去年のベスト

2007年1月3日 読書
現時点で思い出せる、去年読んだ本の中でとくに面白かった15冊。
去年刊行された本ではなく、あくまで私が去年読んだというだけ。古い作品が多いし、再読本も混じっている。順不同。

『箱の中/檻の外』木原 音瀬
『リベット』木原 音瀬
『リアル 6』井上 雄彦
『B級 グルメ倶楽部』今 市子
『ハチミツとクローバー 10』羽海野 チカ
『東方美人』かわい 有美子
『恋について』木原 音瀬
『首都消失』小松 左京
『友-FELLOW-』柏枝 真郷
『MONSTER』浦沢 直樹
『真夜中に降る光』砂原 糖子
『hand which』 鈴木 ツタ
『執事の特権』榎田 尤利
『博士の愛した数式』小川 洋子
『世界の終 りとハードボイルド・ワンダーランド』村上 春樹

うーん、なんか絶対に忘れている本があると思うけど(気に入っても感想書かないこと多いから)、木原作品の多さにびっくり。
世間の波に乗ってしまったようで、不本意だなあ。

半落ち

2006年12月26日 読書 コメント (2)
横山 秀夫 講談社

ネタバレ感想。ネタバレ満載。

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や〜、いいオヤジでした。
私生活ではくたびれた冴えないオヤジ達が仕事をしているときだけカッコイイっていうのは、オヤジものの醍醐味だと思う。
そういう意味では志木と佐瀬の章が面白かったかな。

読んでいて、確かに刑が確定するまでの流れっていうのはベルトコンベアー式なのかもなあと思った…。結局、それに逆らえたオヤジは誰もいなくて、最後の面会だけが「自慢話」というのは、リアリティはあるんだろうけど、ちょっと寂しい。
梶の抱えていた秘密が明かされて、これまでの謎が全て(謎はひとつしかないか)解けたときも、それは確かに話したくないかもしれないと納得はいったけど、どうにも物足りなさが残った。
事件後のことだし、この場合、直接事件に関係のない池上の個人名が報道にのらないようにするぐらいの配慮は当然されたと思うし、法廷で名前が出たとしても池上に伝わらなければよかったわけだから、黙秘以外にも守る方法はあったような…。
「もう一人救いたい」というのが生きたい理由というのは、すごくよかったなあと思う。
映画のほうも観てみたくなった。

椿山課長の七日間

2006年12月23日 読書
浅田 次郎 朝日新聞社

こんな小説を連載していたなんて、朝日新聞はいいなあと思った。

軽い話だなあ、最後まで読めるかなあと心配しながら読み始めたが、さくさく読めた。なかなか重たいテーマなのに、暗くならず飽きさせずに、ちょっとほろりとさせてくれる。途中、何度か涙ぐむシーンがあった。
名作とは思わないけど、気楽に読めて面白い、読んでよかったと思えた作品。
別にすべての人がそうだとは思ってないが、営業の人間には昼休みって感覚がないことが多い。12時から1時っていう特殊な時間帯でもない一般的な昼休み時間中に電話をかけてこられると結構腹が立つ。ましてや訪ねてくるのは遠慮して欲しいと常々思っている。
この間、退職したA君に会うと、前日の昼休み中に電話をかけてきたことを謝られた。「すっかり昼休みって感覚がなくなってしまって」とのこと。気づいて謝ってくるあたり、さすが元事務職だわ、と感心してしまった。
まあどうでもいいことだけど。

 
『地下/鉄に乗って』浅田 次郎
ひとことだけだけど、激しくネタバレ
 
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面白い話なんだけど、終わり方が好みじゃなかった。
タイムスリップすることで生き方までは変えないけど、父親への見方だけが変わるっていうほうが面白かったのに。「運命には逆らえない」がテーマなのかと思えば、そうでもないし。悪くする方向になら運命を変えられるっていうのがどうにも。
いい悪いじゃなくて、あくまで好き嫌いの問題として、好きじゃない。
だいたい不倫の末に気持ちの上では完全に奥さんを裏切ったのに、その事実を本人が忘れてしまっただけでは何も解決してないと思う。夫婦の関係が修復されるような兆しを見せて終わったことが、逆に納得いかなかった。しかも父親の愛人の指輪を(知らないとはいえ)奥さんに贈るつもりになってるあたり…。皮肉なのか…?
なんだか今朝から喉が痛い。うー。
胃は今とっても取り扱い注意な状態で、ちょっとイヤなことがあると痛み出す。いつの間にか風邪の症状だったのが神経性の胃痛にすり替わっている。なんだっていうんだ。
はやりめの治療で眼科に通っていたら、いつの間にか花粉症の治療をされていたのを思い出した。かなり違うけど、なんか似てる。
ちょっと太ったので、ちょっと戻した。
相変わらず、目標の1キロ手前。
 
