恩田陸 新潮社 2005/06
長編の番外編的な作品も何作か載っているので、ファンなら楽しめそう。
長編でも短編でも印象は同じ。
相変わらず面白くて雰囲気はあるけど、読後にすっきりすることはない。十篇も収められているのに読後感はみんな似たようだった。長編の予告編として書いた作品もあるそうだが、それ以外の作品も「それで?」と云いたくなるものが多かった。こういうのが好きな人は好きだろうなあと。
長編の番外編的な作品も何作か載っているので、ファンなら楽しめそう。
長編でも短編でも印象は同じ。
相変わらず面白くて雰囲気はあるけど、読後にすっきりすることはない。十篇も収められているのに読後感はみんな似たようだった。長編の予告編として書いた作品もあるそうだが、それ以外の作品も「それで?」と云いたくなるものが多かった。こういうのが好きな人は好きだろうなあと。
しゃべれどもしゃべれども
2008年4月25日 読書
佐藤多佳子 新潮社 1997/08
送料無料合わせの買い物…は勿体ない感が強いから、なるべくハズレは引きたくない。そして単価の安い文庫か漫画がいい。
BLでも買おうかと思ったが、発売日を心待ちにして買うような本以外はそもそも定価で買いたくない。ケチなんで。
で、それなら勝田文の作品にしようと。でで、『しゃべれども〜』のコミックスが読みたかったのだが、原作のあるものは原作を先に読みたいかもと思って、先に読んでみた。
原作が面白かったので、今度マンガも買おうと思う。
なんとなくもっと痛快なコメディのようなものを想像していたのだが、もっと入り組んだものだった。ややこしいという意味ではなく。それぞれの悩みがじっくりと描かれ、暗さはないが、スカッとする類の話でもないような。長さの割りに読みやすく、面白いし、読後感もいい。(文庫の)解説にも書いてあったけど、元気をもらえるような、じんわりとした暖かさがある。
人に自慢するほどたいしたことじゃないし、他人が事実だけ聞いたら話の種にもならずに「ふーん」で終わってしまいそうな出来事なんだけど、積み重ねがある分、感動的。
華々しいサクセスストーリーでも元気はもらえるけど、頑張っているけどうまくいかなくて足掻いている人たちの姿っていうのは、もっと身近に元気がもらえる気がする。うまくいかないけど、もうちょっと頑張ってみようという気分になれるというか。
いい話を読んだ。
送料無料合わせの買い物…は勿体ない感が強いから、なるべくハズレは引きたくない。そして単価の安い文庫か漫画がいい。
BLでも買おうかと思ったが、発売日を心待ちにして買うような本以外はそもそも定価で買いたくない。ケチなんで。
で、それなら勝田文の作品にしようと。でで、『しゃべれども〜』のコミックスが読みたかったのだが、原作のあるものは原作を先に読みたいかもと思って、先に読んでみた。
原作が面白かったので、今度マンガも買おうと思う。
なんとなくもっと痛快なコメディのようなものを想像していたのだが、もっと入り組んだものだった。ややこしいという意味ではなく。それぞれの悩みがじっくりと描かれ、暗さはないが、スカッとする類の話でもないような。長さの割りに読みやすく、面白いし、読後感もいい。(文庫の)解説にも書いてあったけど、元気をもらえるような、じんわりとした暖かさがある。
人に自慢するほどたいしたことじゃないし、他人が事実だけ聞いたら話の種にもならずに「ふーん」で終わってしまいそうな出来事なんだけど、積み重ねがある分、感動的。
華々しいサクセスストーリーでも元気はもらえるけど、頑張っているけどうまくいかなくて足掻いている人たちの姿っていうのは、もっと身近に元気がもらえる気がする。うまくいかないけど、もうちょっと頑張ってみようという気分になれるというか。
いい話を読んだ。
鵺子ドリ鳴イタ(3)
2008年4月2日 読書
霜島ケイ 小学館 2008/04/01
面白かった。これを読んでて電車の中で眠らなかったから、眠い…。
ブックレビューが工事中で不便。
楽天で検索しても出て来ないから困ったなあと思っていたら、金額範囲を間違えていたせいで。500円〜に設定したのだが、500円以下だった。安いなあ。本を安いと思うのは珍しい。
面白かった。これを読んでて電車の中で眠らなかったから、眠い…。
ブックレビューが工事中で不便。
