったと思う。ありがとうございます。
まあそんなことはともかく、あらすじ。結婚詐欺にあった会社員が婚約者の弟に捜索を依頼したら、うっかり食われちゃう話。
真面目でちょっと気が弱いだけの流され受かと思えば、わりと自分を持っているキャラだった。ピントがずれているようでも、本人なりの筋が通っているので、共感できないまでも行動に納得ができる。頑固だったり、自分は「日陰」の人間だと思っていたり、内面も奥深いものがあった。好みではないけど、好感の持てるタイプで。
結婚詐欺の話も単なるトラブルに終わらず、かなり丁寧に描きこまれていて、しかもそれが攻の生い立ちと、受の隠し持っていた一面を浮き彫りにしていくので読み応えがあった。
脇キャラも個性的だったし、お互いが惹かれあう過程も分かりやすかったし、テンポのよさや意外性もあって最後まで楽しめた。
BLとして好みかと聞かれるとそうでもなかったけど、小説として面白かった。
忘れないでいてくれ
2009年10月24日 BL作家ま・や・ら・わ行
夜光花 幻冬舎コミックス 2009/09
夜光さんは初期の作品は好きだったんだけど、だんだん私の趣味から逸れた方向に行ってしまったので、最近は新刊が出てもチェックすることはなかったのだが、今回はタイトルと表紙を見てちょっと気になっていた。そんなに好きなタイプのイラストじゃないけど(顔怖いし)、今回は色使いと構図で目を引いたせいかな。
まあそのうち古本屋でチェックしてみるかと思っていたら、貸していただいた。いつもすみませんです。
ネタバレ
-------------------------------------------------
口絵を見て、ドレッド×女装のカップルが!と衝撃を受けたのだが(趣味に合わんから)、女性でしたか。BLの口絵で男女カップルって珍しいなー。女装よりは女性のほうが私は好きだけど。まあ趣味の問題で。
女性といっても脇役で変人なので、BLで女性が出てくるのはちょっと…という人でも抵抗なさそう。なんか女性の嫌な部分を見たくなくてBLを読んでいるという人は、女性の当て馬が出てくるのはダメらしい。BLはあくまでFTがいいってことかな。
私は普通に女性にもモテる男のほうがカッコイイと思うから、女性の脇役好きだけど。夢の見方は人それぞれってことで(笑)
そろそろ話を本題に…。
なかなか面白い設定だなあと。特殊能力としては目新しくはないけど、詐欺まがいの商売をしてるっていうのはちょっと珍しいような気がする。どうだろう。珍しいと思っても、単に私が知らないだけ思い出せないだけで、珍しくもないってことはよくあるからなあ。まあいいや。私としては新鮮だった。
すべて超能力を使って記憶を消すのではなく、簡単な?催眠術と組み合わせて忘れさせるっていうのも、もっともらしさというか、説得力みたいなものがあって面白かった。こういう書き方好きだなー。読み応えがあるし。話のテンポもちょうどよく、事件と主人公の内面を描くバランスもよかったし、最後までだれることなく一気に読めた。
清涼はもちろん、友人の塚本や黒薔薇さんも楽しいキャラだった。
ちょっとだけ分からなかったのは、清涼の復讐の方法。兄弟両方に復讐をしたかったのかな。でも、憎んでいるのは弟のほうだろうし。兄に弟を殺させて、自分はその場面を見ることもなく家の外で待機して。それで気がすむものなのだろうか。できるものなら自分の手で憎い犯人を殺してやりたいって考えるほうが自然な気がする。うーん。
この場面は、幸田が言うことを聞いたふりをして弟のところに行き、弟と二人で清涼を殺そうとし、秦野と塚本が助けに来るっていう展開を予想していたので、意外といえば意外な展開だった。…自分の妄想でスリルを味わってしまうとは。
えーっと、もちろん?わたくしの個人な、この作品のポイントはムリヤリですね。
今回は先にあらすじを読んでムリヤリがあるのは分かっていたので、さあ、どういう書き方でくる?と待ち構えていたのだが。
ダメだ、ダメすぎる。この展開、要らなくないですか?
まず、被害者である清涼が、この件に関して「1回殴られた」ぐらいの意識しかない。全然気にしてない。よくある「出会いは最悪だった」っていうパターンで終わらせるなら、派手にケンカでもさせればすむ話で、犯罪にする必要がどこにあったんだろう。せいぜい、あらすじに刺激的でインパクトのある要素を1つ追加するぐらいの効果しかないと思うんだけど、それってそんなに重要なことなのか…。まあ売上げが変っちゃうなら問題か。うーーん。
自身が性犯罪の被害者であり、今は性犯罪の事件を担当している真面目で熱血な刑事がいきなり強姦ってないでしょう…。いくら頭に血が上っても「自分と同じ苦痛を味わえ」って刑事として以前に、人間として最低だ。自分が一生ものの心の傷を負っていて、1番被害者の気持ちを理解していてほしい立場なだけに許せなかった。自首? 「すまん」ですんだら、刑事なんていらねーよ。
「幸田先輩は現職の刑事だったから殺人なんてありえない」という意味のことを秦野が言ったときは、笑えないブラックジョークかと思った。お前、自分が犯罪者だって忘れたのか? 確かにこれだけ忘れっぽければ、清涼に記憶を封印してもらう必要もないね。
私は秦野がどんな正論を言っても「お前に言われてもな」って気分にしかならなかった。
秦野は真面目で正義感が強いっていう性格設定なだけに、ほんとに最初の強姦シーンが余計に思える。あれがなければ、秦野の強さや優しさというものに説得力があったはず。いいキャラなのに、惜しいと思う。BLでムリヤリはしょーがないのかもしれないけど、今回はとくに納得いかなかった。
うーん、すごく好みに合う作品だっただけに、つまらんところで引っかかってしまったのが残念だ。引っかかってしまう人のほうが少ないだろうから、これでいいのか。
夜光さんは初期の作品は好きだったんだけど、だんだん私の趣味から逸れた方向に行ってしまったので、最近は新刊が出てもチェックすることはなかったのだが、今回はタイトルと表紙を見てちょっと気になっていた。そんなに好きなタイプのイラストじゃないけど(顔怖いし)、今回は色使いと構図で目を引いたせいかな。
まあそのうち古本屋でチェックしてみるかと思っていたら、貸していただいた。いつもすみませんです。
ネタバレ
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口絵を見て、ドレッド×女装のカップルが!と衝撃を受けたのだが(趣味に合わんから)、女性でしたか。BLの口絵で男女カップルって珍しいなー。女装よりは女性のほうが私は好きだけど。まあ趣味の問題で。
女性といっても脇役で変人なので、BLで女性が出てくるのはちょっと…という人でも抵抗なさそう。なんか女性の嫌な部分を見たくなくてBLを読んでいるという人は、女性の当て馬が出てくるのはダメらしい。BLはあくまでFTがいいってことかな。
私は普通に女性にもモテる男のほうがカッコイイと思うから、女性の脇役好きだけど。夢の見方は人それぞれってことで(笑)
そろそろ話を本題に…。
なかなか面白い設定だなあと。特殊能力としては目新しくはないけど、詐欺まがいの商売をしてるっていうのはちょっと珍しいような気がする。どうだろう。珍しいと思っても、単に私が知らないだけ思い出せないだけで、珍しくもないってことはよくあるからなあ。まあいいや。私としては新鮮だった。
すべて超能力を使って記憶を消すのではなく、簡単な?催眠術と組み合わせて忘れさせるっていうのも、もっともらしさというか、説得力みたいなものがあって面白かった。こういう書き方好きだなー。読み応えがあるし。話のテンポもちょうどよく、事件と主人公の内面を描くバランスもよかったし、最後までだれることなく一気に読めた。
清涼はもちろん、友人の塚本や黒薔薇さんも楽しいキャラだった。
ちょっとだけ分からなかったのは、清涼の復讐の方法。兄弟両方に復讐をしたかったのかな。でも、憎んでいるのは弟のほうだろうし。兄に弟を殺させて、自分はその場面を見ることもなく家の外で待機して。それで気がすむものなのだろうか。できるものなら自分の手で憎い犯人を殺してやりたいって考えるほうが自然な気がする。うーん。
この場面は、幸田が言うことを聞いたふりをして弟のところに行き、弟と二人で清涼を殺そうとし、秦野と塚本が助けに来るっていう展開を予想していたので、意外といえば意外な展開だった。…自分の妄想でスリルを味わってしまうとは。
えーっと、もちろん?わたくしの個人な、この作品のポイントはムリヤリですね。
今回は先にあらすじを読んでムリヤリがあるのは分かっていたので、さあ、どういう書き方でくる?と待ち構えていたのだが。
ダメだ、ダメすぎる。この展開、要らなくないですか?