 

伊/坂幸/太郎『重/力ピエロ』
ネタバレ感想。
未読の方はここでやめておいてください。

この作品がお好きな方にも読まないで欲しいです。
ちょっと読み方に失敗したので、あんまりいいこと書いてません。

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面白かったが、ミステリだと思って読んだので少々肩透かしを食わされた。
こういういかにも怪しげな人物が出てくると、「まさかこれが犯人じゃないよね?」という不安がまずあって、それから「いやいや引っ掛けだろう」とラストでのどんでん返しを期待する方向に行ってしまう。
こういう読み方はあんまり好きじゃない。自分で理想的なラストを限定してしまうより、余計なことを何も考えずに読んだほうが素直に楽しめるし、ラストへの期待感も高まる。
というわけで、まるで最初から犯人が分かっていて読むような、面白みがそがれる読み方をしてしまった。
といっても読みやすかったし、嫌味のない作品でよかったと思う。探偵の台詞がとくに好きだった。
無味乾燥な謎解きのためのミステリでもなく、行間が広すぎて読解に苦労する文学でもなく、分かりやすい感動ものでもなく。
確かにスタイリッシュで、現代的な作品だと思った。
しかも腐女子向けだなあ(笑)
その辺は十二分に楽しませていただきましたとも。
まだ手に入れてないけど、表紙が出たので。

男性二人の表紙だとついついBL的分類をしてしまいそうになって困る。

お疲れ

2006年10月10日 読書
イベント後、帰って日記を書いていたら、顔に蕁麻疹が出始めた。多分、疲れてるんだろうと思ってビタミン剤を飲んで寝たら、朝には腫れが引いていた。よかった。
…往復約4時間は通勤と同じだし、ほとんど椅子に座って喋っていただけのイベントだし、その後もそれほど歩いてないし。うーん、この体力のなさには困ってしまう。やっぱり片道2時間が私の辿り着ける限界の場所なのか…。
 
 
梨木香歩『家守綺譚』
そのうち読んでみようと思っていたら文庫になったので買ってみた。
感想は難しいのでパス。ここが好き!って言いやすい作品もあるけど、これはどこがどうとは言いにくいので、気力と体力が充実したときじゃないと書けない。雰囲気で楽しむタイプの話なんじゃないかと。そうじゃないって思う人もいるだろうけど。「檸檬」と「葡萄」が面白かった気がする。

雑多に

2006年10月4日 読書
今日買ってみたお茶。「熟成あ/ま/み」。商品名どおりの味で、ちょっと物足りなかった。お茶はちょっと苦いぐらいで、後味がすっきり甘いやつが好きだなあ。って自分の好みは知ってたんだけど、飲んでみたかったんだもん。
 

睡眠が長いとビタミン剤がいらないらしい。…日頃から6時間は眠るようにしてるんだけど、8時間ぐらいないと足りないってことか。短くても質の高い眠りが課題?

 
体重が減らない。しかもダイエットに飽きてきた。うーーん。

『アフターダーク』村上 春樹
文庫になったので買ってみた。
以下、たいしたこと書かないわりにネタバレ。

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内容は濃いと思うんだけど、さらっと読めてしまう。
話が淡々と進んでいくのに飽きがこない。
比較的分かりやすい話だった。
謎は謎のまま残るが、別に推理小説ではないので、そこらへんは気にならない。
というわけで、カタルシスってやつがきっちりあった。
数年前に読んでたら、物足りなかっただろうなあとは思う。

PARTNER〈6〉

2006年9月27日 読書
柏枝 真郷 中央公論新社 2006/09 ¥945
小松 左京 徳間書店

角川からも文庫が出てる…。どっちを読んだんだったかな。

ネタバレ
完全にネタバレしていますので、未読の方は読まないで下さい。

「たとえ日本が沈没しても、この本は読まない」という固い決意があれば構いませんが、…未読の方にはあまり意味のない感想だと思いますし。

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「絶対好きだと思うよー、潜水艦とか出てくるから」という不本意な理由で薦められた本。
別に潜水艦が好きなわけじゃ……。『沈黙の艦隊』と『亡国のイージス』ぐらいしか、そういうの読んでないしなあ。
なんて思いつつ、あまり気が進まないけど読み始めた。
というのも、SFというジャンルに興味がないし、その上20年も前に書かれたSFが面白いのかなという疑問があった。もちろん古典的なSFがつまらないと思っているわけじゃないけど、20年って微妙な古さが気になって。
で、結果として、この作品は面白かった。
かえって20年前の最新技術だと、説明されれば理解できるというメリットがあってよかったと思う。あと不謹慎だけど、国際的な政治が出てくるストーリーの場合、冷戦中のほうが分かりやすくて面白い…。