楽天で検索しても出て来ないから困ったなあと思っていたら、金額範囲を間違えていたせいで。500円〜に設定したのだが、500円以下だった。安いなあ。本を安いと思うのは珍しい。
ティファニーで朝食を
2008年3月23日 読書
トルーマン・カポーティ 訳:村上春樹 新潮社 2008/02
美しくて悲しい、素敵な話だった。
ヒロインがすごく魅力的。
この翻訳が素晴らしいかどうかは比べる対象がないから(他の訳者で読んだことないから)よく分からないけど、とりあえず文章としては読みやすかった。私は好き。
装丁も好きで、この表紙を見て買いたくなってしまった。
これでも発売から半月ぐらいは我慢したんだけど。
美しくて悲しい、素敵な話だった。
ヒロインがすごく魅力的。
この翻訳が素晴らしいかどうかは比べる対象がないから(他の訳者で読んだことないから)よく分からないけど、とりあえず文章としては読みやすかった。私は好き。
装丁も好きで、この表紙を見て買いたくなってしまった。
これでも発売から半月ぐらいは我慢したんだけど。
若竹 七海 光文社 2006/07
面白かった。さらっと読めそうに見えて、二段組だから意外と長いんだけど、テンポがいい話なので最後まで楽しく読めた。
ミステリ部分も面白かったけど、それより島の人たちや刑事さんのほのぼのとした生活が楽しかった。細かくユーモアがちりばめられていて笑えるし、後味もいい。
この猫のイラスト、可愛くて好きだなあ。
面白かった。さらっと読めそうに見えて、二段組だから意外と長いんだけど、テンポがいい話なので最後まで楽しく読めた。
ミステリ部分も面白かったけど、それより島の人たちや刑事さんのほのぼのとした生活が楽しかった。細かくユーモアがちりばめられていて笑えるし、後味もいい。
この猫のイラスト、可愛くて好きだなあ。
恩田陸 新潮社 2006/09
面白かった。
ネタバレあり
あらすじどころかジャンルも知らずに読み始めたので、中盤に入るまでミステリかなホラーかなと考えていたりした。で青春小説と気付き、青春ものかー、だったらもっと若い作家さんのほうがいいかもなあと思った。(作者の年齢は知らないがこれほど長く活躍しているんだからそんなに若くはないだろうと)
まあ結構失礼なことを思ったわけだが、読み出したらぐいぐい引き込まれて、ああ恩田陸の作品でよかったなあと、逆に。
本当にただ歩くだけで終わるの?というのが読みながら気になったこと。で、本当にただ歩くだけだった。
これについては何度か出てくる杏奈の台詞がすべてだと思う。「みんなで夜歩くというだけのことが、どうしてこんなに特別なのか」(長いので省略)というような台詞だが、この小説に対しても同じことが言える。本当にただ歩くだけ。まあもちろんそれぞれの登場人物が抱えている事情は特殊だったり複雑だったりして、軸は人間関係の話なのだが、「歩行祭」という行事の中だけでそれを語ってしまうというのがすごい。しかも登場人物と一緒に80キロ歩いているような気分で退屈せずに読める。ここまでではないにしても学校行事って妙に濃縮されていて、非日常だよなあと懐かしくなったり。
世界は不条理で不可思議なものと表裏一体でできているという恩田作品共通世界観(?)もちらっと出てくるが、ベースはいろんな子がいていろんなことを考えているというストーリーで、爽やかな青春もの。珍しくすっきりと話が終わっているのには驚いた。これは普段の恩田作品を好きな人には逆に物足りないのかもしれないが、私には読みやすくてよかった。
真正面から青春を取り上げると臭くなる、というのを大前提にしておいて、変に照れずにまっすぐ青春を描いてある。友情も恋愛も大事だし、この1日の経験がこの先の彼らにとって貴重な財産になるんだろうと自然に思えた。
それにしても恩田作品に出てくる子供たちは賢くてナイーブで、魅力的だなあ。
ちょっと散歩に行きたくなった。
面白かった。
ネタバレあり
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
あらすじどころかジャンルも知らずに読み始めたので、中盤に入るまでミステリかなホラーかなと考えていたりした。で青春小説と気付き、青春ものかー、だったらもっと若い作家さんのほうがいいかもなあと思った。(作者の年齢は知らないがこれほど長く活躍しているんだからそんなに若くはないだろうと)