まず、被害者である清涼が、この件に関して「1回殴られた」ぐらいの意識しかない。全然気にしてない。よくある「出会いは最悪だった」っていうパターンで終わらせるなら、派手にケンカでもさせればすむ話で、犯罪にする必要がどこにあったんだろう。せいぜい、あらすじに刺激的でインパクトのある要素を1つ追加するぐらいの効果しかないと思うんだけど、それってそんなに重要なことなのか…。まあ売上げが変っちゃうなら問題か。うーーん。
自身が性犯罪の被害者であり、今は性犯罪の事件を担当している真面目で熱血な刑事がいきなり強姦ってないでしょう…。いくら頭に血が上っても「自分と同じ苦痛を味わえ」って刑事として以前に、人間として最低だ。自分が一生ものの心の傷を負っていて、1番被害者の気持ちを理解していてほしい立場なだけに許せなかった。自首? 「すまん」ですんだら、刑事なんていらねーよ。
「幸田先輩は現職の刑事だったから殺人なんてありえない」という意味のことを秦野が言ったときは、笑えないブラックジョークかと思った。お前、自分が犯罪者だって忘れたのか? 確かにこれだけ忘れっぽければ、清涼に記憶を封印してもらう必要もないね。
私は秦野がどんな正論を言っても「お前に言われてもな」って気分にしかならなかった。
秦野は真面目で正義感が強いっていう性格設定なだけに、ほんとに最初の強姦シーンが余計に思える。あれがなければ、秦野の強さや優しさというものに説得力があったはず。いいキャラなのに、惜しいと思う。BLでムリヤリはしょーがないのかもしれないけど、今回はとくに納得いかなかった。
うーん、すごく好みに合う作品だっただけに、つまらんところで引っかかってしまったのが残念だ。引っかかってしまう人のほうが少ないだろうから、これでいいのか。
追憶の獅子
2009年2月4日 BL作家ま・や・ら・わ行 コメント (2)
Unit Vanilla 大洋図書 2009/1
シリーズ完結の4冊目。
4冊目は設定が好みっぽかったのだが、3冊目が面白かったので、逆にもう期待していなかった。
けど、これは面白い。
AGシリーズは失敗だろ、という失礼な発言はここで撤回しておきます。
少なくとも後半2冊が世に出てよかったと…。
でも、シリーズ全体をコメディと位置づけるのは無理があると思う。(なにか言わずにいられない性格なもので…)
ネタバレ
------------------------------------------
これは、ひちわさん?
実は2冊目がひちわさんかと思ってたんだけど、これがひちわさんって気がしてきた。…ただ私はどうも岩本さんとひちわさんの区別がよく分かってない気がするから、自信はないけど。
感想を書きつつ、その予想の根拠を。
毎回、しょーもない!と書き続けてきたAGという組織の創設秘話が織り込まれている。本当に町内清掃から始まった組織だったとは意外でした(笑)
3巻でのフォローと今回の話を読んで、組織のあり方にわりと納得がいった。なにかこう、他の3人が広げた風呂敷(伏線とか含めて)を一生懸命畳みつつ(回収しつつ)、自作を展開していたという印象だった。このフォローの上手さが、ひちわさん的。ひちわさんはよく自作の本編に対しても、続編で自然にきれいにこまめにフォローを入れてるし、「SASRA」でも最終話でぶったぎられた「グランドロマン」を(ぶったぎったのは、話の構成上必要だったからだけど)、続編できっちり補修していたし。
AG創設の話ではアーサーの人柄がすごく魅力的。1、2冊目で「理念に共感した」というキャラの言葉を笑い飛ばしていた私も、アーサーの語る理想には素直に好感が持てた。
今回も「くだらないミッション」なのだが、使命に燃えてない諒一がミッションを受けているので、しょーもなさが作品内でも「しょーもないもの」として描かれるので、全然気にならなかった。お見事です。
3冊目のほうが小説としての読み応えはあったけど、4冊目のほうが恋愛ものとして楽しめる。普通にロマンスが入ってる。
男前な主人公とちょっぴりヘタレなセレブって組み合わせ。これも、ひちわさん的。脇キャラが個性的で奥行きがある。しかも当て馬とか主人公のファンとかではなく、友達として出てくるあたりも、ひちわさん的。
主人公が貴族のお屋敷に住んでても、さびれたパブが舞台っていうのも、ひちわさんっぽい。
諒一がカッコよかった。ひねくれてるように見えて情が深く、優しいんだけど甘くなり過ぎないあたりが。落ち込んでいるようなときでも、男らしいのがよかった。
ダグラスもヘタレだけど、実はセレブで、ものすごい包容力を持っていて、でもやっぱりヘタレで(笑)
ヘタレ×男前が好きなので、歳の差、年上攻であることが気にならなかった。
ストーリーは過去ともっと過去を行ったり来たりなのが、最初は読みづらかったが、慣れると別に平気だった。むしろラブと直接結びつかないアーサーとの友情を、BL読者に「ジャマな部分」と思わせず、楽しく読ませてしまうところがすごい。
日本での再会で終わりかと思ったら、さらに仕掛けがあって、読み応えたっぷりだった。なかなかカッコいいラストシーンだし。
諒一とダグラス、両方の視点で話が進むので、どちらにも感情移入しやすかった。ふたりとも適度に弱い部分やダメなところがあって共感しやすいタイプだし、しかも魅力的だし。
や~、面白かった。甘さたっぷりなところもよかった。
シリーズ完結の4冊目。
4冊目は設定が好みっぽかったのだが、3冊目が面白かったので、逆にもう期待していなかった。
けど、これは面白い。
AGシリーズは失敗だろ、という失礼な発言はここで撤回しておきます。
少なくとも後半2冊が世に出てよかったと…。
でも、シリーズ全体をコメディと位置づけるのは無理があると思う。(なにか言わずにいられない性格なもので…)
ネタバレ
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これは、ひちわさん?
