角川書店 1991/03
昔、このシリーズの感想を書こうと思ったとき、叶の名前には必ずリンクを貼っておこうと決めていた。
で、リンク先には金魚の画像を置くつもりだった。素材屋さんで、よさそうな画像も探してあって、あとは感想を書くだけだったのだが、果たせなかった。
懐かしい思い出…。(なにが)
叶さんは好きですね~。
ネタバレ
お喋りな殺し屋。
や、いくらハードボイルドの主人公でも殺し屋って倫理的にどうなのよ?って初読のときは引っかかった覚えがあるんだけど、今回は気にならなかった。殺し屋より、殺される側のほうが人道に悖るからかもしれない。
5巻は話としてもテンポがよくて面白くて、大勢のキャラが「キャラクター紹介」という感じではなく、魅力を発揮していて読み応えがある。
叶も共感しやすいというか、とりあえず行動の理由が分かりやすいから、話に入り込みやすかった。
叶は珍しく、川中よりキドニーに親しみを覚える人。ひねくれた感じもしないけど、やっぱり屈折したものがあるんだろうなあ。
叶を通して、キドニーの魅力もよく分かった。そういえば、キドニーは、遠山に対しては妙に素直だったな~。叶に対しては、気の置けない友達って感じで、なんだか安心した。
叶はN市に来る前に何かを喪失していたが、N市でピアニストに再会したことで、失ったものを思い出していく。取り戻すのではなく、思い出すだけ。それが切なくて、好きだなあ。
もっとも、叶はお喋りで明るい殺し屋だけど…。金魚、金魚。
昔、このシリーズの感想を書こうと思ったとき、叶の名前には必ずリンクを貼っておこうと決めていた。
で、リンク先には金魚の画像を置くつもりだった。素材屋さんで、よさそうな画像も探してあって、あとは感想を書くだけだったのだが、果たせなかった。
懐かしい思い出…。(なにが)
叶さんは好きですね~。
ネタバレ
獲物を追って、この街へやってきた。そいつの人生に幕を引いてやる、それが仕事のはずだった。妙に気になるあの男と出会うまでは―。惚れた女がやりたいと思うことを、やらせてやりたい―たとえ、それが自分への裏切りだとしても―。あの男はそう言って銃口に立ちふさがった。それが優しさ?それが愛ってもんなのか?私を変えたあの日、裏切りを許せなかった遠い過去が心に疼く。殺し屋とピアニスト、危険な色を帯びて男の人生が交差する。ジャズの調べにのせて贈るブラディ・ドール、シリーズ第五弾。
お喋りな殺し屋。
や、いくらハードボイルドの主人公でも殺し屋って倫理的にどうなのよ?って初読のときは引っかかった覚えがあるんだけど、今回は気にならなかった。殺し屋より、殺される側のほうが人道に悖るからかもしれない。
5巻は話としてもテンポがよくて面白くて、大勢のキャラが「キャラクター紹介」という感じではなく、魅力を発揮していて読み応えがある。
叶も共感しやすいというか、とりあえず行動の理由が分かりやすいから、話に入り込みやすかった。
叶は珍しく、川中よりキドニーに親しみを覚える人。ひねくれた感じもしないけど、やっぱり屈折したものがあるんだろうなあ。
叶を通して、キドニーの魅力もよく分かった。そういえば、キドニーは、遠山に対しては妙に素直だったな~。叶に対しては、気の置けない友達って感じで、なんだか安心した。
叶はN市に来る前に何かを喪失していたが、N市でピアニストに再会したことで、失ったものを思い出していく。取り戻すのではなく、思い出すだけ。それが切なくて、好きだなあ。
もっとも、叶はお喋りで明るい殺し屋だけど…。金魚、金魚。
角川書店 1990/10
ネタバレ
このあらすじを初めて読んだときは、笑ってしまった。
でも、再読の今回は「やっぱり凄いわ」なんて笑いつつも、結構じんわりくるものがあった気もする。
初読のときより自分が歳を取ったせいか、感じ方がずいぶん違ってきているようで。
主人公の画家は50代後半。最初に読んだ学生時代は、おじいさんってイメージだったのに、いま思えばまだ若い。せいぜい、おじさんじゃないかと。
ただ、この作品の時代は昭和だから、普通の会社員なら定年後なのかな。高校卒業した後は、進学より就職が多いっていう時代。そう思うと初老という言い方がぴったりな年齢なのかもしれない。
そういう昭和テイストが古臭いというより、いい時代だったなと思える。葉巻とコニャックが好きな初老の画家って設定は、昭和でも「え?」って感じなんだけど、平成よりは様になるような気がする。