まあ結構失礼なことを思ったわけだが、読み出したらぐいぐい引き込まれて、ああ恩田陸の作品でよかったなあと、逆に。
本当にただ歩くだけで終わるの?というのが読みながら気になったこと。で、本当にただ歩くだけだった。
これについては何度か出てくる杏奈の台詞がすべてだと思う。「みんなで夜歩くというだけのことが、どうしてこんなに特別なのか」(長いので省略)というような台詞だが、この小説に対しても同じことが言える。本当にただ歩くだけ。まあもちろんそれぞれの登場人物が抱えている事情は特殊だったり複雑だったりして、軸は人間関係の話なのだが、「歩行祭」という行事の中だけでそれを語ってしまうというのがすごい。しかも登場人物と一緒に80キロ歩いているような気分で退屈せずに読める。ここまでではないにしても学校行事って妙に濃縮されていて、非日常だよなあと懐かしくなったり。
世界は不条理で不可思議なものと表裏一体でできているという恩田作品共通世界観(?)もちらっと出てくるが、ベースはいろんな子がいていろんなことを考えているというストーリーで、爽やかな青春もの。珍しくすっきりと話が終わっているのには驚いた。これは普段の恩田作品を好きな人には逆に物足りないのかもしれないが、私には読みやすくてよかった。
真正面から青春を取り上げると臭くなる、というのを大前提にしておいて、変に照れずにまっすぐ青春を描いてある。友情も恋愛も大事だし、この1日の経験がこの先の彼らにとって貴重な財産になるんだろうと自然に思えた。
それにしても恩田作品に出てくる子供たちは賢くてナイーブで、魅力的だなあ。
ちょっと散歩に行きたくなった。
東野圭吾 文藝春秋 2005/08/25
文庫落ちを待っていたが、図書館で借りてしまった。
面白かったし、泣けた。
完全ネタバレ
-------------------------------------------------
悲しい話だなあ。
ラストのあたりでは真相を暴かないでほしいと思ってしまった。読後の今はやっぱりあのラストでよかったと思うけど。緊迫感と登場人物への同情を両方感じられるミステリはやっぱり好きだ。
淡々としていて「純愛」の描写はほとんどないのに、ひしひしと伝わってくるのもさすがだと思う。
後味の悪さはなくて、ただただ悲しい話だなと思った。
↑この作品の性質上、かなりネタバレしているかと。
緊迫感ってやつは、予備知識がなくて、しかも初めて読むというときが一番強く感じる。名作ならラストを知っていても(ネタバレしていても)楽しめるかもしれないが、この緊迫感と新鮮さだけはどうしても目減りしてしまうと思う。ミステリに限らず、先の分かりきったような恋愛小説でも、やっぱりネタバレしていないほうが私の場合は楽しめるようで。
文庫落ちを待っていたが、図書館で借りてしまった。
面白かったし、泣けた。
完全ネタバレ
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悲しい話だなあ。
ラストのあたりでは真相を暴かないでほしいと思ってしまった。読後の今はやっぱりあのラストでよかったと思うけど。緊迫感と登場人物への同情を両方感じられるミステリはやっぱり好きだ。
淡々としていて「純愛」の描写はほとんどないのに、ひしひしと伝わってくるのもさすがだと思う。
後味の悪さはなくて、ただただ悲しい話だなと思った。
↑この作品の性質上、かなりネタバレしているかと。
緊迫感ってやつは、予備知識がなくて、しかも初めて読むというときが一番強く感じる。名作ならラストを知っていても(ネタバレしていても)楽しめるかもしれないが、この緊迫感と新鮮さだけはどうしても目減りしてしまうと思う。ミステリに限らず、先の分かりきったような恋愛小説でも、やっぱりネタバレしていないほうが私の場合は楽しめるようで。
雫井脩介 双葉社 2004/07
ずいぶん前に買ってきたのだが、ハードカバーで買ってしまった上に、読むなら一気にと思っても結構な厚さがあるし…。読む機会がなくてずっと積読になっていたが、ようやく読み終えて満足だ。
ネタバレ注意
「犯人よ、今夜は震えて眠れ」
帯に書かれたこの台詞に惹かれて読もうと思った。もともとこういう骨太な警察小説が好きだし、わくわくしながら読み始めた。