実は2冊目がひちわさんかと思ってたんだけど、これがひちわさんって気がしてきた。…ただ私はどうも岩本さんとひちわさんの区別がよく分かってない気がするから、自信はないけど。
感想を書きつつ、その予想の根拠を。
毎回、しょーもない!と書き続けてきたAGという組織の創設秘話が織り込まれている。本当に町内清掃から始まった組織だったとは意外でした(笑)
3巻でのフォローと今回の話を読んで、組織のあり方にわりと納得がいった。なにかこう、他の3人が広げた風呂敷(伏線とか含めて)を一生懸命畳みつつ(回収しつつ)、自作を展開していたという印象だった。このフォローの上手さが、ひちわさん的。ひちわさんはよく自作の本編に対しても、続編で自然にきれいにこまめにフォローを入れてるし、「SASRA」でも最終話でぶったぎられた「グランドロマン」を(ぶったぎったのは、話の構成上必要だったからだけど)、続編できっちり補修していたし。
AG創設の話ではアーサーの人柄がすごく魅力的。1、2冊目で「理念に共感した」というキャラの言葉を笑い飛ばしていた私も、アーサーの語る理想には素直に好感が持てた。
今回も「くだらないミッション」なのだが、使命に燃えてない諒一がミッションを受けているので、しょーもなさが作品内でも「しょーもないもの」として描かれるので、全然気にならなかった。お見事です。
3冊目のほうが小説としての読み応えはあったけど、4冊目のほうが恋愛ものとして楽しめる。普通にロマンスが入ってる。
男前な主人公とちょっぴりヘタレなセレブって組み合わせ。これも、ひちわさん的。脇キャラが個性的で奥行きがある。しかも当て馬とか主人公のファンとかではなく、友達として出てくるあたりも、ひちわさん的。
主人公が貴族のお屋敷に住んでても、さびれたパブが舞台っていうのも、ひちわさんっぽい。
諒一がカッコよかった。ひねくれてるように見えて情が深く、優しいんだけど甘くなり過ぎないあたりが。落ち込んでいるようなときでも、男らしいのがよかった。
ダグラスもヘタレだけど、実はセレブで、ものすごい包容力を持っていて、でもやっぱりヘタレで(笑)
ヘタレ×男前が好きなので、歳の差、年上攻であることが気にならなかった。
ストーリーは過去ともっと過去を行ったり来たりなのが、最初は読みづらかったが、慣れると別に平気だった。むしろラブと直接結びつかないアーサーとの友情を、BL読者に「ジャマな部分」と思わせず、楽しく読ませてしまうところがすごい。
日本での再会で終わりかと思ったら、さらに仕掛けがあって、読み応えたっぷりだった。なかなかカッコいいラストシーンだし。
諒一とダグラス、両方の視点で話が進むので、どちらにも感情移入しやすかった。ふたりとも適度に弱い部分やダメなところがあって共感しやすいタイプだし、しかも魅力的だし。
や~、面白かった。甘さたっぷりなところもよかった。
慈雨
2008年12月22日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 幻冬舎コミックス 2008/12
『白雨』の続編。
積み上げる前に読んでみた。
かなりネタバレ
-----------------------------------------
うーん…。続編としか言いようのない話だった。正真正銘の続編だからそれでいいんだろうし、つまらないとは云わないけど。薄味で物足りない。当て馬が出てきて適度に(…)加賀を嫉妬させ、高校生のときに水沢を捨てた母親が金の無心にきて決別し、加賀の父親が出てきて嫌味を言うだけで(?)帰っていき。…すべて片付いたところで水沢が同居を決意。
きれいなラインだとは思うけど、相当重いはずのひとつひとつの事件が予定調和的にさらっと流されていってしまった感があった。というわけで、あんまり感情移入できないまま終わってしまった。
あと…いくらアットホームでプライバシーがあんまりない?職場とはいえ、店のバイトが「家族なら俺たちもいます」みたいな発言をするのは、くさすぎるうえに違和感があった。まあこのへんは個人的な感覚の問題かもしれないけど。
『白雨』の続編。
積み上げる前に読んでみた。
かなりネタバレ
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うーん…。続編としか言いようのない話だった。正真正銘の続編だからそれでいいんだろうし、つまらないとは云わないけど。薄味で物足りない。当て馬が出てきて適度に(…)加賀を嫉妬させ、高校生のときに水沢を捨てた母親が金の無心にきて決別し、加賀の父親が出てきて嫌味を言うだけで(?)帰っていき。…すべて片付いたところで水沢が同居を決意。
きれいなラインだとは思うけど、相当重いはずのひとつひとつの事件が予定調和的にさらっと流されていってしまった感があった。というわけで、あんまり感情移入できないまま終わってしまった。
あと…いくらアットホームでプライバシーがあんまりない?職場とはいえ、店のバイトが「家族なら俺たちもいます」みたいな発言をするのは、くさすぎるうえに違和感があった。まあこのへんは個人的な感覚の問題かもしれないけど。
恋でなくても
2008年12月5日 BL作家ま・や・ら・わ行 コメント (2)
真崎ひかる 幻冬舎コミックス 2008/11
今回買ったのはルチル文庫版だが、画像はリーフノベルズのほう。
なぜかというと、それは……リーフ版を既読だったから。
はい、読んだことがないと思い込んでいましたが、しっかり既読作品でした。
ネタバレのつぶやき。
---------------------------------------------------
うーーん。真崎さんはあまり読んだことがないし、リーフには縁がないし、タイトルにインパクトがないから(このタイトルは個人的に好きだけど)、未読だとばかり…。
友達からお借りしたのか、自分で買って手放したのか。何年か前のことなので、そのへんの経緯をさっぱり思い出せないが、この作品の内容はよーく覚えていた。
記憶力の低下が著しいので読んだ端から内容を忘れ去ってしまう作品も多いのだが、この作品はそれだけ印象が強かったらしい。
まず1ページ目で、ん?と思い、もしかして…と読み進め、5ページ目でレストランの名前が出てきたときに確信した。うん、しっかり読んだ記憶がある。
で。そのまま再読していったら、あまりによく覚えていてちょっと驚いた。
休日 →開発研究室でおやつ →出会いのシーン →新店舗の視察 →十河との再会 →学生時代の初めての「慰めて?」(笑) →会社に来てくれと頼まれる →安西が部屋に来る →十河が保科の部屋にいる →杉原が家出? →すれ違い →食中毒疑惑 →狂言だった →ラスト
あらすじを列挙したかったわけではなく、覚えていた場面を書き出したわけだが。ほぼ全部覚えているんじゃ? …手放したけど、実はかなり気に入ってたんじゃないだろうか。