この話の中で主人公の遠山が何かしたかというとそうでもなくて、崖を登ったのが最大の見せ場だったりする。学生時代は、なんだかなあと思った。いまは、なんとなく分かる、と思う。
若い頃はこんな無茶をしなかった遠山が、自分の絵を取り戻すために、好きな女性を守ろうと決める。ハードボイルドの中にぐらい、こんな男がいてもいいなあと。
ネタバレ
荒海を渡り、絶壁をよじ登って、男は女のもとへやってきた。「私がいる。おまえには私がいる!」ただその一言を伝えるために―。絵を描いて、生きてきた。暴力になど縁がない、と思ってきた。生命ひとつ分の弾丸よけにしかならないだろう。だが、決めたのだ。生ある限りおまえを護る。人生の秋を迎えた画家がめぐり逢った、若い女。過去も本名も知らない―何故追われるのかも。だが、女の瞳に真心を見たとき、男の何かが弾けた。海のような愛に包まれて、女の過去が融けてゆく―。再び熱き闘いの幕が開く。ブラディ・ドール・シリーズ、第4弾。
このあらすじを初めて読んだときは、笑ってしまった。
でも、再読の今回は「やっぱり凄いわ」なんて笑いつつも、結構じんわりくるものがあった気もする。
初読のときより自分が歳を取ったせいか、感じ方がずいぶん違ってきているようで。
主人公の画家は50代後半。最初に読んだ学生時代は、おじいさんってイメージだったのに、いま思えばまだ若い。せいぜい、おじさんじゃないかと。
ただ、この作品の時代は昭和だから、普通の会社員なら定年後なのかな。高校卒業した後は、進学より就職が多いっていう時代。そう思うと初老という言い方がぴったりな年齢なのかもしれない。
そういう昭和テイストが古臭いというより、いい時代だったなと思える。葉巻とコニャックが好きな初老の画家って設定は、昭和でも「え?」って感じなんだけど、平成よりは様になるような気がする。
この話の中で主人公の遠山が何かしたかというとそうでもなくて、崖を登ったのが最大の見せ場だったりする。学生時代は、なんだかなあと思った。いまは、なんとなく分かる、と思う。
若い頃はこんな無茶をしなかった遠山が、自分の絵を取り戻すために、好きな女性を守ろうと決める。ハードボイルドの中にぐらい、こんな男がいてもいいなあと。
角川書店 1990/03
「ブラディ・ドール」3冊目。
BL読者にも人気が高いシリーズだし、そういう感想もアリかと思う。
でも、今回はあえてハードボイルドとして感想を書いてみようかと。
ネタバレ
-------------------------------------------
1、2巻に比べて、かなり文章が読みやすく(偉そうにいえば上手く)なっている3巻。
秋山の持つフロリダという背景が、物語の幅を広げたようにも思う。
土崎もいいキャラクターだし、菜摘も他の(少しばかり類型的に思える)女性キャラクターに比べて、生き生きしていて好き。
秋山もまず川中を好きになり、徐々に藤木のよさを知っていく。川中と藤木は、そういう人たちなんだろうなあ。
秋山も魅力的な人だと思う。シリーズが進んでいくにつれて、わりと穏やかなイメージが強くなったのだが(珍しく家庭を持っているキャラだからかも)、3巻を読み返してみると、あ、結構激しい人なんだな、と。
妻を殺された復讐のためにN市にやってきて、誘拐された娘を救うためとはいえ、すでに友達といってもいい、信頼関係の成り立っている相手である川中の命を狙う。秋山の選択が人として、モラルの面で、正しいのかどうか分からない。だけど、夫あるいは父親の行動としては、こうあってほしいと思ってしまう。
1章の終わりに、秋山は間接的に敵の一人を死に追いやった。他の場面でも、何人かの人間に怪我を負わせている。自分もかなり痛めつけられているとはいえ…。
でも、すでに人殺しで、自分の手を汚している3人(川中、藤木、坂井)と違い、彼は11歳の少女の父親だし、愛する女性にも出会ったから人は殺さないのかもしれない。
そんな期待をしながら読んでいったが、最後に彼は妻の仇を撃ち殺してしまう。
妻を殺されて、娘も殺されそうになった人なので、それを糾弾する気にはなれないんだけど、残念な気持ちになった。
最後の一文がいい。
秋山が失ったものは、妻だけではなくなった。彼は一生この罪を背負っていくのだろうと思うとやりきれないものがある。
だけど、復讐を遂げて満足しなかったことにこそ、救いがあったはず。
「ブラディ・ドール」3冊目。
BL読者にも人気が高いシリーズだし、そういう感想もアリかと思う。
でも、今回はあえてハードボイルドとして感想を書いてみようかと。