苦い、渋い、重たい。これだよ、これ! 連続殺人を扱うなら、こういう雰囲気がまずほしい。そこをクリアしてくれたので、あとは安心して読むだけだった。
主人公の巻島は腹心の部下はいるものの、上司には汚れ役としてスケープゴートにされ足を引っ張られ、世間からはバッシングされ、遺族には詰られる。しかも本人は数年前に捜査を指揮した誘拐事件で人質にされていた子供を殺されてしまうという、忘れられない重い十字架を背負っていて…。
踏んだり蹴ったりだが、そうなったのには本人にも責任があるというあたりが辛い。それでも事件の解決を第一に考え、行き詰まりながらも辛抱強く捜査を続けていく。読んでいて息苦しくなってくるが、遺族の言葉や部下の話など、泣けてしまうエピソードがいくつも入っているので、とにかく犯人を捕まえてほしいという気にさせられる。
劇場型捜査という言葉からもっと派手な展開を予想していたのだが、全体に地味に淡々としている。事件が解決しても巻島は勝者にはならない。犯人逮捕のカタルシスよりも、巻島が誘拐事件の遺族に謝罪できたことのほうに重きが置かれているし、感動もする。
劇場型捜査という目新しい素材も、それが効を奏するところも面白かったが、犯罪捜査に関わる人たちの思いを丁寧に描いているところがよかった。
「犯人よ、今夜は震えて眠れ」
カッコよすぎるこの台詞は、ずーっと踏みつけにされながら頑張ってきた巻島の境遇に同情しているので、胸がすく台詞だ。でも、巻島はこの場面でまだ十字架を背負っていて、言うべきだから口にした台詞という感じで、決して驕りはない。盛り上がる場面なのだが、皮肉と寂しさが入り混じっている。
最後に連続殺人のほうの遺族に礼を言われたことが、この捜査で彼が得た唯一最大のものかもしれない。世間や組織の中でのこれからの評価ははっきり分からないが、一番ほしかった言葉だろうと思う。胸に響いた。
ずいぶん前に買ってきたのだが、ハードカバーで買ってしまった上に、読むなら一気にと思っても結構な厚さがあるし…。読む機会がなくてずっと積読になっていたが、ようやく読み終えて満足だ。
ネタバレ注意
犯人よ、今夜は震えて眠れ。連続児童殺人事件。姿見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組んだ。史上初の劇場型捜査が始まる!
「犯人よ、今夜は震えて眠れ」
帯に書かれたこの台詞に惹かれて読もうと思った。もともとこういう骨太な警察小説が好きだし、わくわくしながら読み始めた。
苦い、渋い、重たい。これだよ、これ! 連続殺人を扱うなら、こういう雰囲気がまずほしい。そこをクリアしてくれたので、あとは安心して読むだけだった。
主人公の巻島は腹心の部下はいるものの、上司には汚れ役としてスケープゴートにされ足を引っ張られ、世間からはバッシングされ、遺族には詰られる。しかも本人は数年前に捜査を指揮した誘拐事件で人質にされていた子供を殺されてしまうという、忘れられない重い十字架を背負っていて…。
踏んだり蹴ったりだが、そうなったのには本人にも責任があるというあたりが辛い。それでも事件の解決を第一に考え、行き詰まりながらも辛抱強く捜査を続けていく。読んでいて息苦しくなってくるが、遺族の言葉や部下の話など、泣けてしまうエピソードがいくつも入っているので、とにかく犯人を捕まえてほしいという気にさせられる。
劇場型捜査という言葉からもっと派手な展開を予想していたのだが、全体に地味に淡々としている。事件が解決しても巻島は勝者にはならない。犯人逮捕のカタルシスよりも、巻島が誘拐事件の遺族に謝罪できたことのほうに重きが置かれているし、感動もする。
劇場型捜査という目新しい素材も、それが効を奏するところも面白かったが、犯罪捜査に関わる人たちの思いを丁寧に描いているところがよかった。
「犯人よ、今夜は震えて眠れ」
カッコよすぎるこの台詞は、ずーっと踏みつけにされながら頑張ってきた巻島の境遇に同情しているので、胸がすく台詞だ。でも、巻島はこの場面でまだ十字架を背負っていて、言うべきだから口にした台詞という感じで、決して驕りはない。盛り上がる場面なのだが、皮肉と寂しさが入り混じっている。
最後に連続殺人のほうの遺族に礼を言われたことが、この捜査で彼が得た唯一最大のものかもしれない。世間や組織の中でのこれからの評価ははっきり分からないが、一番ほしかった言葉だろうと思う。胸に響いた。