ただ当時の感想を思い出してみたら、なんとなくモヤモヤとしたイメージが残っている。たぶん杉原が好みのタイプの上に感情移入しやすいタイプだったから、十河がジャマ!とか、保科が(ヘタレなくせに)ちょっと俺様過ぎ!みたいな流れになってしまったような。
私が健気受を苦手というのは、単純に好みじゃないせいもあるけど、感情移入してると腹が立つせいで。この作品の杉原はいわゆる健気受ではないけど、いじらしい片思いを続けている。そんな杉原に感情移入しすぎたせいで、どうも読んでいて彼の境遇に腹が立ったらしい。…共感するというより、肩入れしすぎたというか。
改めて読んでみると、こういう長年ジレジレして、もどかしい関係が結構好きだし、再読だからか保科が可愛く思えてきた。杉原はまあ元から好きなタイプだし。
社長×秘書より逆が好き、しかも年下攻がいいという趣味なので、そこらへんが個人的には燃えないところなのだが、恋愛小説として面白く読んだ。真崎さんの作品はそれほど読んでいないけど、回想シーンに力を入れる作家さんだという印象があって、ちょっと力を入れ過ぎているように感じるときもある。この作品の場合、その回想の長さや深さが程よく決まっていた。
仕事面とか、回想の入り方とか、当て馬の出方とか、切なさの匙加減とか、そこらへんの流れとバランスのよさが読んでいて気持ちがいい作品だった。
秋林さん、再読のきっかけを作っていただき、ありがとうございました。
今回買ったのはルチル文庫版だが、画像はリーフノベルズのほう。
なぜかというと、それは……リーフ版を既読だったから。
はい、読んだことがないと思い込んでいましたが、しっかり既読作品でした。
ネタバレのつぶやき。
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うーーん。真崎さんはあまり読んだことがないし、リーフには縁がないし、タイトルにインパクトがないから(このタイトルは個人的に好きだけど)、未読だとばかり…。
友達からお借りしたのか、自分で買って手放したのか。何年か前のことなので、そのへんの経緯をさっぱり思い出せないが、この作品の内容はよーく覚えていた。
記憶力の低下が著しいので読んだ端から内容を忘れ去ってしまう作品も多いのだが、この作品はそれだけ印象が強かったらしい。
まず1ページ目で、ん?と思い、もしかして…と読み進め、5ページ目でレストランの名前が出てきたときに確信した。うん、しっかり読んだ記憶がある。
で。そのまま再読していったら、あまりによく覚えていてちょっと驚いた。
休日 →開発研究室でおやつ →出会いのシーン →新店舗の視察 →十河との再会 →学生時代の初めての「慰めて?」(笑) →会社に来てくれと頼まれる →安西が部屋に来る →十河が保科の部屋にいる →杉原が家出? →すれ違い →食中毒疑惑 →狂言だった →ラスト
あらすじを列挙したかったわけではなく、覚えていた場面を書き出したわけだが。ほぼ全部覚えているんじゃ? …手放したけど、実はかなり気に入ってたんじゃないだろうか。
ただ当時の感想を思い出してみたら、なんとなくモヤモヤとしたイメージが残っている。たぶん杉原が好みのタイプの上に感情移入しやすいタイプだったから、十河がジャマ!とか、保科が(ヘタレなくせに)ちょっと俺様過ぎ!みたいな流れになってしまったような。
私が健気受を苦手というのは、単純に好みじゃないせいもあるけど、感情移入してると腹が立つせいで。この作品の杉原はいわゆる健気受ではないけど、いじらしい片思いを続けている。そんな杉原に感情移入しすぎたせいで、どうも読んでいて彼の境遇に腹が立ったらしい。…共感するというより、肩入れしすぎたというか。
改めて読んでみると、こういう長年ジレジレして、もどかしい関係が結構好きだし、再読だからか保科が可愛く思えてきた。杉原はまあ元から好きなタイプだし。
社長×秘書より逆が好き、しかも年下攻がいいという趣味なので、そこらへんが個人的には燃えないところなのだが、恋愛小説として面白く読んだ。真崎さんの作品はそれほど読んでいないけど、回想シーンに力を入れる作家さんだという印象があって、ちょっと力を入れ過ぎているように感じるときもある。この作品の場合、その回想の長さや深さが程よく決まっていた。
仕事面とか、回想の入り方とか、当て馬の出方とか、切なさの匙加減とか、そこらへんの流れとバランスのよさが読んでいて気持ちがいい作品だった。
秋林さん、再読のきっかけを作っていただき、ありがとうございました。
胡蝶の誘惑
2008年12月2日 BL作家ま・や・ら・わ行 コメント (4)
Unit Vanilla 大洋図書 2008/11
評判はたぶんよくないけど、私にとってはこのシリーズの中で一番読ませる作品はこれ。4冊目を待つまでもなさそう。
ネタと作風の好き嫌いは別として、小説として読ませてくれるところがいい。
このシリーズ、「覇者(スター)」、「誘惑(エロス)」とか「獅子(キング)」とかタイトルの漢字をいちいちカタカナで読ませるのがどうにもセンスを感じないのだが…。これも趣味の問題か。
ネタバレ。
------------------------------------------------
これは木原さんでしょう。3行ぐらい読んで予想終わり。これが木原さんじゃなければ、どれだけ模倣の上手い作者なんだ?と思う。あちこちに散りばめられた木原テイストの展開、小道具の数々を本人以外が出しているとしたら、かなりマニアックだ。ネタもキャラ(とくに先輩、後輩)も木原テイストだし、徹底した暴走ぶりなんかも。
まあ外れても迷惑がかかるというものではないので(ここまで自信たっぷりに書いておいて外れてたら恥ずかしいだろうけど)、木原作品という前提で感想を書こうかと。
受の持病を手術で治すというのが今回のミッションらしい。またずいぶんと町内清掃的なしょーもない世界平和だなーと思いつつ、その持病があると二人の愛の障害になるからBL的には見過ごせないかも?とか思っておくことにした。なにかこう、体の持病より激しい妄想癖のほうが叶野の生活に支障をきたしているような気がしないでもないが。
今回はどうしてこんなに毎回しょぼいミッションなのかということに、一応の説明(フォロー?)がついている。つまり「誰を助けるか」ではなく「誰の依頼なのか」が組織としては重要ということになるのかな。内容はしょーもなく、ツッコミどころ満載であろうとも筋は通った。…つくづく読むのに邪魔な設定だが、片方が何らかの目的を持って近づくという作為的な出会いのシチュエーションを作るために必要な設定だと思うことにした。
叶野は妄想が激しくないときはまずまず常識人で、わりと感情移入しやすいタイプだった。グレッグのほうは木原作品の攻キャラとしては珍しく、普通にカッコいい。叶野の恥ずかしい勘違いから始まった関係だが、まあいい出会いだったのではないかと。
今回の作品の痛さは、この恥ずかしさです。きっと。
読みやすかったし、面白かった。