ネタバレ
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1、2巻に比べて、かなり文章が読みやすく(偉そうにいえば上手く)なっている3巻。
秋山の持つフロリダという背景が、物語の幅を広げたようにも思う。
土崎もいいキャラクターだし、菜摘も他の(少しばかり類型的に思える)女性キャラクターに比べて、生き生きしていて好き。
秋山もまず川中を好きになり、徐々に藤木のよさを知っていく。川中と藤木は、そういう人たちなんだろうなあ。
秋山も魅力的な人だと思う。シリーズが進んでいくにつれて、わりと穏やかなイメージが強くなったのだが(珍しく家庭を持っているキャラだからかも)、3巻を読み返してみると、あ、結構激しい人なんだな、と。
妻を殺された復讐のためにN市にやってきて、誘拐された娘を救うためとはいえ、すでに友達といってもいい、信頼関係の成り立っている相手である川中の命を狙う。秋山の選択が人として、モラルの面で、正しいのかどうか分からない。だけど、夫あるいは父親の行動としては、こうあってほしいと思ってしまう。
1章の終わりに、秋山は間接的に敵の一人を死に追いやった。他の場面でも、何人かの人間に怪我を負わせている。自分もかなり痛めつけられているとはいえ…。
でも、すでに人殺しで、自分の手を汚している3人(川中、藤木、坂井)と違い、彼は11歳の少女の父親だし、愛する女性にも出会ったから人は殺さないのかもしれない。
そんな期待をしながら読んでいったが、最後に彼は妻の仇を撃ち殺してしまう。
妻を殺されて、娘も殺されそうになった人なので、それを糾弾する気にはなれないんだけど、残念な気持ちになった。
最後の一文がいい。
誰がなんといおうと、私は人殺しだった。
秋山が失ったものは、妻だけではなくなった。彼は一生この罪を背負っていくのだろうと思うとやりきれないものがある。
だけど、復讐を遂げて満足しなかったことにこそ、救いがあったはず。
角川書店 1987/2
私が一番好きな坂井くんが主人公。
ネタバレ
-----------------------------------------
これを読んだ頃、私はまだ若かった…。
というわけで、まわりの渋い(?)おじさんたちより、若い坂井くんが好きだったのかな~と2巻を再読する前は思っていたんだけど、そうでもなかった。
たぶん、他の人より思考が分かりやすいから、感情移入しやすくて好きなんだと思う。
他の主人公たちは、登場時にすでに「男とは~」みたいな美学を持ってる。で、「喪失」によって変っていくところもあるんだけど、それは成長とは違って、変化。
だから、これからの成長を感じる坂井が好きなのかもしれない。
欲を言えば、もう1回主人公としての坂井の内面が見たかった。2巻終了の時点では、坂井の喪失はまだ自覚が薄いように思えたし、もしかして時間をおいてからのほうが痛みが増すのかもしれない。
…感想もちょっと北方節かな(笑)
くさい、気障だ!と笑いつつ(馬鹿にしてるわけではない)、そういうとこがカッコイイと思うのが、私なりの北方ワールドの楽しみ方でして。
ところで、藤木が「怕がっている」という坂井の台詞に反応してる場面、なんだか意外というか、こんな人だったっけ?と驚いた。坂井も意外に思うのだが、こういうのがいい。ハードボイルドの主人公たちはヘタレてないと、いざというときの人間的な強さが光らないんだろうなあ。
主役は坂井だけど、川中と藤木のほうが印象的。
私が一番好きな坂井くんが主人公。
ネタバレ
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これを読んだ頃、私はまだ若かった…。
というわけで、まわりの渋い(?)おじさんたちより、若い坂井くんが好きだったのかな~と2巻を再読する前は思っていたんだけど、そうでもなかった。
たぶん、他の人より思考が分かりやすいから、感情移入しやすくて好きなんだと思う。
他の主人公たちは、登場時にすでに「男とは~」みたいな美学を持ってる。で、「喪失」によって変っていくところもあるんだけど、それは成長とは違って、変化。
だから、これからの成長を感じる坂井が好きなのかもしれない。
欲を言えば、もう1回主人公としての坂井の内面が見たかった。2巻終了の時点では、坂井の喪失はまだ自覚が薄いように思えたし、もしかして時間をおいてからのほうが痛みが増すのかもしれない。