まほろ駅前多田便利軒
2008年1月28日 読書
三浦しをん 文藝春秋 2006/03
これの漫画を本屋で見かけたので(雑誌だったかな?)、そういえば積読になっていたなあと思い出して読んでみた。
登場人物の容姿を描写しないのは、ニアっぽくならないように気を遣ったのか?とか、どうでもいい邪推をしながら読んでしまった。いかにも漫画にしやすそうなライトな作風だと思う。
便利屋の仕事そのものは日常系、ちょっとハードボイルド風味で、なんだかどっちつかずでぱっとしない印象だったが、ニアっぽい友情ものとして読めば、読みやすくて面白かった。
物足りなさが残ったから、逆に漫画のほうは楽しみかな…。
これの漫画を本屋で見かけたので(雑誌だったかな?)、そういえば積読になっていたなあと思い出して読んでみた。
登場人物の容姿を描写しないのは、ニアっぽくならないように気を遣ったのか?とか、どうでもいい邪推をしながら読んでしまった。いかにも漫画にしやすそうなライトな作風だと思う。
便利屋の仕事そのものは日常系、ちょっとハードボイルド風味で、なんだかどっちつかずでぱっとしない印象だったが、ニアっぽい友情ものとして読めば、読みやすくて面白かった。
物足りなさが残ったから、逆に漫画のほうは楽しみかな…。
恩田 陸 講談社 2001/07
個人的な感想。(感覚的なものなので、人にはまったく参考にならない感想)
読書が趣味、と自認している人向けの小説って感じか。小説は好きだけど、数は読んでいないという中途半端な人間には、そのへんが微妙な印象で。頭では分かるが、共感はしないというか。
前半の二つの話が面白かった。私は不器用な読者なので、三人称であっても一人称であっても視点が定まらない話にはのめり込めないようで、つまらなくはないがトーンダウンを感じた。
ところで。
カバーをかけて閉じた状態の本でも、本文を横、あるいは上下から見たとき、漫画なら霜降り、小説なら真っ白になっているのでそこで区別がつく。
それと同じようにこの作品――単行本は持ってないから知らないので文庫のほうを見ると、きれいに4つに区切られていることに気付く。四部構成で、各話の扉絵が黒っぽいので、ビジュアル的にも4分割されているというわけで。しかも見た目には均等。もしかしたらページ数をきっちり合わせてあるのかもしれないし、だいたい同じにしてあるだけでバラつきはあるのかもしれない。前者なら計算された構造美のようなものを感じるし、後者ならそこまではこだわらないところに作りこみすぎないスタイリッシュさを感じる。
まあとにかく見た目が気に入った。通勤バッグの中から取り出すときに、なんだかちょっと気の利いた感じがするのがいい。
装丁でもイラストでもレイアウトでも、文字の書体でも大きさでもないところで、本の見た目を意識するのは珍しいなあと。
私はページの断ち切りがガタガタになってしまうという点を差し引いても、栞代わりの紐(なんて名前なんだろう?)がついている本のほうがレトロ感があって好きだが、この作品に限ってはきれいな断ち切りでよかったと思う。
(小説141)
個人的な感想。(感覚的なものなので、人にはまったく参考にならない感想)
読書が趣味、と自認している人向けの小説って感じか。小説は好きだけど、数は読んでいないという中途半端な人間には、そのへんが微妙な印象で。頭では分かるが、共感はしないというか。
前半の二つの話が面白かった。私は不器用な読者なので、三人称であっても一人称であっても視点が定まらない話にはのめり込めないようで、つまらなくはないがトーンダウンを感じた。
ところで。
カバーをかけて閉じた状態の本でも、本文を横、あるいは上下から見たとき、漫画なら霜降り、小説なら真っ白になっているのでそこで区別がつく。
それと同じようにこの作品――単行本は持ってないから知らないので文庫のほうを見ると、きれいに4つに区切られていることに気付く。四部構成で、各話の扉絵が黒っぽいので、ビジュアル的にも4分割されているというわけで。しかも見た目には均等。もしかしたらページ数をきっちり合わせてあるのかもしれないし、だいたい同じにしてあるだけでバラつきはあるのかもしれない。前者なら計算された構造美のようなものを感じるし、後者ならそこまではこだわらないところに作りこみすぎないスタイリッシュさを感じる。