評判はたぶんよくないけど、私にとってはこのシリーズの中で一番読ませる作品はこれ。4冊目を待つまでもなさそう。
ネタと作風の好き嫌いは別として、小説として読ませてくれるところがいい。
このシリーズ、「覇者(スター)」、「誘惑(エロス)」とか「獅子(キング)」とかタイトルの漢字をいちいちカタカナで読ませるのがどうにもセンスを感じないのだが…。これも趣味の問題か。
ネタバレ。
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これは木原さんでしょう。3行ぐらい読んで予想終わり。これが木原さんじゃなければ、どれだけ模倣の上手い作者なんだ?と思う。あちこちに散りばめられた木原テイストの展開、小道具の数々を本人以外が出しているとしたら、かなりマニアックだ。ネタもキャラ(とくに先輩、後輩)も木原テイストだし、徹底した暴走ぶりなんかも。
まあ外れても迷惑がかかるというものではないので(ここまで自信たっぷりに書いておいて外れてたら恥ずかしいだろうけど)、木原作品という前提で感想を書こうかと。
受の持病を手術で治すというのが今回のミッションらしい。またずいぶんと町内清掃的なしょーもない世界平和だなーと思いつつ、その持病があると二人の愛の障害になるからBL的には見過ごせないかも?とか思っておくことにした。なにかこう、体の持病より激しい妄想癖のほうが叶野の生活に支障をきたしているような気がしないでもないが。
今回はどうしてこんなに毎回しょぼいミッションなのかということに、一応の説明(フォロー?)がついている。つまり「誰を助けるか」ではなく「誰の依頼なのか」が組織としては重要ということになるのかな。内容はしょーもなく、ツッコミどころ満載であろうとも筋は通った。…つくづく読むのに邪魔な設定だが、片方が何らかの目的を持って近づくという作為的な出会いのシチュエーションを作るために必要な設定だと思うことにした。
叶野は妄想が激しくないときはまずまず常識人で、わりと感情移入しやすいタイプだった。グレッグのほうは木原作品の攻キャラとしては珍しく、普通にカッコいい。叶野の恥ずかしい勘違いから始まった関係だが、まあいい出会いだったのではないかと。
今回の作品の痛さは、この恥ずかしさです。きっと。
読みやすかったし、面白かった。
密林の覇者 アーサーズガーディアン
2008年11月7日 BL作家ま・や・ら・わ行 コメント (2)
Unit Vanilla 大洋図書 2008/10
…期待はずれだった。
しっかりネタバレ
-----------------------------------------------
このしょーもない設定のAGシリーズに期待するべきじゃなかったのか…。
今度のミッションは「映画俳優にジャングルツアーさせて、演技力をつけさせる」というものだった。これも世界平和への一歩って認識らしい、AG的には。
これが世界平和のための活動だっていうなら、町内の清掃だって立派に世界平和に繋がる。きれいな町になって人心が和めば世界平和! 拾ったゴミをリサイクルすれば環境にも優しくて、まさに地球規模の貢献!
いや、1巻にくらべれば、はるかに面白くなったのだが、コメディって感じじゃなかったから、しょーもなさも際立って…。役作りのために強制的に命がけのツアーに送り込まれるっていくらなんでも?とか、受はプロなのにどうしてこんな役に立たないの?とか、また入団試験(?)オチですか、とか。密猟者はAGの回し者ですかというぐらい、意味なく二人の殺害までに時間をかけているのもツッコミどころか…。
うーん、恋愛面でも今回は好きになっていく心理面の流れが分かりやすかったし、キャラも好感が持てた。
ただ、(どなたか知りませんが、4人のうちのどなたであっても)普段の先生ならもっと上手く書けますよね?と、どうしても思ってしまう。とくにジャングルでのアクシデントのあたりが、表面的というかテンプレ的というか。手堅くまとめようとして(またはノリだけで書こうとして)、本来の描写力が活かされていなかったという印象。雑というか、大味というか。
なんだかなあ。企画ものって楽しくないなあと思ってしまった。
…期待はずれだった。
しっかりネタバレ
-----------------------------------------------
このしょーもない設定のAGシリーズに期待するべきじゃなかったのか…。
今度のミッションは「映画俳優にジャングルツアーさせて、演技力をつけさせる」というものだった。これも世界平和への一歩って認識らしい、AG的には。
これが世界平和のための活動だっていうなら、町内の清掃だって立派に世界平和に繋がる。きれいな町になって人心が和めば世界平和! 拾ったゴミをリサイクルすれば環境にも優しくて、まさに地球規模の貢献!
いや、1巻にくらべれば、はるかに面白くなったのだが、コメディって感じじゃなかったから、しょーもなさも際立って…。役作りのために強制的に命がけのツアーに送り込まれるっていくらなんでも?とか、受はプロなのにどうしてこんな役に立たないの?とか、また入団試験(?)オチですか、とか。密猟者はAGの回し者ですかというぐらい、意味なく二人の殺害までに時間をかけているのもツッコミどころか…。
うーん、恋愛面でも今回は好きになっていく心理面の流れが分かりやすかったし、キャラも好感が持てた。
ただ、(どなたか知りませんが、4人のうちのどなたであっても)普段の先生ならもっと上手く書けますよね?と、どうしても思ってしまう。とくにジャングルでのアクシデントのあたりが、表面的というかテンプレ的というか。手堅くまとめようとして(またはノリだけで書こうとして)、本来の描写力が活かされていなかったという印象。雑というか、大味というか。
なんだかなあ。企画ものって楽しくないなあと思ってしまった。
硝子の騎士 アーサーズ・ガーディアン
2008年10月9日 BL作家ま・や・ら・わ行
Unit Vanilla 大洋図書 2008/9
蓮川さんのイラストは好きだけど(この作品のイラストも好きだけど)、この表紙でコメディってなんか納得がいかないんですが。
メガネ好きという嗜好に理解がないのが問題なのか…。
ネタバレで貶します
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えーっとまず引用。
まったく興味わかない……って設定だったが、『SASRA』だって別に設定には特別惹かれるところがなかったし、と思って買ってみた。
で、この作品は上記引用の金と暇を持て余した?スペシャリスト集団が、眼鏡フェチで眼鏡をかけている人にしか心を開けないという大学生のお坊ちゃんを助けてあげましょう、世界平和は足許から!という、しょーもない設定で始まる。
あまりにもしょうもない設定なので、BLはファンタジーなんですよ、と自分に言い聞かせて読み始めたのだが、これがもう笑えないコメディで……。なにか気に入らないから笑えないとかじゃなくて、単に面白くない。