…感想もちょっと北方節かな(笑)
くさい、気障だ!と笑いつつ(馬鹿にしてるわけではない)、そういうとこがカッコイイと思うのが、私なりの北方ワールドの楽しみ方でして。
ところで、藤木が「怕がっている」という坂井の台詞に反応してる場面、なんだか意外というか、こんな人だったっけ?と驚いた。坂井も意外に思うのだが、こういうのがいい。ハードボイルドの主人公たちはヘタレてないと、いざというときの人間的な強さが光らないんだろうなあ。
主役は坂井だけど、川中と藤木のほうが印象的。
角川書店 1985/4
10数年振りに再読~。
いつか感想を書きたいと思いつつ、早10年以上…。
やっぱり好きだな。
ネタバレ
-------------------------------------------
わ~、社長が若いわ~。
そっか、川中ってこんな人だったっけ。
主人公じゃないときの川中は、暗い目をして、爽やかで快活な男。で、異様にモテる(笑)
でも、これは暗くなる前の川中の話。すでにこの時点で人殺しなんだけど、それでもまだ「喪失」の前だから、言動が若い感じ。
(このシリーズは喪失がテーマだそうで)
あ~、神崎って味のあるいいキャラだったな。川中にとって、藤木や坂井ではカバーできない部分をカバーできた人だったんじゃないかなあと。もし神崎が死ななかったら、川中の「喪失」はもう少し違っていたんじゃないだろうか。
1巻で川中が失ったのは、愛する女性と弟。でも、神崎という人を失ったことも、実は大きいんじゃないかと思った。
10数年振りに再読~。
いつか感想を書きたいと思いつつ、早10年以上…。
やっぱり好きだな。
ネタバレ
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わ~、社長が若いわ~。
そっか、川中ってこんな人だったっけ。
主人公じゃないときの川中は、暗い目をして、爽やかで快活な男。で、異様にモテる(笑)
でも、これは暗くなる前の川中の話。すでにこの時点で人殺しなんだけど、それでもまだ「喪失」の前だから、言動が若い感じ。
(このシリーズは喪失がテーマだそうで)
あ~、神崎って味のあるいいキャラだったな。川中にとって、藤木や坂井ではカバーできない部分をカバーできた人だったんじゃないかなあと。もし神崎が死ななかったら、川中の「喪失」はもう少し違っていたんじゃないだろうか。
1巻で川中が失ったのは、愛する女性と弟。でも、神崎という人を失ったことも、実は大きいんじゃないかと思った。
ロジェ・マルタン・デュ・ガール 白水社 1984/01
全13冊。
読み終わった…長かった。
読んでた期間、半年ぐらいか?
急に読んでみたくなって、まず密林で古本を集めたのだが、1冊800円~1100円ぐらいのお値段。
正直、注文してから後悔したが、読了後のいまは注文をキャンセルしなくて良かったと心底から思う。
ところでこの作品、解説も素晴しい。本当に素晴しい。最近の解説者なら…ここまで書けないというレベル。
でも、1巻から超~ネタバレで、泣かされました。うう……。
本編を読み終わったので、やっと解説をじっくり読める。実は解説が読みたくてウズウズしていたので嬉しいな。
とことんネタバレ
----------------------------------------------------
傑作。
この作品、8~11冊の『一九一四年夏』だけノーベル賞をとっている。
1~7冊目まで読んで、ここまでだって相当な傑作なのに、なんで?と思ったのだが、『一九一四年夏』を読んで理由が分かった。
別に『一九一四年夏』の前後の出来の良し悪しではないし、『一九一四年夏』はきっちり物語の一部として機能しているのだが、『一九一四年夏』を取り出したくなるのが分かる、ような気がする。
ところで、先日この作品について「どういう話なの?」と訊かれて、かなり困った。単に小説のあらすじを説明するのが苦手ということもあるけど、実のところ、「この話のテーマはなんだろう?」と読みながら常に考えていたから、とっさに言葉が出てこなかったというのもある。
ざっくり説明してみると、1-7巻目まではジャックとアントワーヌ、それぞれの少年期から青年期にかけてのエピソード。家族の関係、友情やら恋愛やら生き方について。
8-11冊目は第一次世界大戦前夜がテーマ。
残り2冊の『エピローグ』は登場人物たちのその後、戦争について、人間について。
これでいいのかな?