突然、首都圏の上に「雲」が出現して、交通・通信が全て遮断されてしまい、中がどうなっているのか全く分からないという設定自体も面白かったが、ここまでリアルに多角に話を進めていくところが凄いと思った。政治、経済、科学、突然家族と引き裂かれてしまった個人、それぞれに説得力があって面白い。
章が変わると、今までと違う角度から同じ物事を見て、別の判断が下されたりもするが、なるほど、と思わされることが多かった。
普段は、一人の人間の心情や行動を丁寧に追っていく話ばかり読んでいるが、こういう視野の広い話も面白いと改めて気付いたというか。最後、「雲」がどうなるのかということが気になりつつ、それぞれの思惑、行動が絡まっていくのを楽しめた。

ラスト、雲が現れたときと同じように唐突に消えるかも、というところで終わったのも、よかったと思う。
「雲」が全く動かず、このまま居座り続けるというラストだと、やっぱり救いがないし、かといって完全に消えてしまうところまで話が進んでいたら、その先の対応まで書いてくれないと物足りないし。うまいところで終わらせたなあと。
こういう設定が大きい、謎を含んだような話は、ラストで肩透かしってことが多いので、最後の最後まで楽しめたのが嬉しかった。

パートナー 5

2006年3月24日 読書
柏枝 真郷 中央公論新社 2006/03 ¥945

明日発売〜。
いつものように、ここには感想は書きません。
…や、画像が出るのが嬉しくて、つい。
ISBN:4101215235 文庫 小川 洋子 新潮社 2005/11/26 ¥460

先に映画を知って、面白そうだから原作を先に読んでみようと思った作品。映画のほうは…どうも原作ファンには評判がいまひとつって感じなので、観にいかないかも。

面白かった。この作品に出会えてよかったと思う。
芥川賞受賞とか聞くと、最近はともかく、何年か前までは難解な文学作品を書く作家というイメージだったので、先に作者の受賞歴を見て、これは読みにくそうと思って読み始めたのだが。
文章もストーリーも読みやすかった。深読みする必要もなくて、ただストーリーを追っていけば、自然と泣かせてくれるし、暖かい気持ちにしてくれる。
泣くのは…泣くツボも人によって違うと思うが、私の泣くツボには思い切りはまっていて、一場面ごとに涙ぐんでいたような。
こういう切なさとか、こういう優しさには弱いです…。
数学の説明でひっかかるかなーと思ってたけど、文系の人でも十分分かるし(数学でいつも赤点だった私でも大丈夫だった)、読めば面白いと思う。数学って面白い学問なんだと分かった気がした。しかも博士という人を語る上で、数学は本当に必要ってところがすごい…。
とにかく感動しました。

東京奇譚集

2006年1月16日 読書
村上 春樹 新潮社 2005/09/15 ¥1,470

既読の方向け感想

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短編集なので読みやすかった。
著者の最近の傾向なのか、短編だからか知らないんだけど(図書館行かないから読んでない…)、引っ掛かりが少なくて、文章自体も読みやすかったんじゃないかと。
どの話もちょっと不思議なのに、淡々と終わっていく印象。
ストーリー自体は最後まで説明もないし、中途半端な作品が多い。これがエンターテイメントな作品だったら、間違いなく「ちゃんと書いてよ」って苦情のひとつも言いたくなると思うけど、これが文学ってものなのか(?)物足りなさもなく、面白かった。感動的ってわけじゃないんだけど、カタルシスがあるというか。
1冊通して、「ありのままに受け入れる」がテーマだったような。
『ねじまき鳥〜』はそれができなくて、どうにも読みにくかったけど、これは受け入れやすかった。
(もっとも『ねじまき鳥〜』のほうは解説本も出てるぐらいで、意味を考えて読む作品なのかもしれないけど、解説者が強引にこじつけてる気がして、それも楽しくは読めず…。というか、作品そのものを読んで読解できないなら、私は読解できないままでいいやって思った)
「品川猿」に出てくる猿は「サル」って聞いて、こんなサルを想像する人はいなそうっていうサルだった。
今手元に本がないのでタイトルが思い出せないのだが(「どこでもそれが〜」っていうような題)、マンションの階段の話がとくに面白かった。