まあとにかく見た目が気に入った。通勤バッグの中から取り出すときに、なんだかちょっと気の利いた感じがするのがいい。
装丁でもイラストでもレイアウトでも、文字の書体でも大きさでもないところで、本の見た目を意識するのは珍しいなあと。
私はページの断ち切りがガタガタになってしまうという点を差し引いても、栞代わりの紐(なんて名前なんだろう?)がついている本のほうがレトロ感があって好きだが、この作品に限ってはきれいな断ち切りでよかったと思う。
(小説141)
畠中 恵 新潮社 2007/11
文庫で読んでいるシリーズ。
相変わらず面白いし、今回はとくに読みやすい話が多かった。明るくほのぼのとした中に、世の中の理不尽、人の弱さ、醜さも描いているが、読んでいやな気分になったりはしない。少しだけ悲しくなる。やさしい目線で語られているので、しんみりはしても暖かい気持ちで読み終われる。栄吉やお雛の話に勇気づけられた。
(小説139)
文庫で読んでいるシリーズ。
相変わらず面白いし、今回はとくに読みやすい話が多かった。明るくほのぼのとした中に、世の中の理不尽、人の弱さ、醜さも描いているが、読んでいやな気分になったりはしない。少しだけ悲しくなる。やさしい目線で語られているので、しんみりはしても暖かい気持ちで読み終われる。栄吉やお雛の話に勇気づけられた。
(小説139)
封殺鬼花闇を抱きしもの 上
2007年12月17日 読書
霜島ケイ 小学館 2007/11
十年前にお借りして一度読んだだけなのに、結構覚えている場面が多くて驚いた。あらすじより場面ごとに覚えてる。
…重版できないなら新装版としてもっと出せばいいのになあ。
(小説137)
十年前にお借りして一度読んだだけなのに、結構覚えている場面が多くて驚いた。あらすじより場面ごとに覚えてる。
…重版できないなら新装版としてもっと出せばいいのになあ。
(小説137)
恩田 陸 祥伝社 1999/10
ネタバレ。
ミステリなので。
-----------------------------------------
読みやすい、面白い、ちょっと変ってる。
ミステリでもそれ以外でも同じテイストだなあ。
他の恩田作品にも共通した感想なのだが、とにかく読後感がすっきりしない。もやもやっとした気分で、ここで終わり?と思ってしまうことが多い。独特の雰囲気があって面白いんだけど。こう…手放しで面白いといえないという。
謎が解けてもすっきりしないミステリ…。ものすごく珍しいような気がする。謎が解けても、何も解決していない気がしてしまうせいだろうか。推理だけして、はい、おしまい。確かに話は完結しているのだろうが、カタルシスはない。
面白いんだけど……。
ただ、これは私の感じ方であって、たぶん標準から90度ぐらいずれているんじゃないかと。
(小説135)
ネタバレ。
ミステリなので。
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読みやすい、面白い、ちょっと変ってる。
ミステリでもそれ以外でも同じテイストだなあ。
他の恩田作品にも共通した感想なのだが、とにかく読後感がすっきりしない。もやもやっとした気分で、ここで終わり?と思ってしまうことが多い。独特の雰囲気があって面白いんだけど。こう…手放しで面白いといえないという。
謎が解けてもすっきりしないミステリ…。ものすごく珍しいような気がする。謎が解けても、何も解決していない気がしてしまうせいだろうか。推理だけして、はい、おしまい。確かに話は完結しているのだろうが、カタルシスはない。
面白いんだけど……。
ただ、これは私の感じ方であって、たぶん標準から90度ぐらいずれているんじゃないかと。
(小説135)
C★N25―C★NOVELS創刊25周年アンソロジー
2007年12月8日 読書
C★NOVELS編集部 中央公論新社 2007/11
買い忘れていて、気が付いたらネット書店は軒並み在庫切れ…。
今月中の重版が決まっているらしいので、しばらく待つしかないかと思ったら、在庫切れ表示の出ていた書店で数日後に見つけて、慌てて注文。
入手の時期は重版を待ってもたいして変らなかったが、なんとなく初版だと嬉しい。
1作しか読むところがないので、あっさり読了。
愛すべき脇役さんたちが、さらに身近に感じられて面白かった。