…とても深いテーマなので、テーマをつかみきれているという自信がまったくない。たぶん、分かってないことも、いっぱいある。
難解に表現することが「文学的」だと思い込んでいるような節のある現代文学なんかに比べると、かなり読みやすく書かれているのだが、分かるようで分からない。解釈に迷う。
ただ、分からないなりに圧倒されるし、汲み取れる部分に深く心を動かされる。物語としても面白いし、引き込まれる。
重たいテーマ。悲惨と言っていいほどの最期。
徹底的に反戦を貫いたジャックは、フランス人なのにフランス兵から「ドイツのスパイ」と誤解され、石を投げられ、銃殺されてしまう。
医者として召集されたアントワーヌは毒ガス中毒にかかり、何年も病魔と闘い、苦しみぬいて自殺する。
これだけ書くと、なんだか救いのない、暗いだけの話のようだけど、希望はある。志を果たしたとはいえない二人だが、「人生を全うした」と思えるからかもしれない。
この作品は第一次世界大戦に終わりが見えたところで終わっているのだが、作者が執筆していたのは、第二次世界大戦の少し前だそうで。解説を読んでそれを知った。それを知ると、また考えさせられるものがある。
もう少し時間をおいてから『一九一四年夏』を読み返したい。
全13冊。
読み終わった…長かった。
読んでた期間、半年ぐらいか?
急に読んでみたくなって、まず密林で古本を集めたのだが、1冊800円~1100円ぐらいのお値段。
正直、注文してから後悔したが、読了後のいまは注文をキャンセルしなくて良かったと心底から思う。
ところでこの作品、解説も素晴しい。本当に素晴しい。最近の解説者なら…ここまで書けないというレベル。
でも、1巻から超~ネタバレで、泣かされました。うう……。
本編を読み終わったので、やっと解説をじっくり読める。実は解説が読みたくてウズウズしていたので嬉しいな。
とことんネタバレ
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傑作。
この作品、8~11冊の『一九一四年夏』だけノーベル賞をとっている。
1~7冊目まで読んで、ここまでだって相当な傑作なのに、なんで?と思ったのだが、『一九一四年夏』を読んで理由が分かった。
別に『一九一四年夏』の前後の出来の良し悪しではないし、『一九一四年夏』はきっちり物語の一部として機能しているのだが、『一九一四年夏』を取り出したくなるのが分かる、ような気がする。
ところで、先日この作品について「どういう話なの?」と訊かれて、かなり困った。単に小説のあらすじを説明するのが苦手ということもあるけど、実のところ、「この話のテーマはなんだろう?」と読みながら常に考えていたから、とっさに言葉が出てこなかったというのもある。
ざっくり説明してみると、1-7巻目まではジャックとアントワーヌ、それぞれの少年期から青年期にかけてのエピソード。家族の関係、友情やら恋愛やら生き方について。
8-11冊目は第一次世界大戦前夜がテーマ。
残り2冊の『エピローグ』は登場人物たちのその後、戦争について、人間について。
これでいいのかな?
…とても深いテーマなので、テーマをつかみきれているという自信がまったくない。たぶん、分かってないことも、いっぱいある。
難解に表現することが「文学的」だと思い込んでいるような節のある現代文学なんかに比べると、かなり読みやすく書かれているのだが、分かるようで分からない。解釈に迷う。
ただ、分からないなりに圧倒されるし、汲み取れる部分に深く心を動かされる。物語としても面白いし、引き込まれる。
重たいテーマ。悲惨と言っていいほどの最期。
徹底的に反戦を貫いたジャックは、フランス人なのにフランス兵から「ドイツのスパイ」と誤解され、石を投げられ、銃殺されてしまう。
医者として召集されたアントワーヌは毒ガス中毒にかかり、何年も病魔と闘い、苦しみぬいて自殺する。
これだけ書くと、なんだか救いのない、暗いだけの話のようだけど、希望はある。志を果たしたとはいえない二人だが、「人生を全うした」と思えるからかもしれない。
この作品は第一次世界大戦に終わりが見えたところで終わっているのだが、作者が執筆していたのは、第二次世界大戦の少し前だそうで。解説を読んでそれを知った。それを知ると、また考えさせられるものがある。
もう少し時間をおいてから『一九一四年夏』を読み返したい。
訳:河野万里子
この一週間で何度も泣いたり、涙ぐんだりした。
悲しかったり、嬉しかったり、感動したりして。
そういうのは大事なことだと思うけど、ちょっとだけ疲れていたので、元気を出そうと思って読んだ。