このしょーもない設定で書くなら、パワーで押し切るか、捻りをきかさないと笑えないと思うのだが、眼鏡フェチであることとか料理が壊滅的に下手なこととか、クール系で変人の攻が天然系の受にホンロウされちゃうって展開では、ちょっとありがちすぎて、ふーん…またこのパターンなんだーで終わっちゃう。
ところでこのミッションでは、自家用ジェットを使い、カリブ海に面した広大な私有地に屋敷を移築し改造し、何十人もの人間を豪華客船で一ヶ月以上待機させていたらしい。
このどうでもいい設定で(たぶん笑いを取りつつ)のんびり話が進むので、あー、この組織がこんな浪費をやめて本物の慈善団体に寄付でもしてくれたら、一体どれだけの命が救えるんだろう、とか考えてしまった。いや普段はセレブが出てきてもまさかいちいちそんなことは考えないのだが、「世界平和」をお題目に掲げている上に、ずっと予想の範囲内で話が進むので他に考えることもなかったので、ついつい。
まあでもきっと「このミッションは受を助けるだけと見せかけて、実は~」ってパターンだろうなあと思っていたら、本当にそうだった。…もうちょっとでいいから意外性がほしかったな。自称「冷たい人間」の攻が素直で天然系で――実はトラウマ持ちゆえに臆病で人間不信な受にほだされていくってパターンだけでもありがちなのに。
いやいやいや、BLは王道を楽しむものなのかもしれませんが。それにしても。
ミッションの真の目的は誘拐されかかっている受の保護と攻の入会?テストだったというオチだが、……これだけの時間とコストをかけるのはやはりバカバカしいとしか。攻がこのカラクリに気付かなかったのは、攻が非常識だからということも判明。……なんか頭悪そうだ、学者なのに。
あー、これだったらまだしょーもない設定のままのほうがよかったかもしれない。「BLはファンタジーだから」を逆手に取ったオチは好きになれない。そんな意図(BLならこれもありかも?という感覚を利用したつもり)はないのかもしれないが、しょーもないままのほうが救いがあったというか、しょーもない話として楽しめたかもしれない。は~、疲れた。
あとは受が「人々の相互理解を深めるような出会いの場を提供してくれそうだから」という理由で助けられたのが、かなり白ける理由だった。なんというか、(ある意味)才能のある金持ちの子息を救うこと=世界平和に貢献っていう図式に見えてしまって。いまや世界平和も格差社会なんだね、ぐらいは言いたい気分になった。…彼を誘拐の危機から救うなら優秀なボディーガードを一人つければ事足りたはずで、そんな無駄な投資をするぐらいならどこかに無償の学校でも設立したほうがよほど人材育成になるんじゃないかとか。まあいろいろ、どこまでいっても金持ちの道楽的なところが鼻についた。
文句を言いつつ最後まで読んだのは作者のIさんは結構面白い作品を書く方だからなのだが、がっかりした…。
ところでこのシリーズ、あと3冊毎月連続で刊行されるらしい。私の目当ての作者さんはこのうちの二人なので、どっちにしてもあと2冊は買うだろうし、4冊中3冊まで買うなら全部買ったほうがいいような気がするから、結局4冊全部揃えることになりそう。
……企画ものより、お一人ずつ活躍してもらいたい。そのほうが面白いし、才能がもったいない、というのが私の感想。
蓮川さんのイラストは好きだけど(この作品のイラストも好きだけど)、この表紙でコメディってなんか納得がいかないんですが。
メガネ好きという嗜好に理解がないのが問題なのか…。
ネタバレで貶します
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えーっとまず引用。
【アーサーズガーディアン】とは
世界的な大富豪である故アーサー・ブラックフォード卿の遺志を継ぎ
「世界平和は足許から」を理念に活動するスペシャリスト集団。
アーサーの理念に共感し、契約を結んだ『守護天使(ガーディアン)』たちの使命はただひとつ。
アーサーに救いを求める人々に手を差し伸べること・・・。
まったく興味わかない……って設定だったが、『SASRA』だって別に設定には特別惹かれるところがなかったし、と思って買ってみた。
で、この作品は上記引用の金と暇を持て余した?スペシャリスト集団が、眼鏡フェチで眼鏡をかけている人にしか心を開けないという大学生のお坊ちゃんを助けてあげましょう、世界平和は足許から!という、しょーもない設定で始まる。
あまりにもしょうもない設定なので、BLはファンタジーなんですよ、と自分に言い聞かせて読み始めたのだが、これがもう笑えないコメディで……。なにか気に入らないから笑えないとかじゃなくて、単に面白くない。
このしょーもない設定で書くなら、パワーで押し切るか、捻りをきかさないと笑えないと思うのだが、眼鏡フェチであることとか料理が壊滅的に下手なこととか、クール系で変人の攻が天然系の受にホンロウされちゃうって展開では、ちょっとありがちすぎて、ふーん…またこのパターンなんだーで終わっちゃう。
ところでこのミッションでは、自家用ジェットを使い、カリブ海に面した広大な私有地に屋敷を移築し改造し、何十人もの人間を豪華客船で一ヶ月以上待機させていたらしい。
このどうでもいい設定で(たぶん笑いを取りつつ)のんびり話が進むので、あー、この組織がこんな浪費をやめて本物の慈善団体に寄付でもしてくれたら、一体どれだけの命が救えるんだろう、とか考えてしまった。いや普段はセレブが出てきてもまさかいちいちそんなことは考えないのだが、「世界平和」をお題目に掲げている上に、ずっと予想の範囲内で話が進むので他に考えることもなかったので、ついつい。
まあでもきっと「このミッションは受を助けるだけと見せかけて、実は~」ってパターンだろうなあと思っていたら、本当にそうだった。…もうちょっとでいいから意外性がほしかったな。自称「冷たい人間」の攻が素直で天然系で――実はトラウマ持ちゆえに臆病で人間不信な受にほだされていくってパターンだけでもありがちなのに。
いやいやいや、BLは王道を楽しむものなのかもしれませんが。それにしても。
ミッションの真の目的は誘拐されかかっている受の保護と攻の入会?テストだったというオチだが、……これだけの時間とコストをかけるのはやはりバカバカしいとしか。攻がこのカラクリに気付かなかったのは、攻が非常識だからということも判明。……なんか頭悪そうだ、学者なのに。
あー、これだったらまだしょーもない設定のままのほうがよかったかもしれない。「BLはファンタジーだから」を逆手に取ったオチは好きになれない。そんな意図(BLならこれもありかも?という感覚を利用したつもり)はないのかもしれないが、しょーもないままのほうが救いがあったというか、しょーもない話として楽しめたかもしれない。は~、疲れた。