どっかのオンライン書店でこの本の書評を見たら、結構、評価が低かったが、私は好きだな。
ISBN:4797329831 単行本 酒寄 進一 ソフトバンククリエイティブ 2005/09/29 ¥1,890

あー、あったあった。
本屋で探したんだけどなかったから、まだ発売してなかったっけ?と不安になったので。
もうネットで注文してしまおう…。

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昼に食べたグリーンカレーは微妙でしたが(微妙?)、カボチャとりんごのタルトを食べたので満足です。
ISBN:4480039279 文庫 クラフト・エヴィング商會 筑摩書房 2004/04/08 ¥998

うーん、安さにつられて(…)「手帖版」を買ってしまったが、ハードカバーのほうが装丁が綺麗で好みだったなあ。

面白いし、読みやすい。
けど、私の好みからいうと、ちょっと薄味。
もっと長いほうが面白いだろうなあとか、解説はないほうが面白かっただろうなあとか思ってしまう。(解説されないと意味が分からないかもしれないけど)
というわけで、写真がいっぱい載っているらしい旧版で読んだほうが逆によかったのかなあと思ってしまうが、文庫のほうが文章の量は多いようなので、こっちでよかったのかもしれないし。
うーん。
ISBN:4086006316 文庫 須賀 しのぶ 集英社 2005/07/29 ¥560

そして珍しく著者名がきちんと出ている。

以下ネタバレしてます。

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最初は元気に勢いよくシリーズが始まって、徐々に暗く救いがたくなっていくパターンかなあ…。
表紙見た時点で、くるかなと思ってたけど、思わせといて直前で回避って事もあるし…とか思いつつ読んだのだが。
次あたりはロキシーが表紙にくるのかな。とっくに表紙にきててもおかしくないキャラだし。

『流血女神伝』のほうは途中でやめちゃったけど、これは最後まで読めるといいなあ。
宮本 輝 講談社

数年前にポルトガルに行った。
スペインを回るツアーを申し込んだら、ポルトガルも入っていた。そんな感じで偶然のように行ったのだが、ロカ岬に行くときにガイドさんがこの小説を紹介してくれたので、帰国したら読んでみようとずっと思っていた。
手にとってみると、男性作家の書いた、女性の視点からの恋愛小説らしかったので、どうしても買う気が起きずに挫折。今年、古本屋で買うものがなかったので、ついに買ってしまい、読んでみた。
読んでみたら、多少古臭さは感じるものの、読みやすい文章だった。上巻までは大当たりだと思って一気に読んだ。
下巻からは、残念ながらペースダウン。今まで共感を覚えていた主人公の行動に、納得がいかなくなったせいだと思う。別に許せないというほどの行動ではないし、「ちょっとぐらい好きなことをして何が悪い」という作中の言葉には頷いたのだが、一度主人公を突き放してしまうと共感は戻らないらしい。
いつ主人公が友達に謝るんだろうと、そればっかりが気になってしまい、あまり物語に集中できなかったせいもあるかもしれない。
私がとくに好きなのは、主人公と父親の心の交流と、梶井と由加が霧を見に行く場面だった。
恩田 陸 集英社
発売日の翌日ぐらいには購入していたのだが、なかなか読めずにいた本。
ネタバレ感想。

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読み始めはとっつきにくいし、『光の帝国』の続編だと思い込んでいたら違っていた(同じシリーズだけど)ので、かなりがっかりした。
恩田陸の物語は、私にはどうにも物足りないところで終わることが多く、続編が読みたいことが多い。『常野物語』はなかでもとくに続きが気になっているシリーズで、文庫落ちも待たずに買ってしまったのだが…。
しかも前回のように短編連作という形ならよかったのだが、1冊丸ごと同じ話だと気付き、読み進めるのに苦労した。
電車の中で読んだので、最後のほうは涙を抑えるのに苦労して読んだし、春田親子が出てきてからは進みも早くなった。面白かった。けど、やっぱり『光の帝国』の続編が読みたいな…。

月の裏側

2005年6月4日 読書
恩田 陸 幻冬舎

ネタバレ
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面白いし、するする読めるんだけど、やっぱりすっきりしない。
いつもこの著者の作品を読むと、未完の小説を読んだような気分になるが、今回はきっちり終わってるんだけど、終わってない感じ。「世の中には説明しなくていいこともある」っていうのが、この小説のスタンスなのだろうけど、ここまできたなら最後まで……と思ってしまう。ホラー小説だから、この方が味わいがあるんだろうなと思うけど、ついつい。

PARTNER3

2005年5月25日 読書
柏枝 真郷 中央公論新社

本日発売。

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