私の場合、癒されるとか和むとかいうよりは、気分が落ち着いた。
感動するというより、静かな時間を持てたというほうが合っている。
河野さんもあとがきで触れていたが、この邦訳のタイトル、すごくぴったりだし、暖かい響きでいいな~。
この一週間で何度も泣いたり、涙ぐんだりした。
悲しかったり、嬉しかったり、感動したりして。
そういうのは大事なことだと思うけど、ちょっとだけ疲れていたので、元気を出そうと思って読んだ。
私の場合、癒されるとか和むとかいうよりは、気分が落ち着いた。
感動するというより、静かな時間を持てたというほうが合っている。
河野さんもあとがきで触れていたが、この邦訳のタイトル、すごくぴったりだし、暖かい響きでいいな~。
「砂漠が美しいのは」王子さまが言った。「どこかに井戸を、ひとつかくしているからだね……」
霜島ケイ 小学館 2011/01
相変わらず面白かった。
桐子は可愛いし、鬼たちは楽しい。
成長後?の姿は知っていても、やっぱり桐子の成長は楽しみ。
結婚するって知っていても、やっぱり結婚するまでの恋愛が楽しみ。
相変わらず面白かった。
桐子は可愛いし、鬼たちは楽しい。
成長後?の姿は知っていても、やっぱり桐子の成長は楽しみ。
結婚するって知っていても、やっぱり結婚するまでの恋愛が楽しみ。
オリエント急行の殺人
2011年1月30日 読書
訳:長沼弘毅 東京創元社 (新版版)2003/11
今更読んでみた。
読書が趣味と言い続けて数十年経つのに、実は全然、本読んでないなあ。
というわけで(?)、前々から気になっていた「読書メーター」を始めてみた。
けど、残念ながらDiaryNoteはブログパーツを貼り付けることができないのでした…。しょうがないから、殿堂ブログのほうにベタッと、くっつけておいた。
もっと本を読まないとなあ。
今更読んでみた。
読書が趣味と言い続けて数十年経つのに、実は全然、本読んでないなあ。
というわけで(?)、前々から気になっていた「読書メーター」を始めてみた。
けど、残念ながらDiaryNoteはブログパーツを貼り付けることができないのでした…。しょうがないから、殿堂ブログのほうにベタッと、くっつけておいた。
もっと本を読まないとなあ。
宮廷神官物語 鳳凰をまといし者
2010年12月19日 読書
角川書店 2010/11
ネタバレ
面白かったけど、相変わらず曹鉄の見せ場がなくて、少々気の毒になってきた…。次の巻では活躍できるといいですね~。あ、でも次回のメイン?は男装のお姫様のほうか…。
ネタバレ
王位争いにもついに決着が!!というのが、今回のメイン。
面白かったけど、相変わらず曹鉄の見せ場がなくて、少々気の毒になってきた…。次の巻では活躍できるといいですね~。あ、でも次回のメイン?は男装のお姫様のほうか…。
伊坂幸太郎 講談社 2008/09
面白かったけど、もやもやする~~。
うーん、続き?を読むのは勇気がいるかもなあ。たぶん読んでもスッキリはしないということだけは想像がつく…。50年後じゃなあ。
面白そうだから読みたいんだけど、もやもやが増えるだけか……。
で、これが漫画になっているということに驚いた。なんか難しそうだと思ったんだけど、ジュブナイルということは原作とは別物なのかな。
追記。
そんなに共通点はないんだけど、映画「デッド・ゾーン」を思い出した。
面白かったけど、もやもやする~~。
うーん、続き?を読むのは勇気がいるかもなあ。たぶん読んでもスッキリはしないということだけは想像がつく…。50年後じゃなあ。
面白そうだから読みたいんだけど、もやもやが増えるだけか……。
で、これが漫画になっているということに驚いた。なんか難しそうだと思ったんだけど、ジュブナイルということは原作とは別物なのかな。
追記。
そんなに共通点はないんだけど、映画「デッド・ゾーン」を思い出した。
L・M・オルコット 角川グループパブリッシング 2008/12
読了~。3巻の子供たちの成長後の物語。
最初のほうは、いい子は魅力的な大人になり、欠点の多かった子供は成長してからも「失敗作」と呼ばれ、ほとんど話にも出てこないことにちょっと衝撃を受けた。「パーティーに忙しくて来られないって言われても、誰も残念に思わなかった」みたいな扱いで。…お説教たっぷりの教育ものなのに、これでいいの!?と。
まあ、みんながみんな素晴しく成長しましたって話じゃ、物語として面白くないからシビアなのは構わないし、基本的には暖かい視点で描かれているんだけど、これだけ作者の贔屓が前面に出てくると、ちょっとなあ…。
とはいえ、作者のお気に入りの少年のその後の話は読み応えたっぷりで面白かった。