あとは受が「人々の相互理解を深めるような出会いの場を提供してくれそうだから」という理由で助けられたのが、かなり白ける理由だった。なんというか、(ある意味)才能のある金持ちの子息を救うこと=世界平和に貢献っていう図式に見えてしまって。いまや世界平和も格差社会なんだね、ぐらいは言いたい気分になった。…彼を誘拐の危機から救うなら優秀なボディーガードを一人つければ事足りたはずで、そんな無駄な投資をするぐらいならどこかに無償の学校でも設立したほうがよほど人材育成になるんじゃないかとか。まあいろいろ、どこまでいっても金持ちの道楽的なところが鼻についた。
文句を言いつつ最後まで読んだのは作者のIさんは結構面白い作品を書く方だからなのだが、がっかりした…。
ところでこのシリーズ、あと3冊毎月連続で刊行されるらしい。私の目当ての作者さんはこのうちの二人なので、どっちにしてもあと2冊は買うだろうし、4冊中3冊まで買うなら全部買ったほうがいいような気がするから、結局4冊全部揃えることになりそう。
……企画ものより、お一人ずつ活躍してもらいたい。そのほうが面白いし、才能がもったいない、というのが私の感想。
じめじめする〜
2008年6月3日 BL作家ま・や・ら・わ行
梅雨入りしてしまった。うーん、天気が悪いと鬱々するし、体が湿気で?重くなるし。この時期は毎年不調だ。たぶん去年も同じ愚痴を書いてるんじゃないかな…。
ネタバレで酷評
記事を折りたたむ機能があればいいのになあとネタバレ表示を書くたびに思う…。たまに他の方の感想が読みたくて検索すると、自分の記事が引っかかったりするのだが、ネタバレ部分が思い切り表示されていたりして、なんだかなあと。記事を折りたたむと、ああいうこともなくなるのかな?と思ったんだけど、その機能を使ったことがないからよく分からない。
-----------------------------------------------
イラスト買いした小説。趣味に合わないだろうなあと覚悟はしていたが、予想以上に合わなくて、読んでいて疲れた。作者と感覚が違うんだと思う。設定が好きだったとしてもダメだろうなあと。逆転を期待して最後まで読んでみたが惨敗した…。
二十代後半という主人公の年齢以外に趣味に合う要素がひとつもなかった。
自分を罰するために不眠症も治療せず、最低な男に奉仕し、輪○されても微笑んでいるという主人公に感情移入するのは無理だし、同情するより先に専門家に治療してもらうことをお勧めしたくなった。わりとトラウマ持ちの主人公って好きなんだけど(…)、ここまでいくとさすがに……。トンデモな行動の間にも受は攻に片思いを続けているのだが、こっちは恋愛を楽しむどころではなかった。かわいそうな境遇ではあるんだけど、あんまり長々ネガティブでついていけない考え方を聞かされるので、なんだか疲れてしまって…。
そんな主人公を叱りつつ、十年以上親友として見守っていたという攻だが、受の異常な心理状態を聞いても病院を勧めなかったので、それは人として冷たいんじゃないかとか思ってしまった。
この攻のオヤジくさい言動は愛嬌ってレベルではなく、モラルの低さも気になった。嫉妬から受が今まで関係してきた相手を全員ぼこったと言う…。「受を殴ったり、金を巻き上げたことが許せなかった」という理由ならまだ理解できるが、いくら殴った相手が犯罪者でも嫉妬だけでそんなことをするのは憎むべき犯罪なのでは……。しかも受は初対面から、口をきいたこともなかったのにいきなり「偽善者」と罵られるのである。受は「自分の仮面を見破ってくれた」と嬉しかったようだが、そんな特殊な反応にはついていけない…。
主役二人には不快感しかなく、文章やストーリーにも魅力を感じなかった。
イラストはやっぱり好きだった。
手元においておきたくない作品なのだが、イラストが好きなので売り払う気にもなれない。うーん。
ネタバレで酷評
記事を折りたたむ機能があればいいのになあとネタバレ表示を書くたびに思う…。たまに他の方の感想が読みたくて検索すると、自分の記事が引っかかったりするのだが、ネタバレ部分が思い切り表示されていたりして、なんだかなあと。記事を折りたたむと、ああいうこともなくなるのかな?と思ったんだけど、その機能を使ったことがないからよく分からない。
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イラスト買いした小説。趣味に合わないだろうなあと覚悟はしていたが、予想以上に合わなくて、読んでいて疲れた。作者と感覚が違うんだと思う。設定が好きだったとしてもダメだろうなあと。逆転を期待して最後まで読んでみたが惨敗した…。
二十代後半という主人公の年齢以外に趣味に合う要素がひとつもなかった。
自分を罰するために不眠症も治療せず、最低な男に奉仕し、輪○されても微笑んでいるという主人公に感情移入するのは無理だし、同情するより先に専門家に治療してもらうことをお勧めしたくなった。わりとトラウマ持ちの主人公って好きなんだけど(…)、ここまでいくとさすがに……。トンデモな行動の間にも受は攻に片思いを続けているのだが、こっちは恋愛を楽しむどころではなかった。かわいそうな境遇ではあるんだけど、あんまり長々ネガティブでついていけない考え方を聞かされるので、なんだか疲れてしまって…。
そんな主人公を叱りつつ、十年以上親友として見守っていたという攻だが、受の異常な心理状態を聞いても病院を勧めなかったので、それは人として冷たいんじゃないかとか思ってしまった。
この攻のオヤジくさい言動は愛嬌ってレベルではなく、モラルの低さも気になった。嫉妬から受が今まで関係してきた相手を全員ぼこったと言う…。「受を殴ったり、金を巻き上げたことが許せなかった」という理由ならまだ理解できるが、いくら殴った相手が犯罪者でも嫉妬だけでそんなことをするのは憎むべき犯罪なのでは……。しかも受は初対面から、口をきいたこともなかったのにいきなり「偽善者」と罵られるのである。受は「自分の仮面を見破ってくれた」と嬉しかったようだが、そんな特殊な反応にはついていけない…。
主役二人には不快感しかなく、文章やストーリーにも魅力を感じなかった。
イラストはやっぱり好きだった。
手元においておきたくない作品なのだが、イラストが好きなので売り払う気にもなれない。うーん。
淡雪
2008年5月29日 BL作家ま・や・ら・わ行
真崎ひかる 幻冬舎コミックス 2008/5/15
『白雨』とは主人公を変えた同シリーズ。
『淡雪』のほうが本編というか、先に書かれたような印象だったから、『白雨』がこの作品のスピンオフなのかな。(あとがきに書いてあったかもしれないけど忘れちゃった)
ルチルでの刊行(もとはリーフらしい)は『白雨』が先。
まあでも、どちらから読んでも分かるようになっているので、好きなほうから読めばよさそう。
ネタバレ。
------------------------------------------------
無愛想な優等生×童顔小動物系(?)