決してカッコいいタイプではないけど、味があるっていうキャラはいいですね。
買い忘れていて、気が付いたらネット書店は軒並み在庫切れ…。
今月中の重版が決まっているらしいので、しばらく待つしかないかと思ったら、在庫切れ表示の出ていた書店で数日後に見つけて、慌てて注文。
入手の時期は重版を待ってもたいして変らなかったが、なんとなく初版だと嬉しい。
1作しか読むところがないので、あっさり読了。
愛すべき脇役さんたちが、さらに身近に感じられて面白かった。
決してカッコいいタイプではないけど、味があるっていうキャラはいいですね。
古書店アゼリアの死体
2007年12月5日 読書
若竹 七海 光文社 2003/09
ネタバレ。
犯人まで書きます。
----------------------------------------------
そういえばロマンス小説って読んだことないかもしれない。
あ、『マディソン〜』の原作本は読んだかも。私にはつまらなかったけど。でも、さすがにこの本の章のタイトルの元になってる作品の名前ぐらいは分かった。
最近はBLしか読まなくなってしまったせいか、キャラというものを意識しすぎる傾向ができてしまったようで。強烈な個性の持ち主・紅子が探偵役かと勝手に思い込んでしまい、彼女が活躍しないのは肩透かしだった。けど、表紙を見てもそんな印象だし。
なんというか、もっと痛快なものを期待していたので、ラストにがっかりしてしまった。話のテンポもいいし、途中までかなり面白かっただけに、残念。といってもそれは趣味の問題で、別に作品自体にケチをつけているわけではない。かなりよくできたミステリという印象を受けた。(もっとも私はミステリ読みじゃないんで、きちんと評価もできないのだが)
それと肝心の動機が弱いのが気になった。いくら機会が転がり込んできても、昔の恨みでそんな簡単に殺人に踏み切れるのかなと…。正直、逆恨みにしか思えなかったし。結果は気の毒なものだったが、自分の食い扶持を稼ぐために働くのなんて当たり前なのに何を被害者ぶっているんだ、ただ甘えてるだけじゃねーか…と腹が立つし、後味の悪い終わり方だった。
途中までものすごく面白かったし、登場人物が魅力的なだけに、この着地点が余計に納得いかない。ベタであっても同情できる動機を用意してほしかった。
それと結局海岸のほうの死体の死因を警察は自殺と断定したのだろうか。その辺がよく分からなかったので、すっきりしない。
私が見落としただけかな…。
(小説129)
ネタバレ。
犯人まで書きます。
----------------------------------------------
そういえばロマンス小説って読んだことないかもしれない。
あ、『マディソン〜』の原作本は読んだかも。私にはつまらなかったけど。でも、さすがにこの本の章のタイトルの元になってる作品の名前ぐらいは分かった。
最近はBLしか読まなくなってしまったせいか、キャラというものを意識しすぎる傾向ができてしまったようで。強烈な個性の持ち主・紅子が探偵役かと勝手に思い込んでしまい、彼女が活躍しないのは肩透かしだった。けど、表紙を見てもそんな印象だし。
なんというか、もっと痛快なものを期待していたので、ラストにがっかりしてしまった。話のテンポもいいし、途中までかなり面白かっただけに、残念。といってもそれは趣味の問題で、別に作品自体にケチをつけているわけではない。かなりよくできたミステリという印象を受けた。(もっとも私はミステリ読みじゃないんで、きちんと評価もできないのだが)
それと肝心の動機が弱いのが気になった。いくら機会が転がり込んできても、昔の恨みでそんな簡単に殺人に踏み切れるのかなと…。正直、逆恨みにしか思えなかったし。結果は気の毒なものだったが、自分の食い扶持を稼ぐために働くのなんて当たり前なのに何を被害者ぶっているんだ、ただ甘えてるだけじゃねーか…と腹が立つし、後味の悪い終わり方だった。
途中までものすごく面白かったし、登場人物が魅力的なだけに、この着地点が余計に納得いかない。ベタであっても同情できる動機を用意してほしかった。
それと結局海岸のほうの死体の死因を警察は自殺と断定したのだろうか。その辺がよく分からなかったので、すっきりしない。
私が見落としただけかな…。
(小説129)