読了~。3巻の子供たちの成長後の物語。
最初のほうは、いい子は魅力的な大人になり、欠点の多かった子供は成長してからも「失敗作」と呼ばれ、ほとんど話にも出てこないことにちょっと衝撃を受けた。「パーティーに忙しくて来られないって言われても、誰も残念に思わなかった」みたいな扱いで。…お説教たっぷりの教育ものなのに、これでいいの!?と。
まあ、みんながみんな素晴しく成長しましたって話じゃ、物語として面白くないからシビアなのは構わないし、基本的には暖かい視点で描かれているんだけど、これだけ作者の贔屓が前面に出てくると、ちょっとなあ…。
とはいえ、作者のお気に入りの少年のその後の話は読み応えたっぷりで面白かった。
L・M・オルコット
面白かった~。学校のことしか描かれていないので、あまり四姉妹は関係ないけど、ジョー以外の姉妹も出てくる。『あしながおじさん』の続編が、ほぼ別作品だったのに比べれば、続編らしい内容だったかも。
解説によれば、4巻(最終巻)は出来がよくないそうだけど、ここまできたら最後まで読んでみようかと。
ジョーが亡き伯母からゆずりうけたプラムフィールドの家は、いまや様々な境遇の子供を預かる学園のにぎわいを見せていた。そこにやって来た、ヴァイオリン弾きの孤児のナットと、暗い過去をもつ不良少年ダン。次々に起こる悲喜こもごもの出来事のなかで、個性豊かな子供たちはぶつかり合いながらも情緒豊かに成長してゆく。マーチ家の姉妹たちが、それぞれの家庭を育む姿を描く、その後の「若草物語」。
面白かった~。学校のことしか描かれていないので、あまり四姉妹は関係ないけど、ジョー以外の姉妹も出てくる。『あしながおじさん』の続編が、ほぼ別作品だったのに比べれば、続編らしい内容だったかも。
解説によれば、4巻(最終巻)は出来がよくないそうだけど、ここまできたら最後まで読んでみようかと。
L・M・オルコット 角川グループパブリッシング 2008/11
続編って読んだことなかったなあと。
ネタバレ
-----------------------------------------
ご存知の方が多そうだけど、ネタバレはやめて~と1巻の感想で書いたので、まあ一応。
ジョーとローリーは似合わないだろうなあと思うし、お互いが結婚しても友情は続いていくんだろうけど、やっぱりちょっと寂しい気がする。
まわりがみんな(妹まで)結婚してしまって落ち込むジョーの姿は現代にも通じるものがあって、共感する人が多そう(笑)
それにしても、旅行に出て何年も戻らないとか、半年前に結婚しましたって家族に事後報告とか、すごいなあと。そんなものなのか…。
姉妹がそれぞれ幸せになりましたというラストはよかったけど、宗教的なお説教が多くて、1巻より読みづらかったかな…。
続編って読んだことなかったなあと。
ネタバレ
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ご存知の方が多そうだけど、ネタバレはやめて~と1巻の感想で書いたので、まあ一応。
ジョーとローリーは似合わないだろうなあと思うし、お互いが結婚しても友情は続いていくんだろうけど、やっぱりちょっと寂しい気がする。
まわりがみんな(妹まで)結婚してしまって落ち込むジョーの姿は現代にも通じるものがあって、共感する人が多そう(笑)
それにしても、旅行に出て何年も戻らないとか、半年前に結婚しましたって家族に事後報告とか、すごいなあと。そんなものなのか…。
姉妹がそれぞれ幸せになりましたというラストはよかったけど、宗教的なお説教が多くて、1巻より読みづらかったかな…。
若草物語 (角川文庫)
2010年8月19日 読書
L・M・オルコット 訳:吉田勝江
角川グループパブリッシング 改版版 2008/11
大人買い?した本のうちの1冊。
急に懐かしくなってしまって。アニメも好きだったなあ。
読み始めるとやっぱり面白かった。○十年ぶりに読んだのに、どの話もみんな覚えてて驚くほど。
(最近調子の悪い)目が死ぬ…とか思いながらも、やめられずに読んでしまった。
1冊目は子供のうちに読んだし、アニメも見たけど、続編はまだ読んだことないので楽しみ。
で、解説はネタバレがひどくてガッカリした。
1巻の解説に2~4巻のネタバレが満載。○○が死ぬとか書いてあるし…。もうちょっと配慮できなかったのか。
どれだけ古典的名作だろうと、どれほどの読書家であろうと、必ず「初めて読む」ときがあるわけで…。古典ならネタバレしていいなんて理由はまったくない。
「この先どうなるの?」って思いながらページをめくる楽しみを奪わないでもらいたいなあ。