いくら年下攻とはいえ高校生カップルか…と迷ったが(近頃、さらに趣味が偏狭になっているような)、結局読んでみた。童顔の先輩(主人公)が元気で素直なのが取り柄だったりすると私の趣味的には厳しいかなと思ったが、実は繊細で臆病な子という設定なので読みやすかった。病気の父親の面倒を看たりして、頑張っているし、結構深く考えるタイプなので好感が持てる。でも、淫行教師に逆らわないあたりが、なんというか同情する前にイラついた。別に一人で呼びつけられても、友達と一緒に行けばいいんじゃない?…とか。
ストーリーは丁寧に読みやすく進んでいくのだが、あまりにもよくあるパターンになったので、ちょっと…となってしまった。
親しくなってようやく両思いになりかけたところで、実は相手は好きになってはいけない相手だと分かるパターン。自分の父親が加害者で、彼は被害者の息子。そのせいで彼は生活の苦労もしてきた、というBLは正直読み飽きている。ほんと、これで何度目だろう…。
白けそうになったけど、パターンどおりに進んでも結構楽しめた。テンプレとか王道っていうのは、それだけ好む人が多いから出来上がるんだなあという感じで、かえって良質のものが読めると満足度も高くなるらしい。新鮮味はないが、じっくり読ませてくれるので、最後まで楽しく読めた。
続編の短編が3作入っていたが、それぞれツボを押さえてあったし。
ただ、やっぱりキャラは趣味に合わなかった。とくに主人公。いい子なんだが、外見も中身も子供っぽいというのは…。小学生に間違えられるのは、いくらなんでもやりすぎだと思うし。せっかく年下攻なのに、受が実年齢だけ年上でも意味がないというか……。あ、私の趣味としては意味がないだけなんで。童顔の受が好きという読者は多いと思うし。
話としては面白かったが、やっぱり『白雨』のカップルのほうが趣味には合うかなあ。
レーターさんの描いた漫画が結構好きだ。うん、若いっていいね。
『白雨』とは主人公を変えた同シリーズ。
『淡雪』のほうが本編というか、先に書かれたような印象だったから、『白雨』がこの作品のスピンオフなのかな。(あとがきに書いてあったかもしれないけど忘れちゃった)
ルチルでの刊行(もとはリーフらしい)は『白雨』が先。
まあでも、どちらから読んでも分かるようになっているので、好きなほうから読めばよさそう。
ネタバレ。
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無愛想な優等生×童顔小動物系(?)
いくら年下攻とはいえ高校生カップルか…と迷ったが(近頃、さらに趣味が偏狭になっているような)、結局読んでみた。童顔の先輩(主人公)が元気で素直なのが取り柄だったりすると私の趣味的には厳しいかなと思ったが、実は繊細で臆病な子という設定なので読みやすかった。病気の父親の面倒を看たりして、頑張っているし、結構深く考えるタイプなので好感が持てる。でも、淫行教師に逆らわないあたりが、なんというか同情する前にイラついた。別に一人で呼びつけられても、友達と一緒に行けばいいんじゃない?…とか。
ストーリーは丁寧に読みやすく進んでいくのだが、あまりにもよくあるパターンになったので、ちょっと…となってしまった。
親しくなってようやく両思いになりかけたところで、実は相手は好きになってはいけない相手だと分かるパターン。自分の父親が加害者で、彼は被害者の息子。そのせいで彼は生活の苦労もしてきた、というBLは正直読み飽きている。ほんと、これで何度目だろう…。
白けそうになったけど、パターンどおりに進んでも結構楽しめた。テンプレとか王道っていうのは、それだけ好む人が多いから出来上がるんだなあという感じで、かえって良質のものが読めると満足度も高くなるらしい。新鮮味はないが、じっくり読ませてくれるので、最後まで楽しく読めた。
続編の短編が3作入っていたが、それぞれツボを押さえてあったし。
ただ、やっぱりキャラは趣味に合わなかった。とくに主人公。いい子なんだが、外見も中身も子供っぽいというのは…。小学生に間違えられるのは、いくらなんでもやりすぎだと思うし。せっかく年下攻なのに、受が実年齢だけ年上でも意味がないというか……。あ、私の趣味としては意味がないだけなんで。童顔の受が好きという読者は多いと思うし。
話としては面白かったが、やっぱり『白雨』のカップルのほうが趣味には合うかなあ。
レーターさんの描いた漫画が結構好きだ。うん、若いっていいね。
南嵐
2008年5月20日 BL作家ま・や・ら・わ行
松野たば子 白泉社 2008/5
花○新レーベルのBLACK。
発売前からジリジリ待ってた作品をようやく読めた!
は〜、満足だ。
読む前から興奮気味だったので、珍しく(?)熱くなっている。
ネタバレ
----------------------------------------------------
ヤクザ×刑事のハード系。男の世界。
普段の私ならご勘弁を…という設定だが、いまなら「ムリヤリは読みたくない」とか「暴力描写は苦手だ」とか散々しつこく書いてきた看板を下ろしてもいい。
すごく面白かった。
西村さんは男前だ!
傷は男の勲章とかいうし、もう西村さんに関してはムリヤリとか暴力とかそんなものは、男前受の勲章だとしか思えません。や、それは失礼か…。
殴られようが蹴られようがヤラれようが薬を使われようが、どこまでもタフなので、読んでるこっちはそんなに痛くないし、暗い気分にもならない。
あ、でも西村は別に受ではないような気がする。というのも、ラブ皆無だから、単なる被害者でしかないというか…。
まあでも攻の南条もカッコイイし、ふたりの間に今のところ恋愛はないが、BLとしても期待できる。うーん、なんというのか、BLじゃない作品を読んだり観たりするとき、いい男が二人出てきたらとりあえず妄想する。で、BLそのものを読んでると妄想の余地がないことが多いけど、この作品にはそれがある。二人それぞれが男として魅力的だし、ほとんど一緒にいるシーンはないのだが相手を意識はしていて、期待感をたっぷり煽ってくれるところがいい。
話はハードでダークだが、テンポがよくて西村がタフでカッコいいので気持ちよく読める。
…たぶん、西村は受としては男らしすぎるという趣味の人のほうが多いと思うが、まず男としてセクシーじゃないと受としても物足りないと思う私にとっては、理想の男前受だ。
話としても読みやすくて面白いので、続きが楽しみ。
花○新レーベルのBLACK。
発売前からジリジリ待ってた作品をようやく読めた!
は〜、満足だ。
読む前から興奮気味だったので、珍しく(?)熱くなっている。
ネタバレ
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ヤクザ×刑事のハード系。男の世界。
普段の私ならご勘弁を…という設定だが、いまなら「ムリヤリは読みたくない」とか「暴力描写は苦手だ」とか散々しつこく書いてきた看板を下ろしてもいい。
すごく面白かった。
西村さんは男前だ!
傷は男の勲章とかいうし、もう西村さんに関してはムリヤリとか暴力とかそんなものは、男前受の勲章だとしか思えません。や、それは失礼か…。
殴られようが蹴られようがヤラれようが薬を使われようが、どこまでもタフなので、読んでるこっちはそんなに痛くないし、暗い気分にもならない。
あ、でも西村は別に受ではないような気がする。というのも、ラブ皆無だから、単なる被害者でしかないというか…。
まあでも攻の南条もカッコイイし、ふたりの間に今のところ恋愛はないが、BLとしても期待できる。うーん、なんというのか、BLじゃない作品を読んだり観たりするとき、いい男が二人出てきたらとりあえず妄想する。で、BLそのものを読んでると妄想の余地がないことが多いけど、この作品にはそれがある。二人それぞれが男として魅力的だし、ほとんど一緒にいるシーンはないのだが相手を意識はしていて、期待感をたっぷり煽ってくれるところがいい。
話はハードでダークだが、テンポがよくて西村がタフでカッコいいので気持ちよく読める。
…たぶん、西村は受としては男らしすぎるという趣味の人のほうが多いと思うが、まず男としてセクシーじゃないと受としても物足りないと思う私にとっては、理想の男前受だ。
話としても読みやすくて面白いので、続きが楽しみ。