角川グループパブリッシング 改版版 2008/11
大人買い?した本のうちの1冊。
急に懐かしくなってしまって。アニメも好きだったなあ。
読み始めるとやっぱり面白かった。○十年ぶりに読んだのに、どの話もみんな覚えてて驚くほど。
(最近調子の悪い)目が死ぬ…とか思いながらも、やめられずに読んでしまった。
1冊目は子供のうちに読んだし、アニメも見たけど、続編はまだ読んだことないので楽しみ。
で、解説はネタバレがひどくてガッカリした。
1巻の解説に2~4巻のネタバレが満載。○○が死ぬとか書いてあるし…。もうちょっと配慮できなかったのか。
どれだけ古典的名作だろうと、どれほどの読書家であろうと、必ず「初めて読む」ときがあるわけで…。古典ならネタバレしていいなんて理由はまったくない。
「この先どうなるの?」って思いながらページをめくる楽しみを奪わないでもらいたいなあ。
アンナ・カレーニナ〈下〉
2010年7月8日 読書
面白かった。感動した~。
これだけ長いのに、ちっとも飽きさせずに読ませるところは、さすがとしかいいようがない。
…ただ、こういう昔の傑作の場合、率直に書いても「読書感想文」になっちゃうと思うから、感想は書かないでおこうかと。
これだけ長いのに、ちっとも飽きさせずに読ませるところは、さすがとしかいいようがない。
…ただ、こういう昔の傑作の場合、率直に書いても「読書感想文」になっちゃうと思うから、感想は書かないでおこうかと。
今日は眠かったので、大変義務的な気分で(…渋々)美容院に行ってきた。で、寝ないように頑張ってみたのだが、ファッション雑誌はいつ読んでも同じ内容で…。どうでもいいストーリー付きの「1ヶ月着回し」とモデルやタレントへのインタビュー記事と「最新メイク」(前回と何が違うのかよく分からない)と「結婚式でのマナー」。これ以外の特集は組めないのだろうか…。
これじゃ睡魔には勝てないので、「雑誌以外の本を貸してください」と頼んでみた。自分で選ぶといつも同じような傾向になっちゃうし、人が選んでくれた本というのは新鮮だろうなあという期待もあって。まあ、美容師さんにしてみれば、ちょっと迷惑な要望だったかも…。
貸してもらったのは、「心温まるエピソード集」だった。泣けますよ~と云われたのだが、私ってひねくれてるし泣けるかなあと思いつつ読んでみたら、感動して何度も涙ぐんでしまった。
いい話を読んだと、久し振りに前向きな気分で帰宅して、感想を書こうかなと密林で探してみたけどなぜか出てこない。なんか変…と検索してみたら、盗作で自主回収した本だった。ガックリ…。
盗作だから元の話があるわけで、感動したエピソードが嘘だったというわけではないんだけど、やっぱり気分的にね……。
こんな不愉快な話を知らなければ、前向きな気分のままでいられたのになあ。
この作品の場合はお金のための盗作だし、プロの作家が行き詰って盗作するようなときは理由が分かりやすい。けど、アフィリエイトもやってないような、無料の個人サイトでの盗作ってよく分からない。他人から盗んだものを発表して他人から評価されたとして、何が楽しんだろう?? 他にいくらでも楽しいことがありそうなものなのに、なんでそんなことに手間隙かけるんだろう…。結構謎だ。
これじゃ睡魔には勝てないので、「雑誌以外の本を貸してください」と頼んでみた。自分で選ぶといつも同じような傾向になっちゃうし、人が選んでくれた本というのは新鮮だろうなあという期待もあって。まあ、美容師さんにしてみれば、ちょっと迷惑な要望だったかも…。
貸してもらったのは、「心温まるエピソード集」だった。泣けますよ~と云われたのだが、私ってひねくれてるし泣けるかなあと思いつつ読んでみたら、感動して何度も涙ぐんでしまった。
いい話を読んだと、久し振りに前向きな気分で帰宅して、感想を書こうかなと密林で探してみたけどなぜか出てこない。なんか変…と検索してみたら、盗作で自主回収した本だった。ガックリ…。
盗作だから元の話があるわけで、感動したエピソードが嘘だったというわけではないんだけど、やっぱり気分的にね……。
こんな不愉快な話を知らなければ、前向きな気分のままでいられたのになあ。
この作品の場合はお金のための盗作だし、プロの作家が行き詰って盗作するようなときは理由が分かりやすい。けど、アフィリエイトもやってないような、無料の個人サイトでの盗作ってよく分からない。他人から盗んだものを発表して他人から評価されたとして、何が楽しんだろう?? 他にいくらでも楽しいことがありそうなものなのに、なんでそんなことに手間隙かけるんだろう…。結構謎